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ルカの福音書(39)嵐を静めるイエス8:22~25
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試練を通した信仰の成長について学ぶ。
ルカの福音書 39回
嵐を静めるイエス
ルカ8:22~25
1.はじめに
(1)文脈の確認
①イエスは、第2回ガリラヤ伝道を行われた。
②イエスは、たとえを用いて教えられた(ルカ独特)。
③ルカは、土壌のたとえを重視した。
*イエスのことばに耳を傾けよ。
*それを行え。
④この箇所では、イエスのことばに対する弟子たちの信仰が試される。
⑤ルカはイエスの権威を証明する出来事を記した(4:31~6:16)。
⑥再び、イエスの権威を証明する出来事を紹介する(8:22~56)。
(3)ルカ8:22~56の内容(イエスの権威の証明)
①嵐を静めるイエス(22~25節)
②悪霊を追い出すイエス(26~39節)
③病と死に打ち勝つイエス(40~56節)
2.アウトライン
(1)イエスのことば(22節)
(2)弟子たちの信仰の後退(23~24節a)
(3)イエスの権威(24b~25節a)
(4)弟子たちの信仰の成長(25節b)
3.結論
(1)詩107:23~30
(2)使27:13~14、25、34
(3)ヤコ1:6
試練を通した信仰の成長について学ぶ。
Ⅰ.イエスのことば(22節)
1.22節
Luk 8:22
ある日のことであった。イエスは弟子たちと一緒に舟に乗り、「湖の向こう岸へ渡ろう」と言われたので、弟子たちは舟を出した。
(1)イエスは、「湖の向こう岸に渡ろう」と2度言われた。
①舟に乗る前に、言われた(マタ8:18、マコ4:35)。
②舟に乗ってから言われた(ルカ8:22)。
(2)向こう岸とは、ガリラヤ湖の東岸である。
①そこは、ゲラサ人の地である(ルカ8:26)。
②イエスは、向こう岸に渡る理由は明らかにしていない。
(3)ここでのポイントは、イエスのことばの信頼性である。
①2つのたとえは、神のことばを聞き、それを行うことの重要性を教えていた。
②イエスは、「向こう岸に渡ろう」ということばを少なくとも2回は口にした。
③弟子たちには、安全に向こう岸に着けるという保証が与えられた。
④弟子たちの責務は、そのことばを信じて行動することである。
Ⅱ.弟子たちの信仰の後退(23~24節a)
1.23節
Luk 8:23
舟で渡っている間に、イエスは眠り始められた。ところが突風が湖に吹きおろして来たので、彼らは水をかぶって危険になった。
(1)突風が吹く前に、イエスは舟の中で眠り始めた。
①イエスの人間性を証明している。
②イエスの平安な状態と、荒れ狂う湖が対比される。
(2)ガリラヤ湖には、突風が吹く地理的条件がある。
①海抜下200メールにあるガリラヤ湖は、すり鉢状になっている。
②西側に渓谷があり、風が吹き抜けるための通路となっている。
③突風が吹けば、湖面の気圧は下がる。
④高波で、小舟は水をかぶって非常に危険な状態になる。
(3)漁師たちでさえも、死の恐怖を覚えた。
①「風」ということばが、3度繰り返される(23、24、25節)。
②弟子たちの信仰が試された。
(4)この突風の背後に、悪魔の企みを見ることができる。
①湖のそばに悪霊が住み着いている。
②イエスは、ゲラサ人の地に行って、悪霊につかれた人を解放しようとしている。
③悪魔は、自然現象を用いて、イエスと弟子たちを殺そうとした。
2.24節a
Luk 8:24a
そこで弟子たちは近寄ってイエスを起こし、「先生、先生、私たちは死んでしまいます」と言った。
(1)ここでの弟子たちの心の状態は、岩地の土壌である。
①芽を出すが、試練のときには枯れてしまう。
②彼らは、イエスを起こした。
③信仰があれば、起こす必要はなかった。
(2)「先生、先生、私たちは死んでしまいます」と言った。
①漁師たちは、カペナウムからさほど離れていない場所で漁をした。
②これほど沖に出て、突風に遭うのは初めてである。
③「先生、先生」と2回繰り返すのは、状況の緊急性を示したものである。
④彼らの信仰は、一時的に枯れてしまった。
Ⅲ.イエスの権威(24b~25節a)
1.24節b
Luk 8:24b
イエスは起き上がり、風と荒波を叱りつけられた。すると静まり、凪になった。
(1)イエスの権威が示された。
①風と荒波を叱りつけると、ただちに凪になった。
②通常は、突風が去っても、しばらくの間、海は荒れる。
③この奇跡は、イエスの神性を証明している。
④被造世界は、イエスのことばに従う。
2.25節a
Luk 8:25a
イエスは彼らに対して、「あなたがたの信仰はどこにあるのですか」と言われた。
(1)イエスは、質問によって弟子たちを叱責された。
①マコ4:40では、より厳しいことばが発せられている。
Mar 4:40 イエスは彼らに言われた。「どうして怖がるのですか。まだ信仰がないのですか。」
②ルカは、優しいことばを使っている。
Ⅳ.弟子たちの信仰の成長(25節b)
1.25節b
Luk 8:25b
弟子たちは驚き恐れて互いに言った。「お命じになると、風や水までが従うとは、いったいこの方はどういう方なのだろうか。」
(1)弟子たちの自問自答は、彼らのイエス理解が不十分であったことを示している。
①彼らは、イエスがメシアであることを信じた。
②当時のユダヤ人は、メシアは人であり、政治的解放者であると理解していた。
③弟子たちの認識も、それと同じである。
(2)彼らは、イエスが神にしかできない奇跡を行うのを目撃した。
①「いったいこの方はどういう方なのだろうか」
②当然の結論は、「イエスは神が人となられたお方である」というものである。
結論
1.詩107:23~30
Psa 107:23
船に乗って海に出る者/大海で商いする者
Psa 107:24
彼らは見た。【主】のみわざを/深い海で その奇しいみわざを。
Psa 107:25
主が命じて/激しい暴風を起こされると/風が波を高くした。
Psa 107:26
彼らは天に上り 深みに下り/そのたましいは みじめにも溶け去った。
Psa 107:27
彼らは酔った人のようによろめき/知恵はことごとく呑み込まれた。
Psa 107:28
この苦しみのときに 彼らが【主】に向かって叫ぶと/主は彼らを苦悩から導き出された。
Psa 107:29
主が嵐を鎮められると/波は穏やかになった。
Psa 107:30
波が凪いだので彼らは喜んだ。/主は彼らをその望む港に導かれた。
(1)船乗りたちは、暴風の中に神の御手を見た。
(2)知恵が尽きた彼らは、神に向かって叫んだ。
(3)神は、彼らを危険から救い出し、目的の港に導かれた。
(4)イエスの弟子たちは、詩篇107篇を思い出すべきであった。
2.使27:13~14、25、34
Act 27:13
さて、穏やかな南風が吹いて来たので、人々は思いどおりになったと考え、錨を上げて、クレタの海岸に沿って航行した。
Act 27:14
ところが、間もなくユーラクロンという暴風が陸から吹き降ろして来た。
Act 27:25
ですから、皆さん、元気を出しなさい。私は神を信じています。私に語られたことは、そのとおりになるのです。
Act 27:34
ですから、食事をするよう勧めます。これで、あなたがたは助かります。頭から髪の毛一本失われることはありません。」
(1)パウロは、ローマに行くという約束を主から得ていた。
Act 23:11
その夜、主がパウロのそばに立って、「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことを証ししたように、ローマでも証しをしなければならない」と言われた。
(2)パウロは難船の危機に直面したが、主のことばを信じ続けた。
3.ヤコ1:6
Jas 1:6
ただし、少しも疑わずに、信じて求めなさい。疑う人は、風に吹かれて揺れ動く、海の大波のようです。
(1)弟子たちの経験の普遍化は、いのちの危険を感じるような体験である。
(2)私たちは、こちらの岸(地上)からあちらの岸(天上)に向かって航海している。
(3)突風が襲ってくる。
①職場での体験
②家族の病気
③予期せぬ悲劇
④人間関係の破壊
⑤致命的な病
(4)イエスを信じる者は、必ず向こう岸に着ける。
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