私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
パートⅡ.旧約時代10章 カナン定住と士師記の時代
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士師記の時代に起きた神の国と悪魔の国の葛藤について学ぶ。
パートⅡ.旧約時代
10
章 カナン定住と士師記の時代
イントロダクション
1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマに沿って聖書を読み解いている。
(1)この葛藤は、創世記3章以来続いているものである。
(2)この葛藤は、黙示録20~21章で終わる。
2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)
(1)神は、人類を臣民とする神の国を造ろうとされた。
(2)サタンは、悪魔の国を作り、自らが王になろうとした。
(3)神は、創世記3章15節で対抗策を啓示された(原福音)。
3.パートⅡ.旧約時代(4~17章)
4章 カインとアベル
5章 大洪水
6章 バベルの塔
7章 アブラハム契約
①この契約は、無条件契約である。
②契約の民イスラエルは、カナンの地で神の栄光を表わすことを期待された。
8章 出エジプト
9章 律法と幕屋
10章 カナン定住と士師記の時代
4.アウトライン
(1)信仰による勝利
(2)悪魔の反撃
(3)レビ人の町々
(4)士師記のサイクル
士師記の時代に起きた神の国と悪魔の国の葛藤について学ぶ。
Ⅰ.信仰による勝利
1.カナン入国に際しては、民に対する神の守りが顕著な形で現れた。
(1)ヨシュアのリーダーシップの証明
①民は、乾いた地を進むようにヨルダン川を渡ることができた。
*川の水が上流でせき止められたからである。
②これは、民が紅海を渡ったことに対応している。
*紅海の水が2つに割れた。
③紅海の奇跡では、モーセのリーダーシップが証明された。
④ヨルダン川の奇跡では、ヨシュアのリーダーシップが証明された。
(2)要塞の町エリコの征服
①エリコは、高い城壁を擁する町であった。
②思案していたヨシュアの前に、【主】の軍の将(受肉前のメシア)が現れた。
③抜き身の剣を持ったその人は、ヨシュアに命じた。
Jos 5:15
【主】の軍の将はヨシュアに言った。「あなたの足の履き物を脱げ。あなたの立っている所は聖なる場所である。」そこで、ヨシュアはそのようにした。
④民は、【主】の助けによってエリコを征服することができた(ヨシ6章)。
*契約の箱を担ぎ、6日間町の周りを回った。
*7日目には7周し、ときの声を上げた。
⑤この戦いは、【主】の戦いであった。
Ⅱ.悪魔の反撃
1.エリコを征服した直後に、悪魔の反撃が始まった。
(1)悪魔は、アカンを誘惑した。
Jos 6:17
この町とその中にあるすべてのものは【主】のために聖絶せよ。遊女ラハブと、その家にともにいる者たちだけは、みな生かしておけ。彼女は私たちが送った使いたちをかくまってくれたからだ。
Jos 6:18
あなたがたは聖絶の物には手を出すな。あなたがた自身が聖絶されないようにするため、すなわち、聖絶の物の一部を取ってイスラエルの宿営を聖絶の物とし、これにわざわいをもたらさないようにするためである。
Jos 6:19 ただし、銀や金、および青銅や鉄の器はすべて【主】のために聖別されたものである。それらは【主】の宝物倉に入れよ。」
①アカンは、この命令に背いた。その背後には、悪魔の誘惑があった。
(2)アカン個人の罪は、共同体全体の罪と見なされた。
①その結果、次のアイの戦いでは、イスラエルの民は敗北を喫した。
②悪魔は、アカンを起点に、不従順の罪が民全体に広がることを期待した。
④しかし神は、その可能性を初期の段階で阻止された。
⑤アカンとその一家は、石打の刑で処刑された。
2.悪魔は、ギブオン人たちを利用した。
(1)イスラエルの民は、ギブオン人と契約を結んだ。
①神は、カナン人を滅ぼすように命じておられた。
②ギブオン人は、遠国から来たかのように偽装し、イスラエルと契約を結んだ。
*古びた袋、古いはきもの、古びた着物など
③民は、【主】にお伺いを立てることなしにギブオン人と契約を結んだ。
④偶像礼拝の民ギブオン人が、契約の民の間に住むことを許された。
Ⅲ.レビ人の町々
1.カナンの地は、12部族に分割された。
(1)カナンの地には未征服の地域や都市国家が残されていた。
①それらの地域を征服する責任は、各部族に委ねられた。
2.神は、48のレビ人の町々を国中に設置するように命じられた。
(1)レビ族の相続地は、【主】ご自身である。
①生活のために、レビ人の町々が設けられた。
②国中に配置されたレビ人たちは、民衆に律法を教えた。
③これは、霊的堕落からイスラエルの民を守るための神の方法である。
④かつてのレビ人の使命は、幕屋の維持と移動のための奉仕であった。
⑤定住生活に入ってからは、その使命の内容が大きく変化した。
Ⅳ.士師記のサイクル
1.ヨシュアの死後
(1)民は、悪魔の攻撃を受けやすい状態に置かれた。
①その結果、背教と無政府状態が約350年続くことになる。
Jdg 21:25 そのころ、イスラエルには王がなく、それぞれが自分の目に良いと見えることを行っていた。
②モーセの律法よりも、人間的な判断が優先されたということである。
2.悪魔は、3つの方法で神の計画に挑戦した。
(1)民は、カナンの地征服のための戦いを途中で放棄した。
①これは、将来に禍根を残した。
(2)民は、カナン人の宗教の影響を受けた。
①バアルとアシュタロテ礼拝を採用した。
(3)民は、カナン人と結婚するようになった。
Jdg 3:5 イスラエル人は、カナン人、ヒッタイト人、アモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人のただ中に住み、
Jdg 3:6 彼らの娘を自分たちの妻とし、また自分たちの娘を彼らの息子に与えて、彼らの神々に仕えた。
3.神と悪魔の葛藤は、士師記のサイクルとして現れた。
(1)民は、霊的、道徳的に堕落する。
①民は、バアル礼拝に取り込まれて行った。
②「バアル」とは、当時カナンの地で広く礼拝されていた豊穰神である。
③「バアル」には、主人という意味があるが、それが農業神の称号となった。
④バアルは、毎年一度死んで生き返ると考えられていた。
⑤バアルの復活を促進するために、神殿娼婦との交わりが実行された。
⑥遊牧生活しか知らなかった民にとって、バアル崇拝は大きな誘惑となった。
⑦「アシュタロテ」は、バアルの妻で、豊穰、戦争、愛を司る女神であった。
(2)民の堕落を止めるために、神の裁きが下る。
①神は、裁きの器として外敵を起こされた。
②外敵となったのは、イスラエルの民が追放しなかったカナン人たちである。
③悪魔は、背教が民全体に広がることを期待したが、そうはならなかった。
④その都度、神は介入された。
⑤そのため、士師記の時代の背教と堕落は、常にローカルな範囲にとどまった。
(3)民は、神に立ち返る。
①外敵の攻撃が激しくなると、民は悔い改め、神の助けを求めた。
Jdg 6:6 こうして、イスラエルはミディアン人の前で非常に弱くなった。すると、イスラエルの子らは【主】に叫び求めた。
②外敵の攻撃は、民を神のもとに連れ戻すための神の方法であった。
③民は、無条件にカナンの地を相続したのではない。
④その地の相続には、モーセの律法に従って生きるという責務が伴っていた。
⑤律法に忠実に生きるなら、その地にあって繁栄を経験することができる。
⑥しかし、律法から外れるなら、苦境に陥ることになる。
(4)神は、解放者を起こされる。
①民の祈りに応え、神は解放者を起こされた。
②この解放者が、士師と呼ばれる人たちである。
③士師は、ヘブル語で「ショフェット」、英語で「judge」「deliverer」である。
*裁判官、政治的・軍事的指導者、外敵から民を救う解放者
④士師記には、12人の士師たちが登場する。
まとめ
1.神は、イスラエルの民がカナンの地で神の栄光を表わすことを期待された。
2.悪魔は、地域的な背教が民全体に拡がることを画策した。
3.神は、背教が民全体に広がらないように阻止された。
4.士師記のサイクルは、悪魔の陰謀がその都度阻止されたことを示している。
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