私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(21)—世の罪を取り除く神の小羊—
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ヨハネからイエスへの移行について学ぶ。
「世の罪を取り除く神の小羊」 ヨハ1:19~34
1.はじめに
(1)イエスの公生涯の開始
①バプテスマと誘惑は、連続した出来事である。
*神の子
*主のしもべ
②その直後のイエスの行動は、ヨハネの福音書だけに記されている。
③今日の箇所で、神の国運動の中心が、ヨハネからイエスに移る。
(2)世の罪を取り除く神の小羊(A.T.ロバートソンの§26、27)
①§26 「サンヘドリンに対するヨハネの証し」 19~28節
②§27 「イエスをメシアと認識するヨハネ」 29~34節
2.アウトライン
(1)ヨハネの証し(19~28節)
(2)メシアの登場(29~34節)
3.メッセージのゴール
(1)ユダヤ人たち(19節)
(2)パリサイ人(24節)
(3)神の小羊(29節)
このメッセージは、ヨハネからイエスへの移行について学ぼうとするものである。
Ⅰ.ヨハネの証し(19~28節)
1.第一の問い(19~20節)
「ヨハネの証言は、こうである。ユダヤ人たちが祭司とレビ人をエルサレムからヨハネの
もとに遣わして、『あなたはどなたですか』と尋ねさせた。彼は告白して否まず、『私はキ
リストではありません』と言明した」
(1)サンヘドリンについて
①ローマから権限を委託された自治組織。司法、行政、立法機関。
②70名の議員と1名の議長(大祭司)
③3種類の構成員
*祭司長(サドカイ派)
*律法学者(パリサイ派)
*長老(一般人の代表)
(2)メシア運動(神の国運動)に対するサンヘドリン(ユダヤ議会)の対応
①代表団を派遣し、それが正当なものであるかどうかを判断する。
②「ヨハネの証言」とは、それに対してヨハネがどう答えたかということである。
③エルサレムからの代表団であることが、3度にわたって記載されている。
*19節、22節、24節
(3)メシア運動の3段階
①黙って観察する段階
②審問の段階
*代表団はバプテスマのヨハネに種々の質問をしている。
③結論を出す段階
(4)審問の内容 「あなたはどなたですか」
①ヨハネが授けている洗礼についての質問
②ヨハネの自己宣言についての質問
(5)ヨハネの回答
「彼は告白して否まず、『私はキリストではありません』と言明した」 (新改訳)
「彼は公言して隠さず、『わたしはメシアではない』と言い表した」 (新共同訳)
①ホモロゲオウという動詞を2回使っている。強意。
②「エゴウ・エイミ・ウーク・クリストス」(I am not the Messiah.)
③ヨハネの福音書の中では、イエスは7回「I am ….」と語っている。
2.第2の問い(21節a)
「また、彼らは聞いた。『では、いったい何ですか。あなたはエリヤですか』。彼は言った。
『そうではありません』」
(1)この質問の背景には、マラ4:5の預言がある。
「見よ。わたしは、【主】の大いなる恐ろしい日が来る前に、預言者エリヤをあなたが
たに遣わす」
①バプテスマのヨハネをエリヤの再来と考えていた人たちがいた。
(2)ヨハネの回答
「そうではありません」
①「エイミ・ウーク」(I am not.)
3.第3の問い(21節b)
「『あなたはあの預言者ですか』。彼は答えた。『違います』」
(1)この質問の背景には、申18:15がある。
「あなたの神、【主】は、あなたのうちから、あなたの同胞の中から、私のようなひと
りの預言者をあなたのために起こされる。彼に聞き従わなければならない」
①「あの預言者」とは、メシアのことである。
②しかし、「あの預言者」をメシアとは別の人物と考える人もいた。
(2)ヨハネの回答
「違います」
①「ウー」(No.)
②ヨハネの回答は、先に行くほど言葉数が少なくなっている。
4.第4の問い(22~24節)
「そこで、彼らは言った。『あなたはだれですか。私たちを遣わした人々に返事をし
たいのですが、あなたは自分を何だと言われるのですか』。彼は言った。『私は、預
言者イザヤが言ったように「主の道をまっすぐにせよ」と荒野で叫んでいる者の声で
す』。彼らは、パリサイ人の中から遣わされたのであった」
(1)彼らは、サンヘドリンに回答を持って帰る必要があった。
①「祭司とレビ人」(19節)とは、サドカイ人のことである。
②ヨハネの福音書には、サドカイ人という呼称は出てこない。
*神殿崩壊以降に書かれている。
③代表団の中には、パリサイ人も含まれていた。
④サンヘドリンが派遣したことは、パリサイ人が派遣したのと同じこと。
⑤「あなたは自分を何だと言われるのですか」
(2)ヨハネの回答
①ヨハネは自分自身を、「荒野で叫んでいる者の声」と紹介した。
*イザヤ書40:3の引用。
*ヨハネは「声」であり、イエスは「ことば」である。
*ヨハネは、メシアの先駆者としての自分の使命をよく理解していた。
(例話)第3回聖書フォーラムキャンプ 「I am not the Missiah.」
5.第5の問い(25~28節)
「彼らはまた尋ねて言った。『キリストでもなく、エリヤでもなく、またあの預言者
でもないなら、なぜ、あなたはバプテスマを授けているのですか』。ヨハネは答えて
言った。『私は水でバプテスマを授けているが、あなたがたの中に、あなたがたの知
らない方が立っておられます。その方は私のあとから来られる方で、私はその方のく
つのひもを解く値うちもありません』。この事があったのは、ヨルダンの向こう岸の
ベタニヤであって、ヨハネはそこでバプテスマを授けていた」
(1)無資格の身でありながら、なぜバプテスマを授けているのか。
(2)ヨハネの回答
①水でバプテスマを授けているのは、メシアが現われるための準備である。
②メシアは確かにおられるが、まだ知られていない。
③メシアと比較すると、自分は奴隷以下の存在だ。
(3)「ヨルダンの向こう岸のベタニヤ」
①ユダのベタニヤとは異なる場所である。
②エリコの東側
③現在では、イスラエルからもヨルダンからも、この場所に行ける。
Ⅱ.メシアの登場(29~34節)
1.その時が来た(29~31節)
「その翌日、ヨハネは自分のほうにイエスが来られるのを見て言った。『見よ、世の罪を
取り除く神の小羊。私が「私のあとから来る人がある。その方は私にまさる方である。私
より先におられたからだ』と言ったのは、この方のことです。私もこの方を知りませんで
した。しかし、この方がイスラエルに明らかにされるために、私は来て、水でバプテスマ
を授けているのです」
(1)テンポの速い展開
①29節 「その翌日」
*サンヘドリンによる審問の翌日が、父なる神がメシアを示す日となった。
②35節 「その翌日」
③43節 「その翌日」
④2章1節 「それから三日目に」
⑤およそ1週間後にカナの婚礼となる。
(2)「見よ、世の罪を取り除く神の小羊」
①紀元1世紀のユダヤ人たちは、「小羊」について2つの概念を持っていた。
*過ぎ越しの小羊という概念。出エジプト12章から出てくる概念。
*メシア的小羊という概念。イザヤ53章から出てくる概念。
②ヨハネは両方の意味で、イエスを「神の小羊」と呼んでいる。
(3)「私のあとから来る人がある。その方は私にまさる方である。私より先におられ
たからだ」
①イエスは人間としては、ヨハネよりも6か月後に誕生した。
②しかし、神の子としては、宇宙が創造される前から存在しておられた。
③イエスは人間性と神性の両方をお持ちになられた。
④ヨハネの奉仕は、すべてその方のためである。
2.共観福音書の記録のまとめ(32~34節)
「またヨハネは証言して言った。『御霊が鳩のように天から下って、この方の上にとどま
られるのを私は見ました。私もこの方を知りませんでした。しかし、水でバプテスマを授
けさせるために私を遣わされた方が、私に言われました。「御霊がある方の上に下って、
その上にとどまられるのがあなたに見えたなら、その方こそ、聖霊によってバプテスマを
授ける方である」。私はそれを見たのです。それで、この方が神の子であると証言してい
るのです』」
(1)ヨハネの福音書には、イエスの洗礼の場面はない。
①ヨハネは、イエスがヨハネから洗礼を受けたことを前提に書いている。
(2)ヨハネの目撃情報
①イエスの上に御霊が鳩のように天から下るのを見た。
②「それで、この方が神の子であると証言しているのです」(34節)
結論:
1.ユダヤ人たち(19節)
(1)エルサレムから使者を遣わしたのは、「ユダヤ人たち」である。
(2)新約聖書は反ユダヤ的書であるか。
①ギリシア語で「ユーダイオイ」、ヘブル語で「イェフディム」
②これを「ユダヤ人たち」と訳すと、無意識の内にユダヤ人はメシアに敵対した
というメッセージを伝えることになる。
③この言葉は、文脈によって注意深く解釈する必要がある。
(3)3つの解釈が可能である。
①ユダ族の人たち
②ユダヤ民族(ユダヤ教徒たち)
③ユダヤ地方に住む人たち(出身者たち)
*ヨハネは③の意味で使っている。
*エルサレムに住む宗教的指導者たちのことである。
2.パリサイ人(24節)
(1)バビロン捕囚期以降のユダヤ教
①捕囚により神殿が破壊され、祭司階級は職場を失った。
②70年間(捕囚)で、律法を学ぶことが民族統一の鍵であるとの認識が生まれた。
③捕囚から帰還して以降の重要人物は、エズラである。
*彼は祭司であった。
*と同時に、律法学者(書記)でもあった。
④第二神殿の建設後、祭司階級の職業が復活した。サドカイ人の源流。
⑤エズラの教えに触発される人々が現れた。パリサイ人の源流。
*パリサイ派は、いわば平信徒の運動として発展した。
*イエスの時代、パリサイ人は約6,000人いた。
⑥サンヘドリンを構成していたのは、サドカイ人とパリサイ人である。
(2)メシア待望の高まり
①1世紀の最初の30年くらい
②ローマからの解放を達成する政治的メシア像
③超自然的登場
④あるいは、ダビデの家系から登場する王
(3)バプテスマのヨハネは異端児である。
①エルサレムの神殿とは無関係の所で、育った。
②正式なラビ教育を受けていない。
③無資格で働きを展開している。
*神殿やシナゴーグに通うユダヤ人を自分のところに集めている。
*いわば、羊泥棒である。
④既成勢力から見ると、反発を覚える人物であるが、認めないわけにはいかない。
⑤審問を開始した時点では、サンヘドリンの立場は中立である。
⑥ヨハネは、日本の歴史で言えば、信長のような人物である。
*信長のような人物が登場する背景に、鉄器による農業生産の高まりがある。
*国力が飛躍的に増し、商品流通経済が発展する。
*そして、鉄砲が、戦争の形態を一変させた。
⑦日本の霊的壁を打ち破る可能性はあるか。
*万人祭司という概念の再確認
*ヘブル的解釈
*字義通りの解釈
3.神の小羊(29節)
(1)イエスの自己認識
①神の子
②神のしもべ
(2)バプテスマのヨハネのメシア認識
①「神の子」(34節)
②「世の罪を取り除く神の小羊」(29節)
(3)使徒たちのメシア認識
①1コリ5:7
「新しい粉のかたまりのままでいるために、古いパン種を取り除きなさい。あな
たがたはパン種のないものだからです。私たちの過越の小羊キリストが、すでに
ほふられたからです」
②1ペテ1:18~19
「ご承知のように、あなたがたが父祖伝来のむなしい生き方から贖い出されたの
は、銀や金のような朽ちる物にはよらず、傷もなく汚れもない小羊のようなキリ
ストの、尊い血によったのです」
(4)アンケートにあった質問
①サタンは、訴える者である。
②根拠なく、訴える者である。
(例話)キャンプでの5人の受洗者の証し(福音の3要素)
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