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ルカの福音書(9)羊飼いたちへの告知2:8~20
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羊飼いたちへの告知について学ぶ。
ルカの福音書 09回
羊飼いたちへの告知
ルカ2:8~20
1.はじめに
(1)文脈としては、ヨハネとイエスの対比が続いている。
①誕生の告知
②実際の誕生物語
③人々の喜び
(2)この対比は、ヨハネよりもイエスのほうが偉大であることを示している。
(3)ルカは、イエスの誕生物語を詳細に記している。
①ルカの福音書2章の資料は、ルカだけが取り上げているユニークな情報である。
②ヨハネの誕生物語では、命名の経緯に強調点がある。
③イエスの誕生物語では、誕生の状況に強調点がある。
*皇帝アウグストゥスが人口調査の勅令を出した。
*ヨセフとマリアは、ベツレヘムに帰って行った。
*ベツレヘム滞在中に、マリアは赤子を産んだ。
*イエスの生涯の始まりは、みすぼらしいものであった。
(4)ここは「人々の喜び」の箇所であるが、主役は予想外の人たちである。
(5)ルカは、重要な神学的意味を盛り込んでいる。
①天使のことばの中に深い意味がある。
②主役が羊飼いたちであることの中に深い意味がある。
2.アウトライン
(1)羊飼いたちへの告知(8~12節)
(2)天使たちの賛美(13~14節)
(3)最初の幼子礼拝(15~20節)
3.結論
(1)天使のことばの神学的意味
(2)羊飼いたちの存在の神学的意味
羊飼いたちへの告知について学ぶ。
Ⅰ.羊飼いたちへの告知(8~12節)
1.8節
Luk 2:8
さて、その地方で、羊飼いたちが野宿をしながら、羊の群れの夜番をしていた。
(1)「その地方」とは、ベツレヘム近郊のことである。
①町は丘陵地にあり、その周辺に放牧地帯が広がっていた。
(2)羊飼いたちは、野宿をしながら羊の群れの夜番をしていた。
①複数形なので、順番を決めて夜番をしていたのであろう。
②ダビデもまた、町の郊外で羊飼いをしていた(1サム17:34~35)。
1Sa 17:34 ダビデはサウルに言った。「しもべは、父のために羊の群れを飼ってきました。獅子や熊が来て、群れの羊を取って行くと、
1Sa 17:35
しもべはその後を追って出て、それを打ち殺し、その口から羊を救い出します。それがしもべに襲いかかるようなときは、そのひげをつかみ、それを打って殺してしまいます。
③野宿しているので、さほど寒くない気候だったことが分かる。
④しかし、幼子誕生の日が12月でないと断言はできない。
(3)ベツレヘムはエルサレムに近かった。
①ベツレヘム近郊の羊飼いたちは、神殿で献げる小羊を飼っていた。
②これらの羊飼いたちは、過越の祭りで献げる小羊を飼っていたとの主張がある。
③これは、断言できることではなく、あくまでも推測である。
2.9節
Luk 2:9
すると、主の使いが彼らのところに来て、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
(1)これまでの2つの告知には、似たパターンがあった。
①ザカリヤへの告知(1:13~20)
*天使ガブリエルがザカリヤに現れた。
*ザカリヤは、取り乱し、恐怖に襲われた。
②マリアへの告知(1:28~37)
*天使ガブリエルがマリアに現れた。
*マリアは、ひどく戸惑って、なんのあいさつかと考え込んだ。
(2)羊飼いたちへの告知にも、同じパターンが見られる。
①ひとりの天使の天使が彼らのそばに立った。
*天使の名は出ていないが、ガブリエルかもしれない。
*主の栄光(シャカイナグローリー)が周りを照らした。
*これは、メシア誕生に伴うシャカイナグローリーである。
*預言者エゼキエルの時代に、シャカイナグローリーは神殿から去った。
*ヘロデが拡張した神殿には、シャカイナグローリーはなかった。
*約500年ぶりにシャカイナグローリーがイスラエルの民の間に宿った。
*これは、メシアの到来を告げるシャカイナグローリーである。
②羊飼いたちは、非常に恐れた。
*直訳は、「大いなる恐れを恐れた」となる。
*文語訳は、「甚(いた)く懼(おそ)る」となっている。
*シャカイナグローリーに包まれたのであるから、恐れるのは当然である。
*神が歴史に介入されるとき、人は大いに恐れる(旧約聖書のパターン)。
(3)似たようなことがペテロの生涯にも起こった(使12:7)。
Act 12:7
すると見よ。主の使いがそばに立ち、牢の中を光が照らした。御使いはペテロの脇腹を突いて彼を起こし、「急いで立ち上がりなさい」と言った。すると、鎖が彼の手から外れ落ちた。
3.10節
Luk 2:10
御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。見なさい。私は、この民全体に与えられる、大きな喜びを告げ知らせます。
(1)これは、励ましのことばである。
①「恐れることはありません」。ザカリヤとマリアも、同じことばを聞いた。
②恐れる必要がないという理由は、天使がもたらしたのは喜びの知らせだから。
③「この民全体」とはイスラエル人のことである。
*「民」とはギリシア語でラオスである。
*イエスは、第一義的にはユダヤ人のメシアとして来られた。
*ルカは、全人類の救いという構想を持っていた。
*使徒の働きに入ると、その構想が明らかになる。
4.11節
Luk 2:11
今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。
(1)天使は、メシアが誕生した日に、喜びの知らせをもたらした。
①この日は、メシアによる救いの始まりの日である。
②救い主は、「ダビデの町」で生まれた。
*「ダビデの町」とは、ベツレヘムである。
*「ダビデの町」という名称は、ダビデ契約が成就したことを示している。
(2)今日ということばは、ルカの福音書では重要な意味を持っている。
①4:21 ナザレの会堂にて
「今日、この聖書のことばが実現しました」
②5:26 中風の人の癒しについて
「私たちは今日、驚くべきことを見た」
③19:5 エリコにて
「わたしは今日、あなたの家に泊まることにしているから」
④19:9 ザアカイの家にて
「今日、救いがこの家に来ました」
⑤22:61 イエスを否んだペテロに対して
「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言います」
⑥23:43 十字架上にて
「あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます」
(3)天使は、幼子に関して3つのタイトルを使用した。
①救い主
②キリスト
③主
5.12節
Luk 2:12
あなたがたは、布にくるまって飼葉桶に寝ているみどりごを見つけます。それが、あなたがたのためのしるしです。」
(1)幼子を見つけるための「しるし」が与えられた。
①「しるし」となるためには、極めて稀なものでなければならない。
*布にくるまっている。
*飼葉桶に寝ている。
②羊飼いたちは、周辺にある洞窟をよく知っていた。
Ⅱ.天使たちの賛美(13~14節)
1.13節
Luk 2:13
すると突然、その御使いと一緒におびただしい数の天の軍勢が現れて、神を賛美した。
(1)おびただしい数の天の軍勢が現れた。
①「軍勢」(スツラティア)は、軍事用語である。
②無数の天使たちが、神を賛美し、平和を宣言した。
③賛美は、被造物にとって自然な行為である。
④天使たちもまた、被造物である。
2.14節
Luk 2:14
「いと高き所で、栄光が神にあるように。/地の上で、平和が/みこころにかなう人々にあるように。」
(1)これはヘブル的対句法である。
①いと高き所で - 地の上で
*いと高き所とは、第3の天(神の臨在の場)である。
②栄光が - 平和が
③神にあるように - 御心にかなう人々にあるように
*御心にかなう人々とは、神に信頼を置く人々である。
Ⅲ.最初の幼子礼拝(15~20節)
1.15節
Luk 2:15
御使いたちが彼らから離れて天に帰ったとき、羊飼いたちは話し合った。「さあ、ベツレヘムまで行って、主が私たちに知らせてくださったこの出来事を見届けて来よう。」
(1)羊飼いたちの応答
①彼らは、天使の御告げを神のことばだと理解した。
②また、ダビデの町をベツレヘムだと理解した。
③彼らは、ただちに行動を起こした。
④これは、マリアがエリサベツを訪問したのと同じ姿勢である。
⑤エルサレムにいた宗教的指導者たちとは対照的である(マタ2:5)。
Mat 2:5 彼らは王に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者によってこう書かれています。
2.16~17節
Luk 2:16
そして急いで行って、マリアとヨセフと、飼葉桶に寝ているみどりごを捜し当てた。
Luk 2:17
それを目にして羊飼いたちは、この幼子について自分たちに告げられたことを知らせた。
(1)「捜し当てた」というのは、発見のする前に捜す行為があったということである。
①彼らは、「しるし」を知っていたので、発見することができた。
(2)羊飼いたちは、マリアとヨセフ以外の人々にも、自分たちに告げられたことを伝えた。
①彼らは、メシア到来の知らせを伝える最初の人となった。
3.18~20節
Luk 2:18
聞いた人たちはみな、羊飼いたちが話したことに驚いた。
Luk 2:19
しかしマリアは、これらのことをすべて心に納めて、思いを巡らしていた。
Luk 2:20
羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて御使いの話のとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。
(1)羊飼いたちの話を聞いた人たちはみな、驚いた。
①天使が現れ、シャカイナグローリーが輝いた。
②救い主として誕生した幼子を見つけるためのしるしが与えられた。
③来てみると、天使の話のとおりであった。
(2)マリアは、より深い理解を持っていた。
①「思い巡らす」とは、いくつかの出来事を比較し、その重要性を推し量ること。
②彼女はこれを継続して行っていた。
③メシアの母の大いなる期待と不安がここに見られる。
(3)羊飼いたちは、天に帰った天使たちの賛美を引き継いで神を賛美した。
①彼らは、羊の群れのところに帰って行った。
②羊の番をすることも礼拝である。
結論
1.天使のことばの神学的意味
Luk 2:11
今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。
(1)救い主(ソテイア)
①ローマ帝国では、皇帝を「救い主」と呼ぶようになっていた。
②クリスチャンがその称号をキリストに適用した。
③自分は罪人だという認識があって初めて、この方は「救い主」となる。
(2)キリスト(クリストス)
①「油注がれた者」という称号である。
②ヘブル語では「メシア」である。
③この称号は、信者にとって最も重要なものとなる。
④救い主は、イエス・キリストと呼ばれるようになる。
⑤信者は、クリスチャンと呼ばれるようになる(使11:26)。
⑥私たちは、キリストにあって救いを得ている。
(3)主(キュリオス)
①旧約聖書のヤハウェである。
②羊飼いたちは、この称号の意味を十分に理解はしていなかった。
③マリアもまた同様である。
*時として彼女の信仰は、揺らいだ(ルカ8:19。母と兄弟たち)。
*マリアの理解がはっきりするのは、復活後である。
④ピリ3:20
Php 3:20
しかし、私たちの国籍は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主として来られるのを、私たちは待ち望んでいます。
*救い主であるイエスは、メシアでありヤハウェである。
*この方によって、私たちの国籍は天に登録されている。
2
.羊飼いたちの存在の神学的意味
(1)メシア誕生の知らせは、まず羊飼いたちにもたらされた。
①羊飼いの実態(童話的なイメージではない)
②律法に無知、儀式的に汚れている、嘘つき、盗人
③取税人や遊女と同じように、社会的のけ者である。
(2)ここには、逆転の真理がある。
①マリア自身が体験したこと
②マリアの賛歌に歌われていた(1:51~55)。
(3)イエス自身が、貧しい者たちとひとつになってくださった。
①主イエスは、貧しくても忠実に働いている人たちのところに来てくださる。
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