申命記(44)諸々の規定(12)22:13~30

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諸々の規定の中の(12)「結婚を汚す罪」について学ぶ。

申命記 44回

「諸々の規定(12)」

申22:13~30 (朗読:22:13~21)

1.はじめに

    (1)第2の説教:契約に基づく義務

      ③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)

    (2)「律法の解説と日常生活への適用」は、律法の各論的解説とその適用である。

      ①この箇所を12項目に分割して説明している。

      ②第11の項目:諸々の規定(21:1~25:19)

      ③諸々の規定の中には34の細かい項目がある。

      ④今回は(12)を取り上げる。

        *これらの規定が与えられている理由を考えると、霊的に成長する。

  
2.メッセージのアウトライン

    

(12)結婚関係(22:13~30)

      ①結婚してから処女性を疑われた女(13~19節)

      ②処女でなかったことが明らかになった女(20~21節)

      ③既婚の女との姦淫(22節)

      ④婚約中の女と町で寝た男(23~24節)

      ⑤婚約中の女と野で寝た男(25~27節)

      ⑥処女と寝た男(28~29節)

      ⑦父の妻との結婚(30節)

  
3.結論

    (1)神の目から見た結婚関係

    (2)現代のフェミニズム

諸々の規定の中の(12)「結婚を汚す罪」について学ぶ。

Ⅰ.結婚してから処女性を疑われた女(13~19節)

  1.13~14節

Deu 22:13 人が妻を迎えて彼女のところに入ったが、彼女を嫌い、

Deu 22:14 口実を設けて、「私はこの女を妻として近づいたが、処女のしるしを見なかった」と言って汚名を着せる場合、

    (1)この規定は、結婚前の純潔の重要性を教えるために与えられたものである。

      ①結婚前の純潔が重要である理由

        *生まれて来る子どもが夫の実子であることを保証するため。

        *実子が持つ相続権が守られる。

        *家庭の安定性は、処女性を証明する「しるし」によって担保される。

      ②さらに、両親には自分の子どもに純潔の重要性を教える責務がある。

    (2)この規定は、悪用される可能性がある。

      ①結婚後、妻の処女性を疑ったり、否定したりする男が出る可能性がある。

      ②「虚偽の非難をして、彼女の悪口を流し、」(新共同訳)

      ③妻に汚名を着せようとする理由は何か。

*なんらかの理由で、妻が嫌いになった。

*父親に支払った花嫁料を取り戻したい。

      ④娘の父と母には、娘を守るための道が用意された。

  2.15~17節

Deu 22:15 その娘の父と母はその娘の処女のしるしを取り、門のところにいる町の長老たちのもとにそれを持って行きなさい。

Deu 22:16 その娘の父は長老たちに、「私は娘をこの男に妻として与えましたが、彼は娘を嫌いました。

Deu 22:17
ご覧ください。彼は口実を設けて、『あなたの娘には処女のしるしを見なかった』と言いました。しかし、これが私の娘の処女のしるしです」と言って、町の長老たちの前にその衣を広げなさい。

    (1)娘の両親は、町の門のところにいる町の長老たちのもとに行く。

      ①その娘の父は、長老たちに訴えかける。

        *「娘をこの男に妻として与えたが、彼は娘を嫌った」

        *「彼は口実を設けて、『処女のしるし』を見なかったと言う」

        *「しかし、自分は娘の処女のしるしを持って来た」

      ②そして、町の長老たちの前に布を広げる。

        *しるしとは、血の付いた布である。

        *花嫁が初夜に着ていた衣か初夜に使用したシーツ

*あるいは、結婚直前に月経があったことを証明する布

*今もベドウィンやイスラム教徒の中には、しるしを保存する者がいる。

  3.18~19節

Deu 22:18 その町の長老たちはこの男を捕らえて懲らしめ、

Deu 22:19
銀百シェケルの罰金を科し、その娘の父に与えなければならない。彼がイスラエルの一人の処女に汚名を着せたからである。彼女はその男の妻としてとどまり、その男は一生、彼女を離縁することはできない。

    (1)しるしを確認した長老たちの責務

      ①この男を捕らえて懲らしめる(39回のむち打ちの刑であろう)。

      ②銀100シェケルの罰金を科し、その娘の父に与える。

        *父親も名誉が傷を付けられたからである。

      ③100シェケルは、通常の花嫁料の2倍に相当する。

        *申22:29は、50シェケルの花嫁料を命じている。

        *これは、一般労働者の10年分の賃金に相当する。

      ④この罰金は、一人の処女に汚名を着せたことに対する罰である。

      ⑤厳しい罰則は、根拠のない訴えを抑制する効果を発揮したと思われる。

    (2)この結婚関係は継続される。

      ①その男は一生、彼女を離縁することができない。

      ②彼女とその子どもたちの生活は、一生の間保障される。

Ⅱ.処女でなかったことが明らかになった女(20~21節)

  1
.20~21節

Deu 22:20 しかし、もしこのことが真実であり、その娘に処女のしるしが見つからないなら、

Deu 22:21
その娘を父の家の入り口のところに連れ出し、町の人々は彼女に石を投げ、彼女を殺さなければならない。彼女が父の家で淫行をして、イスラエルの中で恥辱となることをしたからである。 あなたがたの中からその悪い者を除き去りなさい。

(1)処女のしるしが見つからない場合は、男の言うことが真実だと認定される。

      ①町の長老たちは、その娘を父の家の入り口のところに連れ出す。

      ②町の人々は彼女に石を投げて、彼女を殺す。

      ③その理由は、彼女が父の家で淫行を行ったからである。

      ④彼女は、イスラエルの中で恥辱となることをした。

      ⑤彼女を殺すことは、「あなたがたの中から悪い者を除き去る」ことである。

Ⅲ.既婚の女との姦淫(22節)

  
1.22節

Deu 22:22
夫のある女と寝ている男が見つかった場合は、その女と寝ていた男もその女も、二人とも死ななければならない。こうして、あなたはイスラエルの中からその悪い者を除き去りなさい。

(1)夫のある女との姦淫の罪

      ①男も女も、ふたりとも死ななければならない。

      ②契約の民の中には、姦淫の罪を犯す者が居る場所はない。

    (2)死刑の方法

      ①ハムラビ法典は、姦淫をした男女を縛り、水の中に投げ込めと命じる。

        *この規定が実行されたという記録はない。

      ②イエス時代のユダヤ教は、死刑の方法は石打の刑であると理解していた。

        *後代になると、これを絞首刑と理解する伝統が形成された。

        *実際にこの規定がどの程度実行されたかは、明らかではない。

Ⅳ.婚約中の女と町で寝た男(23~24節)

1.23~24節

Deu 22:23 ある男と婚約中の処女の娘がいて、ほかの男が町で彼女を見かけて一緒に寝た場合、

Deu 22:24
あなたがたはその二人をその町の門のところに連れ出し、石を投げて殺さなければならない。その女は町の中にいながら叫ばなかったからであり、その男は隣人の妻を辱めたからである。こうして、あなたがたの中からその悪い者を除き去りなさい。

    (1)婚約中の処女の娘は、法的には結婚した妻とみなされる。

      ①ほかの男が彼女を見かけて一緒に寝た。

②上記Ⅲのケース(既婚の女との姦淫)と同じである。

③これは、死罪に値する深刻な罪である。

(2)町の中での性的関係は、強姦ではなく姦淫と見なされる。

      ①「町で彼女を見かけて」とある。

      ②彼女は、大声を上げて助けを求めることができたはずである。

      ③町の中にいながら叫ばなかったのは、同意したという証拠になる。

      ④姦淫の罪を犯した2人は、死刑になる。

        *町の門のところに連れ出される。

        *石を投げて殺される。

        *この場合も、実際にどの程度実行されたかは不明である。

Ⅴ.婚約中の女と野で寝た男(25~27節)

  1.25~27節

Deu 22:25 もしある男が野で婚約中の娘を見かけ、彼女を捕まえて一緒に寝たなら、彼女と寝たその男だけが死ななければならない。

Deu 22:26
その娘には何もしてはならない。その娘には死刑に当たる罪過はない。この場合は、ある人が隣人に襲いかかり、いのちを奪ったのと同じである。

Deu 22:27 この男は野で彼女を見かけたのであり、婚約中の娘は叫んだが、救う者がいなかったのであるから。

(1)上記Ⅳ(町中での男女関係)と似ているが、これは姦淫ではなく強姦である。

      ①「ある男が野で婚約中の娘を見かけ」とある。

      ②彼女は被害者と見なされる。

      ③彼女には死刑に当たる罪過はない。

      ④ある人が隣人に襲いかかり、いのちを奪うのと同じである。

      ⑤彼女は叫んだが、救う者がいなかったのである。

      ⑥死刑になるのは、その男だけである。

Ⅵ.処女と寝た男(28~29節)

  1.28~29節

Deu 22:28 ある男が、まだ婚約していない処女の娘を見かけ、彼女を捕らえて一緒に寝ているのを見つけられた場合、

Deu 22:29
娘と寝た男は娘の父に銀五十シェケルを渡さなければならない。彼女はこの男の妻となる。彼女を辱めたのであるから、彼は一生この女を離縁することはできない。

(1)ある男が未婚の処女の娘を強姦した場合

  
    ①男は、娘の父に花嫁料として銀50シェケルを渡す。

      ②彼女はこの男の妻となる。

      ③彼には、生涯にわたってこの女を離縁する権利がない。

Ⅶ.父の妻との結婚(30節)

  
1.30節

Deu 22:30 だれも、父の妻を妻にして自分の父の恥をさらしてはならない。

(1)父が死んだ後で、父の妻と結婚する場合

①このケースは、近親相姦と見なされる。

②モーセの律法は、近親相姦を禁じている。

③レビ18:8

Lev 18:8 あなたの父の妻の裸をあらわにしてはならない。それは、あなたの父の裸をあらわにすることである。

結論

  1.神の目から見た結婚関係

    (1)結婚関係に関する律法が与えられている目的は、健全な家庭の維持である。

    (2)神は、健全な家庭を土台として人類の生活を祝福しようとしておられる。

    (3)ユダヤ人は、家族関係を非常に大切にしている。

    (4)悪魔は、あらゆる方法を用いて家族関係を破壊しようとしている。

    (5)今回学んだ7つのケースは、すべて家族関係を破壊する罪である。

  2.現代のフェミニズム

    (1)代表的なフェミニスト

      ①上野千鶴子(社会学者、東京大学名誉教授)

        *結婚制度の崩壊は、女性解放の必須条件である。

        *自分のことは自分が選択する。

      ②『非婚ですが、それが何か!?結婚リスク時代を生きる』

(ビジネス社2015年)

③水無田気流(みなした・きりう)共著(詩人、社会学者)

      ④この本が韓国語に翻訳され、ベストセラーになった(2017年)。

    (2)韓国人作家・コラムニスト オセラビ

      ①「韓国の若者に広がる『非婚主義』と『4N宣言』の行き着く先」

      (JBpress 2021/6/14)

      ②韓国の婚姻率は毎年、歴代最低記録を塗り替えている。

        *2020年の婚姻件数は、21万4000件(10.7%減少)。

        *20万件を下回るのは、時間の問題。

      ③出生率も歴代最低を記録した。

        *2020年の出生児数は、27万5815人(5年前と比べて37%減少)

        *今年か来年過ぎに20万人を下回る計算になる。

      ④フェミニズムに接した女子生徒たちは、非婚主義こそが「家父長制の命脈

を絶つ」切り札だと主張する。

    (3)時流を追うマスメディア

      ①新聞、雑誌、テレビは、非婚主義を礼賛する。

      ②今、家族制度が崩壊の危機に直面している。

      ③今、聖書的価値観に立つのか、時流を追うのか、二者択一を迫られている。

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