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申命記(35)【主】によって立てられた権威(1)16:18~17:13
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【主】が立てた権威(1)について学ぶ。
申命記 35回
「【主】によって立てられた権威(1)」
申16:18~17:13 (朗読箇所16:18~17:7)
1.はじめに
(1)第2の説教:契約に基づく義務
①総論:臣下の義務(4:44~5:33)
②全的従順の呼びかけ 6~11章)
③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)
④【主】に対する誓約(26:16~19)
(2)「律法の解説と日常生活への適用」は、律法の各論的解説とその適用である。
①この箇所を12項目に分割して説明している。
(3)第8の項目:【主】によって立てられた権威(16:18~18:22)
*神政政治の国を統治するための機関が、神によって立てられる。
①さばき人(16:18~17:13)
②王(17:14~20)
③祭司とレビ人(18:1~8)
④預言者(18:9~22)
2.メッセージのアウトライン
(1) さばき人の任命(16:18~20)
(2)正しい礼拝の維持(16:21~17:7)
(3)訴訟における正しい判決(17:8~13)
3.結論
(1)指導者の責務
(2)指導者に従う者の責務
【主】が立てた権威(1)について学ぶ。
Ⅰ.さばき人の任命(16:18~20)
1.18節
Deu 16:18
あなたの神、【主】があなたに与えようとしておられる、あなたのすべての町囲みの中に、あなたの部族ごとに、さばき人たちと、つかさたちを任命しなければならない。彼らは公正に民をさばかなければならない。
(1)モーセは、荒野においてすでにさばき人を任命していた(申1:15~18)。
①モーセの重荷を減らすために、権限委譲と役割分担が行われた。
②任命されたさばき人たちは、各部族の長老たちだと思われる。
(2)この箇所は、カナンの地に定住して以降のさばき人の任命を取り上げている。
①さばき人は、町ごとに任命される。
②さばき人の人数は、町の人口に左右される。
③つかさとは役人のことで、さばき人の援助者である(書記か警察官)。
④さばき人は、公正に民をさばかなければならない。
⑤判決は、モーセの律法が啓示する神の義と調和していなければならない。
⑥裁判を行う場所は、町の門である。
2.19~20節
Deu 16:19
あなたはさばきを曲げてはならない。人を偏って見てはならない。賄賂を取ってはならない。賄賂は知恵のある人を盲目にし、正しい人の言い分をゆがめるからである。
Deu 16:20
正義を、ただ正義を追い求めなければならない。そうすれば、あなたは生き、あなたの神、【主】が与えようとしておられる地を自分の所有とすることができる。
(1)さばき人への勧告
①さばきを曲げてはならない。
*モーセの律法に反するさばきをしてはならない。
②人を偏って見てはならない。
*身分や家柄などを考慮してはならない。
③賄賂を取ってはならない。
*賄賂は、正しい判断を妨げるものである。
(2)さばき人は、「正義を、ただ正義を追い求めなければならない」。
①約束の地での祝された生活の鍵は、【主】の正義を追求することである。
②律法が示す正義の追求は、イスラエル民族固有の特徴である。
③正しい礼拝を維持することも、さばき人の責務である。
Ⅱ.正しい礼拝の維持(16:21~17:7)
1.21~22節
Deu 16:21 あなたが築く、あなたの神、【主】の祭壇のそばに、どのような木でできたアシェラ像も立ててはならない。
Deu 16:22 あなたは、あなたの神、【主】が憎まれる石の柱を立ててはならない。
(1)さばき人の最も重要な使命は、正しい礼拝の維持である。
①混合宗教を産み出す可能性のあるものは、完全に排除する。
②ヤハウェ信仰の崩壊は、混合宗教を受け入れるところから始まる。
(2)祭壇のそばに立てられる木の像と石の柱を徹底的に排除する。
①木でできたアシェラ像を祭壇のそばに立ててはならない。
*アシェラ像は、豊穣の女神アシェラの象徴である。
*アシェラは、バアルの妻である。
②石の柱を祭壇のそばに立ててはならない。
*石の柱は、豊穣の神バアルの象徴である。
*【主】は、石の柱を憎まれる。
(3)申12:3の命令を実行するのが、さばき人である。
Deu 12:3 彼らの祭壇を打ち壊し、石の柱を打ち砕き、アシェラ像を火で焼き、神々の彫像を切り倒して、それらの名をその場所から消し去りなさい。
2.(17章)1節
Deu 17:1
悪性の欠陥のある牛や羊は、いかなるものでも、あなたの神、【主】にいけにえとして屠ってはならない。それは、あなたの神、【主】が忌み嫌われるものだからである。
(1)欠陥のあるいけにえを排除することは、さばき人の使命である。
①アシェラ像や石の柱は、神聖な礼拝を汚すものである。
②それと同じように、欠陥のある牛や羊は、神聖な礼拝を破壊するものである。
③欠陥のあるものを献げるのは、祝福の源である【主】を否定する行為である。
④その人は、神と罪人の間にある溝の深さを認識できていないのである。
⑤【主】が求めておられるのは、礼拝者の真実な心である。
⑥真実な心は、欠陥のないいけにえを献げることによって表現される。
3.2~4節a
Deu 17:2
あなたの神、【主】があなたに与えようとしておられる町囲みのどの一つでも、その中で男であれ女であれ、あなたの神、【主】の目に悪であることを行い、主の契約を破り、
Deu 17:3 行ってほかの神々に仕え、また、太陽や月や天の万象など、私が命じなかったものを拝む者があり、
Deu 17:4a それがあなたに告げられて、あなたが聞いたなら、あなたはよく調査しなさい。
(1)偽りの礼拝者をさばくことも、さばき人の使命である。
①【主】の目に悪であることを行う。
②【主】の契約を破る。
③行ってほかの神々に仕える。
④太陽や月や天の万象などを拝む。
(2)これらの誤った礼拝は、国の存続基盤を破壊するものである。
①それゆえ、偽の礼拝者がいると聞いたなら、慎重に調査する必要がある。
4.4b~5節
Deu 17:4b もしそのことが事実で確かであり、この忌み嫌うべきことがイスラエルのうちで行われたのなら、
Deu 17:5
あなたは、この悪しきことを行った男または女を町の広場に連れ出し、男でも女でも彼らを石で打ちなさい。彼らは死ななければならない。
(1)偽りの礼拝者は、死刑に処される。
①男でも女でも、町の広場に連れ出して、石打の刑に処す。
3.6~7節
Deu 17:6 二人の証人または三人の証人の証言によって、死刑に処さなければならない。一人の証言で死刑に処してはならない。
Deu 17:7
死刑に処するには、まず証人たちが手を下し、それから民全員が手を下す。こうして、あなたがたの中からその悪い者を除き去りなさい。
(1)死刑が恣意的なものとならないために、いくつかの安全策が用意されている。
①一人の証言では、死刑にならない。
*その人が嘘を言った場合、肯定も否定もできない。
②二人または三人の証人の証言が必要である。
*独立した複数の証人が必要である。
③まず証人たちが手を下す。
*証人には、死刑執行人になる覚悟が必要である。
*後で無実が判明した場合、証人たちは殺人犯として死刑になる。
④それから民全員が手を下す。
*これは、共同体として偶像を拒否し、【主】への忠誠を誓う行為である。
⑤この規定は、民に恐怖を与え、教訓を学ばせるためのものである。
Ⅲ.訴訟における正しい判決(17:8~13)
1.8~9節
Deu 17:8
もし町囲みの中で争い事が起こり、それが流血、権利、傷害に関わる事件で、あなたがさばきかねるものであれば、あなたはただちに、あなたの神、【主】が選ばれる場所に上り、
Deu 17:9
レビ人の祭司たち、あるいは、そのときに立てられているさばき人のもとに行って尋ねなさい。彼らはあなたに判決のことばを告げるであろう。
(1)この規定は、定住生活に入ってから起こり得る困難な訴訟への対応策である。
①町の中で起こる流血、権利、傷害に関わる事件で、判断が難しいものがある。
(2)さばくのが困難な場合は、さばき人は、上級審に助けを求めることができる。
①【主】が選ばれる場所に上り、そこに置かれている裁判所に訴える。
②これは、いわばイスラエルの最高裁判所である。
*最高裁は、レビ人の祭司たちとさばき人たちから成っている。
*大祭司が祭司たちの長であり、さばき人の長官がさばき人の長である。
③最高裁が下す判決は、最終的なものとなる。
2.10~11節
Deu 17:10
あなたは、【主】が選ばれるその場所で彼らが告げる判決にしたがって行い、すべて彼らがあなたに教えることを守り行いなさい。
Deu 17:11
彼らがあなたに教えるおしえにしたがって、彼らがあなたに述べるさばきにしたがって行動しなければならない。彼らが告げる判決から右にも左にも外れてはならない。
(1)民の責務
①最高裁の判決を受け入れ、それに従わなければならない。
②判決に従わないことは、最高裁を立てた【主】の権威に対する侮辱である。
3.12~13節
Deu 17:12
もし人が、あなたの神、【主】に仕えてそこに立つ祭司やさばき人に聞き従わず、不遜なふるまいをするなら、その者は死ななければならない。あなたはイスラエルのうちからその悪い者を除き去りなさい。
Deu 17:13 そうすれば、民はみな聞いて恐れ、もう不遜なふるまいをすることはないであろう。
(1)最高裁の判決に従わない者は、死刑に処せられる。
①これは、民に【主】への従順を教えるための規定である。
②民は恐れ、不遜なふるまいをすることがなくなる。
結論
1.指導者の責務
(1)ここで語られていることは、新約時代の教会に適用することができる。
①正しい礼拝を献げるための仕組み
②教会を聖く保つための仕組み
(2)指導者として立てられるのは、恐ろしいことである。
(ILL)神学校のOBが語ったメッセージ(指導者として恐れるべきこと)
(3)ヤコ3:1
Jas 3:1
私の兄弟たち、多くの人が教師になってはいけません。あなたがたが知っているように、私たち教師は、より厳しいさばきを受けます。
(4)1ペテ5:1~4
1Pe 5:1
私は、あなたがたのうちの長老たちに、同じ長老の一人として、キリストの苦難の証人、やがて現される栄光にあずかる者として勧めます。
1Pe 5:2
あなたがたのうちにいる、神の羊の群れを牧しなさい。強制されてではなく、神に従って自発的に、また卑しい利得を求めてではなく、心を込めて世話をしなさい。
1Pe 5:3 割り当てられている人たちを支配するのではなく、むしろ群れの模範となりなさい。
1Pe 5:4 そうすれば、大牧者が現れるときに、あなたがたは、しぼむことのない栄光の冠をいただくことになります。
2.指導者に従う者の責務
(1)指導者に従う者にも大きな責務がある。
①罪を犯した人に対する処分が明確に語られている。
(2)マタ18:15~20
①2人だけのところで罪を指摘する。
②ほかに1人か2人、一緒に連れて行く。
③教会に伝える。
④それでも悔い改めないなら、除名にする(部外者として扱う)。
(3)1コリ5:3~5
1Co 5:3
私は、からだは離れていても霊においてはそこにいて、実際にそこにいる者のように、そのような行いをした者をすでにさばきました。
1Co 5:4 すなわち、あなたがたと、私の霊が、私たちの主イエスの名によって、しかも私たちの主イエスの御力とともに集まり、
1Co 5:5 そのような者を、その肉が滅ぼされるようにサタンに引き渡したのです。それによって彼の霊が主の日に救われるためです。
①真に救われている者は、救いを失うことはない。
②しかし、地上での祝福を失い、天においては少しの報酬しか受けられない。
(4)1テモ5:19
1Ti 5:19 長老に対する訴えは、二人か三人の証人がいなければ、受理してはいけません。
①長老を訴える必要が生じる場合もある。
②正当な手続きを踏んで長老の過ちを正すのは、従う者の責務である。
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