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30日でわかる聖書 マタイの福音書(23)
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イエスからの律法主義への反撃を通して、3つの重要なテーマを理解する。
「マタイ23章」
イントロ:
1. 文脈を確認する。
(1) 21章以降、エルサレムでの最後の1週間に入る。
(2) 21章、22章で、イエスは4つのグループの挑戦を受けた。
(3) 神の小羊イエスは、傷もしみもないことが証明された。
2. イエスからの反撃(小羊の逆襲)
(1) パリサイ人たちへの質問(22:41~46)
(2) 群衆と弟子たちへの教え(23:1~12)
(3) パリサイ人たちへの教え(23:13~36)
(4) イエスの嘆き
3. マタイ23章で、イエスの公生涯の教えは終わる。
4. きょうの箇所は、私たちにとってどういう意味があるのか。
(1) ユダヤ教の本質を理解する。
(2) 律法主義と本物の信仰の違いを理解する。
(3) メシア再臨の条件を理解する。
イエスからの反撃を通して、3つの重要なテーマを理解する。
Ⅰ.パリサイ人たちへの質問(22:41~46)
1. メシアであるイエスがパリサイ人たちに質問。
(1)「キリスト(メシア)は、だれの子ですか」
(2)「ダビデの子です」
①旧約聖書の預言では、メシアはダビデの子孫として生まれるとなっている。
②メシアの称号として「ダビデの子」が用いられるようになっていた。
③パリサイ人たちにとっては常識。
④イエスは、「人の子」という称号を好んで用いた。
2. 次の問題は、変化球である。
(1) 詩篇110:1
「ダビデがキリストを主と呼んでいるのなら、どうして彼はダビデの子なのでしょう」
(2) この質問の要約
①メシアは「ダビデの子」と呼ばれている。
②ところが、ダビデはそのメシアのことを「私の主」と呼んでいる。
③なぜダビデは「私の子」と呼ばないで、「私の主」と言っているのか。
(3) 沈黙するパリサイ人たち
①ラビ的ユダヤ教の欠点が明らかになる。
②「ダビデの子」とは、イエスの人性を指す言葉。
③「私の主」とは、イエスの神性を指す言葉。
④ラビ的ユダヤ教は、イエスの神性を認めていない。
3. ラビ的ユダヤ教について
(1)聖書的ユダヤ教と、ラビ的ユダヤ教とは異なる。
(2)イエスが示したのは、聖書的ユダヤ教。旧約聖書の正しい理解に基づく。
(3)今のユダヤ教には、正統派、保守派、改革派とあるが、主流は正統派。
(4)紀元70年のエルサレム崩壊以降、ユダヤ教の主流はラビ的ユダヤ教である。
(5)キリスト教は、「聖書的ユダヤ教」、あるいは「普遍的ユダヤ教」である。
①キリスト教がユダヤ教と分離して発展したと考えるのは、誤りである。
②聖書をユダヤ的に読む必要があるのは、そういう理由からである。
(6)聖書的ユダヤ教(キリスト教)では、イエスが人であり神であることを認める。
Ⅱ.群衆と弟子たちへの教え(23:1~12)
はじめに:イエスのメッセージは反ユダヤ的か。
(1) イエスはイスラエルの指導者たちを糾弾した。
(2) イエスの働きは、旧約聖書の預言者たちの系譜に属する。
(3) イエスは群衆と弟子たちに、パリサイ派の4つの間違いについて教える。
1. 言行不一致の問題。
(1) 「モーセの座」とは争い事をさばく裁判官の席。
(2) コラジンの会堂跡に入ると、その右側に特別な座が設けられている。
(3) 当時、裁判官たちは判例(過去の判決)に従って人を裁いていた。
(4) 彼らには、新しく律法を作る権威は与えられていなかった。
(5) 彼らの問題点は、人をさばく位置にいながら行いが伴っていなかったこと。
2. ミシュナ的律法(口伝律法)の問題
(1) 彼らは、それを民衆に負わせる一方、自分たちのためには抜け道を用意していた。
3. 偽善の問題
(1) モーセの律法は経札や衣のふさをつけることを命じている。
(2) 経札とは聖句を書いた小さな巻物を入れる小箱。
①出エジプト13:3~16
②申命記6:5~9
③申命記11:13~21を書いた巻物。
(3) モーセの律法を実行するのはすばらしいが、目立つために行うなら偽善となる。
(4) 神の律法を実行する動機は、神への愛である。
①旧約時代は、モーセの律法
②新約時代は、キリストの律法(ガラテヤ6:2)
ヨハネ14:15「もしあなたがたがわたしを愛するなら、あなたがたはわたしの戒めを守るはずです」
4. 権威ある称号を求めるという問題
(1) 権威ある称号だけではなく、それに伴う特権を求めた。
(2) 「教師と生徒の関係」という文脈。
①ラビ(rabbi)
②先生(teacher)
③父(father):肉の父ではない。
④師(master)
(3) ラビは生徒に対して不当とも思えるほどの権威を行使した。
①生徒の職業や結婚について決定権を行使した。
②ラビは父親よりも大切。父よりも先にラビを助ける。
③イエスが禁止されたのは、ある人が別の人の上に絶対的な権威を振るうこと。
(4) 真の弟子の特徴
①仕える人
②神の祝福を信じる人
(5) 日本の習慣をどう考えるか。
①「先生」という言葉は、「ラビ」とは異なる。
②聖書は、教師や牧師の存在を認め、その人たちを敬うようにと教えている。
③指導者を敬うと同時に、権威の行使に関しては見張人となる必要がある。
Ⅲ.パリサイ人たちへの教え(23:13~36)
はじめに:7つのわざわい
(1) 第1と第7のわざわいは同じもの。
(2) 文学的手法としては、それらのわざわいが循環していくような形になっている。
1. メシアの拒否
(1) イエスのメシア性を認めず、自分も他の人も天の御国から締め出している。
(2) ユダヤ人の間では、今もこの状態が続いている。
(3) 指導者の責任は大きい。
(4) 第7のわざわいで、より詳しく語られる。
2. 誤った熱心さ
(1) 異邦人をパリサイ的ユダヤ教に改宗させるためにあちこち動き回っていた。
(2) 改宗者になった者はパリサイ人以上に律法主義に熱中するようになる。
(3) 「ゲヘナの子(パリサイ人)」が「より悪いゲヘナの子(改宗者)」を作る。
(4) 今日でも、律法主義的信仰は律法主義者しか生み出すことはできない。
3. 優先順位の逆転
(1) 神殿よりも神殿の中にある黄金のほうが尊かった。
(2) 祭壇よりも祭壇の上の供え物のほうが大切だった。
(3) 第一のものを第一にしない罪。
4. 小さいものは守り、大きいものは無視
(1) 「はっか、いのんど、クミン」。イエス時代に栽培されていた小さな種の代表。
(2) 彼らは、そんなに小さなものでも十分の一を捧げていた(これは、口伝律法)。
(3) それ自体は悪いことではない。
(4) 細かいことに神経を使いながら、それよりもはるかに重要なものは無視。
(5) はるかに重要なものとは、「正義、あわれみ、誠実」など。
5. 内側は無視して外側だけを清める
(1) 杯や皿をきよめるために細心の注意を払っていた。
(2) しかし、心の中のきよめは無視していた。
(3) イエスは、内側をきよめれば、外側は自然にきよくなると教えている。
6. 偽善
(1) パリサイ派の特徴は偽善。
(2) その状態をイエスは、「白く塗った墓」と表現された。
(3) 祭司やレビ人たちは死体や墓に触れないために、毎年墓を白く塗っていた。
(4) 白く塗った墓とは、人間が作ったルールのこと。
7. メシアの拒否
(1) 第1のわざわいと同じ。さらに詳細にその内容が説明されている。
(2) 彼らは「自分たちなら預言者たちの血を流すことはなかっただろう」と豪語。
(3) イエスはその誤りを指摘。
①彼らはイエスが遣わした使者(バプテスマのヨハネ)を迫害した。
②また、イエス自身をも信じなかった(数々のしるしと奇蹟があったのに)。
③「義人アベル」と「バラキヤの子ザカリヤ」の名が並べられている。
④ユダヤ教の聖書は、創世記から始まり歴代誌第二で終わる。
⑤アベルは創世記に、バラキヤの子ザカリヤは歴代誌第二の最後に出てくる。
⑥イエスは、聖書全体の中で殉教者となった者たちのことを語っている。
⑦イエスを拒否することは、旧約聖書の預言者たちを拒否したことと同じ。
⑧預言者たちの血の責任は、イエスを拒否した者たちの上に下る。
⑨「この時代の上に来ます」という表現に注目。紀元70年に成就した。
(4) 現代のユダヤ教正統派は旧約聖書を信じているわけではない。
(5) イエスが何度も、「目の見えぬパリサイ人たち」と語っておられるのに注目。
Ⅳ.イエスの嘆き
1. 37節はイエスの公生涯のまとめ
(1) 3年半にわたるご自身の公生涯を次のようにまとめている。
①めんどりがひなを翼の下に集めるように…。
②それなのに、あなたがたはそれを好まなかった。
③今も、ほとんどのユダヤ人たちがイエスを拒否し続けている。
④メシアニック・ジューは、めんどりの翼の下に集まるひな。
⑤今もイエスは、涙を流しておられる。
2. 38節、39節は預言
(1) 「見なさい。あなたがたの家は荒れ果てたままに残される」。紀元70年に成就。
(2) 『祝福あれ。主の御名によって来られる方に』とあなたがたが言うときまで…。
①イエスの再臨の条件がなんであるかを預言している。
②詩篇118:26は、メシアを迎える時の正式な祈りの言葉。
③ユダヤ人たちがイエスを信じるようになってから、再臨が起こる。
(3) すべての反ユダヤ主義は再臨の妨害。
①サタンはこの預言をよく知っている。
②それを阻止するためにユダヤ人たちを抹殺しようとしてきた。
③それが、反ユダヤ主義が起こる理由。十字軍、ポグロム、ホロコースト。
(4) ユダヤ人に福音を伝えることは、主イエスの再臨を来たらせるための営み。
結論
1. ユダヤ教の本質を理解する。
(1) 現代のユダヤ教はパリサイ的ユダヤ教の延長であり、聖書的ユダヤ教ではない。
(2) キリスト教は、聖書的ユダヤ教である。
2. 律法主義と本物の信仰の違いを理解する。
(1) モーセの律法からキリストの律法へ。
(2) 律法を行う原動力は、キリストに対する愛である。
(3) その愛は、聖霊から与えられる。
3. メシア再臨の条件を理解する。
(1) ユダヤ人の救いが鍵を握っている。
(2) 今も反ユダヤ主義を通してサタンが働いている。
(3) ユダヤ人の救いのために祈ることは、再臨信仰の要諦である。
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