30日でわかる聖書 マタイの福音書(22)

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4種類のグループによって吟味される、神の小羊イエス。

「マタイ22章」

イントロ:

1. 文脈を確認する。

(1) 21章以降、エルサレムでの最後の1週間に入る。

(2) 過越の祭りは出エジプトを記念する祭り。

(3) イエスは、神の小羊としてエルサレムに入城された(ヨハネ1:29)。

(4) 出エジプト12:3~7

①イエスはニサンの月の10日に選り分けられた。

②ニサンの月の14日まで吟味された。

③ニサンの月の15日に十字架に付けられた。

2. 4つのグループがイエスに挑戦する。

(1) 祭司長と民の長老たち(サンヘドリン)(21章で取り上げた)

(2) パリサイ人の弟子とヘロデ党の者たち

(3) サドカイ人たち

(4) パリサイ人たち

3. きょうの箇所は、私たちにとってどういう意味があるのか。

(1) ユダヤ的視点で聖書を読むことの重要性を教えられる。

(2) イエスが本物のメシアであるかどうか確認できる。

(3) 神学的理解が深められる。

4種類のグループによって吟味される神の小羊

Ⅰ.祭司長と民の長老たち(サンヘドリン)

1. 彼らは、イエスの権威を問うた。

2. イエスは3つのたとえ話を用いて、間接的に彼らに答えた。

(1) ふたりの息子のたとえ

(2) 悪い農夫のたとえ

3. 結婚の披露宴のたとえ

(1) 「結婚の披露宴」は、メシア的王国(天の御国)を表している。

(2) 招待しておいた客を呼ぶ「王」は、父なる神。

(3) 遣わされた「しもべたち」は、バプテスマのヨハネとその弟子たち。

(4) 次に遣わされた「別のしもべたち」は、12弟子。

(5) 彼らは、宴会の準備がすべて整ったからお出かけくださいと誘う。

(6) 招かれた者たちはその招きを無視。さらに、王のしもべたちを殺す。

①バプテスマのヨハネとイエスの殺害

(7) 怒った王は、兵隊を出して彼らを滅ぼし、その町を焼き払う。

①紀元70年にエルサレムは崩壊し、ユダヤ人たちは世界中に離散した。

(8) 結末

①通りで出会った者をみな集める。第一義的には患難時代のユダヤ人たち。

②適応において、異邦人である私たちもまたここに含まれる。

③婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた。

④王は怒って、その者を「外の暗やみ」(地獄のこと)に放り出せと命じる。

⑤当時は、主人が入り口に礼服を用意した。礼服は「義の衣」を象徴。

(例話)ある人の疑問:イエスを信じない人は地獄に行くというのは承服できない。イエスは本当に地獄の存在を教えたのか。

         ⑥パリサイ的ユダヤ教では、神の国に入れない。義の衣(礼服)が大切。

Ⅱ.パリサイ人の弟子とヘロデ党の者たち

1. 奇妙な組み合わせ

(1) パリサイ人たちは政治的には反ローマ。

(2) ヘロデ党の者たちは親ローマの立場。

(3) 両者は、イエスを共通の敵としていっしょに行動している。

2. 政治的テーマを使ってイエスを有罪に追い込もうとした。

(1) 「カイザルに税金を納めることは、律法にかなっているかどうか」

(2) どちらに答えても問題が起こる。

(3) イエスと答えると、民衆は怒る。

①カイザルを王と認めることは、イスラエルの神を退けたことになる。

②ユダヤ人は間接的にはローマに税を納めていた。

③ここでは、直接的かつ積極的に税を納めるべきかどうかが論じられている。

(4) ノーと答えると、反逆罪のためにローマの官憲によって逮捕される。

①イエスが死刑に処せられることを、敵対する者たちは望んでいる。

3. イエスの知恵

(1) ローマに納税するデナリ貨には、「カイザル」の肖像が刻まれていた。

(2) この貨幣を持つことは偶像礼拝に当たると考えられていた。

(3) ユダヤ人たちがこれを神殿税のために用いることはなかった。

(4) イエスは「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に」と宣言。

(5) これによって確立された原則

①権威には、神の権威とこの世の権威(政府)の2種類がある。

②創世記9章以降、どの時代でも地上にはこの世の権威(政府)が存在した。

③問題は、どちらに従うかではなく、両方に従うということ。

④この世の権威は一時的なもの。

⑤やがて恒久的な権威が確立される。ダビデの子が統治するメシア的王国。

Ⅲ.サドカイ人たち

1. サドカイ人とは

(1) 貴族階級、祭司階級からなる体制派のグループ。

(2) 神学的には死者の復活を否定。これがパリサイ人との大きな違い。

(3) 彼らの質問は、神学的なもの。公の場でイエスを辱めるため。

「7人の兄弟が子を残さずに次々と死んだ場合、彼らの妻となったひとりの女は、

復活の世ではだれの妻になるか」(申命記25:5参照)。

2. イエスの答え

(1) イエスは彼らの誤解を指摘する。

①そういう質問をする理由は、聖書も神の力も知らないから。

②次の世では結婚関係はない。結婚して子孫を残す必要がなくなるから。

③それはちょうど、「天の御使い」が結婚しないのと同じ。

④創6章では、堕天使たちが人の女たちと結婚している。良い天使と区別する。

(2) 復活の真理が聖書にあることを証明する。

①聖書とは、今で言う旧約聖書。

②旧約聖書の中で復活を明確に預言している箇所がいくつかある。

* ダニエル書12:2

* イザヤ書26:19

* ヨブ記19:25~26

③イエスは、これらの箇所ではなく、出エジプト記3:6を引用。

④サドカイ人は、教理に関してはモーセの五書(トーラ)だけに権威を認める。

⑤「わたしは、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」

⑥神はアブラハム契約を結んだ神である。厳粛な神の御名。

⑦アブラハムも、イサクも、ヤコブも、約束が成就する前に死んだ。

⑧神には約束を実行する責務がある。約束の受け取り手が復活する必要がある。(例話)アブラハムがイサクを捧げた理由。

⑨イエスは、アブラハム契約そのものが復活を保証していると解説した。

3. 聴衆の反応

(1) 新しいみことばの解説に、群集は驚いた。

(2) パリサイ人たちはイエスの知恵に驚いた(ルカ20:39~40)。

(3) サドカイ人たちは沈黙した。

Ⅳ.パリサイ人たち

1. パリサイ人の中の律法の専門家が挑戦。

(1) イエスを試そうとして神学的な質問を投げかけた。

「先生。律法の中で、たいせつな戒めはどれですか」

(2) パリサイ人たちは聖書には613の戒めがあると教えていた。

(3) この質問にどう答えるかによって、イエスの律法理解の程度が分かる。

2. イエスの答え

(1) イエスは旧約聖書の教えを2つの戒めに要約した。

(2) 「律法全体と預言者」とは、旧約聖書のこと。

(3) 第1の戒め

「心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ」

①「シェマ(聞け)」と呼んで、日々朗詠する有名な箇所(申命記6:5)。

②神との関係は、この戒めを守ることによって正しく保たれる。

(4) 第2の戒め

「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」

①隣人との関係は、この戒めを守ることによって保たれる。

(5) 「神への愛」と「隣人への愛」を実践するなら、戒めがすべて守られたことになる。

①アダムが罪を犯したのは神への愛がなかったから。

②私たちが他人を傷つけるのは隣人への愛がないから。

結論 

1. ユダヤ的視点で聖書を読むことの重要性

2. イエスは本物のメシアである。

3. 神学的理解が深められた。

(1) イエスの権威:義の衣をまとっていなければ神の国に入れない。

(2) 神の権威と地上の権威の関係

(3) 復活は真実である。

(4) 愛こそ律法のゴールである。

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