申命記(28)全的献身の勧め(2)11:8~11:32

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全的献身の勧め(2)について学ぶ。

申命記 28回

「全的献身の勧め(2)」

申11:8~32 (朗読箇所 11:8~25)

1.はじめに

    (1)第2の説教:契約に基づく義務

      ①総論:臣下の義務(4:44~5:33)

      ②全的従順の呼びかけ(6~11章)

      ③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)

      ④【主】に対する誓約(26:16~19)

    (3)モーセは、自分が聞いた律法の内容を民に説明している。

      ①申6章のテーマは、「聞け、イスラエルよ」。

      ②申7章のテーマは、「【主】の戦い」。

      ③申8章のテーマは、「歴史からの教訓」。

      ④申9章のテーマは、「傲慢に対する警告」。

      ⑤申10~11章のテーマは、「全的献身の勧め」。

2.メッセージのアウトライン

1)イスラエルの選びのゆえに(10:12~22)

    (2)偉大な御業のゆえに(11:1~7)

    (3)祝福を得るために(11:8~25)

    (4)祝福とのろい(11:26~32)

  3.結論:クリスチャンへの適用

    (1)2テモ3:1~5

    (2)2テモ3:14~17

    (3)コロ3:16

全的献身の勧め(2)について学ぶ。

Ⅲ.祝福を得るために(11:8~25)

1.8~9節

Deu 11:8
あなたがたは、私が今日あなたに命じるすべての命令を守りなさい。それは、あなたがたが強くなり、あなたがたが渡って行って所有しようとしている地を所有するため、

Deu 11:9
また、【主】があなたがたの父祖たちに誓って、彼らとその子孫に与えると言われたその土地、すなわち、乳と蜜の流れる地で、あなたの日々が長く続くようにするためである。

    (1)モーセは、歴史(偉大な御業)を回顧した後、重要な結論を導き出す。

      ①神は、荒野での偉大な御業を通して、民に道徳的訓練を施された。

      ②年長者は、体験的に以下のことを理解したはずである。

        *申11:7

Deu 11:7 これら【主】がなさった偉大なみわざのすべてを自分の目で見たのは、あなたがたである。

        *道徳的・倫理的に正しいことを行えば、【主】の恵みと祝福を体験する。

        *間違ったことを行えば、【主】の裁きを身に受ける。

      ③「乳と蜜の流れる地」で繁栄するための条件は、【主】への従順である。

    (2)年長者が学んだ重要な教訓とは何か。

      ①自分よりも強い敵に勝ち、その地で繁栄するのは、軍事力の問題ではない。

      ②それは、いわば道徳力・倫理力の問題である。

      ③神の約束を手に入れるための方法は、【主】への従順である。

      ④歴史上、道徳力・倫理力を無視したために滅びた国は多くある。

      ⑤人生には、人間の努力だけではどうにもならないことが多くある。

      ⑥試練の時こそ、道徳力・倫理力に依り頼むべきである。

  2.10~12節

Deu 11:10
なぜなら、あなたが入って行って所有しようとしている地は、あなたがたが出て来たエジプトの地のようではないからである。エジプトであなたは、野菜畑でするように、自分で種を蒔き、自分の力で水をやっていた。

Deu 11:11 しかし、あなたがたが渡って行って所有しようとしている地は、山と谷の地であり、天からの雨で潤っている。

Deu 11:12
そこは、あなたの神、【主】が求められる地で、年の初めから年の終わりまで、あなたの神、【主】が絶えずその上に目をとどめておられる地である。

    (1)エジプトの農業と約束の地の農業の対比

①エジプトの農業は、灌漑農業である。

        *ナイル川が氾濫すると、水を貯水槽に貯め、人工的に造った水路に流す。

        *「自分の力で水をやっていた」

        *「自分の足で水をやる必要があった」(新共同訳)

        *足踏み式水車であろう。

        *奴隷であったイスラエルの民は、その労働の過酷さをよく知っていた。

        *灌漑農業は、人間の知恵と力に依存した農業である。

      ②約束の地の農業は、神に委ねる農業である。

        *「山と谷の地であり、天からの雨で潤っている」(11節)

        *「年の初めから年の終わりまで、【主】が絶えずその上に目をとどめて

おられる地である」(12節)

*約束の地での農業は、【主】の恵みに依存した農業である。

*約束の地は、イスラエルの民の信仰を試す地である。

  3.13~15節

Deu 11:13
もしわたしが今日あなたがたに命じる命令、すなわち、あなたがたの神、【主】を愛し、心を尽くし、いのちを尽くして仕えよという命令に、あなたがたが確かに聞き従うなら、

Deu 11:14
わたしは時にかなって、あなたがたの地に雨、初めの雨と後の雨をもたらす。あなたは穀物と新しいぶどう酒と油を集めることができる。

Deu 11:15 また、わたしはあなたの家畜のため野に草を与える。あなたは食べて満ち足りる。

    (1)【主】を愛するとは、【主】の命令に聞き従うことである。

      ①「心を尽くし、いのちを尽くして仕えよという命令」

    (2)従順に対する報いは、天からの雨である。

      ①初めの雨とは、秋に降る雨、種を蒔く時期の雨である。

      ②後の雨とは、春に降る雨、収穫前に降る雨である。

     ③初めの雨と後の雨は、豊かな収穫をもたらす。

        *穀物(大麦、小麦、亜麻)

*新しいぶどう酒(ぶどう)

*油(オリーブオイル)

*野の草(家畜が肥える)

④イスラエルの民は、その地で食べて満ち足りる。

    (ILL)オスマントルコ帝国の時代とユダヤ人の帰還以降の時代の対比

  4.16~17節

Deu 11:16 気をつけなさい。あなたがたの心が惑わされ横道に外れて、ほかの神々に仕え、それを拝むことのないように。

Deu 11:17
そうでないと、【主】の怒りがあなたがたに向かって燃え上がり、主が天を閉ざし、雨は降らず、地はその産物を出さなくなる。こうしてあなたがたは、【主】が与えようとしているその良い地から、たちまち滅び去ることになる。

    (1)カナン人の偶像に注意する必要がある。

      ①訳文の比較

        *「気をつけなさい」(新改訳2017)

        *「注意しなさい」(新共同訳)

        *「慎まなければならない」(口語訳)

        *「自ら愼むべし」(文語訳)

        *「油断は禁物です」(リビングバイブル)

      ②カナン人の偶像は、豊穣の神、穀物の神、油の神、雨の神などである。

      ③カナン人の偶像には、イスラエルの民を誘惑する力がある。

        *彼らの礼拝は、道徳や倫理から逸脱した礼拝である。

        *神殿娼婦との性行が礼拝の一部に組み込まれている。

    (2)もし偶像礼拝に陥るなら、【主】の怒りが燃え上がる。

      ①雨が降らなくなる。

      ②地はその産物を出さなくなる。

      ③イスラエルの民は、たちまち滅び去ることになる。

      ④滅びを免れるためには、モーセが語った内容を常に覚えておく必要がある。

  5.18~21節

Deu 11:18 あなたがたは、わたしのこのことばを心とたましいに刻み、それをしるしとして手に結び付け、記章として額の上に置きなさい。

Deu 11:19
それをあなたがたの子どもたちに教えなさい。あなたが家に座っているときも道を歩くときも、寝るときも起きるときも、これを彼らに語りなさい。

Deu 11:20 これをあなたの家の戸口の柱と門に書き記しなさい。

Deu 11:21
それは、【主】があなたがたの父祖たちに与えると誓った地で、あなたがたの日数とあなたがたの子孫の日数が、天が地の上にある日数のように多くなるためである。

    (1)すでに語られたことの再確認である。

①申6:6

Deu 6:6 私が今日あなたに命じるこれらのことばを心にとどめなさい。

        *モーセが語る【主】の戒めを心にとどめる。

        *子どもたちによく教え込む。

          ・生活の全般を通して、子どもたちに教える。

          *家庭が最も重要な宗教教育の場となる。

      ②申6:8

Deu 6:8 これをしるしとして自分の手に結び付け、記章として額の上に置きなさい。

        *「しるし」「記章」「戸口の柱と門」

        *これらは比喩的言葉である。

        *正統派のユダヤ人たちは、これを文字通りに解釈する。

    (2)【主】の命令に従うことは、祝された生活を送るための鍵である。

      ①次にテーマは、「約束の地での繁栄」から「戦いにおける勝利」に変わる。

  6.22~25節

Deu 11:22
もしあなたがたが、私の命じるこのすべての命令を確かに守り行い、あなたがたの神、【主】を愛して主のすべての道に歩み、主にすがるなら、

Deu 11:23
【主】はこれらの国々をことごとくあなたがたの前から追い払い、あなたがたは、自分たちよりも大きくて強い国々を占領することができる。

Deu 11:24
あなたがたが足の裏で踏む場所は、ことごとくあなたがたのものとなる。荒野からレバノンまで、あの川、ユーフラテス川から西の海に至るまでがあなたがたの領土となる。

Deu 11:25
だれ一人として、あなたがたの前に立ちはだかる者はいない。あなたがたの神、【主】は、あなたがたに約束されたとおり、あなたがたが足を踏み入れる地の全面に、あなたがたに対するおののきと恐れを生じさせる。

    
(1)カナンの地征服戦争は、超自然的な戦いである。

      ①民が【主】を愛するなら、【主】はカナン人の国々を追い払われる。

      ②イスラエルの民は、自分たちよりも強い敵に勝利することができる。

    (2)民が足の裏で踏む場所は、ことごとく彼らの領土となる。

      ①「荒野からレバノンまで、あの川、ユーフラテス川から西の海に至るまで」

      ②これが約束の地の範囲である。

      ③イスラエルの民は、まだ一度もこの範囲の領土を所有したことがない。

        *不信仰のゆえに、そうなっている。

Ⅳ.祝福とのろい(11:26~32)

  
1.26~28節

Deu 11:26 見よ、私は今日、あなたがたの前に祝福とのろいを置く。

Deu 11:27 祝福とは、私が今日あなたがたに命じる、あなたがたの神、【主】の命令に聞き従った場合であり、

Deu 11:28
のろいとは、あなたがたの神、【主】の命令に聞き従わず、私が今日あなたがたに命じる道から外れて、あなたがたの知らなかったほかの神々に従って行った場合である。

    (1)「祝福とのろい」に関しては、申27~28章で詳細に取り上げられる。

      ①ここは、「全的従順の呼びかけ(6~11章)」の結論となっている。

  2.29~30節

Deu 11:29
あなたが入って行って所有しようとしている地に、あなたの神、【主】があなたを導き入れたら、あなたはゲリジム山の上には祝福を、エバル山の上にはのろいを置かなければならない。

Deu 11:30
それらの山はヨルダン川の向こう側、日の入る方の、アラバに住むカナン人の地にあり、ギルガルの向かい、モレの樫の木の付近にあるではないか。

    (1)シェケム郊外にある2つの山が、祝福とのろいの象徴となる。

      ①ゲリジム山とエバル山の間に、谷が東西に走っている。

②ゲリジム山(南)は、祝福の象徴。

      ③エバル山(北)は、のろいの象徴。

    (2)象徴的な儀式が実行される。

      ①6部族がゲリジム山に立つと、祭司は彼らに向かって祝福を宣言する。

②残りの6部族がエバル山に立と、祭司はのろいを宣言する。

      ③6部族は、それぞれの宣言に対して「アーメン」と唱和する。

    (3)「モレの樫の木の付近にあるではないか」

      ①創35:1~4でヤコブは、自分の家から偶像を除き、樫の木の下に埋めた。

  3.31~32節

Deu 11:31
あなたがたはヨルダン川を渡り、あなたがたの神、【主】があなたがたに与えようとしておられる地に入って行って、それを所有しようとしている。あなたがたがそこを所有し、そこに住むとき、

Deu 11:32 私が今日あなたがたの前に与える、すべての掟と定めを守り行わなければならない。

    
(1)これまで語ったことの繰り返しである。

      ①【主】の掟と定めを行うことは、約束の地で長く生きるための条件である。

結論:クリスチャンへの適用

  1.2テモ3:1~5

2Ti 3:1 終わりの日には困難な時代が来ることを、承知していなさい。

2Ti 3:2
そのときに人々は、自分だけを愛し、金銭を愛し、大言壮語し、高ぶり、神を冒涜し、両親に従わず、恩知らずで、汚れた者になります。

2Ti 3:3 また、情け知らずで、人と和解せず、中傷し、自制できず、粗野で、善を好まない者になり、

2Ti 3:4 人を裏切り、向こう見ずで、思い上がり、神よりも快楽を愛する者になり、

2Ti 3:5 見かけは敬虔であっても、敬虔の力を否定する者になります。こういう人たちを避けなさい。

    (1)私たちは、偶像礼拝者に取り囲まれている。

(2)終わりの日に姿を現わす偶像礼拝

    (3)「こういう人たちを避けなさい」

  2.2テモ3:14~17

2Ti 3:14 けれどもあなたは、学んで確信したところにとどまっていなさい。あなたは自分がだれから学んだかを知っており、

2Ti 3:15
また、自分が幼いころから聖書に親しんできたことも知っているからです。聖書はあなたに知恵を与えて、キリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができます。

2Ti 3:16 聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です。

2Ti 3:17 神の人がすべての良い働きにふさわしく、十分に整えられた者となるためです。

    (1)聖書には、神の御心が記されている。

    (2)聖書には、私たちを十分に整えられた者として育てる力がある。

    (3)私たちは、聖書を通して、いかに生きるべきかを知ることができる。

  3.コロ3:16

Col 3:16
キリストのことばが、あなたがたのうちに豊かに住むようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、忠告し合い、詩と賛美と霊の歌により、感謝をもって心から神に向かって歌いなさい。

    (1)祝された生活の秘訣は、キリストのことばをいつも心に留めることである。

    (2)同じ信仰に立つ兄弟姉妹たちとの交わりは、私たちの霊性を守ってくれる。

    (3)真の神を礼拝することは、私たちの魂を健やかなものにする。

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