申命記(17)第1戒と第2戒

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第1戒と第2戒について学ぶ

申命記17回

「第1戒と第2戒」
申5:6~10

 

1.はじめに

 

(1)申命記の構造(宗主権契約に基づく4つの説教)

①第1の説教:歴史の回顧(1:5~4:43)
②第2の説教:契約に基づく義務(4:44~26:19)
*総論:臣下の義務(4:44~5:33)
*全的従順の呼びかけ(6~11章)
*律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)
*【主】に対する誓約(26:16~19)

 

(2)シナイ山での契約締結とモアブの地での契約更新の対比
①シナイ山での契約締結では、恐ろしい光景が展開された。
②モアブの地での契約更新では、恵みと希望に満ちた光景が展開された。
③申5:6以降で、律法の内容が解説される(613の命令)。
④最初に出て来るのは、十戒である。

 

(3)モーセの律法に関して混乱がある。
①土曜日の礼拝を主張する人たちがいる。
②律法そのものを悪と見る人たちがいる。
③旧約は終わったのだから、新約だけを読めばいいと言う人たちがいる。
④モーセの律法に関する誤解を解く必要がある。

 

2.メッセージのアウトライン
(1)第1戒(5:6~7)
(2)第2戒(5:8~10)

 

3.結論:モーセの律法の7つの側面

 

第1戒と第2戒について学ぶ。
Ⅰ.第1戒(5:6~7)
1.6節
「わたしは、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出したあなたの神、【主】である。
(1)6節は、第1戒だけでなく、十戒全体を理解するための鍵である。
①イスラエルの民と契約を結ぶのは、知らない神ではない。
②アブラハム、イサク、ヤコブの神である。
③その御名は【主】である。
④イスラエルの民をエジプトから救った神である。
*申命記では、エジプトは頻繁に「奴隷の家」と呼ばれる。

 

(2)6節は、先ず恵みがあり、次に律法があることを示している。
①【主】はイスラエルを救われた。
②律法は、愛によって【主】に応答する方法として、イスラエルに与えられた。

 

2.7節
あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない。
(1)第1戒は、正しい神学を持てという命令である。
①すべての神学が正しいわけではない。
②しかし、神学なしに正しい信仰を持つことはできない。

 

(2)神は唯一であるということを認めることが信仰の第一歩である。
①申4:35
あなたにこのことが示されたのは、【主】だけが神であり、ほかに神はいないことを、あなたが知るためであった。
*イスラエルの民は、シナイ山でシャカイナグローリーを体験した。
②イザ43:10~11
あなたがたはわたしの証人、
──【主】のことば──
わたしが選んだわたしのしもべである。
これは、あなたがたが知って、わたしを信じ、
わたしがその者であることを悟るためだ。
わたしより前に造られた神はなく、
わたしより後にも、それはいない。
わたし、このわたしが【主】であり、
ほかに救い主はいない。
*自分のすべてと、生活の全領域を、【主】に捧げるべきである。
*イスラエルの民の使命は、神が唯一であることを諸国民に示すこと。

 

(3)「ほかの神」とは、テクニカルタームである。
①これは、異教の神々である。
②実体はないが、偶像の形で存在している。
③また、それを礼拝する人々の心の中に存在している。

 

Ⅱ.第2戒(5:8~10)
1.8~9節a
あなたは自分のために偶像を造ってはならない。上の天にあるものでも、下の地にあるものでも、地の下の水の中にあるものでも、いかなる形をも造ってはならない。
それらを拝んではならない。それらに仕えてはならない。あなたの神、【主】であるわたしは、ねたみの神。
(1)第2戒は、真の礼拝とは何かを教えている。
①神は、被造世界を超越している。
②それゆえ、神を目に見えるもの(被造物)で表現することは不可能である。
③偶像を造ると、被造物を拝むという結果を招くことになる。

 

(2)第2戒は、芸術活動を禁止しているわけではない。
①礼拝のための像を造ることは禁止しているが、それ以外の像は除外される。
②モーセは幕屋の中で用いるために、ケルビムの織物や像を造った。

 

(3)「【主】であるわたしは、ねたみの神」
①イザ54:5~6
なぜなら、あなたの夫はあなたを造った者、
その名は万軍の【主】。
あなたの贖い主はイスラエルの聖なる者、
全地の神と呼ばれているからだ。
【主】はあなたを、
夫に捨てられた、心に悲しみのある女と呼んだが、
若いころの妻をどうして見捨てられるだろうか。
──あなたの神は仰せられる──
*イスラエルの民は、【主】の妻である。
*偶像礼拝は、霊的姦淫である。
*【主】は、夫が妻に関して嫉妬するように、背信の民に対して嫉妬する。
②このねたみは、健全なものである。
③【主】は、ご自身の栄光を偶像に渡すことはない

 

2.9b~10節
わたしを憎む者には父の咎を子に報い、三代、四代にまで及ぼし、
わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、恵みを千代にまで施すからである。
(1)「父の咎を子に報い、三代、四代にまで及ぼし」
①父の罪のゆえに子が罰を受けることはないというのが、聖書の教えである。
②「わたしを憎む者」とは、「子」である。
③子は、父の悪影響を受け、【主】に敵対するようになる。
④この聖句は、先祖の罪の悪影響が子孫に及ぶということを教えている。
⑤【主】は、それを三代か四代でとどめてくださる。

 

(2)「わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、恵みを千代にまで施す」
①先祖の良い影響が子孫に及ぶということ。
②その場合は、それが長く続くということ。

 

結論:モーセの律法の7つの側面
1.救いの方法ではない。
(1)イスラエルの民は、すでにエジプトから解放されている。
(2)神に選ばれたことを土台として、モーセの律法が与えられた。
(3)もしこれが救いの方法であるなら、それは「業による救い」となる。
(4)恵みと信仰による救いが、聖書を貫く唯一の救いの方法である。
(5)創15:6
アブラムは【主】を信じた。それで、それが彼の義と認められた。

 

2.神が聖であることを示す。
(1)民は、神の力と守りを経験したが、神の性質については無知であった。
(2)613の律法を読み進むと、神がいかに聖なるお方であるかが分かる。
(3)レビ11:45が、モーセの律法の中心である。
わたしは、あなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの地から導き出した【主】であるからだ。あなたがたは聖なる者とならなければならない。わたしが聖だからである。」

 

3.旧約時代の聖徒たちの行動基準である。
(1)神によって召された国民として行動基準が必要である。
(2)旧約時代の聖徒たちにとっての信仰表現とは、モーセの律法に従うこと。
(3)真の信仰は、律法を行うことによって証明される。
(4)アブラハムがイサクを捧げたのも、同じ意味である。

 

4.人の罪を示す。
(1)ロマ3:20
なぜなら、人はだれも、律法を行うことによっては神の前に義と認められないからです。律法を通して生じるのは罪の意識です。
(2)律法が悪いわけではない。
①問題は、人の内側にある罪の性質である。

 

5.人にもっと罪を犯させる力となる。
(1)ロマ4:15
実際、律法は御怒りを招くものです。律法のないところには違反もありません。
①罪の性質はあっても、律法がなければ律法違反ということが成り立たない。
(2)ロマ7:7
それでは、どのように言うべきでしょうか。律法は罪なのでしょうか。決してそんなことはありません。むしろ、律法によらなければ、私は罪を知ることはなかったでしょう。実際、律法が「隣人のものを欲してはならない」と言わなければ、私は欲望を知らなかったでしょう。
①律法は悪でも罪でもない。
②律法によって、人の罪の性質が活動を始めるのである。
③律法が、罪の性質が働く土台となった。
④律法が与えられたので、罪の性質は暴君のようになって暴れ出した。

 

6.人を信仰に導く。
(1)ガラ3:23~24
信仰が現れる前、私たちは律法の下で監視され、来たるべき信仰が啓示されるまで閉じ込められていました。
こうして、律法は私たちをキリストに導く養育係となりました。それは、私たちが信仰によって義と認められるためです。
①律法は、業による救いが不可能であることを示す。
②その結果、信仰による救いを求めるようになる。
③最終的には、キリストに対する信仰へと導かれる。
④旧約時代の聖徒たちは、血の犠牲の必要性を認識するようになった。

 

7.すでに終わった。
(1)モーセの律法は統一体である。
①全部終わったか、全部残っているかのどちらかである。
②祭儀法と民法とは終わったが、道徳法は今も有効であるとの主張がある。
③しかし、モーセの律法の分割は不可能。
④一部が今も有効であるという主張には、聖書的根拠がない。

 

(2)ロマ10:4
律法が目指すものはキリストです。それで、義は信じる者すべてに与えられるのです。 信じる人はみな義と認められるのです」
①キリストは律法の要求を満たされた。
②つまり、律法が目的としていたことが成就したので、その効力が消えた。

 

(3)ガラ3:19
それでは、律法とは何でしょうか。それは、約束を受けたこの子孫が来られるときまで、違反を示すためにつけ加えられたもので、御使いたちを通して仲介者の手で定められたものです。
①一時的に与えられたもの
②子孫(メシア)の登場とともに終わる。

 

(4)ヘブ7:12
祭司職が変われば、必ず律法も変わらなければなりません。
①モーセの律法を運用する土台は、レビ族から出た祭司である。
②ヘブル人への手紙が論じている祭司とは、メシアであるイエス。
③イエスは、レビ族ではなく、ユダ族から出ている。
④祭司職が変った(メルキゼデクの位の祭司)。
⑤それゆえ、律法も変わらねばならない。
⑥新しい律法とは、「キリストの律法」である。

 

質問への回答
「最近、オンラインの礼拝にある疑問が浮かんできました。それは、オンラインで祈る祈りに聖霊は臨んでいるのか、オンラインの礼拝に聖霊の祝福はあるのかという点です。・・・画面越しの礼拝や、祈祷会の中に、どうしても霊的な喜びを感じられません」
(1)オンライン礼拝そのものは、悪ではありません。
(2)オンライン礼拝には、欠点と長所があります。
①信者の交わりができないというのが、最大の欠点です。
(3)長所はいろいろあります。
①政府の要請に敬意を表することができます。
②パンデミックから身を守るための知恵です。
③普段教会に来ない人たちに語りかけることができます。
④過去のメッセージをアーカイブに保存することができます。
(4)オンライン礼拝にも神の祝福はあります。
①神は、時間と空間を超越した方です。
②過去のメッセージによって救われる方が出ます。
③ヨハ4:24
神は霊ですから、神を礼拝する人は、御霊と真理によって礼拝しなければなりません。」

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