使徒の働き(99)―ローマ到着―

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ローマでの奉仕の記事から教訓を学ぶ。

「ローマ到着」
使徒28:11~31

 

1.はじめに
(1)文脈の確認
①パウロは、カイザリヤからローマに向かう(27:1~28:15)。
②パウロは、ローマに上るというゴールを常に意識していた。
③使19:21
Act 19:21 これらのことが一段落すると、パウロは御霊の示しにより、マケドニヤとアカヤを通ったあとでエルサレムに行くことにした。そして、「私はそこに行ってから、ローマも見なければならない」と言った。
④パウロは、幾多の困難に直面してきた。
*大嵐に遭遇し、船が漂流した。
*船が座礁した。
*まむしに噛まれた。
⑤しかし、パウロの命は守られて来た。
⑥そしてついに、ローマに到着する。

 

(2)アウトライン
①マルタからローマへ(11~16節)
②ユダヤ人たちとの最初の会談(17~22節)
③ユダヤ人たちとの2度目の会談(23~29節)
④異邦人伝道(30~31節)

 

結論:
(1)使徒の働きの執筆プラン(使1:8)
(2)使徒の働きの結末(使28:30~31)
(3)神の国
(4)今も続くキリストの御業

 

ローマでの奉仕の記事から教訓を学ぶ。
Ⅰ.マルタからローマへ(11~16節)
1.11~13節
Act 28:11 三か月後に、私たちは、この島で冬を過ごしていた、船首にデオスクロイの飾りのある、アレキサンドリヤの船で出帆した。
Act 28:12 シラクサに寄港して、三日間とどまり、
Act 28:13 そこから回って、レギオンに着いた。一日たつと、南風が吹き始めたので、二日目にはポテオリに入港した。
(1)三か月後
①マルタ島で3ヶ月間待った。
②春になると航海が可能になるが、3ヶ月後とは、2月中旬頃であろう。
③百人隊長は、マルタ島で冬を過ごしていた船を予約することができた。
④この船は、アレキサンドリアを母港とする穀物船である。
⑤マルタ島からローマまでは、まだ335キロもある。

 

(2)船首にデオスクロイの飾りのある、アレキサンドリヤの船
①「デオスクロイ」は、航海の守護神である。
*カストルとポルックスという双子のギリシア神話の神を指す。
②ローマ時代の地中海には、「デオスクロイ」を船首に飾った船が多かった。
③「デオスクロイの飾りのある船」は、皮肉(アイロニー)である。
*ルカは、真の守護神は誰かを思い起こさせるために書いたのであろう。

 

(3)マルタ島を出帆してからの旅程
①シラクサ:シチリア島の東岸にある大いに栄えた港町
*ここに3日間留まった。
②レギオン:イタリア半島のつま先に位置する港町
③ポテオリ:さらに360キロ北。イタリア半島のすねの部分に位置する港町
*ほとんどの船が、ここで船荷を降ろす。

 

2.14~15節
Act 28:14 ここで、私たちは兄弟たちに会い、勧められるままに彼らのところに七日間滞在した。こうして、私たちはローマに到着した。
Act 28:15 私たちのことを聞いた兄弟たちは、ローマからアピオ・ポロとトレス・タベルネまで出迎えに来てくれた。パウロは彼らに会って、神に感謝し、勇気づけられた。
(1)ポテオリには、教会があった。
①パウロは、兄弟たちのもてなしを受け、彼らのところに7日間滞在した。
②「こうして、私たちはローマに到着した」
*ポテオリからローマまでは、まだ200キロもある。
*ルカは、ローマに着いたという感慨を持ったのである。

 

(2)パウロ到着の知らせは、ローマまで伝わった。
①ローマの信者たちは、トレス・タベルネまで出迎えに来た。
*アッピア街道を50キロ以上も下って来た。
②余力のある者たちは、さらに15キロ下って、アピオ・ポロまで来た。

 

(3)パウロは初めてローマのクリスチャンたちと会った。
①これより3年前に、パウロはローマ人への手紙を書き送っていた。
②ローマの信者たちからの歓迎を受け、パウロは神に感謝した。
③また、大いに勇気づけられた。

 

3.16節
Act 28:16 私たちがローマに入ると、パウロは番兵付きで自分だけの家に住むことが許された。
(1)マルタ島からローマまでは、約3週間の旅であったと思われる。
①パウロのローマ到着は、イエスの勝利の入城に似ている。
②福音は、ユダヤ、サマリア、地の果て(ローマ)までも届けられた。
③異邦人のための使徒パウロは、ローマ帝国の首都で福音を伝えるようになった。

 

(2)ローマ市民であるパウロは、丁寧な扱いを受けた。
①自費で借りた家にひとりで住むことが許された。
②番兵が付けられた。

 

Ⅱ.ユダヤ人たちとの最初の会談(17~22節)
1.17~18節
Act 28:17 三日の後、パウロはユダヤ人のおもだった人たちを呼び集め、彼らが集まったときに、こう言った。「兄弟たち。私は、私の国民に対しても、先祖の慣習に対しても、何一つそむくことはしていないのに、エルサレムで囚人としてローマ人の手に渡されました。
Act 28:18 ローマ人は私を取り調べましたが、私を死刑にする理由が何もなかったので、私を釈放しようと思ったのです。
(1)3日の後
①パウロは直ちにユダヤ人たちとの対話を開始した。
②当時ローマには、相当数のユダヤ人がいた(1万人~5万人)。
③彼は、ユダヤ人の指導者たちを自分の家に呼び集めた。
④自分から会堂に行くことができなかったのであろう
⑤招く前に、彼らがパウロに敵対的でないことを確かめたはずである。
*エルサレムのユダヤ人のようなら、危険な状態になる。

 

(2)ユダヤ人たちを招いた目的
①先ずユダヤ人に福音を伝えようとした。
*これは、パウロが採用した伝道の原則である。
②自分がローマに来た理由を説明しようとした。
*誤解を生む前に、自ら主導権を取って動いた。

 

(3)17~20節は、使徒22~26章で起こったことの要約である。
①長い物語であったが、ルカはその要点をまとめてくれている。

 

2.19~20節
Act 28:19 ところが、ユダヤ人たちが反対したため、私はやむなくカイザルに上訴しました。それは、私の同胞を訴えようとしたのではありません。
Act 28:20 このようなわけで、私は、あなたがたに会ってお話ししようと思い、お招きしました。私はイスラエルの望みのためにこの鎖につながれているのです。」
(1)使徒22~26章の物語の要点
①律法に背いていないのに、エルサレムで囚人としてローマ人の手に渡された。
②ローマ人は自分を取り調べ、無罪なので釈放しようとした。
③ところが、ユダヤ人たちが反対したので、自分はやむなくカイザルに上訴した。
④自分は、同胞を訴えようとしたのではない。
⑤自分は、イスラエルの望みのためにこの鎖につながれている。

 

3.21~22節
Act 28:21 すると、彼らはこう言った。「私たちは、あなたのことについて、ユダヤから何の知らせも受けておりません。また、当地に来た兄弟たちの中で、あなたについて悪いことを告げたり、話したりした者はおりません。
Act 28:22 私たちは、あなたが考えておられることを、直接あなたから聞くのがよいと思っています。この宗派については、至る所で非難があることを私たちは知っているからです。」
(1)ローマのユダヤ人たちは、パウロのことについてはよく知らなかった。
①エルサレムとローマのユダヤ人たちは、頻繁に交流していた。
②ローマのユダヤ人たちがパウロのことを知らないというのは、奇跡である。
③彼らは、意図的に「この道」について論じることを避けていた可能性もある。
*ローマからユダヤ人が追放されたという記憶が残っている。

 

Ⅲ.ユダヤ人たちとの2度目の会談(23~29節)
1.23~24節
Act 28:23 そこで、彼らは日を定めて、さらに大ぜいでパウロの宿にやって来た。彼は朝から晩まで語り続けた。神の国のことをあかしし、また、モーセの律法と預言者たちの書によって、イエスのことについて彼らを説得しようとした。
Act 28:24 ある人々は彼の語る事を信じたが、ある人々は信じようとしなかった。
(1)後日、より多くのユダヤ人たちがパウロの家に来た。
①パウロは、朝から晩まで語り続けた。

 

(2)パウロのメッセージの内容
①神の国のことを証しした。
*メシア的王国のことである。
②ヘブル語聖書に基づいて、イエスがメシアであると、彼らを説得しようとした。

 

(3)ユダヤ人たちの反応
①ある人々は、信じた。
②ある人々は、信じようとしなかった。

 

2.25~27節
Act 28:25 こうして、彼らは、お互いの意見が一致せずに帰りかけたので、パウロは一言、次のように言った。「聖霊が預言者イザヤを通してあなたがたの父祖たちに語られたことは、まさにそのとおりでした。
Act 28:26
『この民のところに行って、告げよ。
あなたがたは確かに聞きはするが、
決して悟らない。
確かに見てはいるが、決してわからない。
Act 28:27
この民の心は鈍くなり、
その耳は遠く、
その目はつぶっているからである。
それは、彼らがその目で見、
その耳で聞き、
その心で悟って、立ち返り、
わたしにいやされることのないためである。』
(1)別れ際に、パウロはイザ6:9~10を引用した。
①イザヤの時代、ユダヤ人たちは信じなかった。
②パウロの時代でも、ユダヤ人たちは信じなかった。
③今の時代でも、ユダヤ人たちの大半が信じようとしない。

 

3.28~29節
Act 28:28 ですから、承知しておいてください。神のこの救いは、異邦人に送られました。彼らは、耳を傾けるでしょう。」
Act 28:29 [パウロがこのようなことを語ったところ、ユダヤ人たちは大いに論じ合いながら帰って行った。](底本に節が欠けている。この部分の異本による訳文)(新共同訳)
(1)これが使徒の働きのクライマックスである。
①ユダヤ人は福音を拒否した。
②福音は、異邦人に届けられる。

 

Ⅳ.異邦人伝道(30~31節)
1.30~31節
Act 28:30 こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、
Act 28:31 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。
(1)パウロが無罪であることは、公に認識されていたようである。
①彼は、丸2年の間、快適に暮らすことができた。

 

(2)2年間の伝道
①彼は、大胆に語った。
②ローマの官憲による妨げは、全くなかった。
③彼は、神の国を宣べ伝えた。
④彼は、イエスが約束のメシアであることを教えた。

 

結論
1.使徒の働きの執筆プラン(使1:8)
Act 1:8 しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」
(1)福音伝達は、エルサレムから始まった。
(2)ペテロを中心とした使徒たちの伝道によって、福音はユダヤに広まった。
(3)ピリポの伝道によって、福音はサマリアに広まった。
(4)パウロの伝道によって、福音は地の果てまで広まった。

 

2.使徒の働きの結末(使28:30~31)
Act 28:30 こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、
Act 28:31 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。
(1)これが、7つの教会成長レポートの最後である。
①使2:47
②使6:7
③使9:31
④使12:24
⑤使16:5
⑥使19:20
⑦使28:30~31

 

3.神の国
(1)使1:3
Act 1:3 イエスは苦しみを受けた後、四十日の間、彼らに現れて、神の国のことを語り、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。

 

(2)使1:6
Act 1:6 そこで、彼らは、いっしょに集まったとき、イエスにこう尋ねた。「主よ。今こそ、イスラエルのために国を再興してくださるのですか。」

 

(3)使28:23
Act 28:23 そこで、彼らは日を定めて、さらに大ぜいでパウロの宿にやって来た。彼は朝から晩まで語り続けた。神の国のことをあかしし、また、モーセの律法と預言者たちの書によって、イエスのことについて彼らを説得しようとした。

 

(4)使28:31
Act 28:31 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。

 

(5)神の国とは、メシア的王国(千年王国)のことである。
①地上に文字通り千年王国が成就する。
②これは、ヘブル的希望である。
③パウロは、この希望のゆえに捕えられた。

 

 

4.今も続くキリストの御業
(1)使徒の働きのエンディングは、教会建設の業が継続していることを示している。
①普遍的教会の建設は、キリストの御業である。

 

 

(2)そのために、キリストは人間を用いる。
①使徒たち
②一般の弟子たち
③ペテロ(前半)
④パウロ(後半)

 

 

(3)パウロの生涯は、献身したひとりの人間が、どれほどのことを為すことができる
かを教えている。

 

 

*次回100回目は、その後のパウロについて語る予定である。

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