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使徒の働き(91)―フェストの前に立つパウロ―
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フェストによる裁判について学ぶ。
「フェストの前に立つパウロ」
使徒25:1~12
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ペリクスは、パウロの話に興味を持った。
②パウロは、死者の復活こそ主要なテーマであることを示した。
③ペリクスは妻のドルシラとともに、何度もパウロから話を聞いた。
④パウロは彼らに福音を伝えたが、彼らは応答しなかった。
⑤カイザリヤでのパウロの幽閉は、2年も続いた。
⑥2年経ったとき、ローマ本国は、ユダヤ総督ペリクスを罷免した。
⑦ユダヤ人と異邦人の紛争が起こり、ペリクスは多くのユダヤ人たちを虐殺した。
⑧ポルキオ・フェストが後任に任命された。
⑨しかしペリクスは、パウロを幽閉したままにしておいた。
*ユダヤ人に恩を売っておく必要があった。
⑩使24:27
Act 24:27 二年たって後、ポルキオ・フェストがペリクスの後任になったが、ペリクスはユダヤ人に恩を売ろうとして、パウロを牢につないだままにしておいた。
⑪今回の聖書箇所は、今後のパウロの動きを規定する重要な箇所である。
*パウロは、ローマに向かう。
(2)アウトライン
①新総督フェストの着任(1~5節)
②フェストによる裁判(6~8節)
③カイザルへの上訴(9~12節)
結論:
(1)ペリクスとフェストの特徴
(2)イエスの裁判とパウロの裁判
フェストによる裁判について学ぶ。
Ⅰ.新総督フェストの着任(1~5節)
1.1節
Act 25:1 フェストは州総督として着任すると、三日後にカイザリヤからエルサレムに上った。
(1)フェストに関する情報
①紀元59~61年に、ユダヤ総督であった(ヨセフスの記録)。
*皇帝ネロによる任命であった。
*カイザリヤはシリア州の首都で、ユダヤはシリア州の一部である。
②フェストに関する情報は少ないが、前任のペリクスよりは高く評価されている。
*ペリクスは暴力で統治したが、フェストは知恵で統治しようとした。
(2)彼は、総督の居住地であるカイザリヤから、エルサレムに上った。
①彼は、エルサレム統治に難しさを理解していた(予想不能な町)。
②そこで、着任して3日後にエルサレムに上った。
*賢明な統治の姿勢が反映されている。
*エルサレムの重鎮たちと平和な関係を維持する必要があった。
2.2~3節
Act 25:2 すると、祭司長たちとユダヤ人のおもだった者たちが、パウロのことを訴え出て、
Act 25:3 パウロを取り調べる件について自分たちに好意を持ってくれるように頼み、パウロをエルサレムに呼び寄せていただきたいと彼に懇願した。彼らはパウロを途中で殺害するために待ち伏せをさせていた。
(1)ユダヤ人の指導者たちは、パウロのことを訴え出た。
①大祭司はアナニヤからイシュマエルに代わっていた。
②大祭司も総督も新任なので、改めてパウロの裁判を申し出るチャンスである。
③彼らは、ローマによる裁判では、パウロを有罪にすることはできないと考えた。
(2)パウロをエルサレムに呼び寄せて裁判をして欲しいと願った。
①彼らは、サンヘドリンによる裁判を希望したのであろう。
②彼らの真意は、移動の途中でパウロを殺害することであった。
③途中で待ち伏せする人員を配置していた。
*使23:12~15で同じような陰謀が立てられ、40人が誓約に加わった。
④2年経っても、ユダヤ人たちのパウロに対する憎しみは消えていなかった。
3.4~5節
Act 25:4 ところが、フェストは、パウロはカイザリヤに拘置されているし、自分はまもなく出発の予定であると答え、
Act 25:5 「だから、その男に何か不都合なことがあるなら、あなたがたのうちの有力な人たちが、私といっしょに下って行って、彼を告訴しなさい」と言った。
(1)フェストは、かなりの情報を持っていた。
①パウロは殺されそうになった。
②千人隊長は彼を保護し、カイザリヤに護送した。
③ユダヤ人たちの訴えには、証拠が伴っていない。
④パウロをエルサレムに移動させれば、途中で危険が待っている。
(2)フェストは、知恵ある判断を下した。
①パウロはすでにカイザリヤにいる。
②自分も間もなくカイザリヤに向かって出発する予定である。
③ユダヤ人たちが自分といっしょにカイザリヤに下って行くのが筋である。
④そうすれば、カイザリヤでパウロの裁判を行おう。
Ⅱ.フェストによる裁判(6~8節)
1.6節
Act 25:6 フェストは、彼らのところに八日あるいは十日ばかり滞在しただけで、カイザリヤへ下って行き、翌日、裁判の席に着いて、パウロの出廷を命じた。
(1)フェストは、エルサレムに約10日間滞在した。
①当面の仕事を終えるために必要な期間である。
(2)カイザリヤに着くと、翌日、パウロの裁判を行った。
①「裁判の席」とは、「裁きの座」(the judgment seat)のことである。
*通常は、公の場に設置された裁判長の席である。
②パウロの出廷が命じられた。
*パウロにとっては、フェストに伝道するチャンスである。
2.7節
Act 25:7 パウロが出て来ると、エルサレムから下って来たユダヤ人たちは、彼を取り囲んで立ち、多くの重い罪状を申し立てたが、それを証拠立てることはできなかった。
(1)ルカは、裁判の内容を要約している。
①裁判の進み方は、ペリクスによる裁判と同じであったのだろう。
②ユダヤ人たちは、パウロの罪状を申し立てた。
③ルカは、「多くの思い罪状」とだけ書いている。
④弁護士テルトロが申し立てた内容の繰り返しであろう(使24:5~6)。
*ユダヤ人の律法に対する罪
*宮に対する罪
*カイザルに対する罪
⑤しかし、ユダヤ人たちは証拠を示すことができなかった。
⑥また、証人を立てることもできなかった。
3.8節
Act 25:8 しかしパウロは弁明して、「私は、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、またカイザルに対しても、何の罪も犯してはおりません」と言った。
(1)ユダヤ人たちの訴えが弱いので、パウロは全否定をするだけでよかった。
①訴えられている3つの罪を否認した。
②「私は、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、またカイザルに対しても、
何の罪も犯してはおりません」
Ⅲ.カイザルへの上訴(9~12節)
1.9節
Act 25:9 ところが、ユダヤ人の歓心を買おうとしたフェストは、パウロに向かって、「あなたはエルサレムに上り、この事件について、私の前で裁判を受けることを願うか」と尋ねた。
(1)フェストには、これ以降の裁判の進め方が分からなかった。
①そこで、新任の総督としてユダヤ人たちの気持ちを忖度した。
(2)彼は、パウロにつまらない質問をした。
①「あなたはエルサレムに上り、この事件について、私の前で裁判を受けること
を願うか」
②これは、エルサレムで裁判をしないという自らの判断を変更したものである。
③総督フェストがパウロの承認を求めたのは、パウロがローマ市民だからである。
*有罪判決が出ていないローマ市民の人権は、尊重しなければならない。
2.10~11節
Act 25:10 すると、パウロはこう言った。「私はカイザルの法廷に立っているのですから、ここで裁判を受けるのが当然です。あなたもよくご存じのとおり、私はユダヤ人にどんな悪いこともしませんでした。
Act 25:11 もし私が悪いことをして、死罪に当たることをしたのでしたら、私は死をのがれようとはしません。しかし、この人たちが私を訴えていることに一つも根拠がないとすれば、だれも私を彼らに引き渡すことはできません。私はカイザルに上訴します。」
(1)パウロは、フェストの提案を拒否した。
①エルサレムでは、より厳しい裁判になることが予想された。
②自分にはローマの法廷で裁判を受ける権利がある。
③自分は無罪なのだから、ユダヤ人たちに引き渡されることはあり得ない。
(2)「私はカイザルに上訴します」
①ローマ市民には、下級裁判所で不当な扱いを受ける可能性がある場合、カイザ
ルに上訴する権利があった。
②殺人、海賊、強盗などの現行犯には、この権利はなかった。
③ネロが皇帝であったが、統治の前半(54~62年)だったので、穏健であった。
*パウロには、ネロを恐れる理由がなかった(59年頃)。
④紀元62年以降、ネロはキリスト教徒を迫害する残忍な皇帝となる。
⑤パウロは、カイザリヤ脱出の唯一の方法が、上訴だと感じたのであろう。
3.12節
Act 25:12 そのとき、フェストは陪席の者たちと協議したうえで、こう答えた。「あなたはカイザルに上訴したのだから、カイザルのもとへ行きなさい。」
(1)これはフェストには好都合であった。
①ユダヤ人との関係について悩まなくてもよくなる。
②彼は、陪審の者たちと協議し、喜んでパウロの申し出を受け入れた。
(2)本来は、パウロは無罪なのだから、釈放すべきである。
①使26:32
Act 26:32 またアグリッパはフェストに、「この人は、もしカイザルに上訴しなかったら、釈放されたであろうに」と言った。
②しかしフェストは、パウロを釈放しなかった。
③このことが、使23:11の成就につながった。
Act 23:11 その夜、主がパウロのそばに立って、「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなければならない」と言われた。
結論
1.ペリクスとフェストの特徴
(1)ともに、相矛盾する性質を内に宿していた。
(2)ペリクス
①パウロの語る福音に興味を示した。
②と同時に、パウロから賄賂を受け取ろうとした。
(3)フェスト
①善良な総督というイメージの提示に腐心した。
②パウロの裁判においては、ユダヤ人を優遇した。
(4)両者ともに、大祭司やユダヤ人の指導者たちを怒らせることを恐れた。
(5)そういう状況下にあっても、パウロは福音を伝えた。
①神は、いかなる場合でもご自身のしもべを用いることができる。
2. イエスの裁判とパウロの裁判
(1)イエスの裁判
①ルカ23:1~56
②裁判の経過
*ピラトによる裁判
*ヘロデ・アグリッパによる裁判
*ピラトによる裁判
(2)パウロの裁判
①使24~26章
②裁判の経過
*ペリクスによる裁判
*フェストによる裁判
*ヘロデ・アグリッパⅡ世による裁判
(3)ルカ14:27
Luk 14:27 自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしの弟子になることはできません。
(4)2コリ4:10~11
2Co 4:10 いつでもイエスの死をこの身に帯びていますが、それは、イエスのいのちが私たちの身において明らかに示されるためです。
2Co 4:11 私たち生きている者は、イエスのために絶えず死に渡されていますが、それは、イエスのいのちが私たちの死ぬべき肉体において明らかに示されるためなのです。
(5)2テモ3:12
2Ti 3:12 確かに、キリスト・イエスにあって敬虔に生きようと願う者はみな、迫害を受けます。
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