使徒の働き(86)―サンヘドリンの前に立つパウロ―

  • 2019.12.09
  • 使徒の働き 22章30~23章11節
  • スピーカー 中川健一
  • 東京定例会
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「サンヘドリンの前に立つパウロ」

使徒22:30~23:11

1.はじめに

(1)文脈の確認

①パウロを神殿で見かけたユダヤ人たちは、騒動を起こした。

②殺される寸前で、千人隊長の介入があった。

③パウロは、千人隊長の許可を得て、群衆に語りかけた。

④パウロが異邦人伝道について話し始めると、群衆は激怒した。

⑤千人隊長はパウロを拘束し、むちを打って自白させようとした。

⑥しかしパウロがローマ市民であることを知り、計画を変更した。

 

 

(2)アウトライン

①サンヘドリンの召集(22:30)

②パウロの証言(23:1~5)

③作戦の変更(23:6~10)

④主からの励まし(23:11)

 

結論: 重要な3つのポイント

 

 

パウロの福音の神髄について学ぶ。

Ⅰ.サンヘドリンの召集(22:30)

1.30節

Act 22:30 その翌日、千人隊長は、パウロがなぜユダヤ人に告訴されたのかを確かめたいと思って、パウロの鎖を解いてやり、祭司長たちと全議会の召集を命じ、パウロを連れて行って、彼らの前に立たせた。

(1)千人隊長は、パウロがなぜ問題の原因になっているのか理解できない。

①神殿内の秩序を維持することは、彼の責務であった。

②そこで彼は、ユダヤ議会(サンヘドリン)をアントニア要塞に召集した。

③サンヘドリンの議員の中には、かつてのパウロの同僚たちもいたことであろう。

*主の恵みがなければ、パウロもその中に座していたはずである。

 

 

(2)千人隊長がサンヘドリンを召集した理由

①パウロの宗教的罪があるかどうか、サンヘドリンに裁かせる。

②問題がないと分かれば、パウロを釈放する。

③サンヘドリンが、パウロに政治的罪があると言えば、ローマの総督に裁かせる。

 

 

(3)サンヘドリンがキリスト(弟子たち)の主張を審議するのは、これで6回目。

①ヨハ11:47~53(ラザロ蘇生の報告を受けて)

②マタ26:57~68(イエスの裁判)

③使4:5~22(ペテロとヨハネの尋問)

④使5:21~40(12使徒たちの尋問)

⑤使6:12~7:60(ステパノの尋問)

⑥使23:1~10(パウロの尋問)

 

 

(4)大祭司アナニヤについて

①紀元47年~59年に、大祭司であった(ローマの任命による)。

②ヨセフスは、アナニヤを軽蔑すべき人間として描いている。

*一般の祭司に渡すべき什一献金を私物化した。

*ローマの高官に賄賂を渡した。

*ユダヤ・サマリア戦争の責任を問われローマに呼ばれたが、裁きは免れた。

*目的のためには、暗殺者を用いることも厭わなかった。

*政治的には、極めて親ローマの立場であった。

③紀元66年(この裁判から約9年後)、ユダヤ人たちによって暗殺された。

 

 

Ⅱ.パウロの証言(23:1~5)

1.1~2節

Act 23:1 パウロは議会を見つめて、こう言った。「兄弟たちよ。私は今日まで、全くきよい良心をもって、神の前に生活して来ました。」

Act 23:2 すると大祭司アナニヤは、パウロのそばに立っている者たちに、彼の口を打てと命じた。

(1)「兄弟たちよ」は、ユダヤ人たちが使っていた正式な呼びかけの言葉である。

①パウロは、自分がユダヤ教に忠実であることを示そうとした。

 

 

(2)「私は今日まで、全くきよい良心をもって、神の前に生活して来ました」

①自分の行為は、御心に反することでも、ユダヤ教の伝統に反することでもない。

②これは、自分には罪がないという意味ではない。

 

 

(3)大祭司アナニヤは、そばにいた兵者たちに、パウロの口を打つように命じた。

①パウロが「全くきよい良心」に言及したので、大祭司が怒ったのである。

②彼は、パウロは有罪だという予断に基づいて行動している。

③彼は、サドカイ派であるが、パウロはパリサイ派である。

 

(4)主イエスも同じ経験をされた(ヨハ18:20~22)。

Joh 18:20 イエスは彼に答えられた。「わたしは世に向かって公然と話しました。わたしはユダヤ人がみな集まって来る会堂や宮で、いつも教えたのです。隠れて話したことは何もありません。

Joh 18:21 なぜ、あなたはわたしに尋ねるのですか。わたしが人々に何を話したかは、わたしから聞いた人たちに尋ねなさい。彼らならわたしが話した事がらを知っています。」

Joh 18:22 イエスがこう言われたとき、そばに立っていた役人のひとりが、「大祭司にそのような答え方をするのか」と言って、平手でイエスを打った。

 

 

2.3節

Act 23:3 そのとき、パウロはアナニヤに向かってこう言った。「ああ、白く塗った壁。神があなたを打たれる。あなたは、律法に従って私をさばく座に着きながら、律法にそむいて、私を打てと命じるのですか。」

(1)ユダヤ教の律法では、有罪が証明されるまでは、無罪と見なされた。

①しかし、アナニヤは尋問が始まる前にパウロを打った。

②パウロは、激怒した。

③律法の執行者が、律法に反した行いをした(これは、偽善者の行いである)。

 

 

(2)「白く塗った壁」は、しっくいで上塗りされた壁である。

①外側は美しいが、内側は汚れている。

②エゼ13:10~16、マタ23:27(白く塗った墓)

 

 

(3)「神があなたを打たれる」

①あなたが私を打ったように、神はあなたを打たれる。

②この預言は、紀元66年に成就した。

 

 

3.4~5節

Act 23:4 するとそばに立っている者たちが、「あなたは神の大祭司をののしるのか」と言ったので、

Act 23:5 パウロが言った。「兄弟たち。私は彼が大祭司だとは知らなかった。確かに、『あなたの民の指導者を悪く言ってはいけない』と書いてあります。」

(1)議員たちは、大祭司の命令には驚かなかったが、パウロの言葉には驚いた。

①彼らは、「あなたは神の大祭司をののしるのか」と言った。

 

 

(2)パウロは、彼を打つように命じた人物が、大祭司であることを知らなかった。

①パウロは、エルサレムを20年以上離れていた。

②アナニヤは、大祭司の衣装を着用していなかった(議会の召集は緊急だった)。

③パウロが皮肉を言っている可能性はある。

 

 

(3)「確かに、『あなたの民の指導者を悪く言ってはいけない』と書いてあります」

①出22:28からの引用

②律法は、個人的な資質とは無関係に、大祭司の職を敬うように命じている。

 

 

Ⅲ.作戦の変更(23:6~10)

1.6節

Act 23:6 しかし、パウロは、彼らの一部がサドカイ人で、一部がパリサイ人であるのを見て取って、議会の中でこう叫んだ。「兄弟たち。私はパリサイ人であり、パリサイ人の子です。私は死者の復活という望みのことで、さばきを受けているのです。」

(1)正当な尋問を受けられないと判断したパウロは、作戦を変更する。

①サンヘドリンは、サドカイ派の議員と、パリサイ人の議員から成っていた。

②両者は、死者の復活に関して意見が異なっていた(百年以上続く論争)。

 

 

(2)パウロは、自分が根っからのパリサイ人であることを宣言する。

①それゆえ、「死者の復活という望み」は、パウロの宣教の土台であった。

②メシアは、死者の中からの復活によって、イスラエルを救われる。

③この確信は、ヘブル語聖書(旧約聖書)の預言に基づくものである。

 

 

2.7~9節

Act 23:7 彼がこう言うと、パリサイ人とサドカイ人との間に意見の衝突が起こり、議会は二つに割れた。

Act 23:8 サドカイ人は、復活はなく、御使いも霊もないと言い、パリサイ人は、どちらもあると言っていたからである。

Act 23:9 騒ぎがいよいよ大きくなり、パリサイ派のある律法学者たちが立ち上がって激しく論じて、「私たちは、この人に何の悪い点も見いださない。もしかしたら、霊か御使いかが、彼に語りかけたのかもしれない」と言った。

(1)サンヘドリンが2つに割れた。

①サドカイ人は、復活、天使、悪霊などを信じなかった。

②ユダヤ人の議論は、騒々しいものである。

③この状態では、パウロに対する尋問を継続することはできない。

 

 

(2)パリサイ派は、パウロの側に付いた。

①パウロが見た2つの幻(ダマスコ途上、神殿の中)を認め始めた。

 

 

4.10節

Act 23:10 論争がますます激しくなったので、千人隊長は、パウロが彼らに引き裂かれてしまうのではないかと心配し、兵隊に、下に降りて行って、パウロを彼らの中から力ずくで引き出し、兵営に連れて来るように命じた。

(1)千人隊長は、ユダヤ人たちが騒ぎを起こしている理由が、分からない。

①このままでは、パウロの命が危ない。

②そこで千人隊長は、パウロを保護し、兵営に連行するように命じた。

③サンヘドリンの議論は、そのまま続けさせた。

 

 

Ⅳ.主からの励まし(23:11)

1.11節

Act 23:11 その夜、主がパウロのそばに立って、「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなければならない」と言われた。

(1)主からの幻は、例外なしにパウロが危機的状況に置かれた時に与えられている。

①使9:5、22:17~21、18:9~10、23:11

 

 

(2)パウロは、この状況からどうしたら抜け出せるか思案していた。

①その夜、主がパウロのそばに立った。

 

 

(3)主からの励ましのことば

①勇気を出しなさい。

②あなたはエルサレムで証しした。

*これは、おほめの言葉である。

③そのように、ローマでも証ししなければならない。

*ローマでの伝道に関する使命意識が生まれた(パウロの忍耐心の源泉)。

 

 

結論: 重要な3つのポイント

1.パウロは、自分はパリサイ人であるという自己認識を持っていた。

(1)イエスを信じて20年以上経っていたが、自分はパリサイ人だと考えていた。

 

 

(2)パリサイ派の基本的な教理を保持していたからである。

①死者の復活、②魂の不滅、③永遠の報酬と裁き、④天使と悪霊の存在、

⑤神の主権(人間の責務とのバランス)、⑥ヘブル語聖書(旧約聖書)の権威

 

 

(3)イエス・キリストを信じることは、パリサイ派の教理と矛盾するものではない。

 

2.パリサイ人はクリスチャンになれるが、サドカイ人はそうではない。

(1)パリサイ人は、キリストを信じてからも、パリサイ人に留まることができる。

①律法に関する認識は、当然のことながら変化せざるを得ない。

 

 

(2)サドカイ人は、その信仰を変えなければ、クリスチャンになることはできない。

①クリスチャンは、死者の復活を否定できない。

②クリスチャンは、魂の不滅を否定できない。

③クリスチャンは、永遠の報酬と裁きを否定できない。

④クリスチャンは、天使と悪霊の存在を否定できない。

⑤また、トーラーだけを認め、預言者を否定するというようなことは出来ない。

 

3.パウロが伝える福音の神髄は、キリストの復活である。

(1)サンヘドリンの前で証言するのは、これが最後であるという認識があった。

①パウロは、最も重要なメッセージを伝えた。

 

 

(2)イエスが復活したという歴史的事実こそが、キリスト教の土台である。

①イエスこそヘブル語聖書が約束していたメシアであることが、証明された。

 

 

(3)アグリッパ王への弁明

①使26:6~8

Act 26:6 そして今、神が私たちの父祖たちに約束されたものを待ち望んでいることで、私は裁判を受けているのです。

Act 26:7 私たちの十二部族は、夜も昼も熱心に神に仕えながら、その約束のものを得たいと望んでおります。王よ。私は、この希望のためにユダヤ人から訴えられているのです。

Act 26:8 神が死者をよみがえらせるということを、あなたがたは、なぜ信じがたいこととされるのでしょうか。

②使26:22~23

Act 26:22 こうして、私はこの日に至るまで神の助けを受け、堅く立って、小さい者にも大きい者にもあかしをしているのです。そして、預言者たちやモーセが、後に起こるはずだと語ったこと以外は何も話しませんでした。

Act 26:23 すなわち、キリストは苦しみを受けること、また、死者の中からの復活によって、この民と異邦人とに最初に光を宣べ伝える、ということです。」

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