使徒の働き(81)―ツロからカイザリヤへ―

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第三次伝道旅行について学ぶ。

「ツロからカイザリヤへ」

使徒21:7~14

1.はじめに

(1)文脈の確認

①前回の最後の聖句(使21:5~6)

Act 21:5 しかし、滞在の日数が尽きると、私たちはそこを出て、旅を続けることにした。彼らはみな、妻や子どももいっしょに、町はずれまで私たちを送って来た。そして、ともに海岸にひざまずいて祈ってから、私たちは互いに別れを告げた。

Act 21:6 それから私たちは船に乗り込み、彼らは家へ帰って行った。

②パウロは、エルサレムに行こうとしている。

③パウロは、ツロからカイザリヤに移動する。

④パウロは、各地の教会から歓迎された。

*トロアスでの1週間(使20:7~12)

*ツロでの1週間(使21:4~6)

*トレマイでの1日(使21:7)

*カイザリヤでの数日(使21:8~14)

 

 

(2)アウトライン

①ツロからトレマイへ(7節)

②トレマイからカイザリヤへ(8節)

③アガボの預言(9~14節)

 

 

結論 :

1.パウロの最終目標

2.パウロのゲツセマネ

3.パウロの評価

エルサレムへの旅から霊的教訓を学ぶ

Ⅰ.ツロからトレマイへ(7節)

1.7節a

Act 21:7a 私たちはツロからの航海を終えて、トレマイに着いた。

(1)ツロからトレマイまでは、南に約40キロの船旅である。

①トレマイ(プトレマイオス)は、ローマの植民都市であった。

②旧約時代は、アコと呼ばれた(士1:31)。

Jdg 1:31 アシェルはアコの住民や、シドンの住民や、またマハレブ、アクジブ、ヘルバ、アフェク、レホブの住民を追い払わなかった。

③現在は、アッコ(ヘブル語)と呼ばれている。

*フェニキヤ最南端の港湾都市で、かつては、東地中海交易の拠点であった。

*イスラエル独立後もパレスチナ人が多く定住している(人口の約3分の1)。

*旧市街は、2001年にユネスコの世界遺産に登録された。

*オスマン帝国時代の各種建築物と、地下に十字軍時代の遺構が残っている。

*主イエスがアッコを訪問したという記録はない。

 

 

(2)ここでの滞在は、1日で終わった。

①船荷の積み卸しにさほどの時間がかからなかった。

 

 

2.7節b

Act 21:7b そこの兄弟たちにあいさつをして、彼らのところに一日滞在した。

(1)パウロとその一行は、トレマイでも信者を探した。

①この町の教会も、ツロの教会と同じように迫害の結果誕生したと思われる。

②使11:19(ステパノの殉教に伴って起こった迫害)

③信者を探す目的は、2つある。

*主にある交わり

*安心できる宿舎の確保

 

Ⅱ.トレマイからカイザリヤへ(8~9節)

1.8節

Act 21:8 翌日そこを立って、カイザリヤに着き、あの七人のひとりである伝道者ピリポの家に入って、そこに滞在した。

(1)トレマイからカイザリヤまでは、南に約50キロの船旅である。

①陸路を行った可能性もあるが、恐らく船旅であろう。

②カイザリヤの港は広大で、大きな船でも入港しやすい。

③カイザリヤは、ヘロデ大王が建設した港町で、今もその遺跡が残っている。

④一行は、予定よりも1週間以上も早くカイザリヤに着いたようである。

*祭りを祝うためにすぐにエルサレムに上る必要はない。

*幾日かカイザリヤに滞在する余裕が出来た。

 

 

(2)ここで、伝道者ピリポが久しぶりに登場する。

①前回彼が登場したのは、使8:40であった。

Act 8:40 それからピリポはアゾトに現れ、すべての町々を通って福音を宣べ伝え、カイザリヤに行った。

②彼は、使徒ピリポではなく、伝道者ピリポである。

「あの七人のひとり」とは、執事のひとりである(使6:1~5)

④ピリポの奉仕

*エルサレム教会で、執事のひとりとして食卓に仕えた。

*初めてサマリア人伝道を行った。

*エチオピア人の宦官を救いに導いた。

*カイザリヤに定住し(約20年前)、家庭を築いた。

*カイザリヤの教会を導き、主にある旅人たちをもてなした。

⑤パウロとピリポが知り合いであったかどうかは、分からない。

*使徒の働きの中では、初めての出会いである。

 

2.9節

Act 21:9 この人には、預言する四人の未婚の娘がいた。

(1)ピリポには4人の未婚の娘がいた。

①彼らには、預言の賜物が与えられていた。

②新約聖書が完成する前の時代には、預言の賜物は重要であった。

③神の声を聞き、それを信者に伝える能力が預言の賜物である。

④預言の賜物は、男性限定ではなかったことが分かる。

 

 

(2)ここではなんの預言も語っていないのに、なぜルカは4人を紹介しているのか。

①初期の伝承では、ピリポと4人の娘はヒエラポリス(小アジア)に移住した。

②その町でこの4人は、パピアスにエルサレム教会の初期の歴史を教えた。

③ルカもまた、カイザリヤ滞在中にこの4人から同様の情報を得たのであろう。

④当然、ピリポからも情報を得たはずである。

 

Ⅲ.アガボの預言(10~14節)

1.10節

Act 21:10 幾日かそこに滞在していると、アガボという預言者がユダヤから下って来た。

(1)預言者アガボの登場

①使11:27~28

Act 11:27 そのころ、預言者たちがエルサレムからアンテオケに下って来た。

Act 11:28 その中のひとりでアガボという人が立って、世界中に大ききんが起こると御霊によって預言したが、はたしてそれがクラウデオの治世に起こった。

②パウロとアガボは、旧知の仲であった。

③アガボの預言は、クラウデオ帝の治世に成就した。

*クラウデオの治世は、紀元44~54年。

*ききんは、アガボが預言した年に始まった。

*特に、紀元46年のききんが激しかった。

 

 

(2)アガボは、エルサレムを拠点に奉仕をしていた。

①ここでは、アガボはパウロに預言を伝えるためにカイザリヤに下ってきた。

 

 

2.11節

Act 21:11 彼は私たちのところに来て、パウロの帯を取り、自分の両手と両足を縛って、「『この帯の持ち主は、エルサレムでユダヤ人に、こんなふうに縛られ、異邦人の手に渡される』と聖霊がお告げになっています」と言った。

(1)彼は、旧約聖書の預言者たちの系譜に立ち、劇的に預言を語った。

①1列11:29~31(アヒヤは、着ていた新しい外套を12切れに引き裂いた)

②イザ20:2~4、エレ13:1~7、エゼ4章

「聖霊がお告げになっています」は、「【主】は言われる」(旧約)と同じである。

④アガボは、自分が語る預言の源は、聖霊であると宣言している。

 

 

(2)パウロに対する預言の内容

①パウロの帯を取り、自分の両手と両足を縛った。

②この帯の持ち主は、エルサレムでユダヤ人に逮捕され、異邦人の手に渡される。

*ユダヤ人がパウロの逮捕を画策し、ローマ人がそれを実行した。

③しかし、パウロはすでにこのことを主から知らされており、動揺はない。

④彼には、エルサレムで逮捕されることは、主の計画であるとの確信があった。

 

 

3.12節

Act 21:12 私たちはこれを聞いて、土地の人たちといっしょになって、パウロに、エルサレムには上らないよう頼んだ。

(1)パウロの同行者たちもカイザリヤの信者たちも、パウロのことを心配した。

①彼らは、パウロに、エルサレムには上らないように頼んだ。

②これは、愛に基づく忠告である。

*その中には、ルカも含まれていた。

③しかし、人間的な愛に基づく忠告は、危険な場合がある。

 

 

4.13~14節

Act 21:13 するとパウロは、「あなたがたは、泣いたり、私の心をくじいたりして、いったい何をしているのですか。私は、主イエスの御名のためなら、エルサレムで縛られることばかりでなく、死ぬことさえも覚悟しています」と答えた。

Act 21:14 彼が聞き入れようとしないので、私たちは、「主のみこころのままに」と言って、黙ってしまった。

(1)彼らの忠告は、パウロにさらなる痛みと悲しみを与えるだけであった。

①パウロは、自分の命以上に、主イエスの命令に従うことを重視した。

②彼の心は定まっていた。

③彼らは、「主のみこころのままに」と言って、黙ってしまった。

④これは、クリスチャンが祈るべき最後の祈りである。

 

 

結論:

1.パウロの最終目標

(1)エルサレムで宣教する。

①使9:15

Act 9:15 しかし、主はこう言われた。「行きなさい。あの人はわたしの名を、異邦人、王たち、イスラエルの子孫の前に運ぶ、わたしの選びの器です。

②使9:16

Act 9:16 彼がわたしの名のために、どんなに苦しまなければならないかを、わたしは彼に示すつもりです。」

 

 

(2)異邦人教会からの献金を届ける。

①コリントから船出しようとした際に、ユダヤ人の陰謀があったので計画を変更

した(使20:3)。まだ死ぬわけにはいかない。

②パウロは、ユダヤ人信者と異邦人信者の一致を求めた。

③エペ2:14~16

Eph 2:14 キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、隔ての壁を打ちこわし、

Eph 2:15 ご自分の肉において、敵意を廃棄された方です。敵意とは、さまざまの規定から成り立っている戒めの律法なのです。このことは、二つのものをご自身において新しいひとりの人に造り上げて、平和を実現するためであり、

Eph 2:16 また、両者を一つのからだとして、十字架によって神と和解させるためなのです。敵意は十字架によって葬り去られました。

④エペ3:6

Eph 3:6 その奥義とは、福音により、キリスト・イエスにあって、異邦人もまた共同の相続者となり、ともに一つのからだに連なり、ともに約束にあずかる者となるということです。

 

2.パウロのゲツセマネ

(1)イエスのゲツセマネの園での祈り(ルカ22:42)

Luk 22:42 「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください。」

①イエスは2つの可能性について祈り、最後は御心を優先させた。

②イエスが選んだのは、苦しいが神の栄光が現れる道であった。

 

 

(2)カイザリヤは、パウロのゲツセマネである。

①カイザリヤで、パウロに2つの道が示された。

*周りの信者たちが提案した、エルサレムに上らないという道

*危険が待っているが、エルサレムに上るという道

②最後は、 「主のみこころのままに」という祈りが勝った。

③ルカは、カイザリヤでのパウロの葛藤をゲツセマネの祈りとして描いている。

 

3.パウロの評価

(1)第三次伝道旅行の要約

①前2回の伝道旅行よりも、行動の記録が少ない。伝道の成果は大いにあった。

②第三次伝道旅行では、パウロの動機や内面が明らかに示されている。

③第三次伝道旅行では、悲しみや痛みを知る等身大のパウロが描かれている。

④彼は、神の恵みによって広大なローマ帝国に福音を伝える選びの器であった。

 

 

(2)諸教会から受けた歓迎

①初期の頃、パウロを疑う信者は多くいた。

②しかし彼は、ツロ、トレマイ、カイザリヤで大いに歓迎された。

③最初からの信者たちからも敬愛された。

*ピリピ、アガボ、マナソン(使21:16)との親交

④パウロは、信頼を勝ち取った。

 

 

(3)キリスト教史の中で受けてきた評価

①主イエス・キリストに続いて、世界中の信者から敬愛されている。

②パウロの信頼性は、そのまま新約聖書の信頼性につながる。

③彼が命懸けで教えようとしたのは、ユダヤ人信者と異邦人信者の一致である。

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