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使徒の働き(73)―エルサレムを目差すパウロ―
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第三次伝道旅行について学ぶ。
「エルサレムを目差すパウロ」
使徒19:21~22
1.はじめに
(1)第三次伝道旅行が始まった。
①使18:23~21:17(紀元53年の春から56年の春)
②第三次伝道旅行の中心地は、エペソである。
*ルカは、自由人としてのパウロの伝道活動の集大成を記している。
*パウロは、約3年の間エペソに留まった。
*教会史におけるエペソ伝道の重要性を見落としてはならない。
③いよいよエペソでの伝道が終わりに近づいてきた。
④この箇所から、新しい区分が始まる。
(2)使徒の働きの7区分
①7つの教会成長レポートで記述が区切られている。
②使2:47、6:7、9:31、12:24、16:5、19:20
③第7番目は、使28:30~31である。
Act 28:30 こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、
Act 28:31 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。
(3)第7番目の区分:ローマに至る教会の広がり(使19:21~28:31)
①復活のイエス・キリストが、御自身の教会を建てておられる。
②使徒たちは、イエス・キリストに用いられる器である。
③使19:21~22は、第7の区分の目次のような役割を果たしている。
④第7の区分の結論が、使28:30~31である。
⑤使徒の働きは、そこで終わる。
(4)第7の区分の特徴
①使徒の働き全体のおよそ3分の1を占める。
*神学的重要性のゆえに、長いのではない。
*ルカがこれだけのスペースを割いている理由を考える必要がある。
②パウロの弁明に多くのスペースが割かれている。
*合計5回の弁明が記録されている。
*これは、パウロの無罪性を証明する資料となる。
③「私たち章句」(’We’section)が多い。
*20:5~15、21:1~18、27:1~28:16
*これは目撃者情報であり、やはりパウロの無罪性を証明する資料となる。
*目撃者情報は、詳細な記録として残る(使16:11~40のピリピ伝道)。
(5)この段階で、パウロはエルサレム、そしてローマに目を向け始める。
①ローマの先には、スペインがある。
②ルカはスペインには触れていない。
③彼の執筆目的は、福音がローマに伝わるところまで扱うことである。
(6)エルサレムを目差すパウロ(21~22節)
①エルサレムに上る計画(21節)
②その前に為すべき優先事項(22節)
結論:2つの対比
(1)ルカの福音書と使徒の働きの対比
①中心地に関する対比
②エンディングに関する対比
③私たちへの教訓
(2)パウロの計画と神の計画の対比
①ローマに向うことに関して
②ローマに着く方法に関して
③私たちへの教訓
エルサレムに上るというパウロの決意について学ぶ。
Ⅰ.エルサレムに上る計画(21節)
1.21節
Act 19:21
これらのことが一段落すると、パウロは御霊の示しにより、マケドニヤとアカヤを通ったあとでエルサレムに行くことにした。そして、「私はそこに行ってから、ローマも見なければならない」と言った。
これらのことが一段落すると、パウロは御霊の示しにより、マケドニヤとアカヤを通ったあとでエルサレムに行くことにした。そして、「私はそこに行ってから、ローマも見なければならない」と言った。
(1)「これらのことが一段落すると、」
①「これらのことがあった後、」(新改訳2017)
②スケワの7人の息子たちの事件と、それに続くエピソードがあった後
(2)「パウロは御霊の示しにより、」
①パウロの伝道を導いているのは、聖霊である。
②聖霊の導きにより、パウロの伝道は次のステージに進む。
③パウロ自身の認識もあった。
*アジア州では、働きの場がなくなって来た。
*マケドニアとアカヤの諸教会も、成長している。
④パウロは、第四次伝道旅行を心に思い描いた。
*彼の心には、種々の短期計画があった。
*長期計画は、ローマに向うことである。さらに、スペインへ。
(3)ロマ書は第三次伝道旅行の終り頃、コリント滞在中(使20:2~3)に書かれた。
*エルサレムに諸教会の献金を届ける直前
①ロマ1:15
Rom 1:15 ですから、私としては、ローマにいるあなたがたにも、ぜひ福音を伝えたいのです。
②ロマ15:22
Rom 15:22 そういうわけで、私は、あなたがたのところに行くのを幾度も妨げられましたが、
Rom 15:23
今は、もうこの地方には私の働くべき所がなくなりましたし、また、イスパニヤに行く場合は、あなたがたのところに立ち寄ることを多年希望していましたので
今は、もうこの地方には私の働くべき所がなくなりましたし、また、イスパニヤに行く場合は、あなたがたのところに立ち寄ることを多年希望していましたので
Rom 15:24
──というのは、途中あなたがたに会い、まず、しばらくの間あなたがたとともにいて心を満たされてから、あなたがたに送られ、そこへ行きたいと望んでいるからです、──
──というのは、途中あなたがたに会い、まず、しばらくの間あなたがたとともにいて心を満たされてから、あなたがたに送られ、そこへ行きたいと望んでいるからです、──
Rom 15:25 ですが、今は、聖徒たちに奉仕するためにエルサレムへ行こうとしています。
(4)「マケドニヤとアカヤを通ったあとでエルサレムに行くことにした」
①彼は、マケドニアとアカヤの諸教会で、フォローアップの奉仕をしようとした。
②また、経済的に余裕のある諸教会から献金を集めようとした。
③エルサレムの貧しい聖徒たちを援助するためであった。
Ⅱ.その前に為すべき優先事項(22節)
1.22節
Act 19:22
そこで、自分に仕えている者の中からテモテとエラストのふたりをマケドニヤに送り出したが、パウロ自身は、なおしばらくアジヤにとどまっていた。
そこで、自分に仕えている者の中からテモテとエラストのふたりをマケドニヤに送り出したが、パウロ自身は、なおしばらくアジヤにとどまっていた。
(1)ローマに向う前に、優先させるべき奉仕があった。
①マケドニアでの奉仕
*ピリピ、ベレア
*テサロニケには戻れない(17:9)。
②アカヤでの奉仕
*特にコリント
③エルサレムでの奉仕
(2)自分が訪問するための準備として、ふたりの同労者を先にマケドニアに派遣した。
①献金を集める準備をさせる。
②テモテ
*彼が最後に現れたのはコリントであった(18:5)。
*ここで再び登場する。
③エラスト
*ロマ16:23
Rom 16:23
私と全教会との家主であるガイオも、あなたがたによろしくと言っています。市の収入役であるエラストと兄弟クワルトもよろしくと言っています。
私と全教会との家主であるガイオも、あなたがたによろしくと言っています。市の収入役であるエラストと兄弟クワルトもよろしくと言っています。
*コリントの町の収入役、裕福な信者。
*彼の名前が、コリントの遺跡から発掘されている。
*彼は、石の広場の建設のために献金した。
(3)「パウロ自身は、なおしばらくアジヤにとどまっていた」
①パウロは、もう少しアジアに留まり、働きを続けようとした。
②パウロは、この時期にコリント人への手紙第一を書いた。
*1コリ16:8~9
1Co 16:8 しかし、五旬節まではエペソに滞在するつもりです。
1Co 16:9 というのは、働きのための広い門が私のために開かれており、反対者も大ぜいいるからです。
②しかし、エペソで暴動が起り、町を出ることになる。
結論:
1.ルカの福音書と使徒の働きの対比
(1)中心地に関する対比
①ルカの福音書では、エルサレムが中心地である。
*イエス・キリストは、エルサレムで死に、埋葬され、復活された。
②使徒の働きでは、ローマが中心地である。
*福音は、エルサレムからローマに伝わった。
*イエス・キリストは、ローマ帝国の首都に御自身の教会を設立された。
(2)エンディングに関する対比
①ルカの福音書では、イエスの受難物語が詳細に記録されている。
*特に、最後の1週間が詳細に記録されている。
*ルカの福音書は、イエスの死ではなく、復活で終わってる。
②使徒の働きでは、パウロの「受難」が詳細に記録されている。
*使徒の働きは、パウロの死でなく、新しい生活で終わっている。
③ペテロの「受難」に関しても、同じことが言える。
*ペテロが解放されたところで、彼の「受難」物語が終わっている。
④ここに、イエス・キリストの復活との対比がある。
(3)私たちへの教訓
①人生は死で終わるのではない。復活の命がある。
2.パウロの計画と神の計画の対比
(1)ローマに向うことに関して
①神の御心は、パウロがローマに行き、そこで宣教することである。
②パウロの願いも、ローマで宣教することである。
(2)ローマに着く方法に関して
①パウロが予想したものとは違っている。
②神の主権は、人間の願いを超越したものである。
③最後は、神の御心が成る。
④暴動が起り、予定よりも早くエペソを出ることになったのは、その例である。
⑤彼は、エルサレムに帰還することは危険であることを認識していた。
⑥それでも、彼はエルサレムに上ることをいとわなかった。
(3)私たちへの教訓
①ルカ8:22(ゲラサ人の地)
Luk 8:22 そのころのある日のこと、イエスは弟子たちといっしょに舟に乗り、「さあ、湖の向こう岸へ渡ろう」と言われた。それで弟子たちは舟を出した。
②イエスが「向こう岸へ渡ろう」と言われたなら、必ず行ける。
③パウロの究極的長期計画は、主とともにいることである。
④より具体的には、千年王国(御国)に住むことである。
⑤千年王国は、将来成就する御国である。
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