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使徒の働き(63)―アテネでの伝道(2)―
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第二次伝道旅行について学ぶ。
「アテネでの伝道(2)」
使徒17:22~28
1.はじめに
(1)パウロの旅程
①マケドニア州でのパウロ伝道が終わった。
②アテネから、アカヤ州での伝道が始まる。
③地図の表示
(2)文脈の確認
①先ずユダヤ人に、次に異邦人に。
②パウロは、町が偶像でいっぱいなのを見て、心に憤りを感じた。
③広場(アゴラ)では、毎日そこに居合わせた人たちと論じた。
④エピクロス派とストア派の哲学者たちが、パウロと論じ合った。
⑤パウロはアレオパゴスに連れて行かれた。
*これは、聴聞である。
*パウロは、相当危ない状態に置かれていた。
⑥ここにあるのは、知的な異邦人に語られたメッセージのサンプルである。
*彼らは、旧約聖書に関して無知である。
*彼らは、非常に知的で哲学的である。
⑦パウロは、ユダヤ教のラビからギリシア人の雄弁家の姿に変貌した。
*タルソで育ったことが大いに役立ったと思われる。
(3)アウトライン
イントロダクション(22~23節)
①創造主としての神(24~25節)
②被造物としての人間(26節)
③神と人間の関係(27~28節)
④悔い改めへの招き(29~31節)
結果(メッセージに対する応答)(32~34節)
結論:
1.伝道の基本的姿勢
2.異邦人伝道にみられるヘブル語聖書の背景
アテネでの伝道(2)について学ぶ。
イントロダクション(22~23節)
1.22節
Act 17:22
そこでパウロは、アレオパゴスの真ん中に立って言った。「アテネの人たち。あらゆる点から見て、私はあなたがたを宗教心にあつい方々だと見ております。
そこでパウロは、アレオパゴスの真ん中に立って言った。「アテネの人たち。あらゆる点から見て、私はあなたがたを宗教心にあつい方々だと見ております。
(1)先ず、聴衆との接点を見出す必要がある。
①聴衆は異邦人なので、ヘブル語聖書は接点とはなり得ない。
②また、唯一神信仰も接点とはなり得ない。
③パウロが採用したのは、アテネの人たちが宗教心にあついという点である。
④パウロは、先ず聴衆のことをほめた。
⑤彼は、相手を侮辱したり、怒らせたりしないように、細心の注意を払っている。
(2)「あらゆる点から見て、私はあなたがたを宗教心にあつい方々だと見て
おります」
①「宗教心にあつい」はギリシア語で「デイシダイモニステロス」である。
②この言葉は、良い意味にも悪い意味にも使われる。
*平均的な人たちよりも神を敬う心があるという意味
*非常に迷信的であるという意味
・本来のギリシア語の意味は、「悪霊を恐れる」ということである。
③パウロは、意識してこの言葉を曖昧に使用している。
*もし聴衆の宗教心をほめたとするなら、それは欺瞞である。
*もし偶像礼拝を非難したとするなら、相手の心を閉ざしてしまう。
2.23節
Act 17:23
私が道を通りながら、あなたがたの拝むものをよく見ているうちに、『知られない神に』と刻まれた祭壇があるのを見つけました。そこで、あなたがたが知らずに拝んでいるものを、教えましょう。
私が道を通りながら、あなたがたの拝むものをよく見ているうちに、『知られない神に』と刻まれた祭壇があるのを見つけました。そこで、あなたがたが知らずに拝んでいるものを、教えましょう。
(1)町を巡りながら、アテネ人たちが拝むものを観察した。
①偶像(エイドウロン)という言葉を使わない。
②拝む対象(セバスマ)という言葉を使っている。
(2)そして、「知られない神に」と刻まれた祭壇があるのを見つけた。
①「知られない神」という概念が、コミュニケーションの接点となる。
②町のあちこちに、このような祭壇があった。
③これは、いわば保険を掛けるようなものである。
④自分たちの無知のゆえに、敬っていない神々がいるかもしれない。
⑤そういう神々の怒りを買わないために、祭壇を建てている。
⑥地震が起ったときに、「知られない神に」祈る習慣があった。
(3)パウロは、この習慣は間違っていないという前提で、話を進める。
①事実、あなたがたが知らないで拝んでいる神が存在している。
②その神について、私は教えたいと思う。
③この論法によって、違法に伝道しているという告発を回避することができた。
④パウロの手法は、ユダヤ教のラビの教授法でもある。
*「知っているもの」(拝んでいるという事実)から、「知らないもの」
(知られない神)へという移行がある。
Ⅰ.創造主としての神(24~25節)
1.24節
Act 17:24 この世界とその中にあるすべてのものをお造りになった神は、天地の主ですから、手でこしらえた宮などにはお住みになりません。
(1)神は、天地を創造したお方である。
①これは、アテネ人たちの世界観を否定する内容となっている。
②ある者たちは、もし世界が創造されたものであるなら、それはデミウルゴス
という存在によるものであると考えていた。
③また、物質は永遠不滅であると考える者もいた。
④さらに、ストア派は汎神論を教えていた。
⑤一般的なギリシア人は、多神教を信じていた。
(2)神は、この世界とその中にあるすべてのものをお造りになった。
①それゆえ、人間が作った宮に閉じ込めることはできない。
②アクロポリスの上に建つ荘厳なパルテノン神殿でさえも、そうである。
③この言葉の背後には、ヘブル語聖書の教えがある。
2.25節
Act 17:25
また、何かに不自由なことでもあるかのように、人の手によって仕えられる必要はありません。神は、すべての人に、いのちと息と万物とをお与えになった方だからです。
また、何かに不自由なことでもあるかのように、人の手によって仕えられる必要はありません。神は、すべての人に、いのちと息と万物とをお与えになった方だからです。
(1)神は、自己充足しておられるお方である。
①アテネ人たちは、ささげ物によって神々を喜ばせることができると考えていた。
②しかし、神は人の手によって仕えられる必要はない。
(2)人は、神によって支えられて生きている。
①神から、いのちと息を与えられた。
②神から、その他のすべてのものを与えられた。
Ⅱ.被造物としての人間(26節)
1.26節
Act 17:26
神は、ひとりの人からすべての国の人々を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、その住まいの境界とをお定めになりました。
神は、ひとりの人からすべての国の人々を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、その住まいの境界とをお定めになりました。
(1)アテネ人たちは、自分たちはこの地から出た特別な民であると考えていた。
①パウロは、その神話的確信を打ち破ろうとした。
(2)パウロは、創世記1章の内容を、聖書を引用しないで解説する。
①神は、ひとりの人(アダム)からすべての国の人々を造り出した。
*ある民族が特に優秀ということはない。
②神は、人々を地の全面に住まわせた。
③神は、それぞれに決められた時代と、その住まいの境界とをお定めになった。
④神は、活発に人類の歴史を支配しておられる。
⑤この説明の背後には、ヘブル語聖書がある。
⑥これは、エピクロス派の理神論と不可知論に対する反論になっている。
⑦これは、ストア派の汎神論と運命論に対する反論になっている。
Ⅲ.神と人間の関係(27~28節)
1.27節
Act 17:27
これは、神を求めさせるためであって、もし探り求めることでもあるなら、神を見いだすこともあるのです。確かに、神は、私たちひとりひとりから遠く離れてはおられません。
これは、神を求めさせるためであって、もし探り求めることでもあるなら、神を見いだすこともあるのです。確かに、神は、私たちひとりひとりから遠く離れてはおられません。
(1)「これは」というのは前節(26節)を受けた言葉である。
①神が摂理的に働いておられるのは、人間に神を求めさせるためである。
②神は、ご自身を求める人のそばにいてくださる。
(2)神は、人間が神を求め、発見することを願っている。
①神を求める人は、神を見出す。
*ロマ2:14~16参照
②なぜなら、神は私たちのそばにおられるからである。
③神は、エピクロス派が言うような理神論の神ではない。
④神は、ギリシア神話のゼウスのようにオリンポス山に座している神ではない。
(2)私たち人間は、神の中に生き、動き、存在している。
①つまり、神が私たち人間を支えておられるのである。
②このことを例証するために、パウロはギリシアの詩人たちを引用する。
2.28節
Act 17:28
私たちは、神の中に生き、動き、また存在しているのです。あなたがたのある詩人たちも、『私たちもまたその子孫である』と言ったとおりです。
私たちは、神の中に生き、動き、また存在しているのです。あなたがたのある詩人たちも、『私たちもまたその子孫である』と言ったとおりです。
(1)ここでパウロは、古のギリシア人の詩人たちの言葉を紹介する。
①クレタ島人のエピメニデス(前600年頃)
「私たちは、神の中に生き、動き、また存在しているのです」
②キリキヤ人のアラトゥス(前315~240年)
「私たちもまたその子孫である」
③ギリシア人たちは、自分たちのことをゼウス神の子孫だと考えていた。
④これは明らかにヘブライズム思想とは異なる。
⑤しかしパウロは、誤解を招きかねない表現を敢えて用いて、ぎりぎりの
ところで聴衆の宗教心を捉とらえようとした。
(2)パウロの次の論点
①私たちは神の子孫なのだから、神を、人間の技術や工夫で造った金や銀や
石などの像と同じだと考えてはならない。
(3)次回に続く内容
④悔い改めへの招き(29~31節)
結果(メッセージに対する応答)(32~34節)
結論:アテネでの伝道(2)から学ぶ教訓
1.伝道の基本的姿勢
(1)1コリ9:19~22
1Co 9:19 私はだれに対しても自由ですが、より多くの人を獲得するために、すべての人の奴隷となりました。
1Co 9:20
ユダヤ人にはユダヤ人のようになりました。それはユダヤ人を獲得するためです。律法の下にある人々には、私自身は律法の下にはいませんが、律法の下にある者のようになりました。それは律法の下にある人々を獲得するためです。
ユダヤ人にはユダヤ人のようになりました。それはユダヤ人を獲得するためです。律法の下にある人々には、私自身は律法の下にはいませんが、律法の下にある者のようになりました。それは律法の下にある人々を獲得するためです。
1Co 9:21
律法を持たない人々に対しては、──私は神の律法の外にある者ではなく、キリストの律法を守る者ですが──律法を持たない者のようになりました。それは律法を持たない人々を獲得するためです。
律法を持たない人々に対しては、──私は神の律法の外にある者ではなく、キリストの律法を守る者ですが──律法を持たない者のようになりました。それは律法を持たない人々を獲得するためです。
1Co 9:22
弱い人々には、弱い者になりました。弱い人々を獲得するためです。すべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです。
弱い人々には、弱い者になりました。弱い人々を獲得するためです。すべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです。
①伝道のためにあらゆる方法を用いようという意味ではない。
②これは、伝道しようとしている人たちとの一体化を意味している。
(2)私たちへの教訓
①対話の接触点を探そう。
②相手に理解できる言葉で語ろう。
(例話)「ある聖会で、聖めの恵みに与りました」
③相手に敬意を表し、見下すことのないようにしよう。
2.異邦人伝道にみられるヘブル語聖書の背景
(1)神は、神殿以上のお方である。
①1列8:27
1Ki 8:27
それにしても、神ははたして地の上に住まわれるでしょうか。実に、天も、天の天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私の建てたこの宮など、なおさらのことです。
それにしても、神ははたして地の上に住まわれるでしょうか。実に、天も、天の天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私の建てたこの宮など、なおさらのことです。
②イザ66:1~2
Isa 66:1
【主】はこう仰せられる。
【主】はこう仰せられる。
「天はわたしの王座、地はわたしの足台。
わたしのために、あなたがたの建てる家は、
いったいどこにあるのか。
わたしのいこいの場は、いったいどこにあるのか。
Isa 66:2
これらすべては、わたしの手が造ったもの、
これらすべては、わたしの手が造ったもの、
これらすべてはわたしのものだ。
──【主】の御告げ──
わたしが目を留める者は、
へりくだって心砕かれ、
わたしのことばにおののく者だ。
③使7:46~48
Act 7:46 ダビデは神の前に恵みをいただき、ヤコブの神のために御住まいを得たいと願い求めました。
Act 7:47 けれども、神のために家を建てたのはソロモンでした。
Act 7:48 しかし、いと高き方は、手で造った家にはお住みになりません。預言者が語っているとおりです。
(2)神は、摂理的に歴史に介入しておられる。
①使17:26
Act 17:26
神は、ひとりの人からすべての国の人々を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、その住まいの境界とをお定めになりました。
神は、ひとりの人からすべての国の人々を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、その住まいの境界とをお定めになりました。
②申32:8
Deu 32:8
「いと高き方が、国々に、
「いと高き方が、国々に、
相続地を持たせ、
人の子らを、振り当てられたとき、
イスラエルの子らの数にしたがって、
国々の民の境を決められた。
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