使徒の働き(55)―第二次伝道旅行の始まり―

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第二次伝道旅行について学ぶ。

「第二次伝道旅行の始まり」

使徒15:36~16:5

1.はじめに

(1)エルサレム会議の決定がアンテオケ教会に伝えられた。

①ユダとシラスが、エルサレム教会の代表として派遣された。

②手紙と彼らの証言によって、異邦人信者たちは大いに励まされた。

③ユダとシラスは、しばらく滞在して後、エルサレムに戻って行った。

 

(2)パウロとバルナバは、アンテオケにとどまった。

  ①この時期は、アンテオケ教会で伝道が大いに進んだと思われる。

  ②パウロとバルナバ以外にも、みことばを伝える人たちが多くいた。

  ③パウロとバルナバは、春が来て伝道旅行に出発する準備をしていた。

 

(3)次にルカが記すのは、第二次伝道旅行の様子である。

  ①この旅行は、約2年半に及ぶものである。

 

2.アウトライン

(1)パウロとバルナバの決裂(36~41節)

(2)テモテとの出会い(1~3節)

(3)教会成長報告(4~5節)

 

結論

1.ユダヤ人信者の割礼

2.教会の自立

 

第二次伝道旅行の始まりについて学ぶ。

Ⅰ.パウロとバルナバの決裂(36~41節)

  1.36節

Act 15:36 幾日かたって後、パウロはバルナバにこう言った。「先に主のことばを伝えたすべての町々の兄弟たちのところに、またたずねて行って、どうしているか見て来ようではありませんか。」

(1)代表団がエルサレムに帰還してから、さほど時間が経過していない。

  ①春の訪れとともに旅行がしやすくなって来た(陸路も海路も)。

  ②パウロからバルナバに、第二次伝道旅行の提案があった。

  ③行き先は、第一次伝道旅行で彼らが設立した諸教会である。

   *キプロス島、ガラテヤ地方

  ④訪問の目的は、弟子訓練である。

  ⑤確かめたい点

   *教会は存続しているか。

   *ユダヤ人からの迫害の中で、信者たちは信仰を持ち続けているか。

   *パウロが書き送った手紙(ガラテヤ人への手紙)への反応はどうか。

  2.37~38節

Act 15:37 ところが、バルナバは、マルコとも呼ばれるヨハネもいっしょに連れて行くつもりであった。

Act 15:38 しかしパウロは、パンフリヤで一行から離れてしまい、仕事のために同行しなかったような者はいっしょに連れて行かないほうがよいと考えた。

(1)準備段階で、バルナバとパウロの意見の相違が表面化した。

  ①伝道旅行が始まる前であったのが、よかった。

  ②ふたりは同じ福音理解を持っていたが、実践の面で意見が異なった。

 

(2)バルナバは、マルコとも呼ばれるヨハネを連れて行くつもりでいた。

  ①その役割は、第一次伝道旅行のときと同じで、助手である。

  ②マルコはバルナバのいとこであった(コロ4:10)。

  ③バルナバは、マルコに再度機会を与えようとした。汚名を返上するためである。

 

(3)パウロは、マルコを連れて行くことに反対した。

  ①マルコは、第一次伝道旅行において、パンフリヤで一行から離脱した。

  ②訳文の比較

「パンフリヤで一行から離れてしまい、仕事のために同行しなかったような者」

(新改訳)

「パンフィリアで一行から離れて働きに同行しなかった者」(新改訳2017)

 ③パウロは、マルコにはまだ伝道旅行の準備ができていないと判断した。

 

  3.39節

Act 15:39 そして激しい反目となり、その結果、互いに別行動をとることになって、バルナバはマルコを連れて、船でキプロスに渡って行った。

(1)パウロとバルナバは、長年の協力関係を解消した。

 ①マルコに関する評価は、両者ともに一部正しく、一部間違っている。

 ②しかし、それぞれが、自ら確信する道を行くことになった。

 ③そして、この反目は、2つの伝道チームを生み出すことになった(神の支配)。

 

(2)バルナバは、船でキプロスに渡って行った。

 ①バルナバは、出身地の伝道に戻って行ったのである。

 ②バルナバとマルコは、39節を最後に使徒の働きからその名が消える。

 ③この反目の記事は、ルカの記録が真実なものであることを示している。

 

(3)その後の展開

 ①パウロは、バルナバとの協力関係を解消したが、友人関係は維持した。

 ②1コリ9:5~6

1Co 9:5 私たちには、ほかの使徒、主の兄弟たち、ケパなどと違って、信者である妻を連れて歩く権利がないのでしょうか。

1Co 9:6 それともまた、私とバルナバだけには、生活のための働きをやめる権利がないのでしょうか。

 ③マルコとの関係も修復された。

 ④2テモ4:11

2Ti 4:11 ルカだけは私とともにおります。マルコを伴って、いっしょに来てください。彼は私の務めのために役に立つからです。

4.40~41節

Act 15:40 パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて出発した。

Act 15:41 そして、シリヤおよびキリキヤを通り、諸教会を力づけた。

(1)パウロは、シラスを同労者に選んだ。

 ①シラスは、エルサレム教会の指導者で預言者であった。

 ②また、ヘレニストのユダヤ人信者で、ローマの市民権を持っていた。

 ③シラスの動き

  *エルサレム→アンテオケ→エルサレム→アンテオケ

  *約1400キロの旅(東京→大阪→東京→大阪)

  *シラスは、伝道旅行にふさわしい人物だと言える。

 

(2)アンテオケ教会の祝福を受けて、パウロの伝道チームは出発した。

 ①シリアの諸教会(パウロが、アンテオケ教会にいた間に設立した)

 ②キリキヤの諸教会(パウロが、タルソにいた間に設立した)

 ③「諸教会を力づけた」。この訪問の第一義的目的は、弟子訓練であった。

 ④バルナバもパウロも、最初は故郷伝道から始めたのである。

Ⅱ.テモテとの出会い(1~3節)

  1.1~2節

Act 16:1 それからパウロはデルベに、次いでルステラに行った。そこにテモテという弟子がいた。信者であるユダヤ婦人の子で、ギリシヤ人を父としていたが、

Act 16:2 ルステラとイコニオムとの兄弟たちの間で評判の良い人であった。

(1)パウロとシラスは、ガラテヤ地方を訪問した。

 ①第一次伝道旅行で、パウロとバルナバが教会を設立した地方である。

 ②デルベ

 ③ルステラ

 

(2)テモテという弟子

 ①ギリシア語で「ティモセオス」、「神に賞賛された」という意味。

 ②母はユダヤ人信者、父はギリシア人であった。

 ③ルステラとイコニオムの諸教会で評判の良い人。

 ④祖母ロイスと母ユニケより信仰を受け継いだ(2テモ1:5)。

 ⑤幼い時から聖書教育を受けていた(2テモ3:15)。

 ⑥第一次伝道旅行で、パウロによって救いに導かれたと思われる。

 ⑦当時テモテは、20歳前後であったと思われる。

 ⑧テモテは、第二次伝道旅行に助手として参加する。

  *パウロが宣教地を去った後も、働きを続けた(使17:14、1テサ3:2、6)。

  *パウロの代理人として諸教会に派遣された(1コリ4:17、16:10)。

 ⑨パウロ書簡の6つにおいて、テモテは共同執筆者としてその名を連ねている。

  *2コリ、ピリピ、コロサイ、1テサ、2テサ、ピレモン

 ⑩「年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい」

(1テモ4:12)。当時のテモテは、30代後半から40代前半になっていたと思われる。

 ⑪パウロの殉教後も、テモテはエペソ教会の初代監督として奉仕した。

 ⑫その後彼は、ドミティアヌス帝の迫害の時に殉教したと伝えられている。

2.3節

Act 16:3 パウロは、このテモテを連れて行きたかったので、その地方にいるユダヤ人の手前、彼に割礼を受けさせた。彼の父がギリシヤ人であることを、みなが知っていたからである。

(1)パウロは、テモテを助手として連れて行こうとした。

 ①問題は、彼が割礼を受けていなかったことである。

 ②ギリシア人の父が、割礼を忌避したのであろう。

 ③ギリシア人にとって割礼は、肉体を傷つける行為に過ぎない。

 ④テモテが無割礼のユダヤ人であることは、ユダヤ人の間ではよく知られていた。

 

(2)そこでパウロは、テモテに割礼を受けさせた。

 ①「先ずユダヤ人に、次に異邦人に」を実行するために必要な措置であった。

 ②テモテにとっては大きな決断である。

 ③この割礼によって、ユダヤ人たちにつまずきを与えることが回避された。

Ⅲ.教会成長報告(4~5節)

1.4節

Act 16:4 さて、彼らは町々を巡回して、エルサレムの使徒たちと長老たちが決めた規定を守らせようと、人々にそれを伝えた。

(1)伝道チームは3人体勢になった。

 ①彼らは町々を巡回した。

  *イコニオム、ピシデヤのアンテオケ

 

(2)エルサレム会議の決定を記した手紙の内容を教えた。

 ①恵みと信仰による救い

 ②4つの禁止令

  *ユダヤ人信者と異邦人信者の関係を維持するためのガイドライン

 

2.5節

Act 16:5 こうして諸教会は、その信仰を強められ、日ごとに人数を増して行った。

(1)5番目の教会成長報告

 ①2:47、6:7、9:31、12:24、16:5、19:20、28:30~31

 ②これは、イスラエルの地の外で起こった教会成長の報告である。

結論

1 .ユダヤ人信者の割礼

(1)テモテに割礼を施したのは、実際的な理由からだけではない。

 

(2)そこには、神学的理由がある。

 

 ①新しい契約によって、律法を守ることは強制的な命令ではなくなった。

 ②ライフスタイルとしてユダヤ人が律法を守ることは自由である。

 

(3)割礼は、アブラハム契約のしるしである。

 ①それは、モーセの律法が与えられる400年も前に決まったことである。

 ②モーセの律法も割礼を命じたが、その命令は無効になった。

 ③新しい契約は、アブラハム契約の内容をより確かなものとした。

 

(4)神がアブラハム、イサク、ヤコブと結んだ契約は、今も有効である。

 ①ユダヤ人信者が割礼を受けるのは、アブラハム契約がそう命じているから。

 ②ユダヤ性のしるしは、モーセの律法ではなく、割礼である。

 

(5)ユダヤ人であるかどうかは、どのようにして判断するのか。

 ①聖書では、父親がユダヤ人であれば子もユダヤ人である。

 ②ユダヤ教では、母親がユダヤ人であれば子もユダヤ人である。

 ③テモテの場合は、異邦人になるかユダヤ人になるか、自分で選ぶことになる。

 ④ラビであるパウロは、テモテをユダヤ人として認識した。

2 .教会の自立

(1)パウロが訪問している諸教会は、特定の組織の下に置かれているわけではない。

 ①エルサレム会議やエルサレム教会が、最高権威だというわけではない。

 ②エルサレム会議の決議は、命令ではなく、助言である。

  *エルサレム教会や使徒たちは、諸教会に対して助言者の役割を果たす。

 

(2)地域教会は、それぞれが自立した存在である。

 ①黙1:13

Rev 1:13 それらの燭台の真ん中には、足までたれた衣を着て、胸に金の帯を締めた、人の子のような方が見えた。

  ②地域教会は、それぞれが直接キリストにつながっている。

 

(3)ピラミッド型の教会組織が危険な理由

 ①誤った教理が短時間の内に拡散する。

  *自立した教会は、直接キリストに責任を負う。

 ②全体主義的政府の支配下に容易に置かれる。

  *自立した教会は、迫害時には地下に潜ることができる。

  *中国の公認教会と地下教会の例

  *ナチスドイツの例

  *戦時中の日本の例

  *日本基督教団は、1941年に日本国内のプロテスタント33教派が「合同」

   して成立した合同教会で、戦時中はもっぱら戦時体制に貢献させられた。

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