使徒の働き(52)―エルサレム会議(2)―

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エルサレム会議について学ぶ。

「エルサレム会議(2)」
使徒15:6~12

1.はじめに
(1)第一次伝道旅行で多くの異邦人が救われた。
(2)ユダヤ主義者がアンテオケに来て、割礼を受けなければ救われないと教えた。
(3)パウロとバルナバは、その教えに激しく反論した。
(4)最終的には、エルサレム教会において使徒たちを交えて議論することになった。

①異邦人は、先ずユダヤ教に改宗する必要があるのか。
②あるいは、信仰と恵みによって異邦人のままで救われるのか。

(5)エルサレムに着くと、アンテオケ教会からの使節団は歓迎された。

①パウロとバルナバは、第一次伝道旅行の証しをした。
②ユダヤ主義者たちは、激しく反論した。

(6)この問題を議論するために、エルサレム会議が召集された。

 

2.アウトライン
(1)会議の開催(6~7節a)
(2)ペテロの発言(7b~11節)
(3)パウロとバルナバの発言(12節)

 

結論:
(1)ペテロとパウロの福音理解
(2)新しい契約
(3)キリストのくびき

 

エルサレム会議について学ぶ。
Ⅰ.会議の開催(6~7節a)
1.6節
Act 15:6 そこで使徒たちと長老たちは、この問題を検討するために集まった。
(1)参加者の顔ぶれ

①パウロとバルナバを中心としたアンテオケ教会からの使節団
②ペテロ、イエスの弟のヤコブ、その他の使徒たち、長老たち

(2)この会議は、教会全体に開かれていた。

①使15:12

Act 15:12 すると、全会衆は沈黙してしまった。そして、バルナバとパウロが、彼らを通して神が異邦人の間で行われたしるしと不思議なわざについて話すのに、耳を傾けた。

②彼らは、この問題がいかに重要なものであるかを知っていた。

2.7節a
Act 15:7a 激しい論争があって後、
(1)どれくらいの時間が経過したかは分からない。

①時間の長さは問題ではない。
②両者が自分の意見を十分に述べあったということである。

(2)訳文の比較
「激しい論争があって後、」(新改訳)
「多くの論争があった後、」(新改訳2017)
「議論を重ねた後、」(新共同訳)
「激しい争論があった後、」(口語訳)
「多くの議論ありし後、」(文語訳)
「And when there had been much disputing,」(KJV)
「And when there had been much questioning,」(ASV)

①ここでのポイントは、論争の激しさではなく、議論を尽くしたことにある。
②つまり、ユダヤ主義者に十分な発言の機会が与えられたということである。

 

Ⅱ.ペテロの発言(7b~11節)
1.7節b
Act 15:7bペテロが立ち上がって言った。「兄弟たち。ご存じのとおり、神は初めのころ、あなたがたの間で事をお決めになり、異邦人が私の口から福音のことばを聞いて信じるようにされたのです。
(1)議論が一段落すると、ペテロが立ち上がった。

①ここまでペテロが待っていたのは、奇跡的なことである。
*彼は、最初から結論が決まっていたというような印象を与えたくなかった。
②ペテロは、コルネリオの救いについて話し始めた。
*この話は、出席していた人たち全員が知っていたことである。
*コルネリオの救いについて、エルサレム教会内に大きな議論があった。
*ルカは、その説明に多くのスペースを割いた(使10:24~11:18)。
*この時にペテロを批判したのもまた、ユダヤ主義者たちであった。

(2)ペテロの話のポイント

①異邦人の救いは神から出たことである。
②そのために、私(ペテロ)が用いられた。
*ペテロには、御国の鍵が与えられていた。彼には、その自覚があった。
③異邦人の救いは、アンテオケ教会から出たアイデアではない。
④それは、エルサレム教会のリーダーであるペテロを通して実現したものである。
⑤「初めのころ」。異邦人の救いは、今に始まったことではない。
*コルネリオの救いは、かなり前(約10年前)に起こったことである。
*その時も、ユダヤ主義者たちは反対した。

2.8~9節
Act 15:8 そして、人の心の中を知っておられる神は、私たちに与えられたと同じように異邦人にも聖霊を与えて、彼らのためにあかしをし、
Act 15:9 私たちと彼らとに何の差別もつけず、彼らの心を信仰によってきよめてくださったのです。
(1)神は、人の心の中を知っておられる。

①ギリシア語で「カルディオグノウテイス」である。
②神が人を救うとき、その判断には誤りがない。

(2)神が人を救ったというしるしは、聖霊のバプテスマである。

①使2章で、ユダヤ人たちは異言を伴う聖霊のバプテスマを体験した。
*その結果、教会が誕生した。
*聖霊のバプテスマとは、信者がキリストの教会に加えられることである。
②使10章で、異邦人たちも異言を伴う聖霊のバプテスマを体験した。
*使10:44~46a

Act 10:44 ペテロがなおもこれらのことばを話し続けているとき、みことばに耳を傾けていたすべての人々に、聖霊がお下りになった。
Act 10:45 割礼を受けている信者で、ペテロといっしょに来た人たちは、異邦人にも聖霊の賜物が注がれたので驚いた。
Act 10:46 彼らが異言を話し、神を賛美するのを聞いたからである。

(3)聖霊の内住は、神の子とされていることのしるしである。

①これは、パウロの教えと合致している。
*ガラ4:6

Gal 4:6 そして、あなたがたは子であるゆえに、神は「アバ、父」と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました。

*ロマ8:9

Rom 8:9 けれども、もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたがたは肉の中にではなく、御霊の中にいるのです。キリストの御霊を持たない人は、キリストのものではありません。

(4)恵みと信仰による救いは、ユダヤ人であっても異邦人であっても変わらない。

①ユダヤ人と異邦人の間になんの差別(分けへだて)もない。
②コルネリオの救いに続く議論を通して、エルサレム教会はこれを認めていた。
③異邦人たちは、儀式ではなく、信仰によってきよめられた。

3.10~11節
Act 15:10 それなのに、なぜ、今あなたがたは、私たちの父祖たちも私たちも負いきれなかったくびきを、あの弟子たちの首に掛けて、神を試みようとするのです。
Act 15:11 私たちが主イエスの恵みによって救われたことを私たちは信じますが、あの人たちもそうなのです。」
(1)ペテロは、ユダヤ主義者たちの主張の問題点を指摘する。

①トーラーは、信者の肩に重くのしかかる「くびき」である。
②それは、「私たちの父祖たちも私たちも負いきれなかった」ものである。
*トーラーのすべてを実行できる人はいない。
*一点でも違反すれば、律法全体に違反したことになる。
*口伝律法は、モーセの律法の拡大解釈であり、さらに複雑になっている。
③異邦人に割礼や口伝律法を強要することは、「くびき」を負わせることである。

(2)ユダヤ主義者たちの主張は、神を試みようとすることである。

①ギリシア語で「ペイラゾウ」である。
②使5:9にあるサッピラに対するペテロの言葉

Act 5:9 そこで、ペテロは彼女に言った。「どうしてあなたがたは心を合わせて、主の御霊を試みたのですか。見なさい、あなたの夫を葬った者たちが、戸口に来ていて、あなたをも運び出します。」

③神は、恵みと信仰によって異邦人を救われた。
④今回は、神は間違っていると考えるのは神を試みることである。
*神の判断に逆らうのは、神の権威に挑戦し、神を試みることになる。

(3)ペテロは、自分たちが救われたのと同じ方法で異邦人も救われたと主張した。

①これは、異邦人にとって律法からの解放宣言となった。
②この発言が、ペテロが使徒の働きに登場する最後となった。
*御国の鍵を預かる役割がいかに重要であるかが明らかになった。
*異邦人が異言を伴う聖霊のバプテスマを体験したことがいかに大切である
かが明らかになった。
*ペテロの貢献によって、異邦人のための使徒パウロは、働きを継続できた。

 

Ⅲ.パウロとバルナバの発言(12節)
1.12節
Act 15:12 すると、全会衆は沈黙してしまった。そして、バルナバとパウロが、彼らを通して神が異邦人の間で行われたしるしと不思議なわざについて話すのに、耳を傾けた。
(1)ペテロの最終的な発言によって、全会衆は沈黙した。

①これ以上議論することがなくなった。

(2)バルナバの名が先に出ている。エルサレム教会では彼の知名度の方が高かった。

①彼らは、第一次伝道旅行の証しをした。
②神は彼らを通して、異邦人の間で多くのしるしと不思議を行われた。
③神が無条件の救いを認めていないとしたら、このようなことは起こらなかった。

 

結論:
1.ペテロとパウロの福音理解
(1)ペテロは、ユダヤ人も異邦人も恵みと信仰によって救われると主張した。

①異邦人の家に行くことさえ躊躇したペテロが、福音を理解するようになった。
(2)パウロも、恵みと信仰による救いを教えた。
①エペ2:8

Eph 2:8 あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。

②ガラ3:2

Gal 3:2 ただこれだけをあなたがたから聞いておきたい。あなたがたが御霊を受けたのは、律法を行ったからですか。それとも信仰をもって聞いたからですか。

(3)両者の見解が一致している理由は、同じところから啓示が来ているからである。

2.新しい契約
(1)ペテロは、トーラー(シナイ契約)を「くびき」と呼んだ。

①これは、ラビ的ユダヤ教の伝統的な用語である。
②それが与えられた当初から、そのすべて行うことは不可能であった。
③トーラーは、負いきれない「くびき」である。

(2)パウロも「くびき」という言葉を使っている。

①ガラ5:1

Gal 5:1 キリストは、自由を得させるために、私たちを解放してくださいました。ですから、あなたがたは、しっかり立って、またと奴隷のくびきを負わせられないようにしなさい。
(3)それゆえ、シナイ契約に代わる新しい契約が必要になった。

①エレ31:31~33

Jer 31:31 見よ。その日が来る。──【主】の御告げ──その日、わたしは、イスラエルの家とユダの家とに、新しい契約を結ぶ。
Jer 31:32 その契約は、わたしが彼らの先祖の手を握って、エジプトの国から連れ出した日に、彼らと結んだ契約のようではない。わたしは彼らの主であったのに、彼らはわたしの契約を破ってしまった。──【主】の御告げ──
Jer 31:33 彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。──【主】の御告げ──わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。

②ルカ22:20

Luk 22:20 食事の後、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流されるわたしの血による新しい契約です。

3.キリストのくびき

①信者は古いくびきから解放され、新しいくびきを負うようになった。
②マタ23:4

Mat 23:4 また、彼らは重い荷をくくって、人の肩に載せ、自分はそれに指一本さわろうとはしません。

③マタ11:28~30

Mat 11:28 すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。
Mat 11:29 わたしは心優しく、へりくだっているから、あなたがたもわたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。そうすればたましいに安らぎが来ます。
Mat 11:30 わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。」

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