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使徒の働き(42)―ヘロデ王の死―
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ヘロデ王の死について学ぶ。
「ヘロデ王の死」
使徒12:18~25
1.はじめに
(1)アンテオケ教会の成長の記録が一段落し、12章で、物語はエルサレムに戻る。
①ルカは、「イスラエルのメシア拒否」を再確認するためにこの箇所を書いている。
②教会に対するユダヤ人たちの敵対が、第一次伝道旅行の舞台を整えていく。
(2)教会に対するユダヤ人たちの態度は悪化した。
①異邦人が教会に加えられて以降、敵対心が増した。
②そういう背景の中で、エルサレム教会に再度迫害が襲って来た。
③ヘロデ王は、ユダヤ人たちの歓心を買うためにヤコブを殺した。
*ヘロデ大王の孫で、ヘロデ・アグリッパ1世である。
④次に、ペテロを逮捕し、種なしパンの祭りの終わりに殺そうと計画した。
⑤しかしペテロは、超自然的に牢から救出された。
⑥ヘロデのその後がどうなったのかを見てみよう。
*種を蒔けば、その刈り取りをすることになる。
2.アウトライン
(1)番兵たちの処刑(18~19節)
(2)ヘロデの死(20~23節)
(3)教会成長報告(24~25節)
結論:
(1)小さな反キリスト
(2)使徒の働きの大きな流れの確認
蒔いた種の刈り取りについて学ぶ。
Ⅰ.番兵たちの処刑(18~19節)
1.18節
Act 12:18 さて、朝になると、ペテロはどうなったのかと、兵士たちの間に大騒ぎが起こった。
(1)朝になると、番兵の交代時間になる。
①4人一組の兵士が4組任務に就いていた。
②彼らは、6時間交代でペテロの番をしていた。
③交代時間になり、ペテロがアントニア要塞の牢から消えていることに気づいた。
(2)訳文の比較
「ペテロはどうなったのかと、兵士たちの間に大騒ぎが起こった」(新改訳)
「兵士たちの間で、ペトロはいったいどうなったのだろうと、大騒ぎになった」
(新共同訳)
「兵卒たちの間に、ペテロはいったいどうなったのだろうと、大へんな騒ぎが起った」
(口語訳)
「ペテロは如何にせしとて兵卒の中(うち)の騷(さわぎ)一方ならず」(文語訳)
「there was no small stir among the soldiers, what was become of Peter.」
(ASV)
(3)ルカは、筆致を抑えることで、逆に兵士たちの動揺の大きさを表現している。
①自分たちの命が懸かっているので、動揺するのは当然である。
2.19節
Act 12:19 ヘロデは彼を捜したが見つけることができないので、番兵たちを取り調べ、彼らを処刑するように命じ、そして、ユダヤからカイザリヤに下って行って、そこに滞在した。
(1)ヘロデは、ペテロの捜索に当たった。
①大量の兵士たちを動員し、組織的に捜索を行ったことであろう。
②城門を閉め、エルサレム中を探し回ったことであろう。
③ペテロは、夜が明ける前に町から逃亡していた。
(2)ヘロデは、番兵たちを取り調べた。
①番兵たちの陰謀がなければ、ペテロが牢から消えることはあり得ない。
②番兵たちを拷問にかけて、自白を強要した。
③しかし、意味のある回答は得られなかった。
④一番の被害者は、番兵たちである。
(3)ヘロデは、彼らを処刑するように命じた。
①これは、任務遂行に失敗した兵士に対する一般的な処置である。
②ヘロデは、この出来事は神の業ではないと世間に公表しているのである。
*彼は、人間の命に対する敬意のかけらも持ち合わせていない。
③番兵たちの処刑をどう考えたらよいのか。
*これは、ヘロデの罪がもたらした副産物である。
*これは、より大きな裁きが下る前の前奏曲である。
(4)ヘロデは、カイザリヤに下って行った。
①カイザリヤには彼の王宮があった。
②彼には、解決すべき隣国との外交問題があった。
Ⅱ.ヘロデ王の死(20~23節)
1.20節
Act 12:20 さて、ヘロデはツロとシドンの人々に対して強い敵意を抱いていた。そこで彼らはみなでそろって彼をたずね、王の侍従ブラストに取り入って和解を求めた。その地方は王の国から食糧を得ていたからである。
(1)ヘロデは、ツロとシドンに対して強い敵意を抱いていた。
①ツロとシドンは、イスラエルの北に位置するフェニキアの2大都市である。
②怒りの原因は、分からない。
③ヘロデは、ツロとシドンへの輸出を禁止していた。
*特に、食糧輸出が禁止されたのは痛手であった。
(2)ツロとシドンの人々は、ヘロデとの確執が長期化することを恐れた。
①ヘロデは、ローマから絶大な権限を認められていた。
②イスラエルからの穀物輸入がなければ、食糧不足に陥る。
③恐らく、飢饉が始まる兆候が現れ始めていたのであろう。
(3)彼らは、ヘロデとの和解を求めた。
①彼らは、大規模な使節団をカイザリヤに送った。
②王の侍従ブラストを味方に付けた。
*恐らく、賄賂を贈ったのであろう。
2.21~22節
Act 12:21 定められた日に、ヘロデは王服を着けて、王座に着き、彼らに向かって演説を始めた。
Act 12:22 そこで民衆は、「神の声だ。人間の声ではない」と叫び続けた。
(1)「定められた日」
①紀元44年の夏、名目は皇帝クラウデオを称えるためという祭りが開催された。
②ツロとシドンの市民たち、カイザリヤの市民たちが、円形劇場に集まった。
③祖父のヘロデ大王が建設した建物である。
(2)ヘロデは演説を始めた。
①彼は、王服を着けた。
*銀製の王服で、朝日に照らされて見事な輝きを放った(ヨセフス)。
②彼は、王座に着いた。
*円形劇場の中央に王座が設けられていた。
③彼は、出席していた人たちに向って演説を始めた。
*今と違って、当時は着座した状態で演説するのが一般的であった。
(3)聴衆の反応は驚くべきものであった。
①ヘロデのスピーチは、確かに力強いものであった。
②聴衆は、おべっかを使わざるを得ない状況にあった。
③彼らは、「神の声だ。人間の声ではない」と叫び続けた。
「私たちを憐れんでください。これまで私たちは、あなたを人としてのみ敬って
きましたが、これからは、人間以上のお方として崇めます」(ヨセフス)
④ヘロデは、この声を叱責することも、制止することもしなかった。
3.23節
Act 12:23 するとたちまち、主の使いがヘロデを打った。ヘロデが神に栄光を帰さなかったからである。彼は虫にかまれて息が絶えた。
(1)神は直ちに裁きを下された。
①「主の使い」とは、激痛のことである。
②その理由は、ヘロデが神に栄光を帰さなかったからである。
③イザ42:8
Isa 42:8 わたしは【主】、これがわたしの名。/わたしの栄光を他の者に、/わたしの栄誉を刻んだ像どもに与えはしない。
(2)「彼は虫にかまれて息が絶えた」
①これは、寄生虫(25センチ以上)によって腸壁が食いちぎられることである。
*古代世界では、この死因は珍しくなかった。
*最悪の死因と考えられていた。
②ヘロデは円形劇場から王宮に運ばれ、そこで5日間苦しんで死んだ(ヨセフス)。
*54歳で死んだ。
③ヘロデの死後、ペリクス、そして、フェストがユダヤ総督になった。
*それに続いて、ヘロデ・アグリッパ2世が王となった。
Ⅲ.教会成長報告(24~25節)
1.24節
Act 12:24 主のみことばは、ますます盛んになり、広まって行った。
(1)使徒の働きの中に7つの教会成長記録がある。
①使2:47、6:7、9:31、12:24、16:5、19:20、28:30~31
②ここは、第4番目の成長記録である。
③ヘロデの迫害によっても、教会は滅びなかった。
(2)ヘロデの死後、再び伝道の機会がやって来た。
①紀元44年~47年間までの3年間、教会成長に適した状況が訪れた。
②と同時に、この時期に連続した飢饉が襲って来た。
③エルサレム教会は、最悪の状態に陥っていた可能があった。
④その時期に、アンテオケ教会からの義援金が届けられた。
*神の先回りの愛があった。
2.25節
Act 12:25 任務を果たしたバルナバとサウロは、マルコと呼ばれるヨハネを連れて、エルサレムから帰って来た。
(1)使11:29~30とつながっている。
Act 11:29 そこで、弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた。
Act 11:30 彼らはそれを実行して、バルナバとサウロの手によって長老たちに送った。
①これは、紀元47年の秋であろう。
(2)マルコがエルサレムからアンテオケに向った。
①第一次伝道旅行で彼が登場する。
結論:
1.小さな反キリスト
(1)1ヨハ2:18
1Jn 2:18 小さい者たちよ。今は終わりの時です。あなたがたが反キリストの来ることを聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています。それによって、今が終わりの時であることがわかります。
①「終わりの時」とは、神の人類救済計画の最後の段階という意味である。
②将来現れる反キリストと、すでに存在している反キリストを区別する必要があ
る。
*反キリストとは、誤った教理を広めている人たちである。
*反キリストとは、神に栄光を帰さない人たちである。
③多くの反キリストの存在は、今が終わりの時であることを証明している。
④正しい教理に留まることができないのは、最初から救われていなかった証拠。
(2)ヘロデ・アグリッパは、小さな反キリストのような存在である(6つのステップ)。
①彼は、ヤコブを捕らえ、斬首した。
②彼は、ペテロを捕らえ、種なしパンの祭りの最後に殺そうとした。
③しかし神は、奇跡的にペテロを救出された。
④ヘロデは、この啓示に背を向け、神に栄光を帰すことを拒否した。
*自分の兵士たち16人の命を奪った。
⑤カイザリヤで神のように振る舞った。
*使10:25~26のペテロとは正反対である。
Act 10:25 ペテロが着くと、コルネリオは出迎えて、彼の足もとにひれ伏して拝んだ。
Act 10:26 するとペテロは彼を起こして、「お立ちなさい。私もひとりの人間です」と言った。
⑥彼は、最も悲惨な死に方をした。
2.使徒の働きの大きな流れの確認
(1)使1:8
Act 1:8 しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」
①パート1エルサレム
②パート2ユダヤサ、マリヤ
③パート3地の果て
(2)使13章から世界宣教が始まる。
①今もそれが続いている。
②私たちも、その働きに加えていただこう。
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