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使徒の働き(24)―ステパノの弁明(2)―
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ステパノの弁明について学ぶ。
「ステパノの弁明(2)」
使徒7:17~43
1.はじめに
(1)ステパノは、使徒の働きの物語の岐路に立つ人物である。
①ステパノの裁判が始まる。
②偽証人たちは、ステパノがユダヤ教の4つの土台を冒涜していると攻撃した。
*神、モーセ、トーラー、神殿
(2)ステパノの弁明
①この弁明は、使徒の働きの中で最も長いメッセージである。
②この弁明は、歴史的事実の羅列ではなく、旧約聖書の組織神学である。
(3)ステパノの弁明の6つのポイント(7:1~53)
①アブラハム:ユダヤ教の土台(7:1~8)
②ヨセフ:拒否された者が高く上げられ救い主になった(7:9~16)。
③モーセ:拒否された者が解放者になった(7:17~40)。
④イスラエルの慢性的罪:偶像礼拝(7:41~43)
⑤神殿:神の臨在の普遍性(7:44~50)
⑥イスラエルの民の糾弾:常に聖霊に逆らっている(7:51~53)。
2.アウトライン
(3)モーセ:拒否された者が解放者になった(7:17~40)。
(4)イスラエルの慢性的罪:偶像礼拝(7:41~43)
結論:
(1)モーセの物語の要約
ステパノの弁明について学ぶ。
Ⅲ.モーセ:拒否された者が解放者になった(7:17~40)。
1.17~18節
Act7:17 神がアブラハムにお立てになった約束の時が近づくにしたがって、民はエジプトの中にふえ広がり、
Act7:18 ヨセフのことを知らない別の王がエジプトの王位につくときまで続きました。
(1)ヨセフと同じように、モーセもまた解放者である。
①エジプト滞在中に、イスラエルの民はふえ広がり、一大民族となった。
②モーセの登場は「神がアブラハムにお立てになった約束の時」が近づいた証拠。
③出エジプトの出来事は、アブラハム契約の成就として解釈する必要がある。
*アブラハム契約は、ユダヤ教の土台である。
(2)「ヨセフのことを知らない別の王」
①ヨセフのことを知らない別の王(パロ)が登場した。
Exo1:8 さて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった。
②「新しい」(ハダッシュ)は、七十人訳聖書で「ヘテロス」と訳されている。
③ステパノは、七十人訳聖書を引用している。
④「ヘテロス」という言葉は、新しい王朝になったことを示唆している。
⑤新しい王朝になったときから、反ユダヤ的政策が始まる。
2.19~21節
Act7:19 この王は、私たちの同胞に対して策略を巡らし、私たちの父祖たちを苦しめて、幼子を捨てさせ、生かしておけないようにしました。
Act7:20 このようなときに、モーセが生まれたのです。彼は神の目にかなった、かわいらしい子で、三か月の間、父の家で育てられましたが、
Act7:21 ついに捨てられたのをパロの娘が拾い上げ、自分の子として育てたのです。
(1)エジプトは、人類の歴史上、最初に反ユダヤ主義を政策に取り入れた国である。
①パロは、ヘブル人の幼子が男なら殺すように命じた。
②次のパロは、生まれた男の子はみなナイルに投げ込むように命じた。
(2)モーセが誕生したとき、両親は幼子を3ヶ月間家に隠して育てた。
①それができなくなると、幼子をナイル川に浮かべた。
②パロの娘がその幼子を拾い上げ、王宮で自分の子として育てた。
3.22節
Act7:22 モーセはエジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、ことばにもわざにも力がありました。
(1)ルカは、モーセの学問について詳しくは書いていない。
①モーセは、エジプトの王子として帝王学を学んだ。
②ヨセフスとフィロンがそれに言及している。
③数学、幾何学、音楽、文学、天文学、著述、哲学
(2)「ことばにもわざにも力がありました」
①モーセの能力は秀でていた。
②しかし彼には、2つのアイデンティティがあった。
*二重国籍のような状態。エジプト人なのか、ヘブル人なのか。
③40歳になって、彼はヘブル人としてのアイデンティティを選ぶことにした。
4.23~25節
Act7:23 四十歳になったころ、モーセはその兄弟であるイスラエル人を、顧みる心を起こしました。
Act7:24 そして、同胞のひとりが虐待されているのを見て、その人をかばい、エジプト人を打ち倒して、乱暴されているその人の仕返しをしました。
Act7:25 彼は、自分の手によって神が兄弟たちに救いを与えようとしておられることを、みなが理解してくれるものと思っていましたが、彼らは理解しませんでした。
(1)彼は、神が自分を同胞の解放者として立てたと確信した。
①虐待される同胞をかばい、エジプト人を殺し、その死体を隠した。
②彼は、同胞の解放者として行動を開始したのである。
(2)モーセは、同胞が自分のことを理解してくれるだろと思った。
①同胞は、自分に周りに集まり、自分を支持してくれるだろう。
②しかし彼らは、モーセを解放者として受け入れなかった。
5.26~29節
Act7:26 翌日彼は、兄弟たちが争っているところに現れ、和解させようとして、『あなたがたは、兄弟なのだ。それなのにどうしてお互いに傷つけ合っているのか』と言いました。
Act7:27 すると、隣人を傷つけていた者が、モーセを押しのけてこう言いました。『だれがあなたを、私たちの支配者や裁判官にしたのか。
Act7:28 きのうエジプト人を殺したように、私も殺す気か。』
Act7:29 このことばを聞いたモーセは、逃げてミデアンの地に身を寄せ、そこで男の子ふたりをもうけました。
(1)翌日、モーセは争っている兄弟たちの仲裁役を買って出た。
①争いを仕掛けた人が、モーセに抵抗した。
②「だれがあなたを、私たちの支配者や裁判官にしたのか」
③「きのうエジプト人を殺したように、私も殺す気か」
④神はモーセを解放者として任命していたが、ヘブル人たちはモーセを拒否した。
(2)そこでモーセは、ミデアンの地に逃れた。
①エジプト人を殺したことが知れ渡っているので、エジプト人の報復を恐れた。
②ミデアンの地で異邦人の妻をめとり、二人の男の子を育てた。
*異邦人の地でのモーセを、神は祝された。
6.30~32節
Act7:30 四十年たったとき、御使いが、モーセに、シナイ山の荒野で柴の燃える炎の中に現れました。
Act7:31 その光景を見たモーセは驚いて、それをよく見ようとして近寄ったとき、主の御声が聞こえました。
Act7:32 『わたしはあなたの父祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。』そこで、モーセは震え上がり、見定める勇気もなくなりました。
(1)40年後、80歳の時に、神は燃える柴の中でモーセに現れた。
①神は、ご自身を契約の御名で呼ばれた。
*「アブラハム、イサク、ヤコブの神」
②神は、約束の地から遠く離れた地でご自身を啓示された。
③モーセは、非常に恐れた。
7.33~34節
Act7:33 すると、主は彼にこう言われたのです。『あなたの足のくつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地である。
Act7:34 わたしは、確かにエジプトにいるわたしの民の苦難を見、そのうめき声を聞いたので、彼らを救い出すために下って来た。さあ、行きなさい。わたしはあなたをエジプトに遣わそう。』
(1)「あなたの足のくつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地である」
①約束の地だけでなく、神が臨在される所はすべて聖なる地である。
(2)神は確かにモーセをイスラエルの解放者、支配者として立てた。
①イスラエルの民はモーセを解放者と認めていないが、エジプトに行けという。
8.35~36節
Act7:35 『だれがあなたを支配者や裁判官にしたのか』と言って人々が拒んだこのモーセを、神は柴の中で彼に現れた御使いの手によって、支配者また解放者としてお遣わしになったのです。
Act7:36 この人が、彼らを導き出し、エジプトの地で、紅海で、また四十年間荒野で、不思議なわざとしるしを行いました。
(1)ヨセフの場合と同じことが起こった。
①イスラエルの民は、最初モーセを拒否した。
②モーセが2度目に現れたときに、彼らはモーセを信じた。
③拒否された者が高く上げられ、解放者として受け入れられた。
(2)モーセは、エジプトの地で、紅海で、荒野で、奇跡を行った。
①「また四十年間荒野で、不思議なわざとしるしを行いました」
②モーセが神によって立てられた解放者であることが明らかになった。
9.37~38節
Act7:37 このモーセが、イスラエルの人々に、『神はあなたがたのために、私のようなひとりの預言者を、あなたがたの兄弟たちの中からお立てになる』と言ったのです。
Act7:38 また、この人が、シナイ山で彼に語った御使いや私たちの父祖たちとともに、荒野の集会において、生けるみことばを授かり、あなたがたに与えたのです。
(1)このモーセが、メシアの到来を預言した。
①「私のようなひとりの預言者を、あなたがたの兄弟たちの中からお立てになる」
②モーセのような預言者とは、メシアのことである。
③申18:15~19
④律法学者には、イエスが「モーセのような預言者」であることは明白である。
*イエスは、不思議なわざとしるしを行われた。
⑤しかし彼らは、このイエスを殺した。
(2)このモーセが、神がイスラエルの民に律法を与えるための仲介者となった。
①彼は、シナイ山の上で神のことばを受け取った。
10.39~40節
Act7:39 ところが、私たちの父祖たちは彼に従うことを好まず、かえって彼を退け、エジプトをなつかしく思って、
Act7:40 『私たちに、先立って行く神々を作ってください。私たちをエジプトの地から導き出したモーセは、どうなったのかわかりませんから』とアロンに言いました。
(1)民は再びモーセを退けた。
①モーセがシナイ山の上にいる間に、民は偶像を作り、それを礼拝した。
②この拒否は、最初の拒否とは本質的に異なる。
*この拒否は、出エジプト体験の後で起こった拒否である。
*この拒否は、神ご自身の拒否であり、律法の拒否である。
Ⅳ.イスラエルの慢性的罪:偶像礼拝(7:41~43)
1.41節
Act7:41 そのころ彼らは子牛を作り、この偶像に供え物をささげ、彼らの手で作った物を楽しんでいました。
(1)金の子牛事件は、ほんの始まりに過ぎなかった。
①約束の地に入るなり、イスラエルの民は偶像礼拝を行った。
②イスラエルの民は、偶像礼拝の傾向を強めて行った。
③イスラエルの民の歴史は、神への反抗の歴史である。
2.42~43節
Act7:42 そこで、神は彼らに背を向け、彼らが天の星に仕えるままにされました。預言者たちの書に書いてあるとおりです。/『イスラエルの家よ。あなたがたは/荒野にいた四十年の間に、/ほふられた獣と供え物とを、/わたしにささげたことがあったか。
Act7:43 あなたがたは、モロクの幕屋と/ロンパの神の星をかついでいた。/それらは、あなたがたが拝むために/作った偶像ではないか。/それゆえ、わたしは、あなたがたを/バビロンのかなたへ移す。』
(1)神は、イスラエルの民を放置した。
①その思いのままにさせた。
(2)アモス書からの引用
①アモ5:25
Amo5:25 「イスラエルの家よ。/あなたがたは、荒野にいた四十年の間に、/ほふられた獣とささげ物とを/わたしにささげたことがあったか。
②アモ5:26~27
Amo5:26 あなたがたはあなたがたの王サクテと、/あなたがたのために造った星の神、キウンの像を/かついでいた。
Amo5:27 わたしはあなたがたを、/ダマスコのかなたへ捕らえ移す」と/その名を万軍の神、【主】という方が仰せられる。
(3)ステパノが今戦っている相手は、偶像礼拝の民の子孫たちである。
結論:モーセの物語の要約
1.ステパノによる要約
(1)誕生、幼年時代、エジプトでの教育
(2)同胞からの拒否
Act7:25 彼は、自分の手によって神が兄弟たちに救いを与えようとしておられることを、みなが理解してくれるものと思っていましたが、彼らは理解しませんでした。
①モーセは、キリストの型である。
(3)ミデアンの地での寄留生活
(4)神の顕現と、モーセのエジプトへの派遣
(5)イスラエルの民の解放者
(6)「モーセのような預言者」の預言
(7)同胞からの2度目の拒否
①イスラエルの民は、金の子牛を礼拝した。
②イスラエルの民の偶像礼拝の性質は、歴史を通して一貫している。
③偶像礼拝に下る罰が、バビロン捕囚である。
2.歴史は繰り返す。
(1)イスラエルの民は、神が遣わした解放者をすぐに認識することができない。
(2)イエスもまた、ご自分の民から拒否された。
①ペテロは明確にそれを伝えた。
Act3:13 アブラハム、イサク、ヤコブの神、すなわち、私たちの父祖たちの神は、そのしもべイエスに栄光をお与えになりました。あなたがたは、この方を引き渡し、ピラトが釈放すると決めたのに、その面前でこの方を拒みました。
(3)再臨の際には、イスラエルの民はイエスがメシアであることを受け入れる。
①ヨセフの生涯に起こったことと同じパターンである。
②モーセの生涯に起こったことと同じパターンである。
(4)モーセは、自分の兄のアロンにさえも裏切られた。
①アロンが、金の子牛のデザイナーである。
②アロンは、初代の大祭司である。
(5)ステパノは、モーセに反抗した世代の子孫たちの前に立っている。
①モーセに反抗した世代は、旧約時代において最も霊的に頑なな世代である。
②イエスに反抗した世代は、それよりもさらに頑なな世代である。
(6)日本人も、一度はキリストを拒否した。
(7)二度目には、キリストを受け入れるように祈ろう。
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