使徒の働き(22)―ステパノの逮捕―

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ステパノの逮捕について学ぶ。

「ステパノの逮捕」

使徒6:8~15

1.はじめに

(1)問題解決のために、食卓のことに仕える人が7人選ばれた。

①その中で最も重要なのは、ステパノである。

②ステパノは、使徒の働きの物語の岐路に立つ人物である。

③物語の主役は、ペテロからパウロに移行して行く。

④宣教地は、イスラエルの地から地の果てに移行して行く。

⑤その移行のきっかけとなる人物が、ステパノである。

 

(2)使6章と7章の流れ

①ステパノの逮捕

②ステパノの弁明

③ステパノの殉教者の死

*最後に、パウロが登場する。

 

2.アウトライン

(1)ステパノの奉仕(8~10節)

(2)ステパノの逮捕(11~12節)

(3)ステパノを訴える偽証人たち(13~15節)

 

結論: 神殿から会堂(シナゴーグ)へ

 

ステパノの逮捕について学ぶ。

Ⅰ.ステパノの奉仕(8~10節)

1.8節

Act 6:8 さて、ステパノは恵みと力とに満ち、人々の間で、すばらしい不思議なわざとしるしを行っていた。

(1)ステパノの本来の賜物は、伝道者のそれである

①彼は、「恵みと力とに満ち」て奉仕をしていた。

 

(2)彼の働きは、使徒たちのそれに非常に似ている。

「人々の間で、すばらしい不思議なわざとしるしを行っていた」

②不思議なわざとしるしは、使徒たちの権威と信頼性を証明するものである。

③使徒たち以外に、不思議としるしを行っていた伝道者が例外的に2人いた。

*ステパノとピリポ

Act 8:6 群衆はピリポの話を聞き、その行っていたしるしを見て、みなそろって、彼の語ることに耳を傾けた。

④この2人は、使徒たちの按手によってこの賜物を得たと思われる。

 

(3)ステパノは、数々のヘレニストのシナゴーグを訪問し、伝道を行った。

①ナザレのイエスは、主であり救い主であるというメッセージを語った。

②当時、エルサレムを中心に480の会堂(シナゴーグ)があったと言われている。

③同じ文化的背景のユダヤ人たちが集まり、各会堂を形成していた。

④そのひとつが、リベルテンの会堂である。ステパノは、そこで福音を伝えた。

 

2.9節

Act 6:9 ところが、いわゆるリベルテンの会堂に属する人々で、 クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤから来た人々などが立ち上がって、ステパノと議論した。

(1)リベルテンの会堂(リベルティノス)

①かつてローマの奴隷であったが、今は自由民となったユダヤ人たち

②親は奴隷であったが、子どもは自由民となったユダヤ人たち

③この会堂の献堂の碑文が発掘されている。

 

(2)この会堂には、4つのサブグループに細分化されていた。

①クレネ人

*リビアからの帰還民

②アレキサンドリヤ人

*エジプトからの帰還民

③キリキヤから来た人々

*サウロの出身地タルソは、キリキヤに含まれる。

*サウロがこの会堂のキリキヤ人グループに属していた可能性はある。

*ステパノとサウロが神学論争をした可能性もある。

④アジアから来た人々

*小アジアのさまざまな地区から帰還したユダヤ人たち

 

(3)ステパノは、リベルテンの会堂の4つのグループと議論した。

 

3.10節

Act 6:10 しかし、彼が知恵と御霊によって語っていたので、それに対抗することができなかった。

(1)ステパノの役割と賜物

①7人の世話役のひとり

②しるしを行う人

③伝道者

④すぐれた討論者

*「恵みと力とに満ち」(8節)

*「知恵と御霊によって語っていた」(10節)

 

(2)ユダヤ人たちは、ステパノに対抗することができなかった。

①理屈で対抗できない場合は、人は力に訴える。

 

Ⅱ.ステパノの逮捕(11~12節)

1.11節

Act 6:11 そこで、彼らはある人々をそそのかし、「私たちは彼がモーセと神とをけがすことばを語るのを聞いた」と言わせた。

(1)「彼らはある人々をそそのかし、」

①脅迫か買収により、偽証する人々を立てた。

②ユダヤ教では、偽証は死罪に値する。

 

(2)「私たちは彼がモーセと神とをけがすことばを語るのを聞いた」

①これが偽証の内容である。

②彼らは、ステパノを冒涜罪で追求したのである。

③ミシュナによれば、本来冒涜罪とは「ヤハウェという神の契約の御名をみだり

に口にすること」である。

④紀元1世紀になると、冒涜罪のより広い解釈が行われていた可能性がある。

 

2.12節

Act 6:12 また、民衆と長老たちと律法学者たちを扇動し、彼を襲って捕らえ、議会にひっぱって行った。

(1)偽証人の言葉を聞いただけで、民衆と長老たちと律法学者たちは激怒した。

①彼らは徒党を組んでステパノを襲い、彼をサンヘドリンの前に立たせた。

②使徒たちは、イエスの御名で語ることを禁じられていた。

 

(2)イエスの弟子たちがサンヘドリンの前に立つ出来事が4度起こる。

①ペテロとヨハネ(4:15)

②使徒たち全員(5:27)

③ステパノ(6:12)

④パウロ(22:30)

 

Ⅲ.ステパノを訴える偽証人たち(13~15節)

1.13節

Act 6:13 そして、偽りの証人たちを立てて、こう言わせた。「この人は、この聖なる所と律法とに逆らうことばを語るのをやめません。

(1)偽証人たちの糾弾内容は、後に出て来るステパノの弁明からある程度類推される。

①使徒たちが語った死者の復活のメッセージは、サドカイ派を激怒させた。

②律法は無効になったというステパノのメッセージは、パリサイ派を激怒させた。

③ステパノのメッセージは、ヘブル人への手紙の論旨と似たものである。

*メシアの死と復活により、新しい契約の時代に入った。

*御子イエスは、ユダヤ教のあらゆる人物や制度よりも優位に立つ。

*メシアの死により、モーセの律法は無効になった。

④以上の論旨は、モーセや神殿に逆らうものではなく、正しい解釈である。

 

(2)ステパノを糾弾する理由は、彼がユダヤ教の土台を攻撃しているからである。

①神、②モーセ、③トーラー、④神殿

 

(3)彼がユダヤ教の土台を攻撃しているという証言は、ユダヤ人を激怒させた。

①モーセに対する冒涜(11節)

*すべてのユダヤ人を激怒させた。

②神に対する冒涜(11節)

*すべてのユダヤ人を激怒させた。

③神殿に対する攻撃(13~14節)

*サドカイ人を激怒させた。

④律法(トーラー)に対する攻撃(13~14節)

*パリサイ人を激怒させた。

 

(4)当時のユダヤ人社会には、政教分離という概念がなかった。

①ユダヤ教はそのまま政治であり文化であった。

②ユダヤ教を否定するステパノは、愛国心に欠けると見なされた。

 

2.14節

Act 6:14 『あのナザレ人イエスはこの聖なる所をこわし、モーセが私たちに伝えた慣例を変えてしまう』と彼が言うのを、私たちは聞きました。」

(1)イエス自身が、ご自身は神殿よりも偉大だと語っておられた。

Mat 12:6 あなたがたに言いますが、ここに宮より大きな者がいるのです。

 

(2)またイエスは、神殿の崩壊を預言しておられた。

Luk 21:6 「あなたがたの見ているこれらの物について言えば、石がくずされずに積まれたまま残ることのない日がやって来ます。」

①恐らくステパノは、神殿の崩壊についても語ったことであろう。

 

(3)イエスの裁判では、イエスのことばが文脈を無視して引用された。

Mar 14:58 「私たちは、この人が『わたしは手で造られたこの神殿をこわして、三日のうちに、手で造られない別の神殿を造ってみせる』と言うのを聞きました。」

①イエスがステパノの見本となっている。

 

3.15節

Act 6:15 議会で席に着いていた人々はみな、ステパノに目を注いだ。すると彼の顔は御使いの顔のように見えた。

(1)全員出席していたとするなら、71人の議員がいたことになる。

①彼らはステパノを見つめ、どういう弁明がなされるか、待った。

 

(2)「すると彼の顔は御使いの顔のように見えた」

①シナイ山で、モーセの顔は、神との出会いを反映させて輝いた。

Exo 34:29 それから、モーセはシナイ山から降りて来た。モーセが山を降りて来たとき、その手に二枚のあかしの石の板を持っていた。彼は、主と話したので自分の顔のはだが光を放ったのを知らなかった。

Exo 34:35 イスラエル人はモーセの顔を見た。まことに、モーセの顔のはだは光を放った。モーセは、主と話すために入って行くまで、自分の顔におおいを掛けていた。

 

結論:神殿から会堂(シナゴーグ)へ

1.ステパノは使徒の働きのターニングポイントに立つ人物

(1)ペテロからパウロへ

(2)イスラエルの地から地の果てへ

(3)神殿から会堂(シナゴーグ)へ

 

2.シナゴーグの歴史

(1)シナゴーグは、最初はユダヤ人の集まりを意味した。

①それが時間の経過とともに、集まる場所を意味するようになった。

②「教会」も同じような経緯を辿る。

(2)バビロン捕囚(前586年)の期間に誕生したと思われる。

①神殿崩壊後も、ユダヤ教を維持するための方法として生まれた。

②シナゴーグは、祈りとトーラーの学びのためのコミュニティセンターとなった。

(3)捕囚からの帰還後

①イスラエルの地に帰還したユダヤ人たちは、各地にシナゴーグを建てた。

②ディアスポラの地に留まったユダヤ人たちは、シナゴーグの活動を継続した。

③両者にとって、シナゴーグは神殿での礼拝を補完するものとなった。

(4)紀元1世紀

①イスラエルの地には480のシナゴーグがあったとされる。

②それぞれのシナゴーグが、文化的均一性を保持した。

(ILL)難破した2人のユダヤ人のたとえ話(3つのシナゴーグ)

③シナゴーグは、その地におけるユダヤ人の生活の中心となった。

*イスラエルの地においても、ディアスポラの地においても、そう言える。

*コミュニティセンター

*礼拝、祈り、説教の場

*冠婚葬祭の場

*時事問題を論じる場

*学校(成人学校、子どものための学校、改宗者のための学校)

④シナゴーグは、水辺の近くに建てられた。洗礼槽のための水。

(5)使徒の働きの中のシナゴーグ

①シナゴーグという言葉は、19回出て来る。

②ユダヤ人の生活と密接に結びついていた。

③パウロの伝道旅行のためのインフラストラクチャーとなった。

④ディアスポラの地では、シナゴーグのそばに宿屋が建てられることが多かった。

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