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使徒の働き(21)―教会内の問題の解決―
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内部の問題にどのように対処すべきかについて学ぶ。
「教会内の問題の解決」
使徒6:1~7
1.はじめに
(1)悪魔は、教会を破壊しようとして攻撃する。
①外からの攻撃
②それが不発に終わると、内部から崩壊を起そうとする。
③最初の教会内部の問題は、アナニヤとサッピラの罪であった。
④この箇所は、第2の教会内部の問題である。
⑤この問題を乗り越えると、さらに教会は成長する。
(2)問題解決のために、食卓のことに仕える人が7人選ばれる。
①その中で最も重要なのは、ステパノである。
②ステパノは、使徒の働きの物語の岐路に立つ人物である。
③物語の主役は、ペテロからパウロに移行して行く。
④宣教地は、イスラエルの地から地の果てに移行して行く。
⑤その移行のきっかけとなる人物が、ステパノである。
2.アウトライン
(1)問題の勃発(1節)
(2)使徒たちの提案(2~4節)
(3)7人の選抜(5~7節)
結論:
(1)ステパノ
(2)ピリポ
(3)アンテオケの改宗者ニコラオ
(4)ヘレニストのユダヤ人
内部の問題にどのように対処すべきかについて学ぶ。
Ⅰ.問題の勃発(1節)
1.1節
Act 6:1 そのころ、弟子たちがふえるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちが、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して苦情を申し立てた。彼らのうちのやもめたちが、毎日の配給でなおざりにされていたからである。
(1)この問題は、祝福の結果生まれてきたものである。
①教会は成長している。
②信者たちは、愛の実践として相互扶助を行っている。
③人数が増えると、教会内に派閥が生まれる。
*ギリシア語を使うユダヤ人たち(ヘレニスト)
*ヘブル語を使うユダヤ人たち(ヘブライスト)
④使用する言語の違いは、文化的背景の違いである。
*ローマの支配下では、ある程度ギリシア語ができないと成功しない。
*ヘレニストのユダヤ人たちにとっては、ギリシア語は母国語である。
(2)ギリシア語を使うユダヤ人たちとは、どういう人たちか。
①ディアスポラの地からイスラエルの地に帰還したユダヤ人たちである。
*長期にわたって(ある場合は数世代にわたって)、離散の地に住んでいた。
*彼らは、離散の地から帰還し、今はエルサレムに住んでいる。
*ペンテコステの日以降、そのままエルサレムに留まった人もいただろう。
②彼らは、土着のユダヤ人(ヘブライスト)とは文化的背景が異なる。
*ギリシア語で礼拝を行うシナゴーグに通っていた。
*一般論として、当時のユダヤ教やユダヤ文化はギリシア化の傾向にあった。
*ヘレニストたちは、よりギリシア文明を受け入れていた。
③両者の違いは、さまざまな形を取って現れていた(緊張関係があった)。
*教育、人生観、世界観、芸術や哲学に対する興味
(3)ヘレニストの中にやもめが多かった理由は何か。
①晩年になってイスラエルの地に帰還するディアスポラのユダヤ人が多くいた。
②エルサレムに埋葬されるためである。
*ユダヤ人たちは、聖都に埋葬された人が最初に復活すると考えていた。
*離散の地に埋葬された人は、先ず聖都に埋葬されてから復活するとされた。
*この習慣の名残が、今もユダヤ人の間にある。
・イスラエルの地の土を小袋に入れ、遺体とともに埋葬する。
③教会は、大勢のヘレニストのやもめの面倒を見ることになった。
(4)律法と預言者の教え
①やもめや必要を抱えた人たちは、信仰の共同体が援助する。
②申10:17~19
Deu 10:17 あなたがたの神、【主】は、神の神、主の主、偉大で、力あり、恐ろしい神。かたよって愛することなく、わいろを取らず、
Deu 10:18 みなしごや、やもめのためにさばきを行い、在留異国人を愛してこれに食物と着物を与えられる。
Deu 10:19 あなたがたは在留異国人を愛しなさい。あなたがたもエジプトの国で在留異国人であったからである。
③エレ7:5~7
Jer 7:5 もし、ほんとうに、あなたがたが行いとわざとを改め、あなたがたの間で公義を行い、
Jer 7:6 在留異国人、みなしご、やもめをしいたげず、罪のない者の血をこの所で流さず、ほかの神々に従って自分の身にわざわいを招くようなことをしなければ、
Jer 7:7 わたしはこの所、わたしがあなたがたの先祖に与えたこの地に、とこしえからとこしえまで、あなたがたを住ませよう。
④初期の教会は、この命令を実行していた。
*やもめたちに毎日食事を配給していた。
⑤にもかかわらず、ヘレニストたちは自分たちがなおざりにされていると感じた。
*毎日の配給で、ヘブライストに対してえこひいきが行われていると感じた。
*意図的にえこひいきをしていたわけではないだろう。
Ⅱ.使徒たちの提案(2~4節)
1.2節
Act 6:2 そこで、十二使徒は弟子たち全員を呼び集めてこう言った。「私たちが神のことばをあと回しにして、食卓のことに仕えるのはよくありません。
(1)12使徒の対応
①迅速に対応した。
②信者総会を開いた。
③問題があることを率直に認めた。
④奉仕の原則を明らかにした。
*霊的な奉仕が優先される。
*物質的奉仕も尊いものである。
2.3~4節
Act 6:3 そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判の良い人たち七人を選びなさい。私たちはその人たちをこの仕事に当たらせることにします。
Act 6:4 そして、私たちは、もっぱら祈りとみことばの奉仕に励むことにします。」
(1)「食卓のことに仕える」ために7人が選ばれた。
①食物を配給するという愛の奉仕をこの7人が行うように、権限委譲がなされた。
*教会の金銭的管理と運用は、この7人に委ねられた。
②使徒たちは、「もっぱら祈りとみことばの奉仕に励むことにする」。
*祈りは、人について神に伝えること。
*みことばの奉仕は、神について人に伝えること。
(2)この7人は執事職の始まりとなったと思われるが、断定はできない。
①ギリシア語の「ディアコノス」(執事)(deacon)という言葉は出ていない。
②しかし、動詞の「ディアコネオウ」(仕える)は出ている。
③一時的な職責であった可能性もある。
(3)3つの条件
①評判が良い(人をつまずかせないために必要)。
②御霊に満ちている(霊的資質が必要)。
③知恵に満ちている(実際的な能力が必要)。
(4)申1:12~13
Deu 1:12 どのようにして、私一人であなたがたのもめごとと重荷と争いを負いきれるだろうか。
Deu 1:13 あなたがたは部族ごとに、知恵があり判断力があり経験に富む人たちを出しなさい。彼らをあなたがたのかしらとして立てよう。」
①モーセは、民が自らのかしらを選ぶことを許可した。
②ここでも、信者たちは自らの判断で7人を選ぶことが許された。
③ここでは、クジを引いていない。
④内住の聖霊の導きに信頼した。
Ⅲ.7人の選抜(5~7節)
1.5~6節
Act 6:5 この提案は全員の承認するところとなり、彼らは、信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、およびピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、アンテオケの改宗者ニコラオを選び、
Act 6:6 この人たちを使徒たちの前に立たせた。そこで使徒たちは祈って、手を彼らの上に置いた。
(1)7人の顔ぶれ
①全員が、ギリシア名を持っている。
*全員が、ヘレニストのユダヤ人であろう。
*これは、愛ある譲歩であり、知恵である。
*特記すべき人物が3名いる。
・ステパノ、ピリポ、アンテオケの改宗者ニコラオ
*他の4人に関しては、情報がない。
(2)祈りと按手
①使徒たちは、7人のために祈り、彼らの上に手を置いた。
②これは、使徒たちから権限を委譲されたという公の宣言である。
③彼らは、使徒たちの代理人となった。
④手を置くことは、ユダヤの習慣である。
⑤民27:22~23
Num 27:22 モーセは【主】が命じられたとおりに行った。ヨシュアを連れて来て、彼を祭司エルアザルと全会衆の前に立たせ、
Num 27:23 自分の手を彼の上に置いて、【主】がモーセを通して告げられたとおりに任命した。
⑥現代のラビも、同じ方法で任職を受ける。
2.7節
Act 6:7 こうして神のことばは、ますます広まって行き、エルサレムで、弟子の数が非常にふえて行った。そして、 多くの祭司たちが次々に信仰に入った。
(1)2度目の教会成長報告
①使2:47が1回目である。
Act 2:47 神を賛美し、民全体から好意を持たれていた。主は毎日、救われる人々を加えて一つにしてくださった。
②使6:7が2回目である。
*教会内の問題が解決した結果の、教会成長である。
(2)「多くの祭司たちが次々に信仰に入った」
①エルサレムで弟子の数が非常に増えて行った。
②入信する祭司たちへの言及がある。
③彼らは、サドカイ派である。
④7章に入ると、ステパノが糾弾されるが、ルカはその準備をしている。
*糾弾の内容が正しければ、多くの祭司たちが入信することはあり得ない。
結論:人はより良い方法を求める。神はより良い人を求める。
1.ステパノ
(1)信仰と聖霊に満ちた人
①信仰は聖霊に満たされるための前提条件である。
②聖霊によって人格が支配されていた。
(2)彼は、エルサレム教会で重要な役割を演じるようになる。
①彼は使徒ではないが、最初の殉教者となる。
②彼の死がきっかけとなり、迫害が起こる。
③信者は散らされ、宣教地はエルサレムから外に広がって行く。
2.ピリポ
(1)サマリヤ人伝道行うようになる。
(2)エチオピア人の宦官を救いに導く。
(3)カイザリヤでパウロをもてなす。
3.アンテオケの改宗者ニコラオ
(1)彼は、イエスを信じる前にユダヤ教に改宗していた。
(2)アンテオケという町とユダヤ教への改宗者は、これから先、ルカが記す物語の重
要な要素となって行く。
①アンテオケの教会が異邦人教会として成長し、世界宣教を行うようになる。
②改宗者は、パウロの伝道に積極的に応答した人たちである。
③使13:43
Act 13:43 会堂の集会が終わってからも、多くのユダヤ人と神を敬う改宗者たちが、パウロとバルナバについて来たので、ふたりは彼らと話し合って、いつまでも神の恵みにとどまっているように勧めた。
4.ヘレニストのユダヤ人たち
(1)ヘレニストのユダヤ人たちが、宣教の広がりのために用いられた。
(2)世界宣教の文脈
①日々の配給への不満→②7人の選び(全員ヘレニスト)→③ステパノの登場→
④ステパノの殉教→⑤迫害→⑥ヘレニストのユダヤ人のエルサレム脱出→
⑦ピリポのサマリヤ人伝道→⑧アンテオケでの異邦人伝道(使11:19~20)→
⑨異邦人教会の確立→⑩パウロの登場→⑪世界宣教
(3)すべての信者になんらかの役割が与えられている。
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