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使徒の働き(18)―教会内の罪―
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教会内の罪について学ぶ。
「教会内の罪」
使徒5:1~16
1.はじめに
(1)第1回目の教会成長報告は、使2:42~47にあった。
①決心した信者たちの弟子訓練が継続して行われた。
②貧しい兄弟たちのために、自分の持ち物を売って分配していた。
(2)第2回目の教会成長報告は、使4:32~37にあった。
①信者の数は、約2万人になった。
②信者の間に一致があった。
③その一致が、相互扶助の形で表現された。
④信者の手本になる人物として、バルナバが登場した。
(3)この箇所で、教会内の罪が初めて取り上げられる。
①アナニヤとサッピラは、バルナバとは対照的な人物である。
②神の働きが顕著である時は、悪魔も忙しく働く。
③しかし、教会の霊性が健全であれば、悪は白日の下にさらされる。
2.アウトライン
(1)アナニヤの罪の裁き(1~6節)
(2)サッピラの罪の裁き(7~11節)
(3)使徒たちの力ある証し(12~16節)
結論:
(1)アナニヤとサッピラの救い
(2)ペテロの権威
教会内の罪について学ぶ。
Ⅰ.アナニヤの罪の裁き(1~6節)
1.1~2節
Act 5:1 ところが、アナニヤという人は、妻のサッピラとともにその持ち物を売り、
Act 5:2 妻も承知のうえで、その代金の一部を残しておき、ある部分を持って来て、使徒たちの足もとに置いた。
(1)アナニヤとサッピラは、バルナバと対照的な人物である。
①彼らは、バルナバが受けた人々からの賞賛を求めたのであろう。
②同じ「使徒たちの足もとに置いた」という表現が使用されている。
*バルナバと同じことをしたように見えているが、重要な点で違いがある。
③彼らは、代金の一部を残しておき、ある部分を持って来て、捧げた。
④訳文の比較
「代金の一部を残しておき、」(新改訳)
「代金の一部を自分のために取っておき、」(新改訳2017)
「代金をごまかし、」(新共同訳)
「その代金をごまかし、」(口語訳)
「幾分を匿(かく)しおき、」(文語訳)
⑤ギリシア語の動詞「ノスフィゾウ」
(2)アナニヤとサッピラの罪は、旧約聖書のアカンの罪に似ている。
①ヨシ7:1~26
Jos 7:1 しかしイスラエルの子らは、聖絶のもののことで不信の罪を犯し、ユダ部族のゼラフの子ザブディの子であるカルミの子アカンが、聖絶のもののいくらかを取った。そこで、【主】の怒りはイスラエル人に向かって燃え上がった。
②七十人訳では「取った」(ヘブル語のラカァ)という動詞は「ノスフィゾウ」。
*ルカは、読者がアカンの罪を連想することを意図している。
③神の目に隠されているものは何もない。
④民32:23の警告
Num 32:23 しかし、もしそのようにしないなら、今や、あなたがたは【主】に対して罪を犯したのだ。あなたがたの罪の罰があることを思い知りなさい。
2.3~4節
Act 5:3 そこで、ペテロがこう言った。「アナニヤ。どうしてあなたはサタンに心を奪われ、聖霊を欺いて、地所の代金の一部を自分のために残しておいたのか。
Act 5:4 それはもともとあなたのものであり、売ってからもあなたの自由になったのではないか。なぜこのようなことをたくらんだのか。あなたは人を欺いたのではなく、神を欺いたのだ。」
(1)ペテロは、超自然的に彼らの欺きを見抜いた。
①使徒ペテロに与えられた啓示である。
(2)「どうしてあなたはサタンに心を奪われ、」
①欺きの行為の原因は、単にアナニヤの内にある罪の性質ではない。
②彼は、サタンに心を奪われたのである。
*サタンに満たされた(彼の人格がサタンに支配された)。
*聖霊の満たしと正反対の概念である(人格が聖霊によって支配されること)。
③とは言え、彼の責任が軽減されるわけではない。
(3)「聖霊を欺いて、地所の代金の一部を自分のために残しておいたのか」
①代金の一部を自分のために取っておくのは、聖霊を欺く行為である。
②聖霊は、人格をお持ちである。
(4)「それはもともとあなたのものであり、売ってからもあなたの自由になったので
はないか」
①ここには、大いなる皮肉がある。
②持ち物は、元々アナニヤのものである。
③売ってからも自分の自由になった。
*代金を使徒たちの足もとに置かなくてもよかった。
*あるいは、売った代金の一部ですと言えばよかった。
(5)「あなたは人を欺いたのではなく、神を欺いたのだ」
①アナニヤは、使徒たちを欺いた。
②それは、聖霊を欺くことである。
③それは、神を欺くことである。
④アカンに下ったのと同じ厳しい裁きが下る。
1.5~6節
Act 5:5 アナニヤはこのことばを聞くと、倒れて息が絶えた。そして、これを聞いたすべての人に、非常な恐れが生じた。
Act 5:6 青年たちは立って、彼を包み、運び出して葬った。
(1)アナニヤの意味は、「神が与えた」である。
①神はアナニヤの命を取り去られた。
②「息が絶えた」は、「エクプスコウ」という動詞である。
*死を意味するギリシア語の医学用語である。
*魂が外に出るという意味(英語のexpireと同じ意味)。
③ペテロを糾弾するのはお門違いである。
*アナニヤ自身がこの結果をもたらしたのである。
(2)これは、公の集会の中で起こった(家の教会)。
①会衆の中の若者たちは、死体を埋葬用の布で包んだ。
②外に運んで、死体を埋葬した。
Ⅱ.サッピラの罪の裁き(7~11節)
1.7~8節
Act 5:7 三時間ほどたって、彼の妻はこの出来事を知らずに入って来た。
Act 5:8 ペテロは彼女にこう言った。「あなたがたは地所をこの値段で売ったのですか。私に言いなさい。」 彼女は「はい。その値段です」と言った。
(1)サッピラは、この出来事を知らずに家に入って来た。
①彼女は3時間前にやもめになっていたのである。
(2)ペテロは、彼女に罪を告白し、正直に話す機会を与えた。
①これは、罠ではない。
②夫の影響のない状況で、彼女に機会を与えたのである。
③サッピラとは、「美しい」という意味である。
*彼女は、ペテロと会衆の前で「美しく」答えることができなかった。
2.9節
Act 5:9 そこで、ペテロは彼女に言った。「どうしてあなたがたは心を合わせて、主の御霊を試みたのですか。見なさい、あなたの夫を葬った者たちが、戸口に来ていて、あなたをも運び出します。」
(1)ペテロは、彼女の罪を断罪した。
①彼女が夫と共謀して聖霊を欺いたことは、誰の目にも明らかであった。
②聖霊を欺くことは、主の御霊を試みるのと同じことである。
(2)「あなたの夫を葬った者たちが、戸口に来ていて、あなたをも運び出します」
①これは、死刑宣告である。
3.10~11節
Act 5:10 すると彼女は、たちまちペテロの足もとに倒れ、息が絶えた。入って来た青年たちは、彼女が死んだのを見て、運び出し、夫のそばに葬った。
Act 5:11 そして、教会全体と、このことを聞いたすべての人たちとに、非常な恐れが生じた。
(1)彼女は、夫がそうであったように、即座に息が絶えた。
①夫の埋葬を終えた青年たちは、2度目の埋葬を行った。
(2)教会全体と、このことを聞いたすべての人たちとに、非常な恐れが生じた。
①申21:21
Deu 21:21 町の人はみな、彼を石で打ちなさい。彼は死ななければならない。あなたがたのうちから悪を除き去りなさい。イスラエルがみな、聞いて恐れるために。
②アカンの場合と同じように、信仰の共同体から罪が取り除かれた。
(3)使徒の働きの中で、教会という言葉が初めて登場する(使5:11)。
①エクレシア
②これ以降、キリストを信じた人の群れは、エクレシアと呼ばれるようになる。
Ⅲ.使徒たちの力ある証し(12~16節)
1.12節
Act 5:12 また、使徒たちの手によって、多くのしるしと不思議なわざが人々の間で行われた。みなは一つ心になってソロモンの廊にいた。
(1)教会の中から罪が取り除かれた結果、超自然的な祝福が下った。
①使徒たちの手によって、より多くの奇跡が行われるようになった。
②奇跡を行ったのは、使徒たちだけである。
③奇跡は、使徒職の権威のしるしである。
(2)奇跡は、公の場で行われたようである。
①ソロモンの廊で集会が開かれていた。
2.13~14節
Act 5:13 ほかの人々は、ひとりもこの交わりに加わろうとしなかったが、その人々は彼らを尊敬していた。
Act 5:14 そればかりか、主を信じる者は男も女もますますふえていった。
(1)2種類の人々がいた。
①軽々しくは信仰を告白できないと考え、交わりに加わらない人々
*しかし彼らは、信者たちを尊敬していた。
②超自然的なしるしのゆえに、主を信じる人々
3.15~16節
Act 5:15 ついに、人々は病人を大通りへ運び出し、寝台や寝床の上に寝かせ、ペテロが通りかかるときには、せめてその影でも、だれかにかかるようにするほどになった。
Act 5:16 また、エルサレムの付近の町々から、大ぜいの人が、病人や、汚れた霊に苦しめられている人などを連れて集まって来たが、その全部がいやされた。
(1)使徒たちの中で、特にペテロの権威が取り上げられている。
①ペテロが通りかかると、その影がかかることを求める人たちも出た。
②エルサレムだけでなく、近郊の町々からも大ぜいの人がペテロのもとに来た。
③病人、悪霊につかれた人のすべてがいやされた。
結論:
1.アナニヤとサッピラの救い
(1)彼らは救いを失ったのだろうか。
(2)「永遠の保証」という教え
①一度救われた人は、その救いを失うことはない。
②アナニヤとサッピラは途中で命が断たれたが、救いは失っていない。
(3)神は、初期の教会の聖さを汚す罪を不快に感じられた。
①アナニヤとサッピラが去るか、聖霊が去るかのいずれかである。
2.ペテロの権威
(1)ペテロは、有罪を宣告する権威を持っていた。
①マタ16:19
Mat 16:19 わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。」
②ヨハ20:23
Joh 20:23 あなたがたがだれかの罪を赦すなら、その人の罪は赦され、あなたがたがだれかの罪をそのまま残すなら、それはそのまま残ります。」
(2)使徒パウロにも同じ権威が与えられていた。
①1コリ5:4~5
1Co 5:4 あなたがたが集まったときに、私も、霊においてともにおり、私たちの主イエスの権能をもって、
1Co 5:5 このような者をサタンに引き渡したのです。それは彼の肉が滅ぼされるためですが、それによって彼の霊が主の日に救われるためです。
(3)使徒たちの死以降もこのしるしが続いたとは、考えられない。
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