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ヘブル人への手紙(25)―信仰者のリスト(5)―
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信仰の勇士たちの信仰から学ぶ。
「信仰者のリスト(5)」
ヘブル11:32~40
1.はじめに
(1)この手紙は、ユダヤ教への回帰を考えていた第2世代のメシアニック・ジューた
ちを励ますために書かれた。
①学んだことの適用(10:19~13:25)
②すでに背教は、ある人々の間で起こっている。
③この手紙の読者は、まだ背教はしていないが、その可能性を考えている。
④今必要なのは、信仰による忍耐である。
⑤信仰による忍耐を発揮した旧約聖書の信仰の英雄たちがリストアップされる。
⑥著者は、読者には旧約聖書の知識があることを前提に書いている。
⑦これは、ユダヤ人の歴史の要約でもある。
*「historical retrospective」(歴史的回顧)という文学手法である。
①族長たち以前
②族長たち
③荒野の40年
④カナン定住後
(3)アウトライン
②信仰の勝利(39~40節)
信仰の勇士たちの信仰から学ぶ。
Ⅰ.試練の中での信仰(32~38節)
Heb 11:32 これ以上、何を言いましょうか。もし、 ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、預言者たちについても話すならば、時が足りないでしょう。
(1)「これ以上、何を言いましょうか」
①これは、修辞疑問文である。
②これまでの信仰の勇者のリストで十分で、これ以上付け加える必要がない。
③例示すべき人物が尽きたわけではなく、時間がなくなったのである。
④そこで著者は、詳細な説明は省いて、名前だけを紹介する。
(2)ギデオン
①彼の軍勢は、32,000人から300人に減らされた。
②最初は、臆病な者が帰らされた。
③次に、ひざをついて水を飲んだ者が除外された。
Jdg 7:6 そのとき、口に手を当てて水をなめた者の数は三百人であった。残りの民はみな、ひざをついて水を飲んだ。
④ギデオンは、300人の精鋭でミデヤン人を撃破した。
⑤彼は、セルフイメージが低かったが、信仰を発揮した。
(3)バラク
①彼は、イスラエルを率いてカナン人と戦った。
②彼は、女預言者デボラがともに行くことを条件とした。
Jdg 4:8 バラクは彼女に言った。「もしあなたが私といっしょに行ってくださるなら、行きましょう。しかし、もしあなたが私といっしょに行ってくださらないなら、行きません。」
③彼は、臆病な性質を持っていたが、信仰を発揮した。
(4)サムソン
①彼は、ライオンを素手で殺した。
②彼は、アシュケロンで30人のペリシテ人を殺した。
③彼は、ロバのあごの骨で1,000人のペリシテ人を殺した。
④彼は、ガザの城門を運び去った。
⑤死ぬ直前に、ダゴンの宮を破壊し、それまで以上の数のペリシテ人を殺した。
Jdg 16:30 そしてサムソンは、「ペリシテ人といっしょに死のう」と言って、力をこめて、それを引いた。すると、宮は、その中にいた領主たちと民全体との上に落ちた。こうしてサムソンが死ぬときに殺した者は、彼が生きている間に殺した者よりも多かった。
⑥彼は、破天荒な人間で、女性に弱かったが、信仰を発揮した。
(5)エフタ
①彼は、アモン人の圧政からイスラエルの民を解放した。
Jdg 11:1 さて、ギルアデ人エフタは勇士であったが、彼は遊女の子であった。エフタの父親はギルアデであった。
Jdg 11:2 ギルアデの妻も、男の子たちを産んだ。この妻の子たちが成長したとき、彼らはエフタを追い出して、彼に言った。「あなたはほかの女の子だから、私たちの父の家を受け継いではいけない。」
②彼は、不幸な境遇に生まれたが、信仰によってそれを乗り越えた。
(6)ダビデ
①彼は、ゴリアテに勝利した。
②彼は、サウル王に復讐しなかった。
③彼は、エブス人の町シオンを征服し、そこを統一王国の都とした。
④彼は、数多くの詩篇を残した(忍耐、賛美、預言)。
⑤彼は、多くの弱点を持っていたが、信仰を発揮した。
(7)サムエル
①彼は、最後の士師であり、最初の預言者である。
②彼は、祭司たちが堕落していた時代にあって、神の器として民を導いた。
1Sa 8:1 サムエルは、年老いたとき、息子たちをイスラエルのさばきつかさとした。
1Sa 8:2 長男の名はヨエル、次男の名はアビヤである。彼らはベエル・シェバで、さばきつかさであった。
1Sa 8:3 この息子たちは父の道に歩まず、利得を追い求め、わいろを取り、さばきを曲げていた。
③彼は、弱点を持っていたが、信仰を発揮した。
(8)預言者たち
①彼らは、神の代弁者として民に語りかけた。
②妥協よりも、死を選んだ。
③彼らにも、弱点はあった。
2.33~34節
Heb 11:33 彼らは、信仰によって、国々を征服し、 正しいことを行い、約束のものを得、獅子の口をふさぎ、
Heb 11:34 火の勢いを消し、剣の刃をのがれ、弱い者なのに強くされ、戦いの勇士となり、他国の陣営を陥れました。
(1)ここでは、名前ではなく、信仰の結果がリストアップされる。
①「信仰によって、国々を征服し、」
*ヨシュア
*士師たち
*ダビデなど
②「正しいことを行い、」
*ソロモン
*アサ、ヨシャパテ、ヨアシュ、ヒゼキヤ、ヨシヤ
③「約束のものを得、」
*神は彼らと契約を結ばれた(アブラハム、モーセ、ダビデなど)。
*あるいは、約束の成就を見たという意味かもしれない。
④「獅子の口をふさぎ、」
*ダニエル、サムソン、ダビデ(1サム17:34~35)
⑤「火の勢いを消し、」
*3人のヘブル人の青年(シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴ)
Dan 3:25 すると王は言った。「だが、私には、火の中をなわを解かれて歩いている四人の者が見える。しかも彼らは何の害も受けていない。第四の者の姿は神々の子のようだ」
*ネブカデネザル王は驚いた。
*祝福は、苦難に変装してやって来た。
⑥「剣の刃をのがれ、」
*ダビデは、サウル王から逃れた。
*エリヤは、イゼベルから逃れた。
*エリシャは、アラムの王から逃れた。
⑦「弱い者なのに強くされ、」
⑧「戦いの勇士となり、」
⑨「他国の陣営を陥れました」
3.35節
Heb 11:35 女たちは、死んだ者をよみがえらせていただきました。またほかの人たちは、さらにすぐれたよみがえりを得るために、釈放されることを願わないで拷問を受けました。
(1)死者を取り戻した女たち
①ツァレファテのやもめとエリヤ
1Ki 17:9 「さあ、シドンのツァレファテに行き、そこに住め。見よ。わたしは、そこのひとりのやもめに命じて、あなたを養うようにしている。」
②シュネムのやもめとエリシャ
2Ki 4:34 それから、寝台の上に上がり、その子の上に身を伏せ、自分の口を子どもの口の上に、自分の目を子どもの目の上に、自分の両手を子どもの両手の上に重ねて、子どもの上に身をかがめると、子どものからだが暖かくなってきた。
(2)さらにすぐれたよみがえりを得るために、釈放よりも拷問を選んだ人たち
①棄教して生き延びるよりも、よりよいものを得るために死を選んだ。
4.36~38節
Heb 11:36 また、ほかの人たちは、あざけられ、むちで打たれ、さらに鎖につながれ、牢に入れられるめに会い、
Heb 11:37 また、石で打たれ、試みを受け、のこぎりで引かれ、剣で切り殺され、羊ややぎの皮を着て歩き回り、乏しくなり、悩まされ、苦しめられ、
Heb 11:38 ──この世は彼らにふさわしい所ではありませんでした──荒野と山とほら穴と地の穴とをさまよいました。
(1)「この世は彼らにふさわしい所ではありませんでした」
①この世は、彼らを無価値なものとして排除した。
②しかし、神の目からは、この世は彼らにふさわしくなかった。
③「この世は彼らの住む所ではなかった」(口語訳)
Ⅱ.信仰の勝利(39~40節)
1.39節
Heb 11:39 この人々はみな、その信仰によってあかしされましたが、約束されたものは得ませんでした。
(1)(新共同訳)
Heb 11:39 ところで、この人たちはすべて、その信仰のゆえに神に認められながらも、約束されたものを手に入れませんでした。
①旧約聖書の聖徒たちは、その信仰が神に認められていた。
②しかし、約束されたものを手に入れなかった。
*約束の成就を見なかった。
③彼らは、メシアの到来を目撃することができなかった。
④また、自分たちの奉仕から流れ出る祝福を目撃することもなかった。
1.40節
Heb 11:40 神は私たちのために、さらにすぐれたものをあらかじめ用意しておられたので、彼らが私たちと別に全うされるということはなかったのです。
(1)彼ら(旧約時代の聖徒たち)が約束されたものを得なかった理由
①私たち(新約時代の聖徒たち)とともに約束の成就を味わうためである。
結論:ヘブル書11章からの教訓
1.旧約時代の信仰の勇者たちは、それぞれ欠点を持ちながらも、信仰を発揮した。
Joh 1:42 彼はシモンをイエスのもとに連れて来た。イエスはシモンに目を留めて言われた。「あなたはヨハネの子シモンです。あなたをケパ(訳すとペテロ)と呼ぶことにします。」
2.彼らは、この世からは評価されず、迫害された。
(1)神の評価は、「この世は彼らにふさわしくなかった」ということである。
3.彼らは、終末論的信仰を持っていた。
Heb 11:40 神は私たちのために、さらにすぐれたものをあらかじめ用意しておられたので、彼らが私たちと別に全うされるということはなかったのです。
(1)彼らは、全うされなかった。
*「完全な状態に達しなかったのです」(新共同訳)
①完全な罪の赦しを体験することはなかった(罪は一時的に覆われただけ)。
②天において、復活の体を受けることはなかった。
*新約時代(教会時代)の聖徒たちは、携挙の時に栄光の体を受ける。
*旧約聖書の聖徒たちは、キリストの再臨の後に栄光の体を受ける。
(2)旧約時代の聖徒は、新約時代の聖徒のような特権を与えられていなかった。
①その上で、彼らの信仰の忍耐を考えよ。
(3)著者は、「ユダヤ教への回帰を考えているとは、どういうことか」と迫っている。
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