キリストの使徒たちが伝えたこと(4)—使徒信条とは—「父なる神(2)」

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このメッセージでは...

このメッセージは、父なる神についての2回目の考察である。

キリストの使徒たちが伝えたこと(4)

―使徒信条とは―

「父なる神(2)」

使徒信条

我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず。

我はその独り子、我らの主、イエス・キリストを信ず。


主は聖霊によりてやどり、処女マリヤより生れ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死にて葬られ、陰府にくだり、三日目に死人のうちよりよみがえり、天に昇り、全能の父(ちち)なる神の右に座したまえり。
かしこより来たりて生ける者と死にたる者とを審きたまわん。

我は聖霊を信ず。

聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪の赦し、身体のよみがえり、永遠の生命を信ず。

アーメン。

  1.はじめに

    (1)使徒信条について

      ①三位一体論を土台とした信仰告白である。

      ②キリスト論が一番強調されている。

③使徒信条は、使徒たちの作品ではないが、使徒たちの教えが要約されてい

るので、使徒信条と呼んでもよい。

      ④洗礼式のために、また、異端との戦いのために必要となった。

    (2)父なる神について(1)

      ①聖書が使用する比喩的言葉について

      ②父なる神という言葉について

      ③人格を持った神という概念について

  2.アウトライン

    (1)全能なる神

    (2)創造主なる神

このメッセージは、父なる神についての2回目の考察である。

Ⅰ.全能なる神

  1.神はご自身を「全能の神」(エル・シャダイ)として啓示された。

    (1)創17:1

    「アブラムが九十九歳になったとき【主】はアブラムに現れ、こう仰せられた。

『わたしは全能の神である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ』」

  ①神はアブラムに、サラが男の子を生むと約束された。

  ②さらに、そこから多くの子孫が増え広がると約束された。

  ③命の誕生という文脈の中で、この言葉が使われている。

(2)全能という意味は、「なんでもできる」ということである。

  ①神に不可能はない。

  ②神はどんなものにも負けることはない。

(3)神の全能に関する質問(1)

  ①神は、角が4つある三角形を描くことができるか。

  ②神は、自分でも持ち上げられないくらい重い岩を造ることができるか。

  ③神は、非論理的な質問に束縛されないお方である。

(2)神の全能に関する質問(2)

  ①神は、神を愛している人に働きかけて、神を憎むようにさせることができ

るか。

②神は、自分で約束したことを、破ることができるか。

③神は、ご自身の性質に反したことはなさらない。

④人間が考える「全能」とは異なる。

(例話)無人兵器、無人ロボットの問題。映画『ターミネーター』の世界。

  2.神はご自身を【主】という名で啓示された。

    (1)出6:2~3

    「神はモーセに告げて仰せられた。『わたしは【主】である。わたしは、アブラ

    ハム、イサク、ヤコブに、全能の神として現れたが、【主】という名では、わた

しを彼らに知らせなかった』」

      ①【主】と訳された言葉は、ヤハウェである。

      ②ヤハウェとは、契約の神の御名である。

      ③神はモーセ(イスラエル)に、ご自身の性質を啓示された。

      ④神はモーセ(イスラエル)との、より親密な関係を求められた。

    (2)神はご自身の「全能」という性質に、制限を設けられた。

      ①神の性質に反することは行わない。

      ②アブラハム、イサク、ヤコブと契約を結び、その契約によってご自身を制

約することを選ばれた。

③必ずしも、そうする必要はない。これは、神の選びである。

④それゆえ、神が約束を破ることは絶対にない。

⑤これは神の栄光に係ることである。

(例話)今日の課題として、食品の偽装問題、権力に対する懐疑などがある。

    (3)神の自己制限の際たるものは、御子の受肉である。

    「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、な

だめの供え物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです」(1ヨハ4:

10)

  
①御子の辱めの目的は、人類との親密な関係の回復である。

  ②神が罪人である私たちとともにいるための唯一の方法は、御子のへりくだ

りである。

③全能という神の性質は、御子の辱めという形を取って啓示された。

④これこそ、キリスト教の神髄である。

Ⅱ.創造主なる神

  1.天地創造に関する4つの立場

    (1)文字通り7日間の創造である。

      ①創世記1~2章の「日」は、24時間である。

      ②これは、約150年前まで最も多くの支持を集めた立場である。

      ③釈義的には、これが最も正しい。

    (2)「日」とは「ある期間にわたる時代」を指す。

      ①科学的論考との調和を図ろうとする立場である。

      ②聖書信仰から言うと、非常に不安定な立場である。

    (3)神が進化論の過程を導かれた。

      ①進化論を正しいと認めた立場である。

    (4)7日間は、創造の業を説明するための「枠組み」である。

  2.創造の教理の重要性

    (1)創造に関してどういう立場を取るかで、その人の聖書観が決まってくる。

①聖書は、神のことばであるかどうか。

②聖書は、誤りを含まない真理の書であるかどうか。

(2)聖書観が異なると、神学(救いの理解)も異なる。

  ①創1~2章の天地創造物語は、約束の地に入る直前のイスラエルの民のため

に書かれたものである。

②彼らは、自分たちがどこから来て、どこに向かう民なのかを知る必要があ

った。

③彼らに土地を与えてくれる神が、どのようなお方であるかを知る必要が

あった。

④聖書の啓示は、創1~2章が歴史的記録であることを前提に、展開していく。

    (3)創1~2章が「ユダヤ人の神話」ならば、それ以降の啓示はその意味を失う。

      ①結婚と言う概念は、神が人を男と女に創造されたところから出ている。

      「それゆえ男はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのであ

る」(創2:24)

②救済論は、アダムという実在の人物がいたことを前提に成り立っている。

「というのは、死がひとりの人を通して来たように、死者の復活もひとりの

人を通して来たからです。すなわち、アダムにあってすべての人が死んでい

るように、キリストによってすべての人が生かされるからです」

(1コリ15:21~22)

  3.創造の教理が意味するもの

    (1)積極的な世界観が与えられる。

      ①神は無から有を創造された。

      「初めに、神が天と地を創造した」(創1:1)

      ②「バラ」(創造する)は、神にのみ使用する動詞である。

      ③被造世界は、本来よいものである。

      「神は光を見て良しとされた。神は光とやみとを区別された」(創1:4)

      ④隠遁的生活は、本来聖書的ではない。

      ⑤被造世界に存在する欠点は、人間の罪によるものである。

      ⑥被造世界は、やがて本来の姿を回復する。

    (2)神と被造の世界の区別が可能になる。

      ①堕落した人間には、被造物を偶像化する傾向がある。

      「それは、彼らが神の真理を偽りと取り代え、造り主の代わりに造られた物

を拝み、これに仕えたからです。造り主こそ、とこしえにほめたたえられる

方です。アーメン」(ロマ1:25)

②神は自然界を通して私たちに語っておられる。

「神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造さ

れた時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであ

って、彼らに弁解の余地はないのです」(ロマ1:20)

    (3)神が被造世界の所有者であることが明らかになる。

      ①人間も、神によって創造された神の所有物である。

      ②人間は、被造世界の所有者ではなく、管理者として立てられている。

    (4)人間の本質が明らかになる。

      ①人は「神のかたち」に造られている。

      「神は仰せられた。『さあ人を造ろう。われわれのかたちとして、われわれに

似せて。彼らが、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべ

てのものを支配するように。』神は人をご自身のかたちとして創造された。神

のかたちとして彼を創造し、男と女とに彼らを創造された」(創1:26~27)

②「神のかたち」が意味するもの

  *神の支配権が人の上に及ぶ。

  *神の性質(知性)が人間に与えられている。

  *神と交流することが可能である。

    ・責任(responsibility)

結論:

  1.私たちの神は、全能の神である。

    (1)神はご自身の力の行使を制限された。

    (2)イエス・キリストの福音は、その表現である。

  2.私たちの神は、天地創造の神である。

    (1)私たちの存在意義は、天地創造の教理の中にある。

    (2)コロ1:26~27

    「これは、多くの世代にわたって隠されていて、いま神の聖徒たちに現された奥

義なのです。神は聖徒たちに、この奥義が異邦人の間にあってどのように栄光に

富んだものであるかを、知らせたいと思われたのです。この奥義とは、あなたが

たの中におられるキリスト、栄光の望みのことです」

  ①内住のキリスト

  ②ユダヤ人と異邦人の区別なく、同じ恵みを受ける。

  ③栄化された私たちの姿は、キリストの中に隠されている。

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