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60分でわかる旧約聖書(30)アモス書
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アモス書の内容について学ぶ。
60 分でわかる旧約聖書( 30 )「アモス書」
1.はじめに
(1)アモス書の位置づけ
①大預言書(the Major Prophets)
*イザヤ書、エレミヤ書、哀歌、エゼキエル書、ダニエル書
②小預言書(the Minor Prophets)
*ホセア書からマラキ書までの12書。
③アモス書は、捕囚期前預言書(12)のひとつである。
(2)アモス書の著者
①アモスとは、「重荷を負う者」という意味である。
*この名は、旧約聖書では彼だけしかいない。
②家族的背景は不明である。
③出身はテコア(ベツレヘム南東にあるユダの町)である。
④彼は、職業的な預言者ではない。
*エリヤやエリシャが建てた預言者の学校で学んだわけではない。
⑤彼の職業は、羊飼いであり、いちじく桑ぐわを栽培する農夫であった。
⑥彼が預言者として立ったのは、【主】からの啓示があったからである。
(3)時代背景
①彼が預言者として活動したのは、ユダの王ウジヤ、イスラエルの王ヤロブア
ム2世の時代である。
②物質的に大いに繁栄した時代であるが、偶像礼拝が蔓延した時代でもある。
③彼が幻を見たのは、地震が起こる2年前と書かれている。
*この地震は、ゼカ14:5にも出ている。
*彼の活動した期間は、前770〜750年頃になると思われる。
④南王国出身の彼が、北王国に対して預言を語った。
2.アウトライン
イントロダクション( 1:1~2)
Ⅰ.諸国に下る裁き(1~2章)
Ⅱ.イスラエルに下る裁き(3~6章)
Ⅲ.5つの幻(7~9章)
アモス書の内容について学ぶ。
イントロダクション( 1 : 1 ~ 2 )
1.1節
Amo 1:1 テコアの牧者のひとりであったアモスのことば。これはユダの王ウジヤの時代、イスラエルの王、ヨアシュの子ヤロブアムの時代、地震の二年前に、 イスラエルについて彼が見たものである。
(1)テコア
①ここはアモスが生まれ育った町である。
②エルサレムから南に約10キロ下ると、有名な町ベツレヘムがある。
③ベツレヘムから南東に約10キロ行くと、無名の町テコアがある。
④そこは、死海を見下ろす荒野の中の小さな町である。
⑤アモスは、そこからベテルに行って預言を語る。
*ベテルは、北王国における宗教の中心都市である。
*彼は、「都に上ってきた田舎説教者」である。
(2)「牧者」
①通常は、「ロアー」である。
②ここでは、「ノケッド」となっている。
③2列3:4
2Ki 3:4 モアブの王メシャは羊を飼っており、子羊十万頭と、雄羊十万頭分の羊毛とをイスラエルの王にみつぎものとして納めていた。
*モアブの王メシャは、「ノケッド」である。
*羊を繁殖させる職業。ブリーダー。
④アモスは、ブリーダーであり、他の牧童たちを管理する立場にあった。
(3)「ユダの王ウジヤの時代、イスラエルの王、ヨアシュの子ヤロブアムの時代」
①この時代は、物質的には大いに繁栄した時代である。
②ウジヤもヤロブアム2世も有能な王で、それぞれの国に繁栄をもたらした。
*アラムがアッシリヤによって打たれた。
*そして、アッシリヤはまだ大国になっていない。
*ユダとイスラエルは、三大交易路を支配し、そこから巨大な収入を得た。
③当時の領土は、南北朝合わせると、ダビデ・ソロモン時代に匹敵するほどの
広さになった。
④この時代は、偶像礼拝が蔓延した時代でもあった。
(4)「イスラエルについて彼が見たものである」
①アモスはイスラエルに行き、ベテルで裁きの預言を語った。
②ベテルは、ダンとともに、金の子牛が設置された「偶像礼拝の町」であった。
2.2節
Amo 1:2 彼は言った。/「【主】はシオンから叫び、/エルサレムから声を出される。/羊飼いの牧場はかわき、/カルメルの頂は枯れる。」
(1)「主はシオンから叫び、エルサレムから声を出される」
①これは、ヨエル3:16からの引用である。
②ヨエルの箇所では、【主】は異邦人に対して叫んでおられた。
③ここでは、【主】はイスラエルの民に向かって叫んでおられる。
(2)「羊飼いの牧場はかわき、カルメルの頂は枯れる」
①これは、【主】の正しい裁きがいかに恐ろしいものであるかを教えている。
②イスラエルの地の中で、常に泉が湧いている場所は、カルメルの頂である。
③カルメルの頂が枯れるのなら、それ以外の場所は言うまでもない。
④表面的な繁栄の時代にあって、アモスは霊的破産を見抜くことができた。
⑤今の時代は、シオンから叫ぶ【主】の御声を届ける人物が必要な時代である。
Ⅰ.諸国に下る裁き( 1 ~ 2 章)
1.「○○が犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために」という表現
(1)これは、罪の満ちるさまを描写したものである。
①「三つのそむきの罪」で「不義の杯」は満ちる。
②「四つのそむきの罪」でその杯は溢れ出る。
③満ち溢れる罪のゆえに、神は裁きを下される。
④異邦人諸国は、イスラエルに対して行った罪のゆえに、裁かれる。
⑤イスラエル自身は、モーセの律法に対する違反のゆえに裁かれる。
2 .裁かれる諸国
(1)ダマスコ(シリヤ)、ガザ(ペリシテ)、ツロ(フェニキア)の3国(イス
ラエルとは血のつながりのない民)
①ダマスコ(シリヤ)の罪は、ユダヤ人に対する残忍性である。
②ガザ(ペリシテ)の罪は、ユダヤ人を奴隷に売ったことである。
③ツロ(フェニキア)の罪は、ユダヤ人との契約を破ったことである。
( 2)エドム、アモン、モアブの3国(イスラエルと親戚関係に当たる民)
①エドムの罪は、兄弟に対する復讐心である。
②アモンの罪は、暴力的な犯罪行為である。
③モアブの罪は、不義である。
(3)ユダ(イスラエルと兄弟関係にある民)
①ユダの罪は、律法の軽視である。
(4)イスラエル自身
①敵が攻めて来る時、イスラエルの軍隊は無力となって崩壊する。
Ⅱ.イスラエルに下る裁き( 3 ~ 6 章)
1.イスラエルの3つの罪
(1)イスラエルは地上の民族の中で、特殊な地位を与えられた。
①【主】によってエジプトから連れ出された民
②【主】は、イスラエルの民と契約関係に入られた。
③特権を与えられた者には、多くの責任が伴う。
④その特権にふさわしい歩みをしていないので、裁かれる。
⑤その裁きは、一般の諸国に対するものよりもさらに厳しいものとなる。
(2)預言者に耳を傾けない。
①預言者が語る(結果)のは、神が語られた(原因)からである。
②神が裁きを下されるのは、イスラエルの民が罪を犯したからである。
(3)イスラエルの民は、サマリヤにある宮殿で「暴虐と冒涜を重ねて」いた。
2.もし悔い改めないなら、滅亡と捕囚が待っている。
(1)合計5つの裁きの預言
①「このことばを聞け」で始まる裁きの預言が3つ続く(3:1、4:1、5:1)。
②「ああ」で始まる裁きの預言が2つ続く(5:18、6:1)。
Ⅲ. 5 つの幻( 7 ~ 9 章)
1.アモスが見た最初の3つの幻
(1)「いなご」の害の幻
①いなごの大群が、地の青草を食べつくそうとしている。
②これは、アッシリヤ軍の侵略を象徴するものである。
③アモスの執りなしによって、これは回避された。
(2)燃える火の幻
①激しい火が燃え広がり、水源を枯渇させ、作物を枯れさせようとしている。
②イスラエルにとっては存亡の危機である。
③燃える火は、アッシリヤの侵略を象徴している。
④アモスの執りなしによって、これも回避された。
(3)重りなわの幻
①【主】が重りなわを持ち、サマリヤの城壁の上に立っておられる。
②「重りなわ」とは、城壁が垂直に立っているかどうかを調べる大工道具。
③イスラエルの民の霊的状態は曲がっている(傾むいている)。
④もはや、とりなしは無効である。民の罪は引き返せない領域にまで進んだ。
2.神の裁きが不可避である理由が説明される。
(1)ベテルの祭司アマツヤの登場
①アモスは、【主】のことばを伝える場所として、ベテルを選んでいた。
*最も有名な聖所があり、王自身も祭りの期間はそこを訪れていた。
②アマツヤは、ベテルの祭司であった(おそらく金の子牛に仕える祭司)。
③彼は、ヤロブアム2世に使者を遣わし、一連の出来事の報告を行なった。
④事実と嘘が混在した報告
*アモスが謀反を企てているというのは、嘘である。
*イスラエルが彼の言葉を受け入れることができないというのは、本当。
*ヤロブアムが剣で死ぬというのは嘘である。
*アモスは、ヤロブアムの家(王朝)の崩壊を預言していただけである
*イスラエルはその国から必ず捕らえられて行くというのは、本当。
(2)アモスを糾弾する言葉
①「先見者よ。ユダの地へ逃げて行け。その地でパンを食べ、その地で預言せ
よ」
②アマツヤは、アモスが【主】の預言者であることを認めなかった。
③また、アモスが金のためにだけ預言していると判断した。
④「ベテルでは二度と預言するな。ここは王の聖所、王宮のある所だから」
(3)アモスの反論
①「私は預言者ではなかった。預言者の仲間でもなかった」
*預言者の息子でもなく、専門教育を受けたわけでもない。
②「私は牧者であり、いちじく桑の木を栽培していた」
*アモスは、農夫でもあった。
*彼は、金に困ってはいなかった。
③その職業に従事していた時に、【主】は彼を召し、預言者として立てた。
*「行って、わたしの民イスラエルに預言せよ」という【主】の召し
④アマツヤへの預言(これが成就したとき、誰が真の預言者か明らかになる)
*彼の妻は、町で遊女となる(敵兵にもてあそばれる)。
*彼の子どもたちは、戦争で殺される。
*彼の土地は異邦人の侵入者の手で分割される。
*彼自身もまた捕虜となり、異国で殺される。
*イスラエルの民は、捕囚となって、異国に引かれて行く。
3.アモスが見た最後の2つの幻
(1)一かごの夏のくだものの幻
①イスラエルの上に裁きの時が近づいていることが強調されている。
(2)祭壇のかたわらに立つ【主】の幻
①この祭壇は、ベテルの祭壇である。
②この幻は、裁きがイスラエルの民に徹底的に下ることを預言したもの。
4.イスラエルの回復
(1)最後の5節だけは、イスラエルの希望についての預言である。
①アモス書は、希望のメッセージで終わる
(2)ダビデの家(王朝)の復興を預言している。
①南北の両方を含んだ統一王国の復興
②「ダビデの倒れている仮庵」
*ダビデの家が崩壊し、みすぼらしい掘っ立て小屋のようになっている。
*その仮庵が、立派な建物に建て直される。
③使徒15:16では、イエスの弟のヤコブが、この聖句を引用している。
*異邦人は、割礼を受けなくても、信仰のみによって救われる。
*「ダビデの家が復興する前提として、異邦人の救いがあるのだから、異
邦人信者を排除すべきではない」
(3)9:13
Amo 9:13 見よ。その日が来る。/──【主】の御告げ──/その日には、耕す者が刈る者に近寄り、/ぶどうを踏む者が種蒔く者に近寄る。/山々は甘いぶどう酒をしたたらせ、/すべての丘もこれを流す。
①この節は、自然界の回復を預言している。
②「ぶどうを楽しむこと」は、平和と繁栄の象徴である。
(4)9:14
Amo 9:14 わたしは、/わたしの民イスラエルの繁栄を元どおりにする。/彼らは荒れた町々を建て直して住み、/ぶどう畑を作って、そのぶどう酒を飲み、/果樹園を作って、その実を食べる。
①この節は、イスラエルが住む土地の回復を預言している。
②イスラエルの民は、約束の地に帰還し、荒れた町々を再建してそこに住むよ
うになる。
③ぶどう畑を作って、そのぶどう酒を飲み、果樹園を作って、その実を食べる
ようになる。これもまた、繁栄と平和を描写した言葉である。
(5)イスラエルは、1948年に国を再建した。
①しかし、この復興はまだ永遠のものにはなっていない。
②預言的なシナリオによれば、これから携挙、大患難時代と続く。
③大患難時代は7年続くが、その中間の時点で、イスラエルは再び約束の地
から引き抜かれる(マタ24:15〜16、黙12:6〜17参照)。
④イスラエルが永遠に約束の地に植えられるのは、大患難時代の最後に起こ
るメシアの再臨以降のことである。
⑤その時、神がアブラハムに約束したことがすべて成就する。
⑥アモスは、広大な世界観を持った預言者であった。
⑦神の計画の全貌を語りつくしたパウロは、最後にこう叫んでいる。
Rom 11:33 ああ、神の知恵と知識との富は、何と底知れず深いことでしょう。そのさばきは、何と知り尽くしがたく、その道は、何と測り知りがたいことでしょう。
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