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創世記(51)—ユダの物語—
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創世記38章を「キリスト論」としての切り口から解説。
創世記51 創世記38章1節~30節
「ユダの物語」
イントロ:
1.創世記37章~50章は第11番目のトルドット(歴史、経緯)である。
(1)38章はユダの物語
(2)ヨセフの物語が始まった直後にこれが入る。著者モーセの意図を考える。
2.文脈を確認する。
(1)ヨセフ物語は、「ヤコブ一家」から「イスラエル民族」へのリンクとなる。
(2)創38章の主要な目的は2つある。
①なぜヤコブの一家がエジプトに下らねばならないのか。
②メシアの家系はどのように発展していくのか。
(3)この章は、20年以上の期間を扱っている。
3.メッセージのアウトライン
(1)ユダの堕落の始まり(38:1~11)
(2)ユダの堕落の極み(38:12~26)
(3)ユダの堕落の結果(38:27~30)
4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)ヤコブの一家がエジプトに下らねばならなかった理由を考える。
(2)メシアの系図の中にタマルの名が入っていることの意味を考える。
このメッセージは、キリスト論的に創38章を解説しようとするものである。
Ⅰ.ユダの堕落の始まり(1~11節)
1.地理的移動
(1)そのころのことであった。ヨセフが17歳の頃のこと。
(2)ユダは兄弟たちから離れて下って行った。
①地理的には、山地から低地(シェフェラー)に移住した。
②場所は、アドラムという町。
(3)ユダの堕落は、いるべき場所(家族)から離れることから始まった。
2.人的交流
(1)ヒラというアドラム人(カナン人)との交流が始まった。
(2)カナン人でシュアという人の娘を見染め、結婚した。
(3)アブラハム、イサク、ヤコブの時代には、カナン人との雑婚を避けた。
①ユダの場合は、あっさりとカナン人と結婚している。
②契約の民の中以外から妻を迎えた場合の問題点は、エサウの例で実証済み。
3.ユダに3人の息子が生まれた。
(1)エル
(2)オナン
(3)シェラ
(4)「彼女がシェラを産んだとき、彼はケジブにいた」(5節)
①ユダは低地に定住している。
4.タマルの登場
(1)長子エルの嫁。カナン人。なつめやしの木の意。
(2)エルの死
「しかしユダの長子エルは主の前に悪い者であったので、主は彼を殺された」(口語訳)
①「悪い者」はヘブル語で「ラー」。
②創6:5参照
(3)兄が死んだ場合、弟が兄嫁と結婚し兄に子を残す。
①ハムラビ法典にある決まり
②後にモーセの律法にも採用された(申25:5~10参照)。
③そこでオナンがタマルをめとる。
④「兄嫁のところにはいると、地に流していた」
*これが神の怒りに触れ、彼も死ぬ。
*彼の罪は、弟としての務めを果たしていないこと。
*この罪がなければ、彼はメシアの系図に入っている。
4.ユダの対応
(1)ユダは、タマルのことを不吉な女だと思った。
①問題の原因を誤解している。
②子どもたちに悪影響が出ていることを理解していない。
(2)末の息子のシェラが成人するまでとの条件で、タマルを実家に送り返す。
①この時点で、シェラとタマルとは婚約関係に入っている(法的な夫婦)。
②タマルはユダの言葉をそのまま信じて、実家で待機している。
Ⅱ.ユダの堕落の極み(12~26節)
1. ユダの妻の死
(1)羊の群れの毛を切るためにティムナへ行った。
①羊の毛を切るのは、春の祭りのとき。性的な誘惑が強くなる時。
②ティムナもまた低地の町。アドラム、ケジブ、ティムナと遠くなっていく。
2.タマルの策略
(1)義父ユダによって子を残そうとする。
(2)やもめの服を脱ぎ、遊女の格好をしてユダを待つ。
①ティムナへの道にあるエナイムの入り口にすわった。
②人目につくところに座るのは、まさに遊女のすることである。
(3)ユダは彼女と肉体関係を結ぶ。
①彼女にしるし(印行とひも、そして、杖)を与えた。
②印行とは、中空の円筒印象のことで、ひもを通して首からぶら下げた。
(4)タマルの罪は、姦淫(シェラが夫)と近親相姦である。
3.ユダの悔い改め
(1)友人に託して子やぎを送ったが、その女を見つけることができなかった。
(2)3ヵ月後、タマルが姦淫によってみごもったという知らせが届いた。
①ユダは「あの女を引き出して、焼き殺せ」と叫ぶ。
②自分も同じ罪を犯しながら、人を裁く。ロマ2:1
(3)タマルから送られたしるしの品を見た時、自分の罪を認めた。
(4)二度とタマルとは肉体関係を結ばなかった。結びませんでした。
(2)タマルは、義父によって子をみごもったので、結婚の必要性がなくなった。
4.ユダヤ人の誇り
(1)ユダとは、「ほめたたえる」という意味。
①神をほめたたえる。
②兄弟たちからほめたたえられる(創49:8)。
③ユダヤ人という名前は、ユダから出ている。
(2)しかし、ユダヤ人たちは自分の出自を誇れるものではない。
①彼らは、姦淫の結果生まれた民である。
②ユダヤ人たちは自分たちの父はアブラハムであることを誇っていた。
③イエスとの論争。ヨハ8:39~41
Ⅲ.ユダの堕落の結果(27~30節)
1.タマルは双子の男子を産む。
2.兄と弟の逆転
(1)助産婦は長子の手に真赤な糸を結びつけた。
(2)しかし、弟が兄を押しのけて先に出てきた。
①エサウとヤコブの出産を思い出させる状況
②先に出てきた方は、ペレツ(割りこむ)と呼ばれた。
③次がゼラフ(輝く:恐らく手に結びつけられた糸から出た名)と呼ばれた。
3.この双子のうち、メシアの家系につながるのは弟のペレツである。
(ルツ4:12、マタ1:3、ルカ3:33参照)
結論
1.ヤコブの一家がエジプトに下らねばならなかった理由
(1)ユダの堕落と同時進行で、エジプトでのヨセフの高潔さが明らかになっていく。
(2)ロマ 5:20 「罪の増し加わるところには、恵みも満ちあふれました」
2.
メシアの系図の中にタマルの名が入っていることの意味(マタ1章の系図)
(1)タマルの罪:神の恵みの深さを示す型となった。
(2)ラハブの信仰(ヨシ2章):信仰による救いの型となった。
(3)ルツの決断(ルツ記):律法とは別に神の義が示されることの型となった。
①申23:3にあるモアブ人に関する律法が退けられた。
(4)バテ・シェバ(Ⅱサム11章):信者の罪の赦しの型となった。
①恐らく夫のウリヤと同様にヘテ人であろう。
②しかし、イスラエル共同体の一員であった。
3.イエス・キリストの犠牲のゆえに、赦されない罪はない。
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