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創世記(42)—ヤコブの結婚—
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信じる者に与えられる神の摂理について学ぶ。
創世記42 創世記29章1節~30節
「ヤコブの結婚」
イントロ:
1.私たちは今、第8番目のトルドットにいる。
「アブラハムの子イサクの歴史」 創25:19~35:29
(1)イサクの息子は、エサウとヤコブである。
(2)ヤコブを軸に物語が進展する。
①聖書は、種々の大帝国の始まりを記録していない。
②しかし、この小さな家族の出来事は詳細に記録している。
③後の時代の人々が、記憶に留めておくべき物語なのである。
2.ヤコブの霊的体験(創28:10~12)。
(1)神がともにおられる。
(2)神の祝福が与えられる。
①霊的祝福
②物質的祝福
③子孫の祝福。メシア誕生の約束。異邦人の祝福の約束。
(3)カナンの地に帰還する。
3.ヤコブの人生は、信じた内容を体験する人生である。
4.メッセージのアウトライン
(1)目的地への到着
(2)未来の妻との出会い
(3)結婚
5.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)私たちの人生も、信じた内容を体験する人生である。
(2)そこには、神の摂理の御手が働いている。神の主権。
(3)自分の思い通りにならない時こそ、信仰を強くする時である。
このメッセージは、信じる者に与えられる神の摂理について学ぼうとするものである。
Ⅰ.目的地への到着(29:1~8)
1.「ヤコブは旅を続けて」
(1)直訳は、「ヤコブは彼の足を上げた」ということ。
(2)彼が徒歩で移動していたことが分かる。
(3)神の啓示を受けた結果、新しい力が全身にみなぎっていた。
①自分はアブラハム契約の継承者となった。
②神がともにいて、すべての必要を満たしてくださる。
③必ず、カナンの地に帰還することができる。
(4)当面は、兄のエサウは問題ではなくなった。
2.「東の人々の国へ行った」
(1)アラム・ナハライムのこと。
(2)カナンの地から見ると、東の方角にある。
3.「ふと彼が見ると、野に一つの井戸があった」
(1)ヤコブは、井戸を探していたに違いない。
(2)アブラハムの僕が井戸のそばでリベカにあった話は、聞いていたはず。
(3)井戸に行けば、土地の羊飼いたちに会い、情報を収集できる。
(4)創24の井戸と同じかどうかは、分からない。
①この井戸は、町の外にあって、羊に水を飲ませるためのものである。
②先の井戸は、町のそばにあって、飲用水を取るためのものであった。
③従って、別の井戸である公算が高い。
4.井戸の状態
(1)井戸の上に大きな石が置いてあった。
①水が溢れ出ないように
②水を清く保つために
(2)土地の羊飼いたちは、その石を動かしてから、羊に水を飲ませる。
(3)3つの羊の群れが伏していた理由は、まだ石を動かしていなかったから。
(4)手順
①群れを全部そこに集める。
②石を井戸の口から転がす。
③羊に水を飲ませる。
④石を井戸の口のもとの所に戻す。
5.土地の羊飼いたちとの会話
(1)「兄弟たちよ。あなたがたはどこの方ですか」
①「兄弟たちよ」とは、親しみを込めた言葉。
②ヤコブもまた羊飼いであった。
(2)「私たちはハランの者です」
①これで、ハランに到着したことが分かった。
(3)「あなたがたはナホルの子ラバンをご存じですか」
①「ナホルの子」とは、「ナホルの孫」という意味で使われている。
②ナホルは有名人であった。
③父ベトエルは、すでに死んでいたのであろう。
(4)「知っています」
(5)「あの人は元気ですか」
(6)「元気です。ご覧なさい。あの人の娘ラケルが羊を連れて来ています」
①まだラケルは見えていない。
②井戸の石を動かす前に到着する羊飼いたちの中に、ラケルがいる。
③これは、神の摂理による。
6.ヤコブの助言
「ご覧なさい。日はまだ高いし、群れを集める時間でもありません。羊に水を飲ませて、また行って、群れをお飼いなさい」
(1)ヤコブは、プロとしての助言を与えている。
(2)これでは効率が悪すぎる。羊が育たない。
(3)習慣に縛られている羊飼いたち
「全部の群れが集められるまでは、そうできないのです。集まったら、井戸の口から石をころがし、羊に水を飲ませるのです」
①石が大きいので、共同作業が必要。
②その地の羊飼いたちに合意が形成され、それが習慣となっていた。
Ⅱ.未来の妻との出会い(29:9~14)
1.ラケルの登場
「ヤコブがまだ彼らと話しているとき、ラケルが父の羊の群れを連れてやって来た。彼女は羊飼いであったからである」
(1)ラケルは、「雌の子羊」という意味。
(2)羊飼いは、この地方では高貴な職業とみなされていた。
(3)裕福な家の娘が羊飼いであっても、おかしくはない。
2.ヤコブの反応
「ヤコブが、自分の母の兄ラバンの娘ラケルと、母の兄ラバンの羊の群れを見ると、すぐ近寄って行って、井戸の口の上の石をころがし、母の兄ラバンの羊の群れに水を飲ませた」
(1)共同作業ですることを、ヤコブはひとりで行った。旧例にとらわれていない。
(2)ヤコブは、ラバンの羊の群れに水を飲ませた。
①ラケルに敬意を表するため
②ラケルの関心を引くため
③土地の羊飼いたちは、驚いたことであろう。
(3)「そうしてヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた」
①神の摂理によってこの出会いが与えられた。
②目の前に、将来の妻になる女性がいる。
③ヤコブはラケルに一目ぼれした。
3.ラケルの反応
「ヤコブが、自分は彼女の父の親類であり、リベカの子であることをラケルに告げたので、彼女は走って行って、父にそのことを告げた」
(1)彼女は、ヤコブに羊を預けて、家に帰った。
(2)創24:28では、リベカが同じことをしている。彼女は、母親に告げている。
(3)ラケルは、父親に告げている。恐らく、母親は死んでいたのであろう。
4.ラバンの登場
「ラバンは、妹の子ヤコブのことを聞くとすぐ、彼を迎えに走って行き、彼を抱いて、口づけした。そして彼を自分の家に連れて来た」
(1)ラバンの妹リベカが家を出たのは、90年以上も前のことである。
(2)ラバンは、懐かしさを覚えた。
(3)ラバンはヤコブを家に迎えた。
5.ヤコブとラバンの会話
(1)ヤコブはラバンに、事の次第のすべてを話した。
①ヤコブは、過去90年間の家族の歴史をラバンに伝えた。
②また、自分が家を出るようになった経緯や、
③ベテルでの神との出会いについて語った。
(2)恐らく、妻を探しに来たことは告げなかったであろう。
①花嫁料を持っていないから
(3)ラバンは彼に、「あなたはほんとうに私の骨肉です」と言った。
①ラバンはヤコブを親戚のひとりと認めた。
②ヤコブは、ラバンの家の客となり、一か月滞在した。
③ただしヤコブは、自分にできることはなんでもした。
Ⅲ.結婚(29:15~30)
1.ラバンの提案
「あなたが私の親類だからといって、ただで私に仕えることもなかろう。どういう報酬がほしいか、言ってください」
(1)ヤコブが忠実に働いていたことがよく分かる。
(2)この言葉によって、ヤコブは心の中にあった思いを率直に伝えることができた。
2.挿入句(16~17節)
「ラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレア、妹の名はラケルであった」
(1)レアとは、「野生の牛」(アンテロープ。オリックス、インパラなど)の意味。
(2)ラケルとは、「雌の子羊」の意味。
(3)レアとラケルの対比
「レアの目は弱々しかったが、ラケルは姿も顔だちも美しかった」
「レアは優しい目をしていたが、ラケルは顔も美しく、容姿も優れていた」(新共同訳)
①レアは視力に問題があった。
②ラケルは、容姿端麗な娘であった。
3.ヤコブの願い
「私はあなたの下の娘ラケルのために七年間あなたに仕えましょう」
(1)ヤコブはラケルに一目ぼれをしていた。
(2)これは結婚の申し込みであるが、7年後にそれを実現したいというもの。
①ヤコブは、アブラハムのしもべが持参したような花嫁料は持っていなかった。
②7年間の賃金が、ラケルのための花嫁料である。
4.ラバンの回答
「娘を他人にやるよりは、あなたにあげるほうが良い。私のところにとどまっていなさい」
(1)ラバンは、了承した。
(2)「私のところにとどまっていなさい」という言葉によって、合意が完成した。
5.ヤコブの債務履行
「ヤコブはラケルのために七年間仕えた。ヤコブは彼女を愛していたので、それもほんの数日のように思われた」
(1)ヤコブは忠実に働いた。
(2)7年間がほんの数日のように思われた。
①自分が得るものに比べれば、今の労苦は取るに足りないものである。
②また、ラケルとの日々の会話は、労苦を忘れさせるに十分なものである。
(3)ロマ8:16~18に書かれた真理
「今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されようとしている栄光に比べれば、取るに足りないものと私は考えます」
(4)ヤコブのラケルに対する愛は、決して色あせることはなかった。
6.契約の実行
「私の妻を下さい。期間も満了したのですから。私は彼女のところに入りたいのです」
(1)契約によって、ラケルはすでに彼の妻となっていた。
(2)契約を実現する条件が満たされた。
(3)ユダヤ人たちは、この時のヤコブの年齢を84歳とする。
①ヤコブは77歳で家を出て、7年間働いた。
②ヤコブの結婚適齢期。
③そのヤコブから、12部族が誕生する。12×7=84(ともに完全数)
(4)「そこでラバンは、その所の人々をみな集めて祝宴を催した」
①ハランの町の有力者たちが招かれた。
②この時代の中近東の習慣では、祝宴が7日間続いた。
7.欺き
「夕方になって、ラバンはその娘レアをとり、彼女をヤコブのところに行かせたので、ヤコブは彼女のところに入った」
(1)父イサクを欺いたヤコブが、叔父のラバンとその長女のレアに欺かれている。
(2)神の報いが下っている。
①イサクは盲目であった。暗闇の中にいたヤコブも、相手が見えなかった。
②ヤコブは弟を兄だと偽った。ここでは、ラバンが姉を妹だと偽っている。
③イサクはヤコブをエサウだと思った。ヤコブはレアをラケルだと思った。
④ヤコブは兄エサウのように振る舞った。レアは妹ラケルのように振る舞った。
(3)当時は、初夜には花嫁は顔にベールをかけていた。
(4)そのためヤコブは、そばに寝ているのがレアであることに気づかなかった。
(5)「ラバンはまた、娘のレアに自分の女奴隷ジルパを彼女の女奴隷として与えた」
①結婚の贈り物である。たったこれだけ。
②7年後にヤコブが手にしたのは、妻と一人の女奴隷だけである。
(6)「朝になって、見ると、それはレアであった」
①ベールが取られた。
②朝日が差している。
8.ヤコブの抗議
「何ということを私になさったのですか。私があなたに仕えたのは、ラケルのためではなかったのですか。なぜ、私をだましたのですか」
(1)神の報いとは言え、ラバンの罪は重大である。
(2)また、レアにも責任はある。
(3)この事件の背後に、神の摂理が働いている。
①メシアは、レアの家系から誕生する。
9.ラバンの回答と新しい提案
「「われわれのところでは、長女より先に下の娘をとつがせるようなことはしないのです」
(1)ヤコブにはそれが知らされていなかった。
(2)恐らく、ラバンが考えた口実であろう。
(3)「それで、この婚礼の週を過ごしなさい。そうすれば、あの娘もあなたにあげましょう。その代わり、あなたはもう七年間、私に仕えなければなりません」
①1週間の婚礼の祝い
②それが明けると、ラケルと結婚する。
③その後7年間、ラバンに仕える。
④ラバンは貪欲である。
10.ヤコブの対応
「ヤコブはそのようにした。すなわち、その婚礼の週を過ごした。それでラバンはその娘
ラケルを彼に妻として与えた」
(1)モーセの律法は、妻の姉妹との結婚を禁じている(レビ 18:18)。
「あなたは妻を苦しませるために、妻の存命中に、その姉妹に当たる女をめとり、その女を犯してはならない」
(2)しかし、この時代はモーセの律法以前であるので、許されている。
(3)ラバンは娘ラケルに、自分の女奴隷ビルハを彼女の女奴隷として与えた。
①結婚の贈り物
(4)「ヤコブはこうして、ラケルのところにも入った。ヤコブはレアよりも、実はラケルを愛していた。それで、もう七年間ラバンに仕えた」
①ヤコブの高潔な人格
②これで、主役は揃った。
*ヤコブと4人の女性
*レアとその女奴隷ジルパ(親密)
*ラケルとその女奴隷ビルハ(恐れ)
③ヤコブはこの4人の女性から12人の息子を得るのである。
結論
1.クリスチャン生活は、
信じた内容を体験する人生である。
(1)神の守り
(2)神の祝福
(3)約束の地への帰還
2.そこには、神の摂理の御手が働いている。
(1)姉のレアと結婚したことは、神の報いである。
(2)それは、神の摂理的な導きでもある。
(3)そこに私たちは、神の主権を見る。
3.自分の思い通りにならない時こそ、信仰を強くする時である。
(1)誰が、レアからメシアが登場すると予測できたであろうか。
(2)ロマ8:28
「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」
(1)神の計画に従って召されたとの認識
(2)神を愛することを選ぶ信仰
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