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創世記(28)—割礼—
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割礼の意味について現代的視点から学ぶ。
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創世記28 創世記17章1節~27節
「割礼」
イントロ:
1.前回までの復習
(1)神はアブラムを選び、彼とその子孫を通して全人類を救おうとされた。
(2)それがアブラハム契約である。
(3)アブラムには、星の数ほどの子孫が与えられる。
(4)アブラムとサライは、人間的な計画で約束の子を得ようとした。
①エジプト人の女奴隷ハガル
②誕生したのは、イシュマエル
2.きょうの箇所
(1)アブラムからアブラハムへの改名
(2)割礼の命令
(3)サライからサラへの改名
(4)サライが男の子を生むという約束
(5)イシュマエルの祝福
(6)割礼の実行
3.メッセージのアウトライン
上の6つのポイントそのまま。
4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)本来の割礼の意味を学ぶ。
(2)新約時代のクリスチャンにとっての割礼の意味を学ぶ。
(3)副産物
①その過程で、聖書の読み方について学ぶ。
②ユダヤ人とアラブ人の葛藤の原因について学ぶ。
*イスラエルがガザ地区を攻撃している。
*なぜハマスは、イスラエル殲滅を目指すのか。
このメッセージは、割礼の意味について現代的視点から学ぼうとするものである。
Ⅰ.アブラムからアブラハムへの改名
1.タイミング:アブラムは99歳になっていた(1節)。
(1)創12章で最初の約束を受けてから、24年が経過した。
(2)15章(契約締結)から23年が経過した。
(3)創16章でイシュマエルが誕生してから、13年が経過した。
(4)この段階では、アブラムはイシュマエルが「約束の子」であると思っている。
2.神の自己啓示があった。
(1)「わたしは全能の神である」(エル・シャダイ)
(2)旧約聖書に48回出てくる。その最初。
(3)創世記には6回出てくる。
①17:1、28:3、35:11、43:14、49:25。
②すべて子孫の約束という文脈。
③例外は43:14だけ。
3.改名
(1)「あなたは多くの国民の父となる」
①これまでは、ひとつの国民の父となるという約束であった。
②ここで、「多くの国民の父」との約束が与えられる。
③イスラエル、ユダ、アラブ諸国が彼から出る。
(2)新しい約束を強調するために、新しい名前が与えられる。
①「あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない」
(アブラムとは、高く上げられた父)
②「あなたの名はアブラハムとなる」
(アブラハムは、多くの者の父)
③「わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである」
(国民は、ゴイム。異邦人国家も彼から出てくる)
4.契約の継承者
(1)「わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に、そしてあなたの後のあなたの子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる」
①アブラハム契約は、ひとつの国民と結ばれる。
②永遠(オラム)とは、ある時代の終わりまで。
③この文脈では、人類の歴史の終わりまで)
5.土地の約束
(1)「わたしは、あなたが滞在している地、すなわちカナンの全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる」
(2)土地の約束が、アブラハムとその子孫に与えられた。
(3)この約束は、千年王国で成就する。
(4)ユダヤ人がそこに住んでいるかどうかは、問題ではない。そこはユダヤ人の所有地。
Ⅱ.割礼の命令
1.契約としるしについて
(1)すべての契約に「しるし」があるわけではない。
①エデン契約、アダム契約には、「しるし」がない。
②ノア契約には、「しるし」があった。虹がそれである。
(2)アブラハム契約にも、「しるし」が与えられる。割礼がそれである。
2.神の約束への応答として、アブラハムの為すべきことが示される。
(1)アブラハム契約は、無条件契約である。
①その契約を受けた者には、愛の応答が期待されている。
②その応答がなくても、契約が破棄されることはない。
(2)私たちの救いの場合も、同じである。
①救いは、信仰により、恵みによる。
②救われた者には、愛の応答が期待されている。
(3)人類の歴史が続く限り、アブラハム契約が有効である限り、これを行う。
3.具体的内容
(1)男性だけで、女性は除かれる。
(2)この「しるし」は、男性の生殖器に焦点が合わさったものである。
①約束の子が誕生するための器官。
(3)割礼は、アブラハムとともに始まったのではない。
①エジプト人(エレ9:25~26)
②アブラハム以降は、アラブ人、エドム人、モアブ人、アモン人(エレ9:25~26)。
(4)この割礼がユニークな理由は、それがアブラハム契約の「しるし」であるから。
(5)さらに、割礼では血が流れる。
①これが血の契約であることが強調される。
②割礼を見るたびに、自分がアブラハム契約の中に置かれていることを思い出す。
(6)さらに、割礼を行うタイミングもユニークである。
①生まれて8日目。
②新生児の免疫力が最も高まる時。
4.ヒレル派とシャマイ派の論争
(1)8日目が安息日の場合は、どうするか。
①ヒレル派:延期する。
②シャマイ派:割礼は安息日の規定に勝る。安息日でも実行する。
③後者が、ラビ的規則となる。
(2)異邦人がユダヤ教に改宗する前に割礼を受けていた場合は、どうするか。
①ヒレル:再割礼の必要なし。
②シャマイ:血を流すために傷つける必要あり。
③後者が、ラビ的規則となる。
5.範囲
(1)家で生まれたしもべも、外国人から金で買い取られたあなたの子孫ではない者も。
(2)アブラハム契約が有効である限り、割礼を実行せねばならない。
(3)ユダヤ人は今も割礼を受ける。
(4)メシアニック・ジューであっても割礼を受ける。
(5)異邦人は、割礼を受ける必要はない。
(6)健康上の理由で受けることは、ここでの議論とは無関係である。
(7)契約違反(14節)
「包皮の肉を切り捨てられていない無割礼の男、そのような者は、その民から断ち切られなければならない。わたしの契約を破ったのである」
①ことば遊びがある。「包皮の肉を断ち切らない男は、断ち切られる」
②これは、天寿を全うしないで死ぬこと。
*出4:24~26のモーセの例
6.ミシュナの解説
「割礼を受けたユダヤ人は、地獄に行かない。アブラハムが見張っている。悔い改めなしに死ぬと、特別な天使たちがやって来て、包皮の肉を元に戻す。そうなると、その人は無割礼の者となって、地獄に行く」
Ⅲ.サライからサラへの改名
1. サライ(私の王女)からサラ(王女)へ
(1)聖書の女性の中で、名前が変更した唯一の女性
2.彼女にも新しい約束が与えられる。
Ⅳ.サライが男の子を産むという約束
1.祝福のことば(16節)
「わたしは彼女を祝福しよう。確かに、彼女によって、あなたにひとりの男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福する。彼女は国々の母となり、国々の民の王たちが、彼女から出て来る」
(1)ここで、サラが約束の子の母であることが示される。
(2)彼女は、ユダ、イスラエル、エドムの母となる。
2.アブラハムの感情的な応答(17節)
「アブラハムはひれ伏し、そして笑ったが、心の中で言った。『100歳の者に子どもが生まれようか。サラにしても、90歳の女が子を産むことができようか」」
(1)不信仰の応答
(2)「笑った」は、ヘブル語で「イッツハク」という動詞。
(3)これが息子の名になる。
(4)「サラ」という名前を使っているのは、従順。
(5)「100歳」「90歳」は、これが成就するなら来年以降のことだと考えた証拠。
Ⅴ.イシュマエルの祝福
1. イシュマエルの幸せを願うアブラハム(18節)
「そして、アブラハムは神に申し上げた。『どうかイシュマエルが、あなたの御前で生きながらえますように』」
(1)イシュマエルとは13年間もともに住んだ。
(2)イシュマエルが約束の子だと思ってきた。
2.神の計画
「いや、あなたの妻サラが、あなたに男の子を産むのだ」
(1)イシュマエルの否定
(2)サラが約束の子を産む
(3)「あなたはその子をイサクと名づけなさい」
①神が名前を与える。
②イッツハク(笑い、彼は笑った)
③神が、アブラハムの感情的な応答に回答を与えた。
(4)「わたしは彼とわたしの契約を立て、それを彼の後の子孫のために永遠の契約とする」
①アブラハム契約は、イシュマエルではなく、イサクとその子孫に継承される。
②イシュマエルの子孫であるアラブ人たちは、これを承認していない。
(5)イシュマエルへの約束(20節)
「イシュマエルについては、あなたの言うことを聞き入れた。確かに、わたしは彼を祝福し、彼の子孫をふやし、非常に多く増し加えよう。彼は十二人の族長たちを生む。わたしは彼を大いなる国民としよう」
①創25:12~18で成就
②今日のアラブ人国家を見よ。
(6)イサク誕生のタイミング(21節)
「しかしわたしは、来年の今ごろサラがあなたに産むイサクと、わたしの契約を立てる」
①割礼の傷が癒され、サラが妊娠して子を産むのに十分な時間がある。
②割礼とサラの妊娠の間に3ヶ月。
③その間、ソドムとゴモラの滅び(創18~19章)がある。
④アビメレク事件(創20)がある。
Ⅵ.割礼の実行
1. その日のうちに実行した。
2. アブラハムの家のすべての男子が、割礼を受けた。
3. 神が命じられた通りに、包皮の肉が切り捨てられた。
4. この日以来、ユダヤ人にとっては、割礼は神との契約を確認するしるしとなった。
結論
1.アブラハム契約の「しるし」
(1)ユダヤ人にとっては、今も割礼はアブラハム契約の「しるし」として有効。
(2)この点では、メシアニック・ジュー(イエスを信じるユダヤ人)も例外ではない。
(3)救われるためではなく、アブラハム契約の「しるし」を身に帯びるため。
(4)モーセの律法の要求に従うためではない。
2. 肉の割礼には、霊的な意味はない。
(1) 割礼は救いの条件でも、霊的であることの保証でもない。
① Ⅰコリ7:19、ガラ5:6
(2) アブラハムは、割礼を受けたから義とされたのではない。
① 彼は信仰によって義とされた(創15:6)。
② 義とされたことのしるしとして、割礼を受けた(ロマ4:9~12)。
3. 異邦人クリスチャンは、割礼を受ける必要がない。
(1)使徒15章のエルサレム会議で確認された。
(2)パウロは、テトスの割礼には反対したが、テモテには割礼を受けさせた。
①テトスは異邦人
③ テモテはユダヤ人の母の子。
(3)私たちにとって大切なのは、肉の割礼ではなく心の割礼である。
4.割礼を誇りとする者は、霊的に盲目になった。
(1)イエスがメシアであることが見えなかった。
(2)人間的な誇りがあると、霊的な真理が見えなくなる。
(3)使徒パウロの言葉
「しかし私には、私たちの主イエス・キリストの十字架以外に誇りとするものが決してあってはなりません」(ガラ6:14)
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