出エジプト記(25)—イテロの助言—

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聖書的リーダーシップを学ぶ。

出エジ25 出エジプト記18章13節~27節

「イテロの助言」

1.文脈の確認

(1)レフィディムでの体験

  ①メリバの水

  ②アマレクとの戦い

  ③イテロとの出会い(激闘の後の静寂とでも言うべき風景)

*イテロの到着

*イテロの助言

  (2)摂理による神の業

  ①これまでは奇跡の連続であった。

  ②ここでは、摂理による神の業に目を留めたいと思う。

  2.アウトライン

(1)モーセの激務(18:13~16)

(2)イテロの助言(18:17~23)

(3)助言の受容と実行(18:24~26)

(4)イテロの帰還(18:27)

  3.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。

(1)リーダーのあるべき姿

(2)リーダーの行動力

(3)聖書的教会像

このメッセージは、聖書的リーダーシップを学ぶためのものである。

Ⅰ.モーセの激務(18:13~16)

  
1.忠実なリーダー(13節)

(1)「翌日」

  ①イテロと食事をした翌日のことである。

  ②しゅうとをもてなす暇もなく、モーセは仕事に励んだ。

(2)「座に着いた」

  ①さばきつかさ(裁判官)としての責務を行っている。

  ②争い好き、口論好きな民である(モーセやアロンにも反抗する)。

(3)「朝から夕方まで」

  ①種類も深刻さも異なる雑多な争いごとが持ち込まれて来た。

  ②150~200万人の争いごとが持ち込まれて来た。

  ③いつ果てるともしれない激務である。

  2.イテロの疑問(14節)

「モーセのしゅうとは、モーセが民のためにしているすべてのことを見て、こう言っ

た。『あなたが民にしているこのことは、いったい何ですか。なぜあなたひとりだけ

がさばきの座に着き、民はみな朝から夕方まであなたのところに立っているのです

か』」

(1)観察

  ①観察しているのは、イテロが有能なリーダーであることの証拠である。

  ②その観察は、モーセとイスラエルの民に祝福をもたらすという動機に基づく。

(2)質問

  ①知らないからではなく、会話を導くための知恵である。

  ②なぜ責任を分担しないのか。

  ③なぜ民はいつまで経っても自分の問題を聞いてもらえないのか。

  3.モーセの回答(15~16節)

「モーセはしゅうとに答えた。『民は、神のみこころを求めて、私のところに来るの

です。彼らに何か事件があると、私のところに来ます。私は双方の間をさばいて、神

のおきてとおしえを知らせるのです』」

(1)神のみこころを求めて

  ①マナと安息日に関して

  ②礼拝の規定に関して

  ③相互に果たすべき義務に関して

(2)何か事件があると

  ①刑法的なもの

  ②民法的なもの

  ③道徳法的なもの

(3)モーセは双方の言い分を聞いて、判断を下す。

  ①律法がまだ与えられていないので、モーセの指示を仰ぐ必要があった。

  ②判断を下し、何を為すべきかを教えた。

(4)このようなリーダーシップを取っていた理由

  ①エジプトの統治形態は、パロによる専制政治である。

  ②エジプトからは、ハムラビ法典のような法体系は発掘されていない。

  ③すべては、状況に応じたパロの命令によって決定された。

  ④エジプトで教育を受けたモーセは、エジプト風リーダーシップを採用した。

Ⅱ.イテロの助言(18:17~23)

  
1.現状評価(17~18節)

「するとモーセのしゅうとは言った。『あなたのしていることは良くありません』」

(1)道徳的・倫理的評価ではない。

(2)今の方法は、正しくないという意味である。

  ①ひとりで重荷を担ぎ過ぎている。

  ②モーセも民も、疲れ果ててしまう。

  2.助言(19~23節)

(1)イテロはモーセに、預言者としての役割と管理的役割の分離を勧めた。

(2)預言者としての役割

  ①民の代表として神の前に出る。

  ②事件を神のところに持って行く。

  ③神の教えを民に伝える。

  ④なすべきことを民に教える。

(3)管理的役割

  ①千人の長、百人の長、50人の長、10人の長を民の上に立てる(さばきつかさ)。

  ②資格は4つある。

*力のある人々(精神的力のこと)

*神を恐れる人々

*不正の利を憎む人々

*誠実な人々

(4)権威の委譲

  ①さばきつかさたちが、民をさばく。

  ②大きい事件の場合は、それをモーセのところに持って来させる。

  ③小さい事件はみな、彼らがさばく。

(5)神の御心

「もしあなたがこのことを行えば、──神があなたに命じられるのですが──あなた

はもちこたえることができ、この民もみな、平安のうちに自分のところに帰ることが

できましょう」

  ①イテロは、モーセがこのことについて神に祈るであろうことを確信していた。

  ②自分の助言が神の御心と合致するなら、という意味である。

  ③自分の助言を受け入れてそれを実行するなら、長く奉仕することができる。

  ④民にとっても祝福となる。短時間の内に、自分の住まいに帰ることができる。

Ⅲ.助言の受容と実行(18:24~26)

 
 1.モーセはしゅうとイテロの助言を聞き入、すべて言われた通りにした(24~26節)。

(1)千人の長、百人の長、50人の長、10人の長の任命

(2)役割の分担

  ①彼らは、むずかしい事件はモーセのところに持って来た。

  ②小さい事件は、自分たちでさばいた。

Ⅳ.イテロの帰還(18:27)

  
1.安心して国に帰った。

(1)ミデヤンの地

(2)老年のゆえに、約束の地への旅には加わらなかった。

2.彼の子孫は、イスラエルの信仰に改宗する。

(1)士1:16 ケニ人

  「モーセの義兄弟であるケニ人の子孫は、ユダ族といっしょに、なつめやしの町

  からアラデの南にあるユダの荒野に上って行って、民とともに住んだ」

(2)Ⅰ歴2:55 レカブ家

  「ヤベツに住んでいた書記の諸氏族は、ティルア人、シムア人、スカ人。彼らは

  レカブ家の父祖ハマテから出たケニ人である」

(3)エレ35:1~19 レカブ人の家

  「イスラエルの神、万軍の【主】は、こう仰せられる。『あなたがたは、先祖ヨ

  ナダブの命令に聞き従い、そのすべての命令を守り、すべて彼があなたがたに命

  じたとおりに行った』。それゆえ、イスラエルの神、万軍の【主】は、こう仰せ

  られる。『レカブの子、ヨナダブには、いつも、わたしの前に立つ人が絶えるこ

  とはない』」(18~19節)

結論:このメッセージは、聖書的リーダーシップを学ぶためのものである。

  1.リーダーのあるべき姿

(1)熱心さ(勤勉)

  ①始めたことを完成させようという決意

  ②フォロワーよりも多く働くという決意

(2)謙遜(心が柔らかい)

  ①民12:3

  「さて、モーセという人は、地上のだれにもまさって非常に謙遜であった」

  ②イテロはモーセのしゅうとであり、年長者である。

  ③しかし、神に関する知識においてはモーセが格段に上である。

(3)良きリーダーは、良きフォロワーでもある。

  2.リーダーの実行力

(1)真の実行力とは、暴走する力ではない。

   (2)神の御心に沿って実行する力である。

  ①申1:9~18 モーセの律法を与えられて以降のことである。

  ②イテロの助言を受け入れたが、それを実行に移すまでに時間が経過している。

  ③モーセは神に祈って、それを実行に移した。

  ④民の同意を得て、それを実行に移した。

(3)実行する前の熟慮

  ①神のみこころを確認したか。

  ②状況が整っているか。

  ③かかわる人たちの同意を得ているか。

  3.聖書的教会像

(1)使6:3~6

「そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判の良い人た

ち七人を選びなさい。私たちはその人たちをこの仕事に当たらせることにします。そ

して、私たちは、もっぱら祈りとみことばの奉仕に励むことにします」。この提案は

全員の承認するところとなり、彼らは、信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、およびピ

リポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、アンテオケの改宗者ニコラオを選び、

この人たちを使徒たちの前に立たせた。そこで使徒たちは祈って、手を彼らの上に置

いた。

  ①霊的資質:御霊に満ちた人

  ②人間的資質:知恵に満ちた人

(2)預言者としての役割と管理的役割の分離

(3)聖書的教会像の特徴

  ①単独の人物による管理ではない。

  ②完全な民主主義でもない。

  ③複数のリーダーシップによる管理が想定されている。

(4)単独の人物による管理の危険性

  ①カルト化の危険性

  ②その人物がいなくなった時に、教会が消滅する危険性

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