私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
出エジプト記(6)—エジプトに向かうモーセ—
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幻を実現するために必要なものを確認する。
出エジ6 出エジプト記4章18節~28節
「エジプトに向かうモーセ」
1.文脈の確認
(1)神の計画は、イスラエルの民をエジプトから解放し、約束の地に導くこと。
(2)神はモーセを通して働こうとしておられる。
(3)4つの言い訳を並べて神の任命を断ろうしたモーセも、ついに説得された。
(4)モーセは、ついにエジプトに向けて出発することになった。
①モーセには杖が与えられていた。
②モーセにはアロンが与えられていた。
2.メッセージのアウトライン
(1)モーセの決意
(2)神からの準備
(3)神からの警告
(4)神からの確認
3.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)奉仕にともなう犠牲を計算する。
(2)謙遜を身に付ける。
(3)幻が実現して行く過程を楽しむ。
このメッセージは、幻が実現するために必要なものを確認するためのものである。
Ⅰ.モーセの決意(4:18~20)
1.しゅうとイテロの許可を得る。
「どうか私をエジプトにいる親類のもとに帰らせ、彼らがまだ生きながらえているかどう
か見させてください」
(1)ヤコブの場合は、黙って伯父ラバンのもとを去った。
①財産以外に、妻たちと子どもたちを連れて出た。
(2)モーセは、しゅうとイテロと良い関係にあった。
①無断で妻のチッポラと2人の息子たちを連れ出すことはしない。
(3)モーセは、エジプトのイスラエル人たちと連絡を取っていなかったようだ。
(4)モーセは、【主】の計画の全貌を語っていない。
①燃える柴については何も語っていない。
②自分の使命についても語っていない。
③アブラハムも、父の家を出て約束の地に向かう決心をした。
④幻に捉えられた者と、そうでない者との間には、高い壁がある。
2.イテロの答え
(1)イテロはモーセに「安心して行きなさい」と答えた。
(2)「無事で行きなさい」(新共同訳)
(3)旅の安全とモーセの繁栄を願った。
3.一歩進むと、次のステップが見えて来る。
「【主】はミデヤンでモーセに仰せられた。『エジプトに帰って行け。あなたのいのちを求
めていた者は、みな死んだ』」
(1)イテロの家を出た後、まだミデヤンを出る前に、【主】からの語りかけがあった。 (2)「今が時だから、すぐにエジプトに行け」という意味である。
(3)理由は、「あなたのいのちを求めていた者は、みな死んだ」ということである。
①パロは死んだ。
②パロの高官たちは死んだ。
③モーセが殺したエジプト人の友人たちは死んだ。
(4)これは、モーセの心から恐れを取り除くための励ましのことばである。
4.出発するモーセ
(1)妻のチッポラを連れていた。
(2)息子のゲルショムとエリエゼルも連れていた。
(3)当面、エジプトに住むつもりだったのだろう。
(4)「ろばに乗せてエジプトの地に帰った」
①ろばは、高貴な人の乗り物であった。
②僕が引くろばに家族を乗せてエジプトに向かった。
(5)「モーセは手に神の杖を持っていた」
①かつては単なる羊飼いの杖であった。
②今や、神の杖となった。
③モーセはこの杖で数々のしるしを行うことになる。
*エジプトの地を10の災害で打つ。
*紅海の水を分ける。
*荒野に水を湧き出させる。
④私たちにとっては、「福音」であり「神のことば」である。
*聖書が、単なる本から「神の本」に変わる。
Ⅱ.神からの準備(4:21~23)
1.ここで語られている内容は、これから先の数章で起こることがらである。
(1)エジプトに帰ったら、パロの前で神から与えられた不思議を行なえという命令
(2)神はパロの心をかたくなにするので、彼は民を去らせないだろうという預言
(3)パロに警告のことばを語れという命令
「イスラエルはわたしの子、わたしの初子である。…わたしの子を行かせて、わたし
に仕えさせよ。もし、あなたが拒んで彼を行かせないなら、見よ、わたしはあなたの
子、あなたの初子を殺す」
①神はイスラエルの民を「わたしの初子」と呼ばれた。
②古代世界では、初子は長子の権利を持った者として最も大切にされた。
③神は「初子」という言葉を用いて、ご自身と民との関係を説明された。
④これは、アブラハム契約に基づく親子関係である。
⑤神の初子を苦しめる者は、自らの初子を殺されることになる。
⑥パロの初子だけではなく、パロに属する者の初子すべてである。
⑦私たちクリスチャンは「神の子」と呼ばれるようになった。
*新しい契約に基づく親子関係
*Ⅰヨハ3:1~2
*ロマ8:14~17
2.これらの予告は、モーセを解放者として整えるためのものである。
(1)イエスの弟子たちへの予告
①マタ10:5~42 宣教の拡大
②マタ28:18~20 大宣教命令
3.神がパロの心をかたくなにしたのか。
(1)ロマ9:14~18が重要
「こういうわけで、神は、人をみこころのままにあわれみ、またみこころのままにか
たくなにされるのです」(18節)
(2)人間の側の責任
①人は、神によって心がかたくなにされるから滅びるのではない。
②人は、生まれた時点ですでに心がかたくなになっている。
③それは、アダムの子孫として、罪の性質を宿して生まれてくるからである。
④人は、すでに心がかたくなだから滅びる。
(3)神の選び
①悔い改めに導かれるのは、神の選びとあわれみが注がれるからである。
②従って、誰が救われるかは、すべて神の御心にかかっている。
③そんなことは受け入れられないという人のために、パウロはこう語っている。
「しかし、人よ。神に言い逆らうあなたは、いったい何ですか。形造られた者が
形造った者に対して、『あなたはなぜ、私をこのようなものにしたのですか』と
言えるでしょうか」(ロマ9:20)
Ⅲ.神からの警告(4:24~26)
1.エジプトへの途上、主はモーセに現われ、彼を殺そうとされた。
(1)モーセは致命的な病いに打たれ、危篤状態に陥った。
(2)妻のチッポラは、急いで自分の息子に割礼を施した。
①弟のエリエゼル
②包皮をモーセの両足につけた。
③その結果、モーセは死を免れた。
2.神はなぜ、出エジプトのリーダーとして立てたモーセを殺そうとしたのか。
(1)モーセが息子に割礼を施していなかったので、神が怒った。
(2)割礼はアブラハム契約のしるしである(創17:9~14)。
①イスラエルのすべての男子は、生まれて8日目に割礼を受ける。
②モーセは、2番目の息子に割礼を施していなかった。
③妻のチッポラが割礼を嫌悪したからと思われる。
*彼女が「血の花婿」という言葉を使っていることからそれが分かる。
(3)神はアブラハム契約の条項に違反しているモーセを殺そうとされた。
①アブラハム契約の条項に違反したままでは、解放者の資格はない。
②チッポラはすぐにそれに気づいて、急いで息子に割礼を施した。
③そこで神は、モーセを放された。
④「両足」は、男性の生殖器の婉曲語であろう。
*創49:10 メシア預言
「王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。つい
にはシロが来て、国々の民は彼に従う」
*「統治者の杖はその子孫から離れることはない」の意味
3.モーセは家族を家に帰した。
(1)彼女が次に聖書に顔を出すのは、出18:2になってからである。
(2)割礼を嫌ったチッポラは、大いなる奇蹟の目撃者にはなれなかった。
4.私たちへの教訓
(1)人は、神が用意された方法でなければ救われない。
(2)イエス・キリストは、アブラハム契約の成就としてこの地上に現われ、十字架
上で自らの命を捧げることによって救いの道を開いてくださった。
(3)イエスを信じることは、心に聖霊による割礼が施されることである。
(4)新約時代においては、心に割礼を受けているかどうかが問題である。
Ⅳ.神からの確認(4:27~28)
1.アロンとの40年ぶりの再会
(1)【主】からアロンへの語りかけがあった。
(2)「神の山」、つまりシナイ山で再会した。
(3)口づけした。
①兄弟との再会の喜び
②イスラエルの民の解放者との出会い
(4)これは、モーセが御心の道を歩み始めたことの確認である。
2.モーセはアロンにこれまでの経緯をすべて話した。
(1)【主】が語られたこと
(2)【主】が与えたしるし
(3)アロンの役割
3.アロンについて
(1)モーセの代弁者として活躍した。
(2)祭司職の創設に貢献した。祭司はアロンの家系から出た。
(3)アロンが初代の大祭司となった。
①特に重要な務めは、贖罪の日の務めである。
②年に一度、至聖所の中に入って罪の贖いをする(レビ16章)。
③アロン自身が、先ず自らの罪の清めを行ってから至聖所に入る。
*金の子牛を作る手伝いをした(出32章)。
*ミリアムといっしょになって、モーセの権威に挑戦した(民12章)。
(4)真の大祭司は、イエス・キリストである。
①ヘブ7~10章
結論: このメッセージは、幻が実現するために必要なものを確認するためのものである。
1.奉仕にともなう犠牲を計算する(神からの準備の項)。
(1)神の命令通りに行っても、結果が出ないことがある。
(2)預言者の召しは、ほとんどがそれである。
(3)神が私たちに期待しておられるのは、「成功」ではなく、「忠実さ」である。
(4)福音を伝え、結果は神に委ねる。
2.謙遜を身に付ける(神からの警告の項)。
(1)神は、80年間かけて育てたモーセでさえも殺そうとされた。
(2)神に用いられるのは、恵みであり、特権である。
(3)決して傲慢になってはならない。
(4)英語の「Don’t take it for granted that…」である。
①当然[当たり前・もちろんのこと・常識・無論のこと]と考える。
②[思い込む・見なす・独り決めする]
③てっきり(that以下)だと思う、(that以下)をうのみにする。
3.幻が実現して行く過程を楽しむ(神からの確認の項)。
(1)目的志向ではなく、そこに至る過程を楽しむ。
(2)モーセとアロンは、夢を語り合うことを楽しんだ。
(3)明日に生きるのではなく、今に生きることを学ぶ。
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