私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(59)—総まとめ—
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ロマ書のまとめを学ぶ。
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「総まとめ」
1.はじめに
(1)執筆の意図
①使徒としての使命
*所々、かなり大胆に書いた(15:15)。
②使徒としての奉仕の原則
*他人の土台の上に建てない(15:20)。
*これまで、ローマ教会を訪問することができなかった理由がこれである。
③スペイン伝道の計画
*ローマ教会からの援助を期待している。
(2)ロマ書の構造
①1~8章が教理
②9~11章がイスラエルの救い
③12~16章が適用
(3)ロマ書の講解を終えての感想
①12~16章こそ、パウロが最も伝えたかった点ではないか。
*牧会者としてのパウロ
②実践のための土台として、教理の解説がある。
2.アウトライン
(1)キリスト者の実践
(2)義認
(3)聖化
(4)栄化
(5)イスラエルの救い
このメッセージは、ロマ書のまとめを学ぼうとするものである。
Ⅰ.キリスト者の実践
1.全き献身(12:1)
「そういうわけですから、兄弟たち。私は、神のあわれみのゆえに、あなたがたにお願いし
ます。あなたがたのからだを、神に受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげなさ
い。それこそ、あなたがたの霊的な礼拝です」
(1)勧告の土台は、「神のあわれみ」である。
①これは、1~11章の要約である。
(2)勧告の内容は、自分の全存在を捧げることである。
①旧約時代の供え物は、死んだ動物であった。
②新約時代の供え物は、他の命を犠牲にしない。
③それは、自発的な供え物である。
④それは、霊的な礼拝であり、当然なすべき礼拝である(ロギコス)。
(3)自発的奴隷としての生活
①罪の奴隷から解放された。
②自由の身となった。
③自らの選択によって神の奴隷となった。
④「キリスト・イエスのしもべ」とは、逆説的言葉である。
2.2つの命令(12:2)
「この世と調子を合わせてはいけません。いや、むしろ、神のみこころは何か、すなわち、
何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新に
よって自分を変えなさい」
(1)否定形の命令(外的要素)
①「調子を合わせる」は、「サスケイマチゾウ」という動詞である。
②受動態(あるいは、中間態。その行動が自分に戻ってくる)
③「この時代」が何かの行動を起こし、その影響を受けるということ。
④否定的命令形の要点は、「この時代」の要求に同意しないということ。
(2)肯定形の命令(内的要素)
①「変える」は、「メタモルフォウ」という動詞である。
②これは受動態である。新改訳はこれを能動態に訳しているが、問題あり。
*ロマ書7章クリスチャンに回帰する危険性がある。
③動作の主体は自分以外である。
④神が主体の場合、「divine passive」(神的受動態)という言葉がある。
*聖化は、「divine passive」(神的受動態)の結果起こる祝福である。
3.教会内での行動(12:3~21)
(1)みからだの教理
①一体性(同じからだに属する)
②多様性(異なった働きがある)
③調和(愛による賜物の行使)
(2)プライドへの警告(12:3b)
「だれでも、思うべき限度を越えて思い上がってはいけません。いや、むしろ、神が
おのおのに分け与えてくださった信仰の量りに応じて、慎み深い考え方をしなさい」
①謙遜の勧め
(3)愛の勧め(12:9~21)
①19の愛の勧めが記されている。
4.教会外での行動(13:1~14)
(1)地上の権威に従う。
①権威は、神によって立てられている。
(2)しかし、その権威が神に反抗する場合は、声を上げ、抵抗する。
①権威の悪魔化の現象である。
②杉原千畝氏、デートリッヒ・ボンヘッファーの例などがある。
5.グレーゾーンの問題(14:1~15:13)
(1)ユダヤ人信者と異邦人信者の背景の違い
①ロマ書は57年頃に書かれた。
②キリストの死と復活から、20数年しか経過していない。
③ローマ教会が教会として確立してから、20年前後であろう。
④教理的な部分は理解したとしても、実生活の面で分からないことが多い。
(2)第2次的なことに関しては、議論しない。
①自由に振る舞っている人は、信仰の強い人である。
②強い人は、弱い人を見下さない(15:1)
「あなたがたは信仰の弱い人を受け入れなさい。その意見をさばいてはいけませ
ん」(新改訳)
「信仰の弱い人を受け入れなさい。その考えを批判してはなりません」(新共同訳)
③弱い人は、強い人を裁かない。
(3)キリストが私たちの手本である(15:3)
「キリストでさえ、ご自身を喜ばせることはなさらなかったのです。むしろ、『あなた
をそしる人々のそしりは、わたしの上にふりかかった』と書いてあるとおりです」
Ⅱ.
義認(1~5章)
1.過去形の救い
(1)信仰による神との和解
(2)義との宣言を受けること
2.救いに至る信仰
(1)知識
「そのように、信仰は聞くことから始まり、聞くことは、キリストについてのみこと
ばによるのです」(ロマ10:17)
①救われるためには、福音の内容を理解しなければならない。
②福音の3要素(1コリ15:3~5)
「私があなたがたに最もたいせつなこととして伝えたのは、私も受けたことであ
って、次のことです。キリストは、聖書の示すとおりに、私たちの罪のために死
なれたこと、また、葬られたこと、また、聖書の示すとおりに、三日目によみが
えられたこと、また、ケパに現れ、それから十二弟子に現れたことです」
*キリストは、私たちの罪のために死なれた。
*キリストは、葬られた。
*キリストは、三日目によみがえられた。
(2)同意
①知識と同意だけでは、人は救われない。
②悪霊でさえも、知識と同意はある。
③信じない理由は、「信じたくないから」と言う人がいる。
(3)信頼(ロマ3:22)
「すなわち、イエス・キリストを信じる信仰による神の義であって、それはすべての
信じる人に与えられ、何の差別もありません」
①イエス・キリストをそのようなお方、救い主として信頼すること
②父なる神への信頼
3. 余分な付加物
(1)公の場での告白
(2)罪の告白
(3)洗礼
(4)悔い改め
(5)メシアの主権に従う(ロードシップ論)
Ⅲ.聖化(6~8章前半)
1.現在進行形の救い
(1)多くの人が陥る罠(ロマ7:18~19)
「私は、私のうち、すなわち、私の肉のうちに善が住んでいないのを知っています。
私には善をしたいという願いがいつもあるのに、それを実行することがないからです。
私は、自分でしたいと思う善を行わないで、かえって、したくない悪を行っています」
①これは、パウロが救われてからの体験である。
②「私」という言葉が、18~19節だけで5回も出てくる。
③彼は自分の体験を普遍的体験として語っている。
(2)最大の悲劇は、律法を行うことによって聖化を達成しようとすること。
①この理解は、クリスチャンを律法主義に追い込む。
②やがては、信仰の休業状態に陥る。
③私たちはこれを「ロマ書7章クリスチャン」と呼ぶ。
2.聖書が教える聖化とは
(1)義認も、聖化も、栄化も、すべて信仰により、恵みによる。
①「キリストにあって」(位置的真理)
(2)頭の切り替えが必要である。これを「悔い改め」という。
Ⅳ.栄化(8章後半)
1.未来形の救い
(1)これが、クリスチャンの希望である。
(2)ロマ8:28
「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がす
べてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」
2.完成を願って3つのものがうめいている。
(1)被造物のうめき(8:18~22)
(2)神の子たちのうめき(8:23~25)
(3)御霊のうめき(8:26~27)
3.キリストにある神の愛から私たちを切り離すものは、存在しない(8:38~39)。
「私はこう確信しています。死も、いのちも、御使いも、権威ある者も、今あるものも、
後に来るものも、力ある者も、高さも、深さも、そのほかのどんな被造物も、私たちの主
キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません」
Ⅴ.イスラエルの救い(9~11章)
1.このテーマの重要性
(1)イスラエルの救いは、神の愛と義に係る重大問題である。
(2)イスラエルは神が人類をどう扱われるかのリトマス試験紙である。
2.イスラエルの優先性(ロマ1:16)
「私は福音を恥とは思いません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、信じるすべ
ての人にとって、救いを得させる神の力です」
3.神の知恵に基づく計画
(1)拒否の現実:イスラエル人の一部しか救われていないのは、神の計画である。
(2)拒否の理由:イスラエルの拒否の理由は、彼らの頑なさにある。
①イスラエルの頑なさは、神の義についての無知から来ている。
(3)拒否の解決:神の計画通りに進んでいる。
①レムナントの存在がある。イスラエル全体が拒否したのではない。
②イスラエルの拒否は一時的である。
③福音は、異邦人に届けられた(異邦人は、接ぎ木された野生種の枝)。
④しかし、やがてイスラエルは民族的救いを経験する。
⑤終末論は、イスラエルの救いを土台にして考えなければ、開かれてこない。
4.異邦人として考えるべきこと
(1)異邦人信者の使命
①ユダヤ人に「ねたみ」を起こさせること
②教会は、ユダヤ人に「ねたみ」ではなく、「怒り」を起こさせてきた。
(2)置換神学からの脱却
①ロマ11章には、傲慢な異邦人信者へのパウロの怒りが見える。
②イスラエルが不信仰に陥ったので、イスラエルを見下す異邦人がいた。
③彼らは、異邦人の救いこそ神の計画のクライマックスであると考えた。
④置換神学の内容
*イスラエルは不信仰のゆえに、契約の民としての特権を失った。
*旧約聖書でイスラエルに約束されていた祝福の預言は、教会が引き継いだ。
(3)聖書のクライマックスは、神の計画がすべて成就し、神の栄光が現れること。
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