ローマ人への手紙(39)—拒否の理由(3)—

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このメッセージでは...

ユダヤ人の拒否の理由を学ぶ。
チャート「神の義の啓示」

「拒否の理由(3)―2つの誤解―」

1.はじめに

  (1)ロマ書9~10章の文脈

    ①イスラエル人は7つの特権を与えられているがメシアを拒否した(1~5節)。

    ②しかし、イスラエル人の一部しか救われていないのは、神の計画である。

    ③神は、権威をもって救われる人たちを選んでおられる。

      ④イスラエルの拒否の理由は、彼らの頑なさにある。

  *神の選びと人間の側の責任

⑤イスラエルの頑なさは、神の義についての無知から来ている。

    (2)きょうの箇所

      ①ぼたんの掛け違え

      ②3つのぼたん

    *神の義

        *救いを受ける人

        *伝道の必要性

  2.アウトライン

    (1)第1の誤解:救いを受ける人(12~13節)

    (2)第2の誤解:宣教の必要性(14~21節)

  3.メッセージのゴール(適用)

    (1)異邦人信者の役割

(2)神とイスラエルとの契約

このメッセージは、ユダヤ人の拒否の理由を学ぼうとするものである。

Ⅰ.第1の誤解:救いを受ける人
(12~13節)

  1.ユダヤ人だけが救われるという誤解

    (1)選民としてのプライドがあった。

      ①ユダヤ人の7つの特権

②律法が与えられているのは、ユダヤ人だけ。

③割礼も同じ。

    (2)異邦人には律法も割礼も与えられていない。

      ①神はユダヤ人のみを救う。

      (例話)西壁でのユダヤ人との会話。異邦人にはイエス・キリストがいる。

  2.12節

  「ユダヤ人とギリシヤ人との区別はありません。同じ主が、すべての人の主であり、主を

呼び求めるすべての人に対して恵み深くあられるからです」

  (1)この節の冒頭に、「ガー」(なぜなら、because)という接続詞が付いている。

    ①11節の理由を説明している。

  (2)「ユダヤ人とギリシヤ人との区別はありません」

    ①ギリシア人とは、異邦人のこと。

②「区別」とは「差異」「違い」のこと。

    ③両者の差異は今も存在する。

    ④これは、「義認の方法に関しては」という意味である。

    ⑤パウロは、選民意識を持ったユダヤ人に対して、驚くべきことを語っている。

  (3)主のご性質からそう言える。

    ①主とはイエス・キリストのことである。

    ②イエス・キリストは、すべての人の主である。

    ③イエス・キリストは、信仰を告白するすべての人を恵みによって救われる。

3.13節

「『主の御名を呼び求める者は、だれでも救われる』のです」

  (1)この節の冒頭にも、「ガー」(なぜなら、because)という接続詞が付いている。

①12節の理由を説明している。

      ②ヨエ2:32の引用

    (2)「主の御名を呼び求める」

      ①「主の御名」とは、ヘブル的には主ご自身のことである。

    ②「呼び求める」とは、「信仰により、救いを求めて祈る」ことである。

  (3)ペテロはペンテコステメッセージ(使2:21)で、ヨエ2:32を引用している。

    ①この預言をイエス・キリストに適用している。

    ②使徒たちは、旧約聖書を用いて伝道メッセージを語った。

Ⅱ.第2の誤解:宣教の必要性(14~21節)

  1.異邦人は救われないのだから、宣教の必要はないという誤解。

    (1)預言者ヨナの例

    (2)使11:1~3

    「さて、使徒たちやユダヤにいる兄弟たちは、異邦人たちも神のみことばを受け入れ

た、ということを耳にした。そこで、ペテロがエルサレムに上ったとき、割礼を受け

た者たちは、彼を非難して、『あなたは割礼のない人々のところに行って、彼らといっ

しょに食事をした』と言った」

  2.14~15節

  「しかし、信じたことのない方を、どうして呼び求めることができるでしょう。聞いたこ

とのない方を、どうして信じることができるでしょう。宣べ伝える人がなくて、どうして

聞くことができるでしょう。遣わされなくては、どうして宣べ伝えることができるでしょ

う。次のように書かれているとおりです。『良いことの知らせを伝える人々の足は、なんとっぱでしょう』」

  (1)4つの修辞的質問が、鎖の輪のようにつながっている。

    ①質問ではなく、強調である。その通りということ。

  (2)4つの否定文として読む。

    ①「信じたことのない方を、呼び求めることはできない」

    ②「聞いたことのない方を、信じることはできない」

    ③「宣べ伝える人がいなくては、聞くことはできない」

    ④「遣わされなくては、宣べ伝えることができない」

  (3)イザ52:7

  「良い知らせを伝える者の足は山々の上にあって、なんと美しいことよ。平和を告げ

知らせ、幸いな良い知らせを伝え、救いを告げ知らせ、『あなたの神が王となる』とシ

オンに言う者の足は」

  ①バビロン捕囚からの解放を告げる使者がここでのテーマ

  ②この聖句を、福音の使者に適用している。

  ③「りっぱな足」、「麗しい足」(口語訳)、「美しい足」(新共同訳)

  ④「足」は、その人物全体を指す。

    (4)ユダヤ人たちを弁護する質問

      ①ユダヤ人たちは、福音を聞く機会がなかったのではないか。

      ②聞いていたとしても、理解ができなかったのではないか。

      ③これらの質問に対する回答が、16~21節に出てくる。

  3.16~17節

  「しかし、すべての人が福音に従ったのではありません。『主よ。だれが私たちの知らせを

信じましたか』とイザヤは言っています。そのように、信仰は聞くことから始まり、聞く

ことは、キリストについてのみことばによるのです」

  (1)「すべての人が福音に従ったのではありません」

    ①信じた人は非常に少ないということの、婉曲的表現である。

    ②これは、ユダヤ人のことを言っている。

  (2)イザ53:1

  「私たちの聞いたことを、だれが信じたか。【主】の御腕は、だれに現れたのか」

  (3)新約時代

    ①ヨハ12:37~38

    「イエスが彼らの目の前でこのように多くのしるしを行われたのに、彼らはイエ

スを信じなかった。それは、『主よ。だれが私たちの知らせを信じましたか。また

主の御腕はだれに現されましたか』と言った預言者イザヤのことばが成就するた

めであった」

②パウロの時代も、信じたのは少数であった。

    (4)「信仰は聞くことから始まり、聞くことは、キリストについてのみことばによる

のです」

  ①救いの方法の再確認

  ②聞くことが信仰の始まりである。信仰には、信じるための内容が必要である。

  ③「キリストについてのみことば」とは、福音のメッセージのことである。

  4.18節

  「でも、こう尋ねましょう。『はたして彼らは聞こえなかったのでしょうか』。むろん、そ

うではありません。『その声は全地に響き渡り、そのことばは地の果てまで届いた』」

  (1)ユダヤ人たちは、聞いていた。

①詩19:4の引用

      *一般啓示のこと

    ②詩19:7~11

    「【主】のみおしえは完全で、たましいを生き返らせ、【主】のあかしは確かで、

わきまえのない者を賢くする。【主】の戒めは正しくて、人の心を喜ばせ、【主】

の仰せはきよくて、人の目を明るくする。【主】への恐れはきよく、とこしえまで

も変わらない。【主】のさばきはまことであり、ことごとく正しい。それらは、金

よりも、多くの純金よりも好ましい。蜜よりも、蜜蜂の巣のしたたりよりも甘い。

また、それによって、あなたのしもべは戒めを受ける。それを守れば、報いは大

きい」

  *特別啓示のこと

    (2)パウロがこの手紙を書いた頃、離散の地のユダヤ人に福音が伝えられていた。

  5.19~20節

  「でも、私はこう言いましょう。『はたしてイスラエルは知らなかったのでしょうか』。ま

ず、モーセがこう言っています。『わたしは、民でない者のことで、あなたがたのねたみを

起こさせ、無知な国民のことで、あなたがたを怒らせる』」。またイザヤは大胆にこう言っ

ています。『わたしは、わたしを求めない者に見いだされ、わたしをたずねない者に自分を

現した』」

  (1)イスラエルは、理解できたはずである。

  (2)モーセが言っている。申32:21

    ①「民でない者」、「無知な国民」とは、異邦人のこと。

    ②律法を持たない異邦人でも信じている。イスラエルに理解できないはずがない。

      *これは、大から小の議論である。

  (3)イザヤが言っている。イザ65:1

    ①イスラエルが心を頑なにしたので、神は異邦人にご自身を表された。

6.21節

「またイスラエルについては、こう言っています。『不従順で反抗する民に対して、わたし

は一日中、手を差し伸べた』」

  (1)イザ65:2の引用

    ①神は、イスラエルを見捨てておられない。

    ②今も、イスラエルが立ち返るのを待っておられる。

結論

  1.異邦人信者の役割

    (1)伝道の必要性

      ①13節から15節の動詞を、逆に並べてみると、宣教の順序が分かる。

      ②遣わされる→宣べ伝える→聞く→信じる→呼び求める→救われる。

      ③神は、ご自分のしもべたちを通して人を救いに導く。

      ④ユダヤ人たちの場合は、聞く/信じる、の間で鎖が切れている。

      ⑤現代のユダヤ人たちは、遣わされる/宣べ伝える、の間で鎖が切れている。

      ⑥私たちの宣教は、どうなっているか。

    (2)ユダヤ人伝道の必要性

      ①19節は、申32:21の引用であった。

      ②このテーマは、ロマ11:11~14で展開される。

      ③異邦人信者の役割は、ユダヤ人にねたみを起こさせることである。

  2.神とイスラエルとの契約

    (1)神がイスラエルを見捨てない理由は、アブラハム契約にある。

    (2)これは、無条件契約である。

      ①イスラエルが失敗しても、破棄されない。

      ②片務契約である。

      ③何をしてもいいというものではない。神の矯正的裁きが下る。

    (3)新しい契約もまた、無条件契約である。

      ①一度救われた人は、救いを失うことはない。

      ②では、何をしてもいいのか。

      ③神の矯正的裁きが下る。

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