ローマ人への手紙(20)—義認の喜び(2)—

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このメッセージでは...

義認を受けた者のその後の歩みを教える。
チャート「神の義の啓示」

「義認の喜び(2)」

1.はじめに

  (1)ここまでの「義認」についての議論(1:18~4:25)

  ①ユダヤ人も異邦人も、罪人である。

  ②ユダヤ人も異邦人も、信仰により、恵みによって救われる。

(2)きょうの箇所で、義認の後に何が起こるかという議論が展開される。

  ①過去の問題は、義認で解決した。

      ②将来に不安がある。さまざまな試練や苦難が待っている。

③義認の結果、信者に与えられた5つの祝福が列挙される。

2.メッセージのアウトライン

(1)神との平和(1節)

(2)恵みへのアクセス(利用する権利)(2節a)

(3)栄光の希望に関する誇り(2節b)

(4)今の時の忍耐心(3~10節)

(5)神に関する誇り(11節)

前回は、(1)~(3)を取り上げる。

今回は、(4)~(5)を取り上げる。

3.メッセージのゴール

  (1)初代教会に広がっていた患難に関する教え

  (2)神に関する誇りの具体的内容

このメッセージは、義認を受けた者のその後の歩みを教えるものである。

Ⅳ.今の時の忍耐心(3~5節)

1.3節a

「そればかりではなく、苦難をも誇りとします」(新共同訳)

  (1)「カウカオマイ」という動詞

    ①新改訳と口語訳は、「喜ぶ」と訳している。

  (2)「そればかりではなく」の意味

    ①「神の栄光にあずかる希望」を誇るのは当然のことである。

    ②これは、聖化の完成、つまり栄化の希望のことである。

    ③義認の恵みを受けた者は、それ以上のことを誇りとしている。

    ④普通は誰もが嫌がる苦難(患難)をも誇りとしている。

  (3)患難の種類

  ①この世から来る憎しみ

    ②サタンの誘惑

    ③肉の思い

    ④神の御心による患難

2.3節b~4節

「それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望

を生み出すと知っているからです」

  (1)患難を誇る理由が書かれている。

  ①患難は、私たちの内にキリストの似姿を作り出す原動力となる。

  (2)霊的公式

    ①患難+恵み=忍耐

    ②忍耐+恵み=練られた品性(練達)

      *ギリシア語の「ドキメイ」。金属を火で試し、品質を確かめること。

      *試された結果、純粋であることが証明されたもの。

*神の承認がある品性という意味である。

    ③練られた品性+恵み=希望

*神の承認があるので生まれる希望である。

  3.5節

  「この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によっ

て、神の愛が私たちの心に注がれているからです」

  (1)失望しない理由は、神の愛が注がれているという認識があるからである。

  (2)この認識は、内住の聖霊を通して与えられる。

    ①信じた瞬間新生し、内住の聖霊を与えられている。

  ②ロマ8:9

    「けれども、もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたが

たは肉の中にではなく、御霊の中にいるのです。キリストの御霊を持たない人は、

キリストのものではありません」

③1コリ3:16

「あなたがたは神の神殿であり、神の御霊があなたがたに宿っておられることを

知らないのですか」

④エレ31:33

「彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。──【主】

の御告げ──わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きし

るす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる」

  4.感動的脱線(6~10節)

    (1)6節

    「私たちがまだ弱かったとき、キリストは定められた時に、不敬虔な者のために死ん

でくださいました」

  ①「弱かったとき」とは、神に応答する力がなかったときという意味。

    *病人に使う言葉

    *道徳的な意味でも使える言葉

    *受動的な意味での罪人

  ②「定められた時」とは、あらかじめ決定されていた時という意味。

    *神の怒りが限界に達した時、神の怒りはキリストの上に注がれた。

  ③キリストは私たちのために死んでくださった。

(2)7~9節

「正しい人のためにでも死ぬ人はほとんどありません。情け深い人のためには、進ん

で死ぬ人があるいはいるでしょう。しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリスト

が私たちのために死んでくださったことにより、神は私たちに対するご自身の愛を明

らかにしておられます。ですから、今すでにキリストの血によって義と認められた私

たちが、彼によって神の怒りから救われるのは、なおさらのことです」

  ①「罪人であったとき」とは、神に敵対する者という意味。

*能動的な意味での罪人

      ②敵のために死ぬ人はいない。

③正しい人のためでも死ぬ人はいない。

④情け深い人の場合は、そういう可能性もあり。感情に対するアピールがある。

      ⑤キリストの死は、常識ではありえないことである。

      ⑥それによって神は、私たちに対する愛を明らかにされた。

      ⑦ラビ的議論:大から小への議論

        *大を証明することよって、小が真理であることを示す。

*罪人のために死ぬという愛が示された。これが大である。

        *義とされた私たちは、神の怒りか救われる。これが小である。

    (3)10節

    「もし敵であった私たちが、御子の死によって神と和解させられたのなら、和解させ

    られた私たちが、彼のいのちによって救いにあずかるのは、なおさらのことです」

      ①ここでも大から小への議論がある。

        *敵である者が、御子の死によって神と和解させられた。これが大である。

        *和解させられたのだから、キリストの内にあって救われる。少である。

      ②2コリ5:17~18

「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いも

のは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。これらのことはすべて、神

から出ているのです。神は、キリストによって、私たちをご自分と和解させ、ま

た和解の務めを私たちに与えてくださいました」

③コロ3:4

「私たちのいのちであるキリストが現れると、そのときあなたがたも、キリスト

とともに、栄光のうちに現れます」

④「永遠の救い」を失う道はない。

Ⅴ.神に関する誇り(11節)

  1.11節

  「それだけでなく、わたしたちの主イエス・キリストによって、わたしたちは神を誇りと

しています。今やこのキリストを通して和解させていただいたからです」(新共同訳)

  (1)「そればかりでなく」は、3節の「そればかりでなく」と並列関係にある。

    ①つまり、6~10節の感動的脱線が終わったのである。

    ②その意味は、「神の栄光の望みを誇りとするだけでなく、患難さえも誇りとする。

さらに、神ご自身を誇りとする」ということ。

  (2)誇りとする理由は、キリストを通して神と和解させられたから。

    ①それゆえ、キリストによって(あって)誇るのである。

結論:

1.初代教会に広がっていた患難に関する教え

(1)公同書簡の教えと共通する。

  ①パウロ書簡と公同書簡がある。

(2)ヤコブとペテロ

    ①ヤコ1:2~4

    「私の兄弟たち。さまざまな試練に会うときは、それをこの上もない喜びと思い

なさい。信仰がためされると忍耐が生じるということを、あなたがたは知ってい

るからです。その忍耐を完全に働かせなさい。そうすれば、あなたがたは、何一

つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります」

②1ペテ1:6~7

「そういうわけで、あなたがたは大いに喜んでいます。いまは、しばらくの間、

さまざまの試練の中で、悲しまなければならないのですが、あなたがたの信仰の

試練は、火で精錬されつつなお朽ちて行く金よりも尊く、イエス・キリストの現

れのときに称賛と光栄と栄誉になることがわかります」

    (3)初代の教会の信者が受けていた教えの共通性

      ①信者にも試練が襲う。

      ②その試練は、信者を成長させ、完成させる力となる。


  ③それゆえ、信者は試練の中でも喜ぶことができる。

      ④さらに、試練そのものを喜ぶようになる。

      ⑤キーワードは、「恵み」である。

  2.
神に関する誇りの具体的内容

    (1)神に関する誇りは、義認の結果である。

    (2)具体的内容

      ①神の存在を喜ぶ。

      ②神の性質を喜ぶ(義、聖、憐れみ、真実、愛)。

      ③神が自然界を支えておられる。

      ④罪人にはない感覚であり、体験である。

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