ローマ人への手紙(18)—アブラハムと義認(2)—

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このメッセージでは...

アブラハムの例を通して信仰と義認の関係について学ぶ。
チャート「神の義の啓示」

「アブラハムと義認(2)」

1.はじめに

  (1)義認(1:18~5:21)

①有罪宣言(1:18~3:20)

②義の提供(3:21~26)

③義認と律法の関係(3:27~31)

  *人間の誇りはない。

  *信仰は律法を確立する。

(2)パウロは、4:1~25で上記の2つの主張を証明する。

  ①アブラハムの場合はどうか(4:1~5)。

  ②ダビデの場合はどうか(4:6~8)。

  ③割礼をどう考えるか(4:9~12)。

2.メッセージのアウトライン

④相続人の約束をどう考えるか(4:13~16)。

⑤アブラハムの信仰の普遍性とは何か(4:17~22)。

  ⑥私たちへの適用とは何か(4:23~25)。

3.メッセージのゴール

  ①~⑥を復習する。

このメッセージは、アブラハムの例を通して信仰と義認の関係について学ぶためのものである。

Ⅰ.相続人の約束をどう考えるか(4:13~16)。

  
1.13節

  「というのは、世界の相続人となるという約束が、アブラハムに、あるいはまた、その子

孫に与えられたのは、律法によってではなく、信仰の義によったからです」

  (1)アブラハムとその子孫に約束が与えられた。

    ①世界の相続人となる

    ②「世界を受け継がせる」(新共同訳)

  (2)世界の相続人とは

    ①カナンの地がアブラハムとその子孫に約束された。

      *この概念(確信)は、ユダヤ人の思索と歴史に大きな影響を与えた。

      *バビロン捕囚からの帰還(詩137)

      *紀元70年の世界離散

      *20世紀のシオニズム運動

      *シオン(エルサレム)への帰還という夢が、ユダヤ民族を一つにした。

      (例話)東日本大震災の被災地から去り難い人々

      *いつかアブラハムは復活し、約束の地を受け継ぐようになる。

    ②さらに、創17:5の約束がある。

    「あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハム

となる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである」

    (3)この約束は、律法を行うことによってではなく、信仰の義によって与えられた。

      ①アブラハムはモーセの律法よりも前の人

      ②救いも、アブラハム契約の約束も、律法を行うことによるのではない。

  2.14節

  「もし律法による者が相続人であるとするなら、信仰はむなしくなり、約束は無効になっ

てしまいます」

  (1)律法を行う者が相続人であると言われた場合の問題点

    ①信仰はむなくしなる。無意味になる。役立たずになる。

    ②約束は無効になる。廃止されたことになる。誰もできないから。

    (例話)David Neff (クリスチャニティ・トゥデイ・インターナショナル)

    L.L.Beanの宣伝Eメール。(Double Coupon Dollars: Our Gift to You)

    開けると、(Earn Double Coupon Dollars)とあった。

    教会史は、ギフトと言いながら、獲得せよ、という事例で満ちている。

3.15~16節は、13~14節を証明している。

「律法は怒りを招くものであり、律法のないところには違反もありません」(15節)

  (1)私訳「律法は裁きをもたらします。なぜなら、律法がなければそれに対する違

反もないのですが、律法が与えられたために違反が生じるからです」

(2)このテーマは、ロマ書7章でくわしく登場する。

  ①罪は、特定の命令があってもなくても、常に存在する。

  ②「違反」というのは、特定の命令に対する不従順である。

  ③罪と「違反」とは同じではない。

  ④律法が与えられると、罪の性質が活動の機会を得て、活発に動くようになる。

  ⑤それで、律法は怒りを招く(裁きを招く)ものとなるのです。

  (例話)有名な彫刻。「手を触れないでください」

「そのようなわけで、世界の相続人となることは、信仰によるのです。それは、恵みによ

るためであり、こうして約束がすべての子孫に、すなわち、律法を持っている人々にだけ

でなく、アブラハムの信仰にならう人々にも保証されるためなのです。『わたしは、あなた

をあらゆる国の人々の父とした』と書いてあるとおりに、アブラハムは私たちすべての者

の父なのです」(16節)

(1)創17:5の引用

(2)世界の相続人となるのは、信仰と恵みによる。

①律法が入り込む余地はない。

②信仰があれば、ユダヤ人でも異邦人でも、義認を受け、相続人となる。

Ⅱ.アブラハムの信仰の普遍性とは何か(4:17~22)。

  1.信仰の対象は神である。

  「このことは、彼が信じた神、すなわち死者を生かし、無いものを有るもののようにお呼

びになる方の御前で、そうなのです」(17節)

  (1)力ある神

    ①死者を生かした。アブラハムとサラが老年になって子を産んだ。

②イサクはまだ生まれていないのに、神はその子を有るもののように呼んだ。

    「死者に命を与え、存在していないものを呼び出して存在させる神を、アブラハ

ムは信じ、その御前でわたしたちの父となったのです」(新共同訳)

    (2)神を信じる信仰によって、わたしたちの父となった。

  2.信仰の内容は神の約束である。

  「彼は望みえないときに望みを抱いて信じました。それは、『あなたの子孫はこのようにな

る』と言われていたとおりに、彼があらゆる国の人々の父となるためでした」(18節)

  (1)創15:5 星の数ほどになる。

3.希望に反して信じた。望み得ないのに信じた。

「アブラハムは、およそ百歳になって、自分のからだが死んだも同然であることと、サラ

の胎の死んでいることとを認めても、その信仰は弱りませんでした」(19節)

  (1)人間的には、絶望であった。

  (2)神の約束のゆえに希望があった。

4.疑わないで信じた。

「彼は、不信仰によって神の約束を疑うようなことをせず、反対に、信仰がますます強く

なって、神に栄光を帰し、神には約束されたことを成就する力があることを堅く信じまし

た。だからこそ、それが彼の義とみなされたのです」(20~22節)

    (1)「神に栄光を帰し」「神を賛美し」(新共同訳)

(2)希望がなくなればなくなるほど、信仰が働く余地が増える。

(3)だからこそ、その信仰によって義認を受けた。

Ⅲ.私たちへの適用とは何か(4:23~25)。

1.23~25節

「しかし、『彼の義とみなされた』と書いてあるのは、ただ彼のためだけでなく、また私た

ちのためです。すなわち、私たちの主イエスを死者の中からよみがえらせた方を信じる私

たちも、その信仰を義とみなされるのです。主イエスは、私たちの罪のために死に渡され、

私たちが義と認められるために、よみがえられたからです」

  (1)アブラハムに起こったことは、私たちにも起こる。

    ①アブラハムは、死者を生かす神を信じた(イサク誕生のこと)。

    ②私たちは、主イエスを死者の中からよみがえらせた方を信じた。

  (2)新約時代における信仰の内容

    ①主イエスは、私たちの罪のために死に渡された。

    ②主イエスは、私たちが義と認められるために、よみがえられた。

  (3)福音の内容

    ①十字架の死は、義認の成就。

    ②復活は、義認の承認。

結論: ①~⑥の復習

  かつてはパリサイ人だったパウロが、恵みを説いている。

  現代のイスラエルの反宣教団体の論理

  ①アブラハムの場合はどうか(4:1~5)。

    信仰によって義とされた。創15:6

    ロギゾマイ(働いていないのに、自分の口座に入金される)

②ダビデの場合はどうか(4:6~8)。

  律法の時代に生きたダビデも、信仰によって義とされた。

③割礼をどう考えるか(4:9~12)。

  アブラハムは割礼を受ける前に、信仰によって義とされた。

  ユダヤ人も異邦人もともに、信仰によって義とされる。

④相続人の約束をどう考えるか(4:13~16)。

  義認も、相続人の約束も、ともに信仰による。

⑤アブラハムの信仰の普遍性とは何か(4:17~22)。

  信仰の対象は神。

  信仰の内容は神の約束。

  希望に反して信じた。

  疑わないで信じた。

⑥私たちへの適用とは何か(4:23~25)。

    信仰の対象は神であり、信仰の内容は福音である。

    人は福音を信じる信仰によって義とされ、相続人とされる。

    この約束は、信仰と恵みによるので、確実である。

    それゆえ、ロマ12:1~2の献身につながる。

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