ヨハネの黙示録(20)—ラッパの裁き7—

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ふたりの証人の復活とラッパの裁き7について学ぶ。

「ラッパの裁き7」

黙11:7~19

1.はじめに

(1)キリストの再臨の前に何が起こるかを見ている。

  ①10章~14章は、挿入箇所である。

    *物語の進展はなく、状況の説明が入る。

       *7章と同じである。

*例外は、11:15~19(第7のラッパが吹かれる)だけである。

    (2)黙示録全体の中で11章が最も難解な章である。

      ①解釈法の違いが、さまざまな解釈を生み出している。

        *字義通りの解釈か、象徴的、あるいは比喩的解釈か。

      ②私たちは、字義通りの解釈を一貫して行っている。

      ③「聖書が聖書を解釈する」という原則も重要である。

      ④字義通りに解釈を行えば、細部に相違点があっても、大筋では一致できる。

  2.アウトライン

    (1)ふたりの証人の死(7~10節)

    (2)ふたりの証人の復活(11~13節)

    (3)第7のラッパ(14~19節)

  3.結論

    (1)黙11:13

    (2)大患難時代における神の恵み

ふたりの証人の復活とラッパの裁き7について学ぶ。

Ⅰ.ふたりの証人の死(7~10節)

   1.7節

Rev 11:7 そして彼らがあかしを終えると、底知れぬ所から上って来る獣が、彼らと戦って勝ち、彼らを殺す。

     (1)ふたりの証人の死のタイミング

      ①「あかしを終えると」

       ②使命が与えられているうちは、彼らは死ななかった。

      ③使命が終わると、神は、敵が彼らを殺すことを許された。

      ④ヨハ19:30と同じ動詞。「テレオウ」

Joh 19:30 イエスは、酸いぶどう酒を受けられると、「完了した」と言われた。そして、頭をたれて、霊をお渡しになった。

    (2)ふたりの証人の死の原因

      ①「底知れぬ所から上って来る獣」とは、反キリストのことである。

      ②「底知れぬ所」とは、アビス(アブソス)である。

      ③反キリストは一度死ぬけれども、復活する(黙13:3~4)。

  *反キリストの死と復活については、先に行ってから詳述する。

④復活した反キリストが、ふたりの証人を殺すのである。

  *それまで誰もできなかったことをするのである。

⑤獣(反キリスト)という言葉は、黙示録に10回出て来る。

  *13:1、14:9、11、15:2、16:2、17:3、13、19:20、20:10

  2.8~9節

Rev 11:8 彼らの死体は、霊的な理解ではソドムやエジプトと呼ばれる大きな都の大通りにさらされる。彼らの主もその都で十字架につけられたのである。

Rev 11:9 もろもろの民族、部族、国語、国民に属する人々が、三日半の間、彼らの死体をながめていて、その死体を墓に納めることを許さない。

     (1)神の敵にとっては、この勝利は画期的で記念すべきものである。

      ①それが、ふたりの証人の死体が町の大通りにさらされる理由である。

      ②その町は、大きな都(大いなる都)、つまりエルサレムである。

        *「大いなる都」とは、人間の視点である。

      ③主イエスが十字架につけられた都である。

    (2)訳語の比較

    「霊的な理解ではソドムやエジプトと呼ばれる大きな都」(新改訳)

    「たとえてソドムとかエジプトとか呼ばれる大きな都」(新共同訳)

    「ソドムや、エジプトにたとえられている大いなる都」(口語訳)

      ①エルサレムが堕落しているので、「ソドムやエジプトと呼ばれる」のである。

        *これは、神の視点である。

        *ソドムは、性的倒錯の罪を持った町である。

        *エジプトは、神の民を迫害した国である。

    (3)「もろもろの民族、部族、国語、国民に属する人々」

       ①世界中の人たちが、三日半の間、彼らの死体をながめる。

      ②かつては、なぜこれが可能になるのか、疑問に感じる学者が多くいた。

      ③インターネット、フェイスブック、ツイッターなどで、これが可能になる。

    (4)「その死体を墓に納めることを許さない」

       ①軽蔑の行為である。

      ②申21:22~23は、これを禁じている。

  3.10節

Rev 11:10 また地に住む人々は、彼らのことで喜び祝って、互いに贈り物を贈り合う。それは、このふたりの預言者が、地に住む人々を苦しめたからである。

     (1)「地に住む人々」

       ①黙示録では、この言葉はほとんどテクニカルタームになっている。

        *携挙の後で地上に残された人々

        *不信者たち

    (2)彼らは、ふたりの証人の死を目撃し、歓喜する。

      ①パーティを開き、贈り物を交わす。

      ②その理由は、自分たちを苦しめていたふたりの預言者がいなくなったから。

      ③彼らは、神とその証人たちを恐れる必要がなくなった。

      ④反キリストこそ神であるとの認識が生まれた。

      ⑤黙示録に記録された「喜びの瞬間」は、ここだけである。

      ⑥しかし、神の証人が死んでも、彼らが伝えた真理は死なない。

Ⅱ.ふたりの証人の復活(11~13節)

   1.11~12節

Rev 11:11 しかし、三日半の後、神から出たいのちの息が、彼らに入り、彼らが足で立ち上がったので、それを見ていた人々は非常な恐怖に襲われた。

Rev 11:12 そのときふたりは、天から大きな声がして、「ここに上れ」と言うのを聞いた。そこで、彼らは雲に乗って天に上った。彼らの敵はそれを見た。

    (1)全世界に広がる喜びは、恐怖に一転した。

      ①「三日半の後」は、文字通り三日半である。

      ②ふたりの証人は、「いのちの息」を吹き込まれ、自分の足で立ち上がった。

      ③それを見ていた人々は、神の力を認識したので、非常な恐怖に襲われた。

        *インターネットでの実況中継

         *ユーチューブでの動画再生

    (2)さらに、天からの声がした。

      ①人々は、さらに恐怖に襲われたことであろう。

      ②「ここに上れ」という招きがあった。

      ③ふたりの証人は、それに応答して、雲に乗って天に上った。

    (3)ふたりの証人の復活と昇天は、実にユニークなものである。

      ①これは、第1の復活ではない。

      ②これは、携挙でもない。

      ③これは、携挙と第1の復活(黙20章)の間に起こる出来事である。

      ④これは、神を信じようとしない「地に住む人々」への「しるし」である。

  2.13節

Rev 11:13 そのとき、大地震が起こって、都の十分の一が倒れた。この地震のため七千人が死に、生き残った人々は、恐怖に満たされ、天の神をあがめた。

     (1)大地震が起こった。

      ①文字通りの大地震である。

      ②エルサレムの10分の1が破壊された。

      ③7千人が死んだ。

      ④これは、エルサレムに下った神の裁きである。

    (2)「生き残った人々は、恐怖に満たされ、天の神をあがめた」

       ①生存者が感じた恐怖は、彼らを信仰に導く畏怖の念である。

      ②「天の神」という言葉は、黙示録に2回出て来る(16:11)。

      ③旧約聖書では、「天の神」は偶像と区別するための用語である。

      ④ここでは、「天の神をあがめた」は、獣の礼拝との対比で語られている。

        *これが救いに至る信仰の始まりとなる。

Ⅲ.第7のラッパ(14~19節)

   1.14節

Rev 11:14 第二のわざわいは過ぎ去った。見よ。第三のわざわいがすぐに来る。

     (1)ここまでで第2のわざわい(第6のラッパ)が終わった。

      ①次に来るのは、第3のわざわいである。

      ②これが第7のラッパである。

  2.15節

Rev 11:15 第七の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、天に大きな声々が起こって言った。/「この世の国は私たちの主およびそのキリストのものとなった。主は永遠に支配される。」

     (1)ラッパの裁き7が、最も厳しい裁きである。

      ①その中には、7つの鉢の裁きが含まれる。

    (2)第7のラッパが鳴ると、ヨハネは天に大きな声々が起こるのを聞いた。

      ①それまでのラッパの裁きでは、ひとつの声だけが聞こえてきた。

      ②第7のラッパの後に聞こえて来たのは、「シンフォニー」である。

    (3)「この世の国は私たちの主およびそのキリストのものとなった。主は永遠に支配

される」

   ①これは、父なる神とキリストの勝利を歌うものである。

  ②7つの鉢の裁きが起こる前に、なぜキリストの勝利を歌うことができるのか。

      ③これは預言的宣言である。

        *7つの鉢の裁きがキリストの再臨を導く。

        *キリストの再臨により、千年王国が成就する。

      ④旧約聖書の預言

        *エゼ21:26~27

*ダニ2:35、44、4:3、6:26、7:14、26~27

*ゼカ14:9

  3.16~18節

Rev 11:16 それから、神の御前で自分たちの座に着いている二十四人の長老たちも、地にひれ伏し、神を礼拝して、

Rev 11:17 言った。/「万物の支配者、今いまし、昔います神である主。あなたが、その偉大な力を働かせて、王となられたことを感謝します。

Rev 11:18 諸国の民は怒りました。しかし、あなたの御怒りの日が来ました。死者のさばかれる時、あなたのしもべである預言者たち、聖徒たち、また小さい者も大きい者もすべてあなたの御名を恐れかしこむ者たちに報いの与えられる時、地を滅ぼす者どもの滅ぼされる時です。」

    (1)24人の長老たちは、これまでに同じような文脈で7回登場している。

      ①彼らは、教会である。

      ②彼らは、神がその権威を示し、地上の王となられたことを感謝している。

      ②これは、キリストの再臨を待望した賛美である。

    (2)黙11:18は、詩2:7~9の成就である。

Psa 2:7 「わたしは【主】の定めについて語ろう。/主はわたしに言われた。/『あなたは、わたしの子。/きょう、わたしがあなたを生んだ。

Psa 2:8 わたしに求めよ。/わたしは国々をあなたへのゆずりとして与え、/地をその果て果てまで、あなたの所有として与える。

Psa 2:9 あなたは鉄の杖で彼らを打ち砕き、/焼き物の器のように粉々にする。』」

  3.19節

Rev 11:19 それから、天にある、神の神殿が開かれた。神殿の中に、契約の箱が見えた。また、いなずま、声、雷鳴、地震が起こり、大きな雹が降った。

     (1)これは、「7つの鉢の裁き」が始まる前の天における序曲である。

      ①焦点になっているのは、天における神殿である。

      ②黙15章で、その内容が詳しく説明される。

        *天における神殿の状態がどうなっているか。

    (2)12~14章は、挿入箇所の続きである。

      ①「7つの鉢の裁き」の前に続けて起こる出来事を解説している。

      ②ラッパの裁き7の内容は、黙16:1~21で解説される。

結論:

  1.黙11:13

Rev 11:13 そのとき、大地震が起こって、都の十分の一が倒れた。この地震のため七千人が死に、生き残った人々は、恐怖に満たされ、天の神をあがめた。

    (1)生き残った人々は、天の神をあがめた。

      ①ふたりの証人の復活と、大地震は、神の力の「しるし」となった。

      ②エルサレムの住民たちの多くが、天の神をあがめた。

        *天の神の栄光をたたえた(新共同訳)。

*天の神に栄光を帰した(口語訳)。

      ③全員ではなく。

      ④これは、救いに至る第一歩となった。

    (2)ユダヤ人は、大患難時代の最後に民族的救いを経験するようになる。

      ①黙11:13は、その先駆けとなる出来事である。

    (3)ふたりの証人の活動の結果

      ①ユダヤ人たちは、救いに向かって動き始める。

      ②異邦人たちは、反キリストについて行く。

  2.大患難時代における神の恵み

    (1)反キリストと偽預言者の活動により、偽りの宗教が宣伝される。

    (2)しかし、144,000人の伝道とふたりの証人の証しにより、福音が伝えられる。

    (3)その結果、大患難時代にも救われる人たちが出る。

    (4)エゼ18:32

Eze 18:32 わたしはだれの死をも喜ばない。お前たちは立ち帰って、生きよ」と主なる神は言われる。

    (5)エゼ33:11

Eze 33:11 彼らに言いなさい。わたしは生きている、と主なる神は言われる。わたしは悪人が死ぬのを喜ばない。むしろ、悪人がその道から立ち帰って生きることを喜ぶ。立ち帰れ、立ち帰れ、お前たちの悪しき道から。イスラエルの家よ、どうしてお前たちは死んでよいだろうか。

    (6)マタ25:31~33

Mat 25:31 人の子が、その栄光を帯びて、すべての御使いたちを伴って来るとき、人の子はその栄光の位に着きます。

Mat 25:32 そして、すべての国々の民が、その御前に集められます。彼は、羊飼いが羊と山羊とを分けるように、彼らをより分け、

Mat 25:33 羊を自分の右に、山羊を左に置きます。

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