サムエル記第一(14)「王を求める民」1サム8:1~18

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命題:神の民は、人間的な安心よりも神の統治を信頼すべきである。民の要求とサムエルの警告を通して、この真理が正しいことを学ぼう。

サムエル記第一(14)

「王を求める民」

1サム8:1~18

1.文脈の確認

Ⅰ.王政に向けた準備(1~9章)

  A.サムエルの誕生と幼少期(1章)

  B.ハンナの賛歌(2:1~10)

  C.シロでの霊的状況(2:11~36)

  D.サムエルの召し(3章)

  E.契約の箱(4~7章)

  F.王の選択(8~9章)

   1.王を求める民(8:1~18)

   2.民の願いを受け入れる神(8:19~9:14)

   3.サウルの選び(9:15~27)

2.注目すべき点

(1)イスラエルの歴史が新しい段階に入る。

  ①神政政治(神が王である体制)から、人間の王を持つ国家への転換点となる。

  ②1~7章は「士師サムエル」、8章以降は「王政への移行」が主題となる。

(2)サムエルの高齢と後継者問題がきっかけとなった。

  ①サムエルの息子たちは、父の信仰を受け継がなかった。

  ②エリの息子たちに続き、サムエルの息子たちも、父の信仰を受け継がなかった。

(3)民の要求には正当な部分と誤った部分があった。

  ①指導者の交代を求めたこと自体は理解できる。

  ②しかし、「ほかの国々のように王を」という願いは、間違っていた。

  ③問題は「王を求めたこと」ではなく、「どのような理由で求めたか」である。

命題:神の民は、人間的な安心よりも神の統治を信頼すべきである。

民の要求とサムエルの警告を通して、この真理が正しいことを学ぼう。

Ⅰ.民の要求(1~9節)

1.1~3節

1Sa 8:1 サムエルは、年老いたとき、息子たちをイスラエルのさばきつかさとして任命した。

1Sa 8:2 長男の名はヨエル、次男の名はアビヤであった。彼らはベエル・シェバでさばきつかさをしていた。

1Sa 8:3 しかし、この息子たちは父の道に歩まず、利得を追い求め、賄賂を受け取り、さばきを曲げていた。

(1)サムエルは年老いた。

  ①恐らく65~70歳くらいであろう。

  ②彼は、後継者として息子たちをさばきつかさとして任命した。

  ③長男の名はヨエル、次男の名はアビヤであった。

  ④彼らはベエル・シェバ(ユダの地)でさばきつかさをしていた。

(2)息子たちは父の道に歩まなかった。

  ①利得を追い求めた。

  ②賄賂を受け取った。

  ③さばきを曲げていた。

(3)民は、エリの息子たちのことを思い出したに違いない。

  ①サムエルもまた息子たちの養育に失敗した。

  ②民は、国がサムエル以前の状態に戻ることを危惧した。

2.4~5節

1Sa 8:4 イスラエルの長老たちはみな集まり、ラマにいるサムエルのところにやって来て、

1Sa 8:5
彼に言った。「ご覧ください。あなたはお年を召し、ご子息たちはあなたの道を歩んでいません。どうか今、ほかのすべての国民のように、私たちをさばく王を立ててください。」

(1)イスラエルの長老たちは、王を立てて欲しいと願った。

  ①サムエルは高齢で、さばきつかさの役割を果たせなくなった。

    *ペリシテ人の脅威が増しているので、力強いリーダーが必要である。

  ②後継者の息子たちには、道徳的な問題がある。

    *サムエルの存命中に問題を解決しておく必要がある。

(2)彼らは、「ほかのすべての国民のように」と言った。

  ①これは、他の異邦人諸国のようにという意味である。

  ②これはサムエルに対する反逆である以上に、神の王権を拒否する反逆である。

3.6節

1Sa 8:6
彼らが、「私たちをさばく王を私たちに与えてください」と言ったとき、そのことばはサムエルの目には悪しきことであった。それでサムエルは【主】に祈った。

(1)サムエルは、長老たちのことばを喜ばなかった。

  ①これほど重要なことであれば、まず【主】の御心を求める必要がある。

  ②しかし、長老たちは祈らないで、政治的に判断を下しただけである。

  ③イスラエルの民は、すでに王政よりも素晴らしい政治形態を与えられている。

  ④神政政治においては、神が王であり、さばきつかさは代理人である。

  ⑤民が従順であれば、【主】が勝利をもたらす。

  ⑥しかし民は、【主】の守りは不十分であると考えたのである。

(2)サムエルは、【主】に祈った。

  ①自分と息子たちが退けられることは、喜ばしいことではない。

  ②しかし彼は、預言者として神と民の間に立ち、御心を求めた。

4.7~9節

1Sa 8:7
【主】はサムエルに言われた。「民があなたに言うことは何であれ、それを聞き入れよ。なぜなら彼らは、あなたを拒んだのではなく、わたしが王として彼らを治めることを拒んだのだから。

1Sa 8:8
わたしが彼らをエジプトから連れ上った日から今日に至るまで、彼らのしたことといえば、わたしを捨てて、ほかの神々に仕えることだった。そのように彼らは、あなたにもしているのだ。

1Sa 8:9 今、彼らの声を聞き入れよ。ただし、彼らに自分たちを治める王の権利をはっきりと宣言せよ。」

(1)【主】からの回答があった。

  ①民が言うことは何であれ、聞き入れよ。

  ②彼らは、サムエルを拒んだのではない。

  ③【主】を王とすることを拒んだのである。

    *モーセの律法に従うことを拒んだ。

  ④人間の王がもたらす軍事力によって、敵から国を守ることを選んだのである。

(2)彼らは、出エジプトから今日に至るまで、同じ罪を犯してきた。

  ①彼らは、【主】を捨てて、偶像の神々に仕えてきた。

  ②サムエルに対しても、同じことをしている。

(3)彼らの願いを聞き入れてよいが、警告のことばを発すべきである。

  ①王政には多くの問題が潜んでいる。

  ②王の権利は、民を苦しめることになる。

Ⅱ.サムエルの警告(10~18節)

1.10節

1Sa 8:10 サムエルは、自分に王を求めるこの民に対して、【主】のすべてのことばを話した。

(1)サムエルは、【主】と民の間に立って、預言者としての使命を果たした。

  ①彼は、「【主】のすべてのことばを話した」。

  ②「取る」という動詞が六回も繰り返される。

2.11~12節

1Sa 8:11 彼は言った。「あなたがたを治める王の権利はこうだ。あなたがたの息子たちを取り、戦車や軍馬に乗せ、自分の戦車の前を走らせる。

1Sa 8:12 また、自分のために千人隊の長や五十人隊の長として任命し、自分の耕地を耕させ、自分の刈り入れに従事させ、武具や戦車の部品を作らせる。

(1)民を治める王の権利

  ①息子たちを取り、兵役に就かせる。

  ②王の耕地で働く農夫とする。

  ③武具や戦車の部品を作る職人とする。

3.13節

1Sa 8:13 また、あなたがたの娘たちを取り、香料を作る者や料理する者やパンを焼く者とする。

(1)民を治める王の権利

  ①娘たちを取り、家事労働に就かせる。

    *香料を作る者、料理する者、パンを焼く者とする。

4.14~17節

1Sa 8:14 あなたがたの畑やぶどう畑や良いオリーブ畑を没収し、自分の家来たちに与える。

1Sa 8:15 あなたがたの穀物とぶどう畑の十分の一を取り、廷臣や家来たちに与える。

1Sa 8:16 あなたがたの奴隷や女奴隷、それにあなたがたの子牛やろばの最も良いものを取り、自分の仕事をさせる。

1Sa 8:17 あなたがたの羊の群れの十分の一を取り、あなたがた自身は王の奴隷となる。

(1)民を治める王の権利

  ①畑やぶどう畑やオリーブ畑を没収し、自分の家来たちに与える。

  ②奴隷や女奴隷、子牛やろばの最良のものを取り、王の仕事をさせる。

  ③羊の群れの十分の一を取り、民は王の奴隷となる。

5.18節

1Sa 8:18 その日、あなたがたが自分たちのために選んだ王のゆえに泣き叫んでも、その日、【主】はあなたがたに答えはしない。」

(1)民は、自らの選びについて責任を負うことになる。

  ①圧政のゆえに泣き叫んでも、自分の選択の結果まで取り除かれることはない。

  ②この状況は、北王国イスラエルで顕著なものとなる。

結論:今日の信者への適用

1.神よりも人間的な方法に頼っていないかを点検しよう

(1)神の御心を待たずに人間的な知恵だけで決断する。

(2)祈りよりも計画を優先する。

(3)神への信頼よりも、お金、地位、人脈、能力に安心を見いだす。

2.「周囲と同じでありたい」という誘惑に注意しよう

(1)イスラエルは、「ほかのすべての国民のように」と言った。

(2)これは、聖書が繰り返し警告する同調圧力である。

(3)現代の同調圧力

  ①世間の価値観

  ②成功の基準

  ③流行

  ④多数派の意見

(4)信者は、「世に属している」のではなく、「世に遣わされている」存在である。

3.神の警告に耳を傾けよう

(1)サムエルは、王政の危険性を詳しく語った(9~18節)。

(2)神は裁きを下す前に、必ず警告を与えられる。

(3)今日も神は、警告を発してくださる。

  ①聖書

  ②聖霊の導き

  ③健全な牧会者や信仰の友

4.自由意志を愛のために用いよう

(1)神は人間の自由意志を尊重される。

(2)神が許容されることと、神が喜ばれることは区別しなければならない。

(3)自由意志は、イエスを信じ、愛を実践するために与えられている。

5.キリストを王として受け入れよう。

(1)救済史の流れ

  ①サムエル記→ダビデ契約→メシア誕生→メシアの受難→メシアの再臨

(2)キリストは、千年王国を統治する王である。

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