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メシアの生涯(168)—オリーブ山での説教(4)—
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オリーブ山での説教を通して、終末論について学ぶ。
「オリーブ山での説教(4)」
マコ13:1~37、マタ24、25、ルカ21:5~36
(朗読箇所 マタ24:15~28)
1.はじめに
(1)文脈の確認
①イエスの公生涯は終わった。
②イエスは神殿を去り、オリーブ山に座る。
③そこで、弟子たちに「オリーブ山での説教」を語る。
④福音書の中で終末論がまとまって取り上げられている箇所である。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§139 イエスはオリーブ山に座り、終末的出来事に関して弟子たちに教える。
マコ13:1~37、マタ24、25、ルカ21:5~36
(3)弟子たちの質問
①「いつ、そのようなことが起こるのでしょうか」
*エルサレム崩壊のしるしは何か。
②「あなたが来られる時には、どんな前兆があるのでしょうか」
*再臨のしるしは何か。
③「世の終わりには、どんな前兆があるのでしょうか」
*世の終わりのしるしは何か。
(4)イエスの回答は、③、①、②の順番である。
①今回は、②の「再臨のしるし」について学ぶ。
*マタ24:9~14は、大患難時代の前半(3年半)に関する預言である。
*マタ24:15~28は、大患難時代の後半(3年半)に関する預言である。
2.アウトライン
(1)「荒らす憎むべき者」の出現(15節)
(2)山への逃避(16~21節)
(3)限定された日数(22節)
(4)偽キリストと偽預言者の出現(23~27節)
(5)再臨の場所(28節)
3.結論:これまでの復習
オリーブ山での説教を通して、終末論について学ぶ。
Ⅴ.回答③:再臨のしるし(大患難時代の後半の3年半)
1.「荒らす憎むべき者」の出現(15節)
Mat 24:15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。)
(1)「荒らす憎むべき者」の出現が、大患難時代が後半に入るしるしである。
①「読者はよく読み取るように」
②その意味を知るためには、ダニエル書の預言から学ぶようにという意味である。
③「荒らす憎むべき者」の出現は、2段階で起こる。
(2)ダニ9:27
Dan 9:27 彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物とをやめさせる。荒らす忌むべき者が翼に現れる。ついに、定められた絶滅が、荒らす者の上にふりかかる。」
①反キリストはイスラエルと7年間の契約(平和条約)を結ぶ。
②3年半が経った時点で、彼は条約を破棄する。
③レビ的祭儀を止めさせる。
*大患難時代の後半に入る時点では、第3神殿が建っている。
④反キリストは至聖所に座り、自らを神だと宣言する。
*2テサ2:3~4参照
⑤反キリストを礼拝しない者は、殺される。
⑥しかし、反キリストは最後に滅ぼされる。
(3)黙13:14~15
Rev 13:14 また、あの獣の前で行うことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。
Rev 13:15 それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。
①偽預言者が、反キリストの像を至聖所に置き、それを拝むように命じる。
②その像に息を吹き込み、ものが言えるようにした。
③像を拝まない者は、殺された。
2.山への逃避(16~21節)
(1)警告
Mat 24:16 そのときは、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。
Mat 24:17 屋上にいる者は家の中の物を持ち出そうと下に降りてはいけません。
Mat 24:18 畑にいる者は着物を取りに戻ってはいけません。
①「荒らす憎むべき者」の出現は、ユダヤ人にとっては「しるし」である。
②ユダヤ人たちは、大急ぎで逃げる必要がある。
③「山」(複数形)とは、ヨルダン川東岸の山地である。
④持ち物に固執して、時間を無駄にしてはならない。
(2)予想される困難
Mat 24:19 だがその日、哀れなのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。
Mat 24:20 ただ、あなたがたの逃げるのが、冬や安息日にならぬよう祈りなさい。
Mat 24:21 そのときには、世の初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような、ひどい苦難があるからです。
①身重の女と乳飲み子を持つ女は、哀れである。
②冬に逃げるのは、辛いことである(雨季に当たる)。
③安息日に逃げるのも、辛いことである(移動手段がなくなる)。
④後にも先にも、このような苦難はない。
3.限定された日数(22節)
Mat 24:22 もし、その日数が少なくされなかったら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくされます。
(1)患難の日数は、突如断ち切られる。
①そうでなければ、救われる者はひとりもいなくなる。
②ダニ9:27によれば、それは半週(3年半)の間続く。
*3年半=1260日
(2)ダニ12:11~12
Dan 12:11 常供のささげ物が取り除かれ、荒らす忌むべきものが据えられる時から千二百九十日がある。
Dan 12:12 幸いなことよ。忍んで待ち、千三百三十五日に達する者は。
①1335日-1260日 = 75日
②大患難時代が終わってからメシア的王国と設立されるまでの期間
③患難の日数が限られているのは、迫害を受ける者には大きな励ましとなる。
4.偽キリストと偽預言者の出現(23~27節)
(1)23~24節
Mat 24:23 そのとき、『そら、キリストがここにいる』とか、『そこにいる』とか言う者があっても、信じてはいけません。
Mat 24:24 にせキリスト、にせ預言者たちが現れて、できれば選民をも惑わそうとして、大きなしるしや不思議なことをして見せます。
①キリストが密かに再臨されたという噂を信じてはならない。
*真剣に再臨を待っている者ほど、騙されやすい。
②偽キリストや偽教師たちに惑わされてはならない。
*その方法は、大きなしるしや不思議である。
*しるしや不思議は、必ずしも神からのものとは言えない。
③2テサ2:9~10
2Th 2:9 不法の人の到来は、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力、しるし、不思議がそれに伴い、
2Th 2:10 また、滅びる人たちに対するあらゆる悪の欺きが行われます。なぜなら、彼らは救われるために真理への愛を受け入れなかったからです。
(2)25~27節
Mat 24:25 さあ、わたしは、あなたがたに前もって話しました。
Mat 24:26 だから、たとい、『そら、荒野にいらっしゃる』と言っても、飛び出して行ってはいけません。『そら、へやにいらっしゃる』と聞いても、信じてはいけません。
Mat 24:27 人の子の来るのは、いなずまが東から出て、西にひらめくように、ちょうどそのように来るのです。
①ユダヤ人たちは、隠れている山地から飛び出して行ってはならない。
②メシアの再臨は、誰もが認識できる形で起こる。
③「いなずまが東から出て、西にひらめくように」
*突然、見逃すことのないような形で起こる。
5.再臨の場所(28節)
Mat 24:28 死体のある所には、はげたかが集まります。
(1)同じ表現が、ルカ17:37に出ていた。
Luk 17:37 弟子たちは答えて言った。「主よ。どこでですか。」主は言われた。「死体のある所、そこに、はげたかも集まります。」
(2)イスラエルの民は、異邦人の軍勢に取り囲まれる。
①「死体」とは、山地に隠れているイスラエルの民である。
②「はげたか」とは、異邦人の軍勢である。
③その場所は、ボツラ(現在のヨルダンにあるペトラ)である。
(3)ミカ2:12~13
Mic 2:12 ヤコブよ。/わたしはあなたをことごとく必ず集める。/わたしはイスラエルの残りの者を必ず集める。/わたしは彼らを、おりの中の羊のように、/牧場の中の群れのように一つに集める。/こうして人々のざわめきが起ころう。
Mic 2:13 打ち破る者は、/彼らの先頭に立って上って行き、/彼らは門を打ち破って進んで行き、/そこを出て行く。/彼らの王は彼らの前を進み、/【主】が彼らの真っ先に進まれる。
①「おりの中の羊」→「ボツラの羊」(文語訳)
(4)イザ34:5~6
Isa 34:5 天ではわたしの剣に血がしみ込んでいる。/見よ。これがエドムの上に下り、/わたしが聖絶すると定めた民の上に下るからだ。
Isa 34:6 【主】の剣は血で満ち、脂肪で肥えている。/子羊ややぎの血と、/雄羊の腎臓の脂肪で肥えている。/【主】がボツラでいけにえをほふり、/エドムの地で大虐殺をされるからだ。
(5)イザ63:1~2
Isa 63:1 「エドムから来る者、/ボツラから深紅の衣を着て来るこの者は、だれか。/その着物には威光があり、/大いなる力をもって進んで来るこの者は。」/「正義を語り、/救うに力強い者、それがわたしだ。」
Isa 63:2 「なぜ、あなたの着物は赤く、/あなたの衣は酒ぶねを踏む者のようなのか。」
(6)黙12:6
Rev 12:6 女は荒野に逃げた。そこには、千二百六十日の間彼女を養うために、神によって備えられた場所があった。
(7)その他の聖句
①エレ49:13~14、22
②ハバ3:3
③ゼカ14:3~5
結論:はじめに
(1)メシアの3つの役割(預言者、祭司、王)
(2)オリーブ山での説教で、イエスの預言者としての使命が終わる。
(3)祭司としての使命は、最後の晩餐の席ですでに始まっている。
(4)メシアは、王として再臨される。
1.回答①:世の終わりのしるし
(1)世の終わりのしるしではないもの
①偽キリストの出現
②戦争の勃発
③これらは、教会時代の特徴である。
(2)世の終わりのしるし
①世界戦争、飢饉、地震
②「そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです」
③今の世が終わり、新しい世になるための陣痛の初めである。
2.回答②:エルサレム崩壊のしるし
(1)エルサレムがローマ軍に包囲されることが、崩壊のしるしである。
①ユダヤ人たちは、山(複数形)へ逃げた。ヨルダン川東岸のペラという町。
(2)紀元70年にエルサレムは滅びた。
(3)エルサレムは、「異邦人の時が終わるまで」異邦人に踏み荒らされる。
①バビロン捕囚以降、今に至るまで、異邦人の時は続いている。
3.回答③:メシア再臨のしるし
(1)大患難時代の前半
①迫害の勃発
②偽預言者たちの出現
③罪の増加
④大患難時代を生き延びるユダヤ人たちの存在(3分の1)
⑤世界宣教(144,000人のユダヤ人たち)
(2)大患難時代の後半
①「荒らす憎むべき者」の出現(15節)
②山への逃避(16~21節)
③限定された日数(22節)
④偽キリストと偽預言者の出現(23~27節)
⑤再臨の場所(28節)
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