メシアの生涯(159)—カイザルへの税金—

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小羊の吟味から、霊的教訓を学ぶ。

「カイザルへの税金」

マタ22:15~22

1.はじめに

      *きょうの箇所は、よく誤解される箇所である。

  (1)文脈の確認

    ①イエスの最後の1週間について学んでいる。

②きょうの出来事は、火曜日に起こったものである。

③イエスは、神の小羊として4つのグループの指導者たちから挑戦を受ける。

④挑戦の目的は2つある。

  *群衆を誘導し、イエスに敵対させること

  *イエスがローマ法に違反しているという口実を見つけること

⑤イエスに挑戦した最初のグループは、祭司長とパリサイ人たちである。

⑥第2のグループは、パリサイ人とヘロデ党の者たちである。

⑦有名ではあるが、解釈が難しい箇所である。

  (2)A.T.ロバートソンの調和表

    §133 パリサイ人とヘロデ党の者たちが、イエスの権威に挑戦する。

        マコ12:13~17、マタ22:15~22、ルカ20:20~26

  2.アウトライン

    (1)パリサイ人たちの策略(15~17節)

    (2)イエスの要求(18~19節)

    (3)質疑応答(20~22節)

  3.結論:2つの盲点

    (1)2種類の権威

    (2)神への従順

小羊の吟味から、霊的教訓を学ぶ。

Ⅰ.パリサイ人たちの策略(15~17節)

   1.15~16節a

Mat 22:15 そのころ、パリサイ人たちは出て来て、どのようにイエスをことばのわなにかけようかと相談した。

Mat 22:16 彼らはその弟子たちを、ヘロデ党の者たちといっしょにイエスのもとにやって、こう言わせた。

     (1)首謀者は、パリサイ人たちである。

      ①イエスをことばのわななにかける。

      ②言葉じりを捉える。

      ③揚げ足を取る。

    (2)弟子たちをヘロデ党の者たちといっしょにイエスのもとに遣った。

      ①パリサイ人とヘロデ党の者は、通常は敵対関係にあった。

      ②イエスを共通の敵としたので、両者の違いは問題にはならなかった。

      ③パリサイ人たちは、モーセの律法が要求する複数の証人を用意したのである。

    (3)パリサイ人の特徴

      ①いかなる状況においても、ローマの支配を認めない。反体制派である。

      ②彼らは、カイザル(皇帝)を王として認めることは、【主】が王であることを否

定することであると教えていた。

③カイザルに税金を納めることは、イスラエルの上にローマの権威があると認め

ることである。

    (4)ヘロデ党の者の特徴

      ①彼らは、宗教的なグループではない。

②彼らは、ヘロデ大王の統治を積極的に支持した人たちである。

      ③今も、ヘロデ・アンティパスを初めとするヘロデ王朝の者たちを支持している。

      ④ローマの支配を受け入れている現実主義者たちである。

      ⑤ヘロデ家の中からユダヤの王になる者が出ることを期待している。

      ⑥ポンテオ・ピラトがユダヤの総督であることを喜んでいない。

      ⑦民衆の暴動が原因で、ローマがより強力な統治体制を取ることを恐れている。

    (5)主人公が自分に向けられた難問に見事に答えるというのは、古典のテーマである。

    「ときに、シェバの女王が、【主】の名に関連してソロモンの名声を伝え聞き、難問を

もって彼をためそうとして、やって来た」(1列10:1)

  ①イエスはソロモン以上の方である。

  ②イエスは、傷もしみもない神の小羊である。

   2.16b~17節

「先生。私たちは、あなたが真実な方で、真理に基づいて神の道を教え、だれをもはばからない方だと存じています。あなたは、人の顔色を見られないからです。

Mat 22:17 それで、どう思われるのか言ってください。税金をカイザルに納めることは、律法にかなっていることでしょうか。かなっていないことでしょうか。」

    (1)最初の語りかけの言葉

      ①偽善的な言葉である。

      ②彼らは、イエスを信じていなかったのである。

    (2)イエスを罠にかけるための質問

      ①カイザルに税金を納めるべきか否か。

      ②これは、ローマへの反抗か従順かを問う質問である。

      ③「イエス」と答えれば、民衆が騒ぐ。特に、熱心党の者たちを怒らせる。

      ④「ノー」と答えれば、ローマに逮捕される。ヘロデ党の者たちを怒らせる。

Ⅱ.イエスの要求(18~19節)

   1.18節

Mat 22:18 イエスは彼らの悪意を知って言われた。「偽善者たち。なぜ、わたしをためすのか。

     (1)イエスは、彼らの悪意を知っておられた。

      ①イエスを罠にかけようとしているのに、ほめ言葉を口にするのは偽善である。

      ②彼らは、イエスを試している、試みに合わせている。

   2.19節

Mat 22:19 納め金にするお金をわたしに見せなさい。」そこで彼らは、デナリを一枚イエスのもとに持って来た。

     (1)イエスは納税のためのコインを要求した。

      ①イエスはそれを持っていなかった。

      ②周りの人たちも、持っていなかった。

      ③イエスのもとに持ってくるのに、少し時間がかかった。

      ④神殿内では、だれもこのコインを持っていない。

    (2)神殿内では、ローマのコインは使用できない。

      ①ローマに税を納める時の貨幣はデナリ銀貨である。

      ②そこには、カイザルの像が刻まれていた。

      ③神殿税のために使用する貨幣は、ユダヤの銅貨である。

      ④両替商は、高い手数料を取っていた。大祭司のファミリービジネスであった。

      ⑤イエスが宮清めの際に倒したのは、両替人の台である(ヨハ2:15)。

Ⅲ.質疑応答(20~22節)

   1.20~21節a

Mat 22:20 そこで彼らに言われた。「これは、だれの肖像ですか。だれの銘ですか。」

Mat 22:21 彼らは、「カイザルのです」と言った。

     (1)ローマのデナリ貨にはカイザルの肖像と銘が刻まれていた。

      ①神格化された皇帝の肖像

      ②「Tiberius Caesar Augustus, son of the Divine Augustus」

      ③これは、ユダヤ人を支配しているのがローマであることを証明していた。

      ④また、ユダヤ人はローマの徴税制の下にいることを示していた。

    (2)彼らは、「カイザルのです」と言わざるを得なかった。

      ①彼らは、日々、ローマの支配下にあることを痛感していた。

   2.21b~22節

そこで、イエスは言われた。「それなら、カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」

Mat 22:22 彼らは、これを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。

     (1)イエスは、カイザルのものはカイザルに返せと言われた。

      ①彼らは、ローマの統治による恩恵を被っていた。

      ②ローマのコインを用いている、道路を使用している、平和を享受している。

      ③彼らには、ローマに税を支払う十分な理由があった。

    (2)彼らは、神の支配の下にもある。

      ①それゆえ、神に対する感謝を表す必要がある。

    (3)イエスは、罠にかけようとして者たちを驚嘆に追い込んだ。

      ①彼らは、そこを去るしかなかった。

結論:2つの盲点

  1.2種類の権威

    (1)旧約聖書には、2種類の権威が啓示されている。

      ①神の権威

      ②神から権限が委譲された地上の権威

    (2)神はご自身の主権によって、地上の支配者を立てる。

      ①ダニ4:17

      「この宣言は見張りの者たちの布告によるもの、この決定は聖なる者たちの命令

によるものだ。それは、いと高き方が人間の国を支配し、これをみこころにかな

う者に与え、また人間の中の最もへりくだった者をその上に立てることを、生け

る者が知るためである」(ダニ4:17)

②それゆえ、人間は地上の支配者に従う必要がある。

③この観点に立てば、ローマの支配を受け入れないパリサイ人の立場は誤りだと

いうことになる。

④1ペテ2:17

「すべての人を敬いなさい。兄弟たちを愛し、神を恐れ、王を尊びなさい」

    (3)ただし、神の権威と地上の権威が対立する場合は、神の権威に従う。

      ①使5:29

      「ペテロをはじめ使徒たちは答えて言った。『人に従うより、神に従うべきです』」

  2.神への従順

    (1)パリサイ人たちは、ローマの支配に抵抗しつつも、税は納めていた。

    (2)しかし、神の権威には従っていなかった。

      ①神から受けている多くの祝福を忘れていた。

      ②神に対する義務を忘れていた。

      ③何よりも、神の「像」そのものであるイエスを信じなかった。

      ④ヘブ1:3

      「御子は神の栄光の輝き、また神の本質の完全な現れであり、その力あるみこと

ばによって万物を保っておられます。また、罪のきよめを成し遂げて、すぐれて

高い所の大能者の右の座に着かれました」

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