コリント人への手紙第二(9)信頼回復の訴え―パウロの喜び―7:5~16

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パウロの喜びについて学ぶ。

コリント人への手紙第二 9回

信頼回復の訴え―パウロの喜び―

7 :5~16

はじめに

1.文脈の確認

(1)イントロダクション(1:1~11)

(2)パウロを疑う者たちへの回答(1:12~7:16)

  ①計画変更についての弁明(1:12~2:17)

  ②奉仕の本質の解説(3:1~6:10)

  ③信頼回復の訴え(6:11~7:16)

    *広く開かれた心(6:11~7:4)

    *パウロの喜び(7:5~16)

2.注目すべき点

(1)パウロは、信頼回復を訴えてきた。

(2)最後にパウロは、極めて感情的なことばを語る。

(3)パウロの愛と憤りが、率直に表現される。

(4)コリントの信者たちの正しい応答が、パウロに喜びをもたらす。

3.アウトライン:パウロの喜び(7:5~16)

(1)テトスの報告(7:5~13a)

(2)テトスの体験(7:13b~16)

4.結論:悔い改めと後悔の違い

パウロの喜びについて学ぶ。

Ⅰ.テトスの報告(7:5~13a)

1.5節

2Co 7:5

マケドニアに着いたとき、私たちの身には全く安らぎがなく、あらゆることで苦しんでいました。外には戦いが、内には恐れがありました。

(1)パウロの旅(2コリ2:13の続き)

  ①エペソ→トロアス(テトスに会う予定であった)

  ②トロアスで伝道の門戸が開かれたが、マケドニアに向った(2コリ2:12~13)。

  ③マケドニアに着いても、平安が与えられなかった。

(2)テトスに会えなかったことが不安の原因である。

  ①コリント教会の霊的状態は、どうだろうか。

  ②「涙ながらに書いた手紙」(2コリ2:4)は、受け入れられただろうか。

  ③テトスは歓迎されただろうか。

(3)困難な状況に置かれると、誰もが外面的にも内面的にも、平安を失う。

  ①外には敵からの攻撃があった。

  ②内には恐れがあった。

  ③パウロは、全く安らぎがなく、あらゆることで苦しんでいた。

2.6~7節

2Co 7:6

しかし、気落ちした者を慰めてくださる神は、テトスが来たことで私たちを慰めてくださいました。

2Co 7:7

テトスが来たことだけでなく、彼があなたがたから受けた慰めによっても、私たちは慰められました。私を慕うあなたがたの思い、あなたがたの深い悲しみ、私に対する熱意を知らされて、私はますます喜びにあふれました。

(1)しかし、神は時宜に適った慰めを与えてくださった。

  ①2つの慰めが与えられた。

(2)慰め1:テトスと会うことができた。

  ①信仰の友との交わりには、喜びがある。

  ②同労者との交わりには、力がある。

(3)慰め2:テトスが朗報をもたらしてくれた。

  ①テトスは、コリント教会から歓迎され、慰めを受けた。

  ②コリントの信者たちは、パウロを慕っている。

  ③彼らは、あの手紙を読み、自らの罪を深く悲しんだ。

  ④彼らは、パウロを喜ばせたいと心から願った。

3.8~9節

2Co 7:8

あの手紙によってあなたがたを悲しませたとしても、私は後悔していません。あの手紙が一時的にでも、あなたがたを悲しませたことを知っています。それで後悔したとしても、

2Co 7:9

今は喜んでいます。あなたがたが悲しんだからではなく、悲しんで悔い改めたからです。あなたがたは神のみこころに添って悲しんだので、私たちから何の害も受けなかったのです。

(1)「あの手紙」を書いた後のパウロの複雑な心情

  ①「あの手紙」は、罪を叱責する厳しい手紙であった。

  ②それを読んだコリントの信者たちは、悲しみや痛みを覚えるはずである。

  ③それを思うと、後悔したくもなる。

  ④しかし、クリスチャンの愛とは、相手の益を願って真実を語ることである。

  ⑤パウロは、「あの手紙」を書いたことを今は喜んでいる。

  ⑥パウロは、霊的外科医の役割を果たしている。

(2)喜びの理由

  ①彼らが、悲しんで悔い改めたからである。

    *悔い改めとは、罪から離れ、神に立ち返ることである。

  ②彼らは、神の御心に添って悲しんだ。

    *この悔い改めは、神に喜ばれるものである。

  ③その結果、パウロから更なる叱責を受けなくてもよくなった。

4.10節

2Co 7:10

神のみこころに添った悲しみは、後悔のない、救いに至る悔い改めを生じさせますが、世の悲しみは死をもたらします。

(1)「神のみこころに添った悲しみ」

  ①罪を犯した後に感じる悲しみは、その人を悔い改めに導く。

  ②その人は、神が自分に語っておられることを認識する。

  ③神に喜ばれる悔い改めは、後悔のないものである。

  ④それは「救いに至る悔い改め」である。

    *この救いは、永遠のいのちに至る救いではない。

    *この救いは、罪の結果からの救い、罪の束縛からの救いである。

(2)「世の悲しみ」

  ①この悲しみは、単なる後悔である。

  ②この悲しみは、苦々しい思い、頑なな思い、失望、そして死をもたらす。

5.11節

2Co 7:11

見なさい。神のみこころに添って悲しむこと、そのことが、あなたがたに、どれほどの熱心をもたらしたことでしょう。そればかりか、どれほどの弁明、憤り、恐れ、慕う思い、熱意、処罰をもたらしたことでしょう。あの問題について、あなたがたは、自分たちがすべての点で潔白であることを証明しました。

(1)コリントの信者たちは、神の御心に添って悲しんだ。

  ①その結果、多くの祝福を得た。

(2)祝福1:熱心、弁明、憤り、恐れ、慕う思い、熱意、処罰

  ①罪を犯した人に無関心であったが、熱心に問題解決に取り組むようになった。

(3)祝福2:自分たちがすべての点で潔白であることを証明した。

  ①神の御心の添った悔い改めには、行動が伴う。

  ②彼らは、問題解決のために必要なことをすべて行った。

6.12~13節a

2Co 7:12

ですから、私はあなたがたに手紙を書きましたが、それは不正を行った人のためでも、その被害者のためでもなく、私たちに対するあなたがたの熱心が、あなたがたのために神の御前に明らかにされるためだったのです。

2Co 7:13a こういうわけで、私たちは慰めを受けました。

(1)パウロが手紙を書いた目的

  ①不正を行った人の為ではない(1コリ5章の義理の母を妻にしている者)。

  ②その被害者のためでもない(その者の父)。

  ③コリントの信者たちが熱心にパウロを慕っていることが明らかにされるため。

    *そのことは、神の御前に明らかにされた。

(2)この手紙の目的が達成されたので、パウロは慰めを受けた。

  ①それだけではなく、テトス自身の体験からも慰めを受けた。

Ⅱ.テトスの体験(7:13b~16)

1.13節b

2Co 7:13b

 この慰めの上にテトスの喜びが加わって、私たちはなおいっそう喜びました。テトスの心が、あなたがたすべてによって安らいでいたからです。

(1)テトスが体験した喜びが、パウロに更なる喜びを増し加えた。

  ①テトスは、コリントの信者に受け入れられた。

  ②彼は、コリントの信者との交わりを通して、励ましと安らぎを得た。

2.14節

2Co 7:14

私はテトスに、あなたがたのことを少しばかり誇りましたが、そのことで恥をかかずにすみました。むしろ、私たちがあなたがたに語ったことがすべて真実であったように、テトスの前で誇ったことも真実となったのです。

(1)パウロは、テトスを派遣する前に、コリントの信者のことを誇った。

  ①テトスがそのとおりのことを体験したので、パウロは恥をかかずにすんだ。

(2)それどころか、テトスの前で誇ったことも真実となった。

  ①パウロは、常に真実を語ってきた。

  ②今回も、パウロが真実を語っていることが証明された。

2.15節

2Co 7:15

テトスは、あなたがたがみな従順で、どのように恐れおののきながら自分を迎えてくれたかを思い起こし、あなたがたへの愛情をますます深めています。

(1)テトスの体験

  ①彼は、どのようなもてなしを受けるか、知らなかった。

    *最悪の場合も想定していた。

  ②しかし、コリントの信者たちはテトスを歓迎した。

    *「従順で」、「恐れおののきながら」は、神への畏怖の念の表現である。

  ③この体験により、テトスは、コリントの信者への愛情をますます深めている。

3.16節

2Co 7:16

私はすべてのことにおいて、あなたがたに信頼を寄せることができることを喜んでいます。

(1)パウロがテトスに対して誇ったことは、間違いではなかった。

  ①コリントの信者は、パウロの勧告に従った。

  ②今後とも、パウロとコリントの信者の信頼関係は続く。

(2)この聖句をもって、コリント人への手紙第二の前半が終わる。

  ①パウロが自分の喜びについて書いたのは、信仰による行いを励ますためである。

結論:悔い改めと後悔の違い

1. ペテロの悔い改め

(1)ペテロは、イエスを三度否認した。

(2)その直後に、彼は深い悲しみと悔い改めに導かれた。

(3)マタ26:75

Mat 26:75

ペテロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言います」と言われたイエスのことばを思い出した。そして、外に出て行って激しく泣いた。

(4)これが「神のみこころに添った」悔い改めである。

(5)彼は立ち直り、使徒としての使命を全うした。

2 .ユダの悔い改め

(1)ユダは、イエスを裏切ったことを後悔した。

(2)彼の悔い改めは、自己中心的なものであった。

(3)「世の悲しみは死をもたらす」

(4)マタ27:3~5

Mat 27:3

そのころ、イエスを売ったユダはイエスが死刑に定められたのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちと長老たちに返して、言った。

Mat 27:4

「私は無実の人の血を売って罪を犯しました。」しかし、彼らは言った。「われわれの知ったことか。自分で始末することだ。」

Mat 27:5

そこで、彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去った。そして出て行って首をつった。

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