私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(127)—群衆への教え(1)—
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群衆への教えを通して、イエスから警告と励ましを受ける。
「群衆への教え(1)」
ルカ12:54~59
1.はじめに
(1)文脈の確認
①弟子たちへの教え 5つのテーマ
②群衆への教え 4つのテーマ
③イエスの教えの目的
*群衆は、イエスを目撃し、その教えに耳を傾けてきた。
*しかし、イエスがメシアであることをいまだに信じていなかった。
*そこでイエスは、群衆に信仰の決断を迫った。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
§108~110は、ひとかたまりと考えるべきである。
①§108 ルカ12:1~59
②§109 ルカ13:1~9
③§110 ルカ13:10~21
(3)群衆への教え(4つ)
①ルカ12:54~59 「今のこの時代」について
②ルカ13:1~9 悔い改めについて
③ルカ13:10~17 人間が抱える必要について
④ルカ13:18~21 御国のプログラムについて
(今回は①を取り上げる)
2.アウトライン
(1)自然界に見られるしるし(54~55節)
(2)この時代のしるし(56~57節)
(3)裁判のたとえ話(58~59節)
3.結論:
(1)イエスの教えの要約
(2)私たちにとっての「今のこの時代」
群衆への教えを通して、イエスから警告と励ましを受ける。
Ⅰ.自然界に見られるしるし(54~55節)
1.54節
Luk 12:54 群衆にもこう言われた。「あなたがたは、西に雲が起こるのを見るとすぐに、『にわか雨が来るぞ』と言い、事実そのとおりになります。
(1)西に雲が起こる。
①地中海から雨雲が立ち、東に流れてくる。
②西の雨雲は、雨が降るしるしである。
(2)群衆は、知識とそれを受け入れる意志とを持っていた。
2.55節
Luk 12:55 また南風が吹きだすと、『暑い日になるぞ』と言い、事実そのとおりになります。
(1)南風が吹きだす。
①これは、砂漠から吹いてくる熱風である。
②春から夏への移行期に、この風が吹く。
③花や草は、一日で枯れる。
(例話)ガリラヤ湖で、南風の体験をしたことがある。
(2)群衆は、知識とそれを受け入れる意志とを持っていた。
Ⅱ.この時代のしるし(56~57節)
1.56節
Luk 12:56 偽善者たち。あなたがたは地や空の現象を見分けることを知りながら、どうして今のこの時代を見分けることができないのですか。
(1)自然界のしるしは見分けても、「今のこの時代」は見分けることができない。
①群衆は、霊的しるしについては盲目である。
(2)「時代のしるし」という言葉
①マタイは、「時代のしるし」という言葉を使っている(マタ16:3)。
*英語では、「the signs of the times」である。
②福音書では、「時代のしるし」とは、メシアの初臨のことである。
③メシアの初臨は、「今の時代」を見分けるための「時代のしるし」である。
2.57節
Luk 12:57 また、なぜ自分から進んで、何が正しいかを判断しないのですか。
(1)訳文の比較
「また、なぜ自分から進んで、何が正しいかを判断しないのですか」(新改訳)
「あなたがたは、何が正しいかを、どうして自分で判断しないのか」(新共同訳)
「また、あなたがたは、なぜ正しいことを自分で判断しないのか」(口語訳)
「また何故みづから正しき事を定めぬか」(文語訳)
(2)メシアの初臨がすでに成就していることを認めないのは、彼らの責任である。
①パリサイ的ユダヤ教は、聖書を大幅に再解釈していた。
②そのため、預言者たちが語った預言の本来の意味が不明瞭になっていた。
③その例が、ダニエル書9章の預言である。
*70週の預言と呼ばれる箇所である。
*これは、メシア到来のタイムスケジュールを教えている。
④それゆえ、自ら願うなら、誰でも真理を学ぶことはできる。
⑤彼らは、メシアの到来と、御国の提供を目撃している世代である。
(3)群衆を糾弾することばの中には、イエスの愛が表現されている。
①イエスは、その世代の者たちに下る裁きを逃れる道があることを教えている。
②その世代の者たちに下る裁きとは、紀元70年に下る物理的な裁きである。
③裁きを逃れる道とは、神との和解である。
④神との和解の必要性について教えているのが、次のたとえ話である。
Ⅲ.裁判のたとえ話(58~59節)
1.58~59節
Luk 12:58 あなたを告訴する者といっしょに役人の前に行くときは、途中でも、熱心に彼と和解するよう努めなさい。そうでないと、その人はあなたを裁判官のもとにひっぱって行きます。裁判官は執行人に引き渡し、執行人は牢に投げ込んでしまいます。
Luk 12:59 あなたに言います。最後の一レプタを支払うまでは、そこから決して出られないのです。」
(1)これは借金のゆえの投獄に関するたとえ話である。
①返済できなければ、投獄される。
②次に、奴隷にされる。
③最後の1レプタを支払うまでは、自由人とはなれない。
*やもめの献金はレプタ2枚(マタ12:42)。
*最小単位の銅貨
④唯一の望みは、家族や知人が弁済してくれることである。
⑤あるいは、貸主と和解することである。
(2)4種類の人たちが登場する(すべて法律用語)。
①告訴する者
②役人
③裁判官
④執行人
(3)たとえ話の適用
①4種類の人たちは、すべて神を指していると考えられる。
②地上の係争においては、告訴する者との和解が重要である。
③ましてや、告訴する者が神であるなら、和解はさらに重要な課題となる。
結論
1.イエスの教えの要約
(1)自分が住んでいる時代を見分けるべきである。
(2)迫りくる裁きを逃れる道がある。
(3)その道とは、自ら進んで預言を学び、イエスをメシアとして信じること。
(4)ユダヤ人信者は、紀元70年の神殿崩壊において、誰ひとり死ななかった。
(5)イエスの教えは、その通りに成就した。
「しかし、エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、そのときには、その滅亡が近づ
いたことを悟りなさい。そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。都の中にい
る人々は、そこから立ちのきなさい。いなかにいる者たちは、都に入ってはいけませ
ん」(ルカ21:20、21)
①熱心党がエルサレムを占拠し、ローマに反乱を企てた。
②ローマはエルサレムに進攻した。
③ユダヤ人信者たちは、これを終末論的出来事として捉えた。
④紀元66年、一時的にローマ軍の包囲が解かれた。
⑤ユダヤ人信者たちは、ヨルダン川東岸のペラに逃亡し、滅亡を免れた。
⑥紀元68年、ローマ軍は再びエルサレムの包囲を開始した。
⑦紀元70年、エルサレムは神殿とともに破壊された。
⑧この時、約100万人のユダヤ人たちが殺害された。
⑨これを境に、一般のユダヤ人とユダヤ人信者の間に溝ができた。
2.私たちにとっての「今のこの時代」
(1)明確な聖書の意味が分からなくなっている時代
(2)自由主義神学
①最初から聖書を神のことばとは認めていない。
②一般書店に並んでいるキリスト教関係の本は、ほぼこの系統に属するもの。
③奇跡の否定
*出エジプト記の奇跡の否定
*処女降誕の否定
*イエスの神性の否定
④きょうの箇所は、自由主義神学では読み解けない。
*イエスの到来がなぜ「時代のしるし」と言えるのか。
*イエスを信じることが、なぜ逃れの道なのか。
*イエスはなぜ、エルサレム崩壊を予告できたのか。
(3)比ゆ的解釈に基づく神学
①ユダヤ的解釈から離れた結果、比ゆ的解釈が広まった。
②教会は新しいイスラエルであると教える。
③これを置換神学という。
*教会がイスラエルに取って代わった。
*神がイスラエルために立てておられる計画が分からなくなった。
(4)字義通りの解釈の回復が重要である。
①神は、「時代のしるし」を用意しておられる。
②メシアニックジューの増加
(例話)LCJE(ローザンヌ・ユダヤ人伝道協議会)のジム・メルニック氏
*9月20日、お茶の水の集会で通訳をした。
*迫害下のロシアのユダヤ人たち(無神論、ユダヤ性の保持)
*ロシアからの移住
*最も福音に心が開かれている。
*救われたロシア系のユダヤ人たちの影響は大である。
(5)迫りくる裁きと救いの道
①ノアの時代
②イエスの時代
③そして、「今のこの時代」
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