コリント人への手紙第一(28)復活(2)―死者の復活―15:12~34

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死者の復活について学ぶ。

コリント人への手紙第一 28回

復活(2)

―死者の復活―

15 :12~34

はじめに

1.文脈の確認

(1)結婚に関する教え(7:1~40)

(2)偶像に献げられた肉(8:1~11:1)

(3)女のかぶり物(11:2~16)

(4)聖餐式(11:17~34)

(5)御霊の賜物(12~14)

(6)死者の復活(15)

  ①キリストの復活(1~11節)

  ②死者の復活(12~34節)

  ③からだの復活(35~49節)

  ④奥義(50~58節)

2.注目すべき点

(1)復活に関する質問は、コリント教会からの手紙にはなかった。

(2)しかしパウロは、このテーマを取り上げる必要性を感じていた。

(3)パウロがいなくなった後に、偽教師が侵入して来た。

  ①ある者たちは、死後のいのちは信じたが、肉体の復活は否定した。

  ②また、パウロの使徒としての権威を疑問視する者も出て来た。

(4)パウロは、復活がキリスト教信仰の土台であることを教える。

3.アウトライン―死者の復活―

(1)復活の否定(12~19節)

(2)歴史的事実(20~28節)

(3)信者の苦闘(29~34節)

4.結論:復活がもたらした祝福

死者の復活について学ぶ。

Ⅰ.復活の否定(12~19節)

1.12節

1Co 15:12

ところで、キリストは死者の中からよみがえられたと宣べ伝えられているのに、どうして、あなたがたの中に、死者の復活はないと言う人たちがいるのですか。

(1)キリストの復活は、歴史的事実である。

  ①使徒たちはそれを宣べ伝え、コリントの信者たちは、それを信じて救われた。

  ②しかし、コリントの信者の中には、死者の復活はないと言う人たちがいた。

  ③キリストの復活を信じながら死者の復活を否定するのは、矛盾である。

(2)ギリシア人の死生観

  ①死によって魂は肉体から解き放たれる。

  ②死後、魂だけが生き続ける。

2.13~14節

1Co 15:13

もし死者の復活がないとしたら、キリストもよみがえらなかったでしょう。

1Co 15:14

そして、キリストがよみがえらなかったとしたら、私たちの宣教は空しく、あなたがたの信仰も空しいものとなります。

(1)死者の復活がないとしたら、キリストの復活もなかったことになる。

  ①これは当然の論理的帰結である。

(2)キリストの復活がなかったら、使徒たちの宣教は空しいものとなる。

  ①キリストは復活を預言していた。

    *復活がないなら、それは嘘か思い込みである。

  ②復活によって、キリストの死が有効なものであることが証明された。

    *もし復活がないなら、その証明が成り立たなくなる。

(3)コリントの信者たちの信仰も空しいものとなる。

  ①使徒たちが伝えている福音が偽りであるなら、それを信じることに意味はない。

3.15節

1Co 15:15

私たちは神についての偽証人ということにさえなります。なぜなら、かりに死者がよみがえらないとしたら、神はキリストをよみがえらせなかったはずなのに、私たちは神がキリストをよみがえらせたと言って、神に逆らう証言をしたことになるからです。

(1)キリストが復活しなかった場合の問題点

  ①使徒たちは、神についての偽証人ということになる。

  ②神が復活させなかったのに、復活させたと言うのは、神に逆らう証言である。

4.16~18節

1Co 15:16

もし死者がよみがえらないとしたら、キリストもよみがえらなかったでしょう。

1Co 15:17

そして、もしキリストがよみがえらなかったとしたら、あなたがたの信仰は空しく、あなたがたは今もなお自分の罪の中にいます。

1Co 15:18

そうだとしたら、キリストにあって眠った者たちは、滅んでしまったことになります。

(1)もし死者の復活がないなら、キリストの復活もない。

  ①しかし、キリストは復活されたのだから、死者の復活もある。

(2)キリストの復活を否定すると悲惨な結果になる。

  ①コリントの信者たちの信仰は無力なものとなる。

  ②彼らは、今もなお自分の罪の中にいることになる。

  ③すでに死んだ信者たちは、滅んでしまったことになる。

    *「眠る」という表現は、信者に対して用いられるものである。

    *「滅びてしまう」とは、救いを逃したという意味である。

5.19節

1Co 15:19

もし私たちが、この地上のいのちにおいてのみ、キリストに望みを抱いているのなら、私たちはすべての人の中で一番哀れな者です。

(1)復活がないなら、信者は哀れな者となる。

  ①彼らは、キリストに望みを抱きながら地上生涯を送っている。

  ②彼らは、嘘に騙されて生きている。

  ③彼らは、誤った希望のために日々労苦している。

  ④彼らは、すべての人の中で一番哀れな者である。

Ⅱ.歴史的事実(20~28節)

1.20節

1Co 15:20

しかし、今やキリストは、眠った者の初穂として死者の中からよみがえられました。

(1)「しかし、今や」は、「ヌニ デ」という強調形である。

  ①キリストの復活は、歴史的事実である。

  ②キリストの復活は、初穂としての復活である。

    *キリストの復活に続く信者の復活がある。

2.21~22節

1Co 15:21

死が一人の人を通して来たのですから、死者の復活も一人の人を通して来るのです。

1Co 15:22

アダムにあってすべての人が死んでいるように、キリストにあってすべての人が生かされるのです。

(1)アダムとキリストの対比

  ①両者はともに人類の代表として行動している。

  ②彼らの行為の結果は、全人類に及ぶ。

(2)アダムの行為の結果

  ①死はアダムを通して来た。

  ②アダムにあってすべての人が死んでいる。

(3)キリストの行為の結果

  ①死者の復活は人間イエスを通して来る。

  ②キリストにあってすべての人が生かされる。

    *これは、普遍的救いを教えているのではない。

    *「キリストにあって」とは、信者を指すことばである。

3.23節

1Co 15:23

しかし、それぞれに順序があります。まず初穂であるキリスト、次にその来臨のときにキリストに属している人たちです。

(1)復活の順番

  ①初穂であるキリスト

    *蘇生した人たちはいるが、彼らは死んだ。

  ②来臨のときにキリストに属している人たち

    *携挙のときに、信者の復活がある。

    *キリストに属している人たちとは、教会時代の聖徒たちである。

    *患難期の殉教者たちや旧約時代の聖徒たちは、再臨のときに復活する。

4.24~26節

1Co 15:24

それから終わりが来ます。そのとき、キリストはあらゆる支配と、あらゆる権威、権力を滅ぼし、王国を父である神に渡されます。

1Co 15:25

すべての敵をその足の下に置くまで、キリストは王として治めることになっているからです。

1Co 15:26 最後の敵として滅ぼされるのは、死です。

(1)「それから終わりが来ます」

  ①現在の天と地は滅び、千年王国が設立される。

  ②千年王国の終りに、あらゆる支配、権威、権力は滅ぼされる。

  ③悪魔は裁かれ、火の池に投げ込まれる(黙20:7~10)。

  ④不信者の復活がある。

    *彼らは、白い御座の裁きで裁かれ、火の池に投げ込まれる(第2の死)。

  ⑤キリストは、王国を父なる神に渡される。

(2)「最後の敵として滅ぼされるのは、死です」

  ①死が擬人法で語られている。

  ②千年王国でも死ぬ人はいたが、これ以降、死ぬ人はいなくなる。

5.27~28節

1Co 15:27

「神は万物をその方の足の下に従わせた」のです。しかし、万物が従わせられたと言うとき、そこには万物をキリストに従わせた方が含まれていないことは明らかです。

1Co 15:28

そして、万物が御子に従うとき、御子自身も、万物をご自分に従わせてくださった方に従われます。これは、神が、すべてにおいてすべてとなられるためです。

(1)それから、父なる神が栄光をお受けになる。

  ①詩8:7からの引用

  ②パウロは、この聖句はキリストにあって成就したと見ている。

  ③父なる神は、キリストを王として立てた。

  ④キリストは、御国を完全な状態に回復し、父なる神に渡される。

  ⑤父なる神が、すべてにおいてすべてとなられるためである。

Ⅲ.信者の苦闘(29~34節)

1.29節

1Co 15:29

そうでなかったら、死者のためにバプテスマを受ける人たちは、何をしようとしているのですか。死者が決してよみがえらないのなら、その人たちは、なぜ死者のためにバプテスマを受けるのですか。

(1)難解な聖句である。

  ①恐らく、異教徒が実施していた習慣であろう。

  ②あるいは、バプテスマを受ける前に死んだ信者のための代理洗礼かもしれない。

      (例話)モルモン教の代理洗礼

  ③パウロは、死者のためのバプテスマを肯定も否定もしていない。

  ④死者のためのバプテスマは、死者が復活しないなら、無意味な行為である。

2.30~32節

1Co 15:30 なぜ私たちも、絶えず危険にさらされているのでしょうか。

1Co 15:31

兄弟たち。私たちの主キリスト・イエスにあって私が抱いている、あなたがたについての誇りにかけて言いますが、私は日々死んでいるのです。

1Co 15:32

もし私が人間の考えからエペソで獣と戦ったのなら、何の得があったでしょう。もし死者がよみがえらないのなら、「食べたり飲んだりしようではないか。どうせ、明日は死ぬのだから」ということになります。

(1)死者が復活しないなら、地上生涯における格闘は、無意味なものとなる。

  ①パウロは、キリストを伝えたために、常にいのちの危険にさらされている。

  ②もし復活がないなら、すぐに宣教活動を止めたほうがよい。

  ③しかし、復活は実際にあるから、危険を冒してでも宣教する。

(2)パウロがコリントの信者たちを誇りとしていたことは、確かである。

  ①それを同じ確かさをもって言うが、パウロは日々死んでいる。

  ②パウロは、エペソで獣と戦った。

    *ローマ市民が獣と戦うことはないので、獣とは、比ゆ的ことばである。

  ③もし復活がないなら、なんの意味もなかったことになる。

  ④もし復活がないなら、世の人たちの人生哲学を選んだほうがましである。

3.33~34節

1Co 15:33 惑わされてはいけません。「悪い交際は良い習慣を損なう」のです。

1Co 15:34

目を覚まして正しい生活を送り、罪を犯さないようにしなさい。神について無知な人たちがいます。私はあなたがたを恥じ入らせるために言っているのです。

(1)偽教師に惑わされてはならない。

  ①彼らと交わるのは、悪い交際である。

  ②偽教師と交際すると、健全な信仰が損なわれる。

(2)コリントの信者たちへの勧告

  ①正しい生活に専念し、罪から離れなさい。

  ②神について無知な人たちに気をつけなさい。

    *教会の中にいる不信者

    *偽教師たち

結論:復活がもたらした祝福

1.イエスの信頼性が証明された。

(1)イエスは、預言者であり、【主】(ヤハウェ)であることが証明された。

2.福音の信頼性が証明された。

(1)もし復活がないなら、私たちの信仰はむなしい。

3.復活後の働きが可能になった。

(1)イエスは大祭司、仲介者、教会のかしらである。

(2)弟子たちに権威と聖霊と命令を与えた。

(3)私たちの内に内住されるお方である。

4.ダビデ契約が成就した。

(1)ダビデの子孫が永遠の王位に就く。

(2)2サム7:12~16

5.復活の体が初めて登場した。

(1)それまでの復活は、厳密には蘇生であった。

(2)イエスの復活は、地上での体との連続性があった。

(3)これが、私たちが将来目撃するメシアの姿である。

6.信者の復活の初穂となった。

(1)後に続くものがあるから、「初穂」と言う。

(2)私たちは、栄光のからだをいただくようになる。

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