コリント人への手紙第一(21)御霊の賜物(1)―御霊による信仰告白―12:1~3

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御霊による信仰告白について学ぶ。

コリント人への手紙第一 21回

御霊の賜物(1)

―御霊による信仰告白―

12 :1~3

はじめに

1.文脈の確認

(1) 結婚に関する教え(7:1~40)

(2)偶像に献げられた肉(8:1~11:1)

(3)女のかぶり物(11:2~16)

(4)聖餐式(11:17~34)

(5)御霊の賜物(12~14)

  ①御霊による信仰告白(12:1~3)

  ②一致と多様性(12:4~31)

  ③愛の優位性(13:1~13)

  ④異言よりも預言(14:1~25)

  ⑤正しい賜物の行使(14:26~40)

2.注目すべき点

(1)コリント教会の礼拝に混乱をもたらした3つの要因

  ①女のかぶり物

  ②聖餐式

  ③御霊の賜物

(2)御霊の賜物が最も深刻な問題である。

  ①これもまた「信者の自由の濫用」という問題である。

  ②パウロは3章を用いてコリントの信者たちの誤りを正す。

(3)12~14章の内容(A-B-Aというパターンが見られる)

  ①12章―総論的な説明

  ②13章―神学的な挿入句

  ③14章―問題の是正

(4)この箇所(12:1~3)の役割

  ①御霊に支配されているかどうか(聖霊の内住)を確認する。

  ②御霊による新生体験がないなら、それ以降の議論は意味がなくなる。

3.アウトライン

(1)新しいテーマ(1節)

(2)信者になる前の状態(2節)

(3)信者になった今の状態(3節)

4.結論:パウロの教えの予習

御霊による信仰告白について学ぶ。

Ⅰ.新しいテーマ(1節)

1.1節

1Co 12:1

さて、兄弟たち。御霊の賜物については、私はあなたがたに知らずにいてほしくありません。

(1)ここから新しいテーマが始まる。

  ①「〇〇については」(ペリ・デ)

  ②新しいテーマは、「御霊の賜物」である。

  ③7:1

1Co 7:1 さて、「男が女に触れないのは良いことだ」と、あなたがたが書いてきたことについてですが、

  ④「御霊の賜物」もコリントの信者たちが質問してきたものである。

  ⑤この質問が、最も深刻で重大なものである。

(2)御霊の賜物とは

  ①聖霊の内住がある人に、聖霊が与える賜物である。

  ②ギリシア語で「ton pneumatikon」(the spirituals)である。

    *訳語では、「賜物」ということばを補足している。

  ③聖霊を強調する場合は、「pneumatika」を使う。

  ④賜物を強調する場合は、「charismata」を使う。

(3)御霊の賜物に関する教えは、コリントの信者たちに必要なものである。

  ①10:1(先祖の偶像礼拝の罪から学ぶ教訓)

1Co 10:1 兄弟たち。あなたがたには知らずにいてほしくありません。私たちの先祖はみな雲の下にいて、みな海を通って行きました。

  ②「私はあなたがたに知らずにいてほしくありません」(12:1)

(4)根底にあるのは、「霊的クリスチャンとはどのような人か」という問いである。

  ①ガラ5:16

Gal 5:16 私は言います。御霊によって歩みなさい。そうすれば、肉の欲望を満たすことは決してありません。

    *肉(自我)に従っている人は、霊的クリスチャンではない。

  ②悪霊に従っている人も、霊的クリスチャンではない(10:20~21)。

  ③2:15

1Co 2:15 御霊を受けている人はすべてのことを判断しますが、その人自身はだれによっても判断されません。

    *御霊を受けている人は、生まれながらの人とは異なる。

  ④霊的クリスチャンとは、聖霊の支配のもとにある人である。

    *御霊の内住があるだけでは、霊的クリスチャンとは言えない。

Ⅱ.信者になる前の状態(2節)

2.2節

1Co 12:2

ご存じのとおり、あなたがたが異教徒であったときには、誘われるまま、ものを言えない偶像のところに引かれて行きました。

(1)コリントの信者の多くが、異教徒(偶像礼拝者)であった。

  ①彼らは、種々の偶像礼拝を通して、神秘的な体験をしていた。

  ②信者になってからも、過去の体験に囚われている人たちがいた。

  ③彼らは、神秘的な体験が、霊的であることの証拠だと思い込んでいた。

(2)信者になる前の彼らは、誘われるまま、偶像のところに引かれて行った。

  ①偶像は、ものを言えない。

  ②しかし、その背後には悪霊がいる。

  ③10:20

1Co 10:20
むしろ、彼らが献げる物は、神にではなくて悪霊に献げられている、と言っているのです。私は、あなたがたに悪霊と交わる者になってもらいたくありません。

  ④偶像礼拝の中で体験する預言や異言は、悪霊から出たものである。

  ⑤使16:16

Act 16:16
さて、祈り場に行く途中のことであった。私たちは占いの霊につかれた若い女奴隷に出会った。この女は占いをして、主人たちに多くの利益を得させていた。

(3)パウロは、コリントの信者たちが語る預言や異言が悪霊から出ているとまでは

言っていない。

  ①しかし彼は、聖霊から出ていない預言や異言があることを示唆している。

Ⅲ.信者になった今の状態(3節)

3.3節

1Co 12:3

ですから、あなたがたに次のことを教えておきます。神の御霊によって語る者はだれも「イエスは、のろわれよ」と言うことはなく、また、聖霊によるのでなければ、だれも「イエスは主です」と言うことはできません。

(1)信者になった今は、御霊の働きかどうかを見分ける必要がある。

  ①信者の中には、偶像礼拝の中で預言や異言を語っていた者たちがいた。

  ②彼らは、その体験を教会での礼拝の中に持ち込んで来ていた。

  ③しかし、恍惚状態で語ることが、その人の霊性を決めるわけではない。

  ④語られる内容が、神からのものか悪霊からのものか、判断する必要がある。

  ⑤大切なのは、それが恍惚状態で語られることばあるかどうかではない。

  ⑥大切なのは、語られる内容が正しいかどうかである。

(2)聖霊の支配に服している人は、「イエスは、のろわれよ」とは言わない。

  ①「のろわれよ」は「アナテマ」である。

  ②アラム語の伝統がキリスト教会に持ち込まれた例である。

  ③アナテマには、裁きのために選び分けられ、神に献げられたという意味がある。

  ④「イエスは、のろわれよ」と言う人は、悪霊によって語っている。

(3)聖霊の支配に服していなければ、「イエスは主です」と言うことはできない。

  ①恍惚状態であっても、自然な状態であっても、差はない。

  ②聖霊によらなければ、イエスに対する信仰を告白することはできない。

  ③聖霊の働きは、イエスをあがめることである。

      (例話)感動的な体験がないある婦人の質問

(4)これ以降の教えは、聖霊によって「イエスは主です」と言った人に向けられる。

結論:パウロの教えの予習

1.御霊の賜物が与えられている目的

(1)信者には、最低1つは御霊の賜物が与えられている。

(2)その目的は、教会(信者の群れ)の必要に仕えるためである。

(3)御霊の賜物のリストは、ロマ12章、エペ4章、1ペテ4:10~11にある。

2.御霊の賜物の多様性

(1)御霊の賜物を複数与えられている人もいる。

(2)同じ御霊から出ているが、御霊の賜物には多様性がある。

(3)御霊の賜物には、優劣の差はない。

3.御霊の賜物の誤用

(1)一致をもたらすはずの御霊の賜物が、分裂の原因になっていた。

(2)御霊の賜物が霊的力の象徴となり、敵対心を駆り立てていた。

(3)自分を誇るために、華々しい御霊の賜物(異言)が重視された。

(4)教会は、優越感を持つ人と、妬みや劣等感を覚える人とに二分された。

(5)解決策は、愛に基づく御霊の賜物の行使である。

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