私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(114)—良い牧者のたとえ(1)—
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イエスは、良い牧者である。
「良い牧者のたとえ(1)」
ヨハ10:1~10
1.はじめに
(1)文脈の確認
①十字架にかかる前の年の仮庵の祭り(半年前)
②イエスは神殿を去ったが、まだエルサレムにとどまっている。
③生まれつきの盲人の癒しが行われた。
④きょうの箇所は、その続きである。
*ヨハ9:41とヨハ10:1の間に区切りを設けるべきではない。
⑤パリサイ人たちへの厳しい言葉が出て来る。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
「良い牧者のたとえ」(§101)
ヨハ10:1~21
(3)良い牧者のたとえついて
①中東では、指導者を羊飼い(牧者)、民を羊にたとえるのは、普通のことである。
②王や祭司は、自分を羊飼い、民を羊と呼んだ。
③聖書でも、「牧者と羊」の比喩は頻繁に出て来る。
④羊飼いが職業であった人々
・アブラハム、イサク、ヤコブ、モーセ、ダビデ
⑤有名な聖書箇所
・詩23篇、イザ53章、ルカ15章(いなくなった羊のたとえ)
⑥イエスは、以上のような伝統の上に立って、霊的真理を教えた。
・たとえ話だという理由で、語られている真理を軽視してはならない。
・たとえ話は、信仰のない者から真理を隠すという効果がある。
2.アウトライン
(1)羊飼いと盗人(強盗)の対比(1~6節)
(2)羊の門と盗人(強盗)の対比(7~10節)
(3)良い牧者と雇い人の対比(11~18節)
(4)信じる者と信じない者の対比(19~21節)
*今回は、(1)と(2)を取り上げる。
3.結論:
(1)比喩的言葉について
(2)羊と羊飼いの関係について
(3)豊かないのちについて
イエスは、良い牧者である。
Ⅰ.羊飼いと盗人(強盗)の対比(1~6節)
1.1節
「まことに、まことに、あなたがたに告げます。羊の囲いに門から入らないで、ほかの所を乗り越えて来る者は、盗人で強盗です」(1節)
(1)牧場の朝の情景
①「羊の囲い」とは、冬の夜に、羊を集めておく場所である。
②通常は、石垣で囲まれている。イバラやアザミが生えている。
③仮庵の祭りの時期は、冬に近づいている。
④門番がいて、夜間の番をしている。
*獅子、ひょう、狼、熊、ジャッカル、などの野獣がいた。
⑤ひとつの囲いの中で、いくつもの羊の群れが休んでいる。
⑥朝になると、羊飼いは門から入り、自分の群れを連れ出す。
(2)「まことに、まことに、あなたがたに告げます」
①重要な真理を教える際の、常套句である。
②文脈は、生まれつきの盲人の癒しである。
③聴衆は、その癒しを目撃したパリサイ人たちと群衆である。
(3)「盗人と強盗」
①ユダヤ教の律法では、盗人と強盗は区別される。
*盗人は家に押し入る。
*強盗は荒野に潜んでいて、旅人を襲う。
*羊飼いは、野獣だけでなく、人間の害にも注意を払う必要があった。
②イスカリオテのユダは盗人である(ヨハ12:6)。
③バラバは強盗である(ヨハ18:40)。
④イエスとともに十字架に付けられた2人も強盗である(マタ27:38、44)。
(4)「羊の囲いに門から入らないで、ほかの所を乗り越えて来る者」
①「claim jumper」というレストランチェーンがある。
*他人の権利を侵害する者という意味
②これは、パリサイ人たちのことである。
*彼らは、盗人で強盗である。
*羊の囲い(ユダヤ人国家)に力づくで侵入し、他人の財産を奪っていく。
2.2節
「しかし、門から入る者は、その羊の牧者です」(2節)
(1)これは、イエスのことである。
①イエスは門から入る。
(2)イエスとパリサイ人たちの対比
①イエスは、旧約聖書の預言の成就として来られた。
②パリサイ人たちは、口伝律法を作り、羊飼いであるかのように振る舞った。
*彼らは、モーセの律法を知っていると言いながら、イエスを信じなかった。
*また、イエスを信じた人を会堂から追放した。
3.3~4節
「門番は彼のために開き、羊はその声を聞き分けます。彼は自分の羊をその名で呼んで連れ出します。彼は、自分の羊をみな引き出すと、その先頭に立って行きます。すると羊は、彼の声を知っているので、彼について行きます」(3~4節)
(1)門番とは誰か。3つの可能性。
①旧約聖書の預言者たち
②バプテスマのヨハネ
③聖霊
*聖霊は、私たちの心の扉を開いてくださる方である。
(2)羊は、その声を聞き分ける。
①癒された盲人は、パリサイ人たちの声ではなく、イエスの声に従った。
②パリサイ人たちは、彼を会堂から追放した。
③イエスは、彼を囲い(パリサイ的ユダヤ教)から導き出した。
(3)羊飼いは、自分の羊の名を呼ぶ。
①複数の群れが同じ囲いの中にいる。
(4)羊飼いは、羊の先頭に立って行く。
①羊は、彼について行く。
②真の牧者は、羊を追い立てない。
③先頭に立って、教え、行動、人格によって羊の群れを導く。
4.5節
「しかし、ほかの人には決してついて行きません。かえって、その人から逃げ出します。その人たちの声を知らないからです」(5節)
(1)ほかの人
①盗人と強盗
②別の群れの羊飼い
③ここでは、パリサイ人たちのこと。
(2)2重の拒否
①決してついて行かない。
②逃げ出す。
③牧会者のゴールは、これである。
*みことばを教えることで、羊が真の牧者の声を聞き分けるようにする。
④ヨハネの福音書の読者は、この羊と自分を重ね合わせたことであろう。
*彼らの多くが、会堂から追放されていた。
*それは悲劇ではなく、「ほかの人」から逃げ出したことなのである。
5.6節
「イエスはこのたとえを彼らにお話しになったが、彼らは、イエスの話されたことが何のことかよくわからなかった」(6節)
(1)イエスは、このたとえ話をパリサイ人たちに話した。
①彼らは、理解しなかった。
②羊飼いを軽蔑していたので、自分のこととは思わなかった。
②イエスの羊ではないので、その声を聞き分けることができない。
Ⅱ.羊の門と盗人(強盗)の対比(7~10節)
1.7~9節
「そこで、イエスはまた言われた。『まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしは羊の門です。わたしの前に来た者はみな、盗人で強盗です。羊は彼らの言うことを聞かなかったのです。わたしは門です。だれでも、わたしを通って入るなら、救われます。また安らかに出入りし、牧草を見つけます』」(7~9節)
(1)新しい比喩が用いられる。「まことに、まことに、…」
①ここで語られている門には、2種類ある。
*囲いの門(1~2節)
*羊の門(7節)
(2)羊飼いに導かれた羊の群れは、牧草のある場所に来る。
①そこに、羊の囲い地がある。
②羊は、羊の門を使ってその囲い地に出入りする。
③外に出れば水と牧草があり、内に入れば安全がある。
(3)イエスだけが、神の国に入るための門である。
①イエスよりも前に来た霊的指導者たちは、盗人で強盗である。
②この方以外に、救いはない。
2.10節
「盗人が来るのは、ただ盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするだけのためです。わたしが来たのは、羊がいのちを得、またそれを豊かに持つためです」(10節)
(1)盗人の動機は、羊を搾取することである。
①自分の利益のために、羊を殺すことさえする。
(2)イエスは、奪うためではなく、与えるために来られた。
①羊は命を得る。
②その命を豊かに持つ。
結論
1.比喩的言葉について
(1)字義通りの解釈とは、比喩は比喩として読むということである。
①イエスは、文字通りの門ではない。
②イエスの役割と、門の役割に、相関関係があるということである。
(2)マコ14:22の解釈
「それから、みなが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、彼らに与えて言われた。『取りなさい。これはわたしのからだです』」(マコ14:22)
①パン=イエスのからだ、ではない。
②これは、比喩的言葉である。
2.羊と羊飼いの関係について
(1)これもまた、比喩的言葉である。
①羊と羊飼いの関係は、私たちと主イエスの関係に似ている。
(2)羊飼いは、自分の羊に名を付けている。今もその習慣がある。
①羊飼いは名を呼んで、自分の羊をみな引き出す。
②一頭も残されることはない。
③聖書の例
*出33:17
「【主】はモーセに仰せられた。『あなたの言ったそのことも、わたしはしよう。あなたはわたしの心にかない、あなたを名ざして選び出したのだから』」
*イザ43:1
「だが、今、ヤコブよ。あなたを造り出した方、【主】はこう仰せられる。イスラエルよ。あなたを形造った方、【主】はこう仰せられる。『恐れるな。わたしがあなたを贖ったのだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたはわたしのもの』」
*ルカ19:5
「イエスは、ちょうどそこに来られて、上を見上げて彼に言われた。『ザアカイ。急いで降りて来なさい。きょうは、あなたの家に泊まることにしてあるから』」
*使10:5
「さあ今、ヨッパに人をやって、シモンという人を招きなさい。彼の名はペテロとも呼ばれています」
3.豊かないのちについて
「盗人が来るのは、ただ盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするだけのためです。わたしが来たのは、羊がいのちを得、またそれを豊かに持つためです」(ヨハ10:10)
(1)福音の三要素を受け入れ、イエスをそのような方と信じる。
(2)その瞬間から、新しいいのちが始まる。
①現在形の動詞。継続した動作を示す。
(3)新しいいのちには、種々の段階がある。
①豊かに持つ段階へと進む。これも現在形の動詞。
②羊は、門を通って出入りする。
*神の臨在の中に入り、神を礼拝する。
*礼拝した後、この世に出て行く。
③みことばは牧草である。
④聖霊の支配に服すれば服するほど、いのちは豊かになる。
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