コリント人への手紙第一 1回あいさつ ―聖化について考える―1:1~3

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コリント人への手紙第一のイントロダクションについて学ぶ。

コリント人への手紙第一 1回

あいさつ ―聖化について考える―

1 :1~3

はじめに

1.時系列から見たパウロとコリント教会の関係

(1)コリントでの開拓伝道(使18章)

  ①使18:9~11

Act 18:9 ある夜、主は幻によってパウロに言われた。「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。

Act 18:10 わたしがあなたとともにいるので、あなたを襲って危害を加える者はいない。この町には、わたしの民がたくさんいるのだから。」

Act 18:11 そこで、パウロは一年六か月の間腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けた。

  ②コリントでの宣教は、容易なものではなかった。

  ③この宣教は1年半続いた。複数の家の教会が誕生したことであろう。

(2)第一の手紙(「前の手紙」。残っていない)

  ①1コリ5:9

1Co 5:9 私は前の手紙で、淫らな行いをする者たちと付き合わないようにと書きました。

  ②パウロは、第一の手紙を書いて、教会の浄化について教えた。

(3)クロエの家の者たちの情報と教会からの手紙

  ①1コリ1:11

1Co 1:11 私の兄弟たち。実は、あなたがたの間に争いがあると、クロエの家の者から知らされました。

  ②1コリ7:1

1Co 7:1 さて、「男が女に触れないのは良いことだ」と、あなたがたが書いてきたことについてですが、

(4)第二の手紙(コリント人への手紙第一)

  ①これは、ローマ人への手紙やエペソ人への手紙のような神学書ではない。

  ②これは、現実問題を取り上げた牧会的書である。

  ③コリント教会の諸問題が、後の信者たちにとって教訓となる。

(5)「あなた方を悲しませる訪問」

  ①2コリ2:1

2Co 2:1 そこで私は、あなたがたを悲しませる訪問は二度としない、と決心しました。

  ②この訪問は、期待外れの結果に終わった。

(6)第三の手紙(「あの手紙」。残っていない)

  ① 2コリ2:3~4

2Co 2:3
あの手紙を書いたのは、私が訪れるときに、私に喜びをもたらすはずの人たちから、悲しみを受けることがないようにするためでした。私の喜びがあなたがたすべての喜びであると、私はあなたがたすべてについて確信しています。

2Co 2:4
私は大きな苦しみと心の嘆きから、涙ながらにあなたがたに手紙を書きました。それは、あなたがたを悲しませるためではなく、私があなたがたに対して抱いている、あふれるばかりの愛を、あなたがたに知ってもらうためでした。

  ②第三の手紙は、涙ながらに書かれたものである。

(7)第四の手紙(コリント人への手紙第二)

  ①パウロは、マケドニアからコリントに向かおうとしている。

  ②三度目の訪問の準備として、この手紙を書き送った。

  ③パウロの内面が深く表現されている。

(8)三度目の訪問の予告

  ①2コリ13:1

2Co 13:1 私があなたがたのところに行くのは、これで三度目です。二人または三人の証人の証言によって、すべてのことは立証されなければなりません。

  ②「二人または三人の証人の証言」とは、コリント訪問の回数であろう。

2.この手紙の概略

(1)著者は使徒パウロ。

  ①彼は2度、自己紹介をしている(1:1、16:21)。

  ②4回自分のことを「使徒」と呼んでいる(1:1、4:9、9:1、15:9)。

(2)宛先はコリントの教会。

  ①コリントは、アカヤ州の首都で、東西に移動するための要衝の地である。

  ②ローマ帝国内で4番目に大きな町。

    *商業都市、文化都市、堕落した都市、偶像礼拝の都市

    *「korinthiazomai」とい動詞が生まれたほどである(堕落した生活)。

  ③この教会の土台を築いたのはパウロであるが、多くの問題があった。

(3)執筆年代と執筆目的

  ①パウロは、紀元55年頃に、エペソにあってこの手紙を書いた。

  ②パウロは、位置的聖化を実際的聖化に高めようと努力した。

3.アウトライン

(1)あいさつ(1~3節)

(2)感謝の祈り(4~9節)

4.結論:聖化の種類

コリント人への手紙第一のイントロダクションについて学ぶ。

Ⅰ.あいさつ(1~3節)

1.1節

1Co 1:1

神のみこころによりキリスト・イエスの使徒として召されたパウロと、兄弟ソステネから、

(1)パウロの自己紹介

  ①「イエスの使徒として召された」は、著者パウロの権威を保証している、

    *ロマ1:1

Rom 1:1 キリスト・イエスのしもべ、神の福音のために選び出され、使徒として召されたパウロから。

    *12使徒の中には含まれないが、彼らと同じ特権と権威を受けている。

  ②「神のみこころにより」は、著者パウロの権威を補強している。

    *エペ1:1

Eph 1:1 神のみこころによるキリスト・イエスの使徒パウロから、キリスト・イエスにある忠実なエペソの聖徒たちへ。

(2)兄弟ソステネの紹介

  ①ソステネは、よくある名前である。

  ②使18:17に登場する会堂司のソステネであるという証拠はない。

Act 18:17 そこで皆は会堂司ソステネを捕らえ、法廷の前で打ちたたいた。ガリオは、そのようなことは少しも気にしなかった。

  ③彼は、コリント教会ではよく知られた人物であった。

  ④この手紙の書記だった可能性がある。

2.2節

1Co 1:2

コリントにある神の教会へ。すなわち、いたるところで私たちの主イエス・キリストの名を呼び求めているすべての人とともに、キリスト・イエスにあって聖なる者とされ、聖徒として召された方々へ。主はそのすべての人の主であり、私たちの主です。

(1)「コリントにある神の教会へ」

  ①コリント教会には分裂があった。

  ②それにもかかわらず、コリント教会は「神の教会」である。

    *恐らく、多数の家の教会が存在していたであろう。

(2)コリント教会の信者の特徴

  ①彼らは、普遍的教会に属している。

    *「いたるところで私たちの主イエス・キリストの名を呼び求めているすべ

ての人」

    *パウロの宣教以外の方法で救われた人たちが多くいる。

    *イエス・キリストを信じるすべての人は、普遍的教会の会員である。

    *それゆえ、普遍的教会の中の問題児となってはならない。

  ②彼らは、聖なる者とされている。

    *位置的聖化を体験している。

    *キリスト・イエスにあって聖なる者とされている。

    *義認は、イエス・キリストを信じた段階で与えられる。

    *聖化は、その時点から始まるプロセスである。

  ③彼らは、聖徒として召されている。

    *この世からは選び分けられている。

  ④彼らは、罪を犯す聖徒たちである。

    *信仰の成長とは、聖徒としての内面と行為が一致することである。

3.3節

1Co 1:3

私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたにありますように。

(1)「恵み」

  ①彼らは、恵みによって救われ、教会の一員とされた。

  ②彼らは、恵みによってお互いを扱うように期待されている。

(2)「平安」

  ①恵みによってお互いを扱うなら、お互いの間に平和な関係が生まれる。

(3)「私たちの父なる神と主イエス・キリストから」

  ①神は、ご自身に信頼する者の内に、恵みと平安をもたらしてくださる。

  ②恵みと平安は、父なる神と主イエス・キリストから与えられる。

結論:聖化の種類

1.予備的聖化

(1)信者は、救われる前から選ばれている。

  ①神は、その人が福音を聞いて信じるように予定された。

  ②2テサ2:13

2Th 2:13

しかし、主に愛されている兄弟たち。私たちはあなたがたのことについて、いつも神に感謝しなければなりません。神が、御霊による聖別と、真理に対する信仰によって、あなたがたを初穂として救いに選ばれたからです。

2.位置的聖化

(1)信者は、メシアの内にあることによって、神の目からは完成したと見なされる。

  ①その信者の内的状態に関係なく、完成したと見なされる。

  ②すべての信者は、この意味での「聖化」を得ている。

  ③聖句

    *使20:32、ロマ6:1~10、ヘブ10:10、14

(2)コリント教会の信徒たちは、「聖徒」と呼ばれている。

  ①この意味での聖化があるがゆえに、信者は聖なる生活を志す必要がある。

3.漸進的聖化(経験的聖化)

(1)漸進的聖化とは、罪の力から解放されることである。

  ①信者の内的実質と「神の目から見た判断」とが一致することである。

(2)聖化されているという事実と、外的行為とが一致することである。

  ①この世の生活においては、聖化の完成はない。

(3)死んでパラダイスに上げられた魂は、そこで完全なものとされる。

(4)全人的な聖化は、メシア来臨(携挙)のときに完成する。

  ①聖句

    *エペ5:27、1テサ3:13、5:22~23

    *ヘブ9:28、10:14、1ヨハ3:2

4.聖化における信者の責務

(1)受動的責務

  ①神の働きに自らを委ねる。

  ②神的受動態(ロマ12:1~2)

(2)能動的責務

  ①神の御心を選ぶ。

  ②ロマ8:13~14

Rom 8:13

もし肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬことになります。しかし、もし御霊によってからだの行いを殺すなら、あなたがたは生きます。

Rom 8:14 神の御霊に導かれる人はみな、神の子どもです。

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