私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(95)—山頂から麓へ—
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イエスと弟子たちの会話を通して、終末論を整理する。
「山頂から麓へ」
§086 マコ9:9~13、マタ17:9~13、ルカ9:36
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ペテロの信仰告白
②イエスによる十字架と復活の預言
③イエスの変貌
(2)A.T.ロバートソンの調和表
「復活とエリヤについて当惑する弟子たち」(§86)
マコ9:9~13、マタ17:9~13、ルカ9:36
(3)山頂と麓の対比
①理想と現実のギャップ
②将来と現在のギャップ
2.アウトライン
(1)イエスの命令:沈黙
(2)弟子たちの質問:終末論の混乱
(3)イエスの回答:エリヤとは誰かの解説
3.結論:
(1)バプテスマのヨハネに関する復習
(2)終末論の整理
(3)山頂から麓へ
イエスと弟子たちの会話を通して、終末論を整理する。
Ⅰ.イエスの命令:沈黙
1.9節
「さて、山を降りながら、イエスは彼らに、人の子が死人の中からよみがえるときまでは、
いま見たことをだれにも話してはならない、と特に命じられた」
(1)弟子たちは、いまだにメシアの使命と計画を理解していない。
①ペテロは、信仰告白をしたが、イエスの受難を否定した。
②彼は、エルサレムに上らないで、この山で仮庵の祭りを祝うことを提案した。
*恐らく、時期的には秋の祭りである仮庵の祭りが近づいていたのであろう。
*イエスが十字架にかかる約半年前である。
(2)イエスは、弟子たちに沈黙するように命じた。
①変貌の出来事を今言い広めると、政治的メシア像を宣伝することになる。
②沈黙の期間は、「人の子が死人の中からよみがえるときまで」である。
③つまり、変貌の出来事の意味やメシア的王国の希望は、復活という事実を通し
てしか理解されないものなのである。
Ⅱ.弟子たちの質問:終末論の混乱
1.10節
「そこで彼らは、そのおことばを心に堅く留め、死人の中からよみがえると言われたこと
はどういう意味かを論じ合った」
(1)「そのおことばを心に堅く留め」
①これまで心に残らなかった復活というテーマの重要性が、分かり始めた。
②受難と復活に関することばが、初めて心に届いた。
(2)彼らは、「死人の中からよみがえる」ということばの意味について論じ合った。
①彼らは、死後の復活を信じていた。
②しかし、メシアであるイエスは死ぬはずがない。
③イエスは、死者を甦らせてきた。
④イエスの変貌の姿を、今見たばかりではないか。
(3)彼らは、明らかに混乱している。
①これは、終末論に関する混乱である。
②そこで、エリヤに関する質問が始まる。
2.11節
「彼らはイエスに尋ねて言った。『律法学者たちは、まずエリヤが来るはずだと言ってい
ますが、それはなぜでしょうか』」
(1)彼らは、3つの理由で、世の終わりが近いという認識を持った。
①山頂で、エリヤが現れた。
②イエスのメシア性は、シャカイナグローリーとバットコルにより証明された。
③イエスは死後の復活の話をされた。
(2)彼らは、終末とエリヤの関係について質問した。
「律法学者たちは、まずエリヤが来るはずだと言っていますが、それはなぜでしょう
か」
①マラ4:5~6
「見よ。わたしは、【主】の大いなる恐ろしい日が来る前に、預言者エリヤをあな
たがたに遣わす。彼は、父の心を子に向けさせ、子の心をその父に向けさせる。
それは、わたしが来て、のろいでこの地を打ち滅ぼさないためだ」
②もしエリヤが先駆者として来るなら、いつ来るのか。
③エリヤが先駆者として奉仕するなら、メシアは死ななくてもよいのではないか。
Ⅲ.イエスの回答:エリヤとは誰かの解説
1.12節
「イエスは言われた。『エリヤがまず来て、すべてのことを立て直します。では、人の子
について、多くの苦しみを受け、さげすまれると書いてあるのは、どうしてなのですか』」
(1)イエスは、先ずエリヤが来て、すべてを立て直すということを認めた。
①「Elijah is coming …」
②これは、将来のことである。
(2)だからと言って、メシアの受難の必要性がなくなるわけではない。
①メシアの受難は、明確に預言されている。
*「書いてある」
*「It is written」で、聖書に書かれているということ。
②詩22篇、イザ53章など参照。
(3)エリヤが先駆者として到来するということと、メシアの受難とは、どのようにし
て調和させられるのか。
2.13節
「しかし、あなたがたに告げます。エリヤはもう来たのです。そして人々は、彼について
書いてあるとおりに、好き勝手なことを彼にしたのです」
(1)イエスは、エリヤはすでに来たと言われた。
①「しかし」は、ギリシア語の「アッラ」で強意。
②イエスは、バプテスマのヨハネのことを言っている。
③「そして人々は、彼について書いてあるとおりに、好き勝手なことを彼にした
のです」
④エリヤは、アハブとイゼベルによって苦しめられた。
⑤バプテスマのヨハネは、ヘロデ・アンティパスとヘロデヤによって殺された。
(2)マラ3:1
「『見よ。わたしは、わたしの使者を遣わす。彼はわたしの前に道を整える。あなたが
たが尋ね求めている主が、突然、その神殿に来る。あなたがたが望んでいる契約の使
者が、見よ、来ている』と万軍の【主】は仰せられる」
①メシアの先駆者に関する預言は、2つある。
*マラ3:1は、無名の先駆者に関する預言。
*マラ4:5~6は、エリヤに関する預言。
②先駆者が2人備えられているのは、メシアの初臨と再臨があるからである。
③バプテスマのヨハネは、エリヤの霊と力で奉仕した。
結論
1.バプテスマのヨハネに関する復習
(1)天使ガブリエルが語ったザカリヤへの預言
「彼こそ、エリヤの霊と力で主の前ぶれをし、父たちの心を子どもたちに向けさせ、
逆らう者を義人の心に立ち戻らせ、こうして、整えられた民を主のために用意するの
です」(ルカ1:17)
①バプテスマのヨハネのは、エリヤの霊と力で先駆者としての奉仕を展開する。
(2)ヨハネ自身は、自分がエリヤだとは思っていなかった。
「また、彼らは聞いた。『では、いったい何ですか。あなたはエリヤですか。』彼は言
った。『そうではありません。』『あなたはあの預言者ですか。』彼は答えた。『違いま
す」(ヨハ1:21)
(3)しかしイエスは、ヨハネ自身が気づいていなかったことを示された。
「バプテスマのヨハネの日以来今日まで、天の御国は激しく攻められています。そし
て、激しく攻める者たちがそれを奪い取っています。ヨハネに至るまで、すべての預
言者たちと律法とが預言をしたのです。あなたがたが進んで受け入れるなら、実はこ
の人こそ、きたるべきエリヤなのです」(マタ11:12~14)
①もしユダヤ人たちがメシア的王国の提案を受け入れていたなら、バプテスマの
ヨハネはエリヤの役割を果たしたことになっていた。
②しかし彼らはそれを拒否したので、メシア的王国の成就は先延ばしになった。
2.終末論の整理
(1)バプテスマのヨハネがメシアの先駆者として奉仕した。
①マラ3:1の成就
②しかし、エリヤが苦しめられたのと同じように、ヨハネも苦しめられた。
③最後は、ヘロデ・アンティパスとヘロデヤによって殺された。
(2)イエスは、神の小羊として現れ、メシアとして奉仕した。
①もしユダヤ人たちがイエスを受け入れていたなら、メシア的王国は成就してい
た。
②しかし、彼らはイエスを拒否した。
③イエスは、十字架にかかり、復活された。
④そして、教会時代が始まった。
(3)終わりの時に、預言者エリヤが先駆者として奉仕をする。
①エリヤの奉仕は有効で、人々は霊的覚醒を経験するようになる。
(4)その時イエスは、栄光の王として再臨し、地上にメシア的王国を樹立する。
3.山頂から麓へ
(1)山頂にいては、麓の苦しみを思う。
(2)麓にいては、山頂の祝福を思う。
(例話)被災地に残された犬
「狼は子羊とともに宿り、ひょうは子やぎとともに伏し、子牛、若獅子、肥えた家畜
が共にいて、小さい子どもがこれを追っていく。雌牛と熊とは共に草をはみ、その子
らは共に伏し、獅子も牛のようにわらを食う。乳飲み子はコブラの穴の上で戯れ、乳
離れした子はまむしの子に手を伸べる。わたしの聖なる山のどこにおいても、これら
は害を加えず、そこなわない。【主】を知ることが、海をおおう水のように、地を満
たすからである」(イザ11:6)
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