ルカの福音書(103)復活の出来事―ガリラヤの女たちの証言―24:1~12

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イエスの復活について学ぶ。

ルカの福音書 103回

復活の出来事

―ガリラヤの女たちの証言―

24 :1~12

1.文脈の確認

(1)イエスの埋葬(23:50~56)

(2)イエスの復活(24:1~49)

  ①復活の出来事(1~12節)

  ②エマオ途上にて(13~35節)

  ③エルサレムの部屋にて(36~49節)

(3)イエスの昇天(24:50~53)

2.注目すべき点

(1)イエスの復活は、それを目撃した証人がいる。

(2)彼らは、イエスの死を目撃し、落胆した。

(3)彼らは、イエスの復活を目撃し、喜びに満たされた。

(4)本書は喜びで始まり(1~2章)、喜びで終わる(24章)。

(5)ルカ24章と使1章は、内容が重複する。

  ①ルカの福音書は、イエスの物語である。

  ②使徒の働きは、イエスの証人たちの物語である。

  ③ルカは、2つの物語の連続性を強調している。

3.アウトライン

(1)墓を訪問する女たち(1~4節)

(2)イエスの復活を告げる天使たち(5~8節)

(3)女たちの証言を信じない使徒たち(9~12節)

3.結論

(1)証人の連鎖

(2)使1:8

イエスの復活について学ぶ。

Ⅰ.墓を訪問する女たち(1~4節)

1.1~2節

Luk 24:1

週の初めの日の明け方早く、彼女たちは準備しておいた香料を持って墓に来た。

Luk 24:2 見ると、石が墓からわきに転がされていた。

(1)前回の箇所の確認

  ①23:55~56

Luk 23:55 イエスとともにガリラヤから来ていた女たちは、ヨセフの後について行き、墓と、イエスのからだが納められる様子を見届けた。

Luk 23:56 それから、戻って香料と香油を用意した。そして安息日には、戒めにしたがって休んだ。

  ②彼女たちは、ヨセフの後について行き、墓を見届けた。

  ③彼女たちが墓を間違えるはずはない。

  ④週の初めの日になると、彼女たちは行動を開始した。

(2)女たちは別々に墓に来たようである。

  ①ヨハ20:1によれば、マグダラのマリアが先にひとりで墓に来ている。

Joh 20:1 さて、週の初めの日、朝早くまだ暗いうちに、マグダラのマリアは墓にやって来て、墓から石が取りのけられているのを見た。

  ②彼女は墓が空になっているのを見た。

  ③彼女は、イエスの体が盗まれたと思い込んで、行動を開始する。

  ④墓の中を確かめることをしなかったし、天使を見ることもなかった。

  ⑥すぐにペテロとヨハネに報告に行った。

(3)第2の女たちのグループが墓に着いた。

  ①「明け方」には、象徴的意味がある。

    *人類の歴史の新しい幕が開く。

  ②イエスの遺体に塗るための香料を持って来た。

  ③マコ16:3

Mar 16:3 彼女たちは、「だれが墓の入り口から石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。

  ④着いてみると、墓から石が取りのけられているのを見た。

2.3~4節

Luk 24:3 そこで中に入ると、主イエスのからだは見当たらなかった。

Luk 24:4

そのため途方に暮れていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着た人が二人、近くに来た。

(1)彼女たちは墓の中に入った。

  ①そこには主イエスのからだはなかった。

    *主イエス(キュリオス)という用語が登場する。

    *復活のイエスは、キュリオスとなられた。

    *使4:33

Act 4:33 使徒たちは、主イエスの復活を大きな力をもって証しし、大きな恵みが彼ら全員の上にあった。

  ②彼女たちは途方にくれた(戸惑った)。

(2)そこに天使が現れた。

  ①まばゆいばかりの衣を着た人が二人

    *天使が男の姿で現れた。

    *二人の証言は信頼できる。

  ②マコ16:5では、天使は一人である。

  ③これは矛盾ではない。二人の天使が現れたが、主に一人が話したのである。

Ⅱ.イエスの復活を告げる天使たち(5~8節)

1.5~6節

Luk 24:5

彼女たちは恐ろしくなって、地面に顔を伏せた。すると、その人たちはこう言った。「あなたがたは、どうして生きている方を死人の中に捜すのですか。

Luk 24:6

ここにはおられません。よみがえられたのです。まだガリラヤにおられたころ、主がお話しになったことを思い出しなさい。

(1)彼女たちは、地面に顔を伏せた。

  ①天使を見て恐れを覚えるのは、ユダヤ人として自然の感情である。

  ②つまり、二人の男を神の使いと認識したのである。

(2)天使が語りかけた。

  ①「どうして生きている方を死人の中に捜すのですか」

  ②イエスは復活された。

  ③ガリラヤにいたころ、イエスは預言しておられた。

    *9:22、43~45、18:31~33

  ④当時は、誰もイエスの預言の意味を理解できなかった。

  ⑤今や、その預言が新しい意味をもって迫ってくる。

2.7~8節

Luk 24:7

人の子は必ず罪人たちの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目によみがえると言われたでしょう。」

Luk 24:8 彼女たちはイエスのことばを思い出した。

(1)天使が、イエスの預言の意味を解き明かした。

    「人の子は必ず罪人たちの手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活する」

  ①「必ず」は「must」(ギリシア語のデイ)である。

  ②イエスの死と復活には、神学的な必然性がある。

  ③人類の救いのためには、これが起こらなければならない。

(2)女たちは、ついに、イエスが語った復活の預言を思い出した。

  ①彼女たちも、使徒たちと同じように復活の預言を忘れていた。

Ⅲ.女たちの証言を信じない使徒たち(9~12節)

1.9節

Luk 24:9

そして墓から戻って、十一人とほかの人たち全員に、これらのことをすべて報告した。

(1)女たちは、最初の復活の証人となった。

  ①イエスに対する愛と献身が、この祝福をもたらした。

  ②女たちが最初の目撃者であることも、復活を証明する有力な証拠である。

2.10~11節

Luk 24:10

それは、マグダラのマリア、ヨハンナ、ヤコブの母マリア、そして彼女たちとともにいた、ほかの女たちであった。彼女たちはこれらのことを使徒たちに話したが、

Luk 24:11

この話はたわごとのように思えたので、使徒たちは彼女たちを信じなかった。

(1)ここでようやく、女たちの名前が紹介される。

  ①復活に焦点を合わせるために、意図的に名前が伏せられていた。

  ②サロメの名が出ていない。

    *イエスの母マリアの姉妹で、ゼベダイの子たち(ヤコブとヨハネ)の母

(2)使徒たちは、彼女たちを信じなかった。

  ①訳文の比較

    「この話はたわごとのように思えたので、」(新改訳2017)

    「この話がまるで馬鹿げたことに思われて、」(共同訳)

  ②復活を信じなかった最初の人は、使徒たちである。

3.12節

Luk 24:12しかしペテロは立ち上がり、走って墓に行った。そして、かがんでのぞき込むと、亜麻布だけが見えた。それで、この出来事に驚きながら自分のところに帰った。

(1)ペテロは、女たちの証言を確かめるために、走って墓に行った。

  ①同時に、ヨハネも走ったが(ヨハ20:6~7)、ルカはそれを省略している。

    *ペテロを使徒集団のリーダーとして位置づけている。

  ②かがんでのぞき込むと、亜麻布だけが見えた。

    *アリマタヤのヨセフがイエスの遺体をくるんで亜麻布である。

(2)ペテロは、「この出来事に驚きながら自分のところに帰った」。

  ①「驚きながら」とは、まだ復活を理解していないということである。

  ②彼は、復活を信じていないが、それを否定しているわけでもない。

  ③ペテロのこの反応も、復活を証明する強力な証拠である。

結論

1 .証人の連鎖

(1)神から天使たちへ

(2)天使たちから女たちへ

(3)女たちから使徒たちへ

  ①使徒とは、メッセージを伝える人であるが、まだその準備ができていない。

  ②復活のイエスに会うことによって、確信が与えられた。

(4)使徒たちから地の果てへ

2.使1:8

Act 1:8

しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」

(1)宣教の歴史は、イエスの復活から始まった。

(2)私たちも、証人の連鎖に加えられている。

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