パートⅡ.旧約時代14章 北王国の崩壊

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北王国の崩壊について学ぶ。

パートⅡ.旧約時代

14章 北王国の崩壊

イントロダクション

1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマに沿って聖書を読み解いている。

(1)この葛藤は、創世記3章以来続いているものである。

(2)この葛藤は、黙示録20~21章で終わる。

2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)

3.パートⅡ.旧約時代(4~17章)

    4章 カインとアベル

    5章 大洪水

    6章 バベルの塔

    7章 アブラハム契約

    8章 出エジプト

    9章 律法と幕屋

    10章 カナン定住と士師記の時代

    11章 士師記の時代から王制へ

    12章 ダビデ

      *ダビデ契約は、悪魔に対する神からの宣言であった。

    13章 ソロモン

    14章 北王国の崩壊

4.アウトライン

(1)ヤロブアムの罪

(2)最悪の王アハブ

(3)悪魔の使いイゼベル

(4)アッシリア捕囚

北王国の崩壊について学ぶ。

Ⅰ.ヤロブアムの罪

1.ソロモンの後継者レハブアムは、愚かな決断によって王国の分裂をもたらした。

(1)統一王国は、イスラエル(北王国)とユダ(南王国)に分裂した。

(2)この時から南北朝時代に突入する。

2.神はヤロブアムに、北王国の確立を約束しておられた(1列11:31、37〜38参照)。

(1)ダビデのように【主】の命令を守るなら、彼の王国は祝されるはずであった。

  ①しかし彼は、不信仰に堕ちて行った。

  ②神に背を向けたとたんに、彼の心は恐れで満たされた。

  ③神を信頼しない者は、恐れに支配されるようになる。

  ④サタンはその恐れを利用した。

3.ヤロブアムが考えた国防策

(1)民がエルサレムに上らないような仕組みを造った。

  ①エルサレムへの巡礼を許可したなら、民の心はユダになびくようになる。

  ②ダン(北の国境の町)とベテル(南の国境の町)に金の子牛の像を置いた。

  ③1列12:28~29

1Ki 12:28
そこで王は相談して金の子牛を二つ造り、彼らに言った。「もうエルサレムに上る必要はない。イスラエルよ。ここに、あなたをエジプトから連れ上った、あなたの神々がおられる。」

1Ki 12:29 それから彼は一つをベテルに据え、もう一つをダンに置いた。

  ④これは、ヤハウェ礼拝に別の要素を付加したものである。

  ⑤ここには、エジプトの影響が見受けられる。

  ⑥ヤロブアムにはエジプト亡命の経験があった(1列11:40)。

(2)また彼は、祭司を新しく任命した。

  ①その結果、レビ族でない部族の者が、祭司職に就くようになった。

(3)さらに、例祭の規定を変更した。

  ①仮庵の祭りをひと月遅れで祝うようにした。

  ②かくして、北の10部族と南の2部族は、宗教的にも対立するようになった。

4.ユダとイスラエルの信仰形態の比較

(1)ユダの信仰の特徴

  ①神をかたどった像はない。

  ②レビ系祭司のみ認められる。

  ③神殿はエルサレムにのみある。

  ④唯一神信仰が保持される。

(2)イスラエルの信仰の特徴

  ①金の子牛を崇拝する。

  ②レビ族以外の者も祭司となる。

  ③神殿はダンとベテルにある。

  ④混合宗教の要素が強くなる。

Ⅱ.最悪の王アハブ

1.イスラエルの偶像礼拝は、ユダよりも激しいものであった。

(1)イスラエルでは、約210年の間に、9王朝が興亡を繰り返す。

  ①その9王朝から19人の王が出現するが、善王はひとりも出て来ない。

  ②その中で、最悪の王はアハブである。

  ③彼はシドンの王女イゼベルと結婚し、バアル礼拝を国内にもたらした。

  ④悪魔は、神の民の半分(イスラエル)を破壊しようとしたのである。

(2)アハブは、父オムリが建設したサマリアを首都として、22年間統治した。

  ①父オムリは、それまでに登場した王の中では最悪であった。

  ②息子のアハブは、それよりもさらに邪悪な王であった。

  ③1列16:29~31

1Ki 16:29
オムリの子アハブは、ユダの王アサの第三十八年に、イスラエルの王となった。オムリの子アハブはサマリアで二十二年間、イスラエルの王であった。

1Ki 16:30 オムリの子アハブは、彼以前のだれよりも【主】の目に悪であることを行った。

1Ki 16:31
彼にとっては、ネバテの子ヤロブアムの罪のうちを歩むことは軽いことであった。それどころか彼は、シドン人の王エテバアルの娘イゼベルを妻とし、行ってバアルに仕え、それを拝んだ。

  ④彼の罪は、偶像礼拝を国中に広げたことである。

  ⑤しかし彼は、それ重大な罪だとは思わず、「軽いこと」と考えていた。

  ⑥彼は、シドン人の王エテバアルの娘イゼベルを妻に迎えた。

  ⑦これは、強制された結婚ではなく、自発的なものであった。

  ⑧それゆえ、この結婚の責任は、アハブにある。

2.イゼベルとともに、バアル礼拝がイスラエルに侵入してきた。

(1)バアル(主という意味)礼拝の内容

  ①バアルとは、イスラエルの地で礼拝されていた男神の総称である。

  ②礼拝形態にはさまざまなものがあった。

  ③シドン人(フェニキア人)のバアル礼拝も、その変種の一つである。

(2)神の対抗策は、預言者エリヤとエリシャの派遣である。

  ①彼らの時代は、出エジプト時代に続いて奇蹟が起こった時代となる。

  ②彼らのメッセージは、悔い改めと申命記の律法への立ち返りである。

  ③この時期、「イスラエルの残れる者」という概念が誕生した(1列19:18)。

Ⅲ.悪魔の使いイゼベル

1.権力欲に満ちた妻が、意志薄弱な夫を支配するという関係ができた。

(1)北王国にバアル礼拝が広がった最大の原因は、イゼベルにある。

  ①イゼベルは、多くの【主】の預言者たちを平気で殺した。

2.北王国の危急に際して、神は預言者エリヤを遣わされた。

(1)エリヤという名は、「ヤハウェは私の神」という意味である。

  ①真の神はヤハウェなのかバアルなのかという戦いが始められた。

  ②これは、雨を降らせるのはヤハウェなのかバアルなのかという戦いである、

(2)カルメル山頂で、1人対450人の預言者たちの戦いが繰り広げられた。

  ①この人数差に驚く必要はない。

  ②聖書には、多数派が真理を保持したという例はない。

  ③どの時代においても、信仰のあるイスラエル人は、少数派であった。

  ④バアルの預言者たちは、朝から午後3時まで叫び、最後は、剣や槍で自らの

肉体を切り裂いて血を流すまで騒ぎ立てたが、天からなんの応答もなかった。

  ⑤エリヤが祈ると、神はお答えになった。

  ⑥天から火が降り、全焼のささげ物、たきぎ、石、ちりを焼き尽くした。

  ⑦これによって、【主】の勝利が確定した。

  ⑧ようやく民は、【主】だけが真の神であることを認識した。

3.しかしイゼベルは、敗北を認めなかった。

(1)彼女は、24時間以内にエリヤを殺すと宣言した。

  ①彼女には、それほどの権力が備わっていた。

(2)エリヤは、イゼベルについての預言を語った。

  ①1列21:23~24

1Ki 21:23 また、イゼベルについても【主】はこう言われる。『犬がイズレエルの領地でイゼベルを食らう。

1Ki 21:24 アハブに属する者で、町で死ぬ者は犬がこれを食らい、野で死ぬ者は空の鳥がこれを食らう。』」

  ②この預言は、2列9:30〜10:28で成就した。

  ③神に敵対したイゼベルの最期は、実に悲惨なものであった。

Ⅳ.アッシリア捕囚

1.【主】はイスラエルに警告を発するために、しもべたち(預言者)を何度も送られた。

(1)預言者たちは、モーセの律法を説いて、悪の道からの悔い改めを民に迫った。

  ①しかし民は、なおも悪にとどまり続けた。

  ②滅びは突如襲ってきたのではない。

  ③彼らには何度も悔い改めの機会が与えられた。

  ④彼らが預言者たちの警告を無視し続けたため、滅びが彼らを襲った。

  ⑤彼らは、【主】が禁止されたカナン人の風習を採用して堕落して行った。

  ⑥そこで【主】は、激しく怒り、彼らを御前から取り除かれた。

  ⑦つまり、約束の地から追放されたということである。

  ⑧それがアッシリア捕囚である。

(2)この悲惨な出来事は、神がご自分の民を見捨てたということではない。

  ①これは、民に対する矯正的裁きである。

  ②また、悪魔の策略への対抗策でもある。

(3)かくしてユダだけが残されることになった。

  ①やがてユダも、イスラエルと同じ運命をたどることになる。

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