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申命記(34)3つの巡礼祭16:1~17
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3つの巡礼祭について学ぶ。
申命記 34回
「3つの巡礼祭」
申16:1~17(朗読箇所 16:1~8)
1.はじめに
(1)第2の説教:契約に基づく義務
①総論:臣下の義務(4:44~5:33)
②全的従順の呼びかけ(6~11章)
③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)
④【主】に対する誓約(26:16~19)
(3)この箇所は、律法の各論的解説とその適用である。
*この箇所を12項目に分割して説明している。
①第7の項目:3つの巡礼祭(16:1~17)
②レビ記23章には、7つの例祭が記録されている。
③申16章では、3つの巡礼祭が特記されている。
*巡礼祭は、イスラエルの民をひとつにした。
*巡礼祭は、【主】への忠誠を確認する機会となった。
*宗主権契約には定期的に王の前に出て忠誠を誓うという条項があった。
*古代中近東では、年に3度という習慣が多く見られた。
2.メッセージのアウトライン
(7)3つの巡礼祭(16:1~17)
①過越の祭り(16:1~8)
②七週の祭り(16:9~12)
③仮庵の祭り(16:13~17)
3.結論:3つの巡礼祭とメシアの奉仕
3つの巡礼祭について学ぶ。
Ⅰ.過越の祭り(16:1~8)
1.1~2節は、過越の祭りの規定である。
Deu 16:1
アビブの月を守り、あなたの神、【主】の過越を祝いなさい。アビブの月に、あなたの神、【主】が夜のうちにエジプトからあなたを導き出されたからである。
Deu 16:2 【主】が御名を住まわせるために選ばれる場所で、あなたの神、【主】に、過越のいけにえとして羊と牛を屠りなさい。
(1)過越の祭りに関する詳細な命令は、出12:1~28、43~49に出て来る。
①過越の祭りという名称は、ヘブル語の動詞「ペサハ」から出ている。
②エジプト中の長子が、ファラオの息子から家畜の長子に至るまで打たれた。
③【主】は、子羊の血が振りかけられたイスラエル人の家を過ぎ越された。
④過越の祭りは厳粛な祭りであり、他の2つの祭りは喜びの祭りである。
(2)過越の祭りは、アビブ(新約時代のニサン)の月の14日に祝う。
①レビ23:5
Lev 23:5 第一の月の十四日には夕暮れに過越のいけにえを【主】に献げる。
②アビブの月は、ヘブル暦の1月である。
(3)祝う場所は、【主】が御名を住まわせるために選ばれる場所である。
①幕屋(神殿)がある場所、最終的には、エルサレムがその場所となる。
②エルサレムに上って祝うので、巡礼祭と呼ばれる。
③そこで、過越のいけにえを屠る。
④出12:5
Exo 12:5 あなたがたの羊は、傷のない一歳の雄でなければならない。それを子羊かやぎのうちから取らなければならない。
*一歳の雄を、子羊かやぎのうちから取る。
*ユダヤ教では、子羊を取ることが伝統となった。
⑤訳文の比較
「あなたの神、【主】に、過越のいけにえとして羊と牛を屠りなさい」
(新改訳2017)
「羊あるいは牛を過越のいけにえとしてあなたの神、主に屠りなさい」
(新共同訳)
⑥「羊と牛」を採用した場合、種なしパンの祭りで牛を屠るという意味になる。
⑦「羊か牛」を採用した場合、モーセはいけにえの範囲を広げたことになる。
(4)過越の祭りの目的
①過越の祭りを祝う目的は、子どもたちに【主】の御業を教えるためである。
②イスラエル人は、この祭りを通してエジプトからの解放の歴史を回顧した。
③異邦人は、過越の祭りに参加できない。
*出12:43~49
*改宗者になれば(割礼を受ければ)、参加できる。
④儀式的汚れがある人や、旅行中の人などは、ひと月遅れで祝うことができる。
*民9:6~12
2.3~4節は、種なしパンの祭りの規定である。
Deu 16:3
そこでは種入りのパンを食べてはならない。七日間、種なしパン、苦しみのパンを食べなさい。あなたはエジプトの地から急いで出て来たからである。それは、あなたがエジプトの地から出て来た日を、一生の間覚えているためである。
Deu 16:4
七日間はパン種が、あなたの土地のどこにも見当たらないようにしなければならない。また、最初の日の夕方にいけにえとして屠ったその肉を、朝まで残しておいてはならない。
(1)過越の祭りの翌日から、種なしパンの祭りが7日間続く。
①実際は、過越の祭りと種なしパンの祭りが、ひとつの祭りと考えられていた。
②ルカ22:7~8
Luk 22:7 過越の子羊が屠られる、種なしパンの祭りの日が来た。
Luk 22:8 イエスは、「過越の食事ができるように、行って用意をしなさい」と言って、ペテロとヨハネを遣わされた。
(2)種なしパンの祭りの目的
①急いでいたので、パンを発酵させる時間がなかったことを記念している。
②苦難のパンを食べながら、エジプトでの苦役を思い起こした。
③出12:10
Exo 12:10 それを朝まで残してはならない。朝まで残ったものは燃やさなければならない。
*屠った肉が残った場合は、それをすべて燃やす(聖なる肉)。
3.5~7節は、過越の祭りの規定である。
Deu 16:5 過越のいけにえを屠ることができるのは、あなたの神、【主】が与えてくださるあなたの町囲みのどこでもよいのではない。
Deu 16:6
ただ、あなたの神、【主】が御名を住まわせるために選ばれるその場所で、夕方、日の沈むころ、あなたがエジプトから出た時刻に、過越のいけにえを屠らなければならない。
Deu 16:7 そして、あなたの神、【主】が選ばれるその場所でそれを調理して食べなさい。そして朝、自分の天幕に戻りなさい。
(1)最初の過越のいけにえは、各人の家で屠られた。
①約束の地に入って以降は、【主】が選ばれる場所でいけにえを屠る。
②屠る時間は、エジプトを出た時刻、日の沈むころである(午後3時~5時)。
③屠った場所で、その肉を調理して食べる。
④朝になると、自分が滞在している天幕に戻る。
4.8節は、種なしパンの祭りの規定である。
Deu 16:8
六日間、種なしパンを食べなければならない。七日目には、あなたの神、【主】へのきよめの集会がある。仕事をしてはならない。
(1)「六日間」とあるが、実際に種なしパンを食べるのは、8日間である。
①過越の祭りの日
②種なしパンの祭りの6日間
③種なしパンの祭りの7日目(最終日)
*きよめの集会(大聖会)が開かれ、巡礼者が一堂に会する。
*この日、労働は禁止された。
Ⅱ.七週の祭り(16:9~12)
1.9節
Deu 16:9 また七週間を数えなければならない。鎌を立ち穂に入れ始めるときから、七週間を数え始めなければならない。
(1)七週の祭りという名称
①初穂の収穫の時から7週間を数えるという命令から来ている。
②後代になると、ギリシア語のペンテコステ(50日)も用いられる。
③ギリシア語訳聖書(七十人訳)を基にした名称である。
(2)レビ23:10~11
Lev 23:10
「イスラエルの子らに告げよ。/あなたがたがわたしが与えようとしている地に入り、収穫を刈り入れたなら、収穫の初穂の束を祭司のところに持って行きなさい。
Lev 23:11 その束は【主】の前で揺り動かす。あなたがたが受け入れられるためである。祭司は安息日の翌日、それを揺り動かさなければならない。
①過越の祭り直後の安息日の翌日(週の初めの日)
②初穗の祭りは週の初めの日なので、七週の祭りも週の初めの日となる。
2.10~12節
Deu 16:10
そして、あなたの神、【主】のために七週の祭りを行い、あなたの神、【主】の祝福に応じて、進んで献げるささげ物をあなたの手によって豊かに献げなさい。
Deu 16:11
あなたはあなたの息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みの中にいるレビ人、あなたがたのうちの寄留者、孤児、やもめとともに、あなたの神、【主】の前で、あなたの神、【主】が御名を住まわせるために選ばれる場所で喜び楽しみなさい。
Deu 16:12 あなたがエジプトで奴隷であったことを覚え、これらの掟を守り行いなさい。
(1)この祭りは、【主】が与えてくださった豊かな収穫に感謝するものである。
①自由意思によるささげ物は、【主】から受けた恵みに比例するものとなる。
(2)この祭りは、喜びの祭りである。
①【主】の恵みを味わった者たちは、貧しい人々を愛するように命じられた。
*息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みの中にいるレビ人
*寄留者、孤児、やもめなどを食事に招くように命じられている。
②自分たちがエジプトで奴隷であったことを覚え、この掟を実行する。
Ⅲ.仮庵の祭り(16:13~17)
1.13節
Deu 16:13 あなたの打ち場とあなたの踏み場から取り入れが済んだとき、七日間、仮庵の祭りをしなければならない。
(1)レビ23:34
Lev 23:34 「イスラエルの子らに告げよ。/この第七の月の十五日には、七日間にわたる【主】の仮庵の祭りが始まる。
①第7の月(ティシュリ)の15日
②仮庵の祭りは、7日間の祭りである。
(2)その年の収穫が終わると、仮庵の祭りを祝う。
①仮庵の祭りという名称は、祭りの間、仮庵に住むことから来ている。
②仮庵は、木の枝や葉で作る。
③エルサレムのほとんどのアパートには、バルコニーが設置されている。
2.14~15節
Deu 16:14
この祭りのときには、あなたも、
あなたの息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みの中にいるレビ人、寄留者、孤児、やもめもともに喜び楽しみなさい。
Deu 16:15
あなたの神、【主】のために、【主】が選ばれる場所で七日間、祭りをしなければならない。あなたの神、【主】があなたのすべての収穫、あなたの手のすべてのわざを祝福されるからである。あなたは大いに喜びなさい。
(1)この祭りの特徴は、喜びである(七週の祭りと同様)。
①【主】が与えてくださった収穫を喜ぶ。
②と同時に、出エジプトによって奴隷状態から解放されたことをも喜ぶ。
③仮庵に住む理由は、40年間の荒野の生活が守られたことを記念するため。
④その間、【主】はイスラエルの民を守られた。
(2)七週の祭りの場合と同様に、貧しい人たちと食事をともにする。
①息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みの中にいるレビ人
②寄留者、孤児、やもめもともに喜び楽しみなさい。
3.16~17節は、3つの巡礼祭のまとめである。
Deu 16:16
あなたのうちの男子はみな、年に三度、種なしパンの祭り、七週の祭り、仮庵の祭りのときに、あなたの神、【主】が選ばれる場所で御前に出なければならない。【主】の前には何も持たずに出てはならない。
Deu 16:17 あなたの神、【主】が与えてくださった祝福に応じて、それぞれ自分の贈り物を持って出なければならない。
(1)イスラエルの男子はみな、エルサレムで3大巡礼祭を祝うようになる。
①可能な限り、家族や家のしもべも参加するのがよい。
②感謝のささげ物は、【主】から受けた祝福に応じて自発的に献げる。
③巡礼祭の伝統は、ディアスポラのユダヤ人の間でも保持された。
④余裕がない者は、年に1度、あるいは数年に1度、エルサレムに上った。
結論:3つの巡礼祭とメシアの奉仕
1.過越の祭りは、メシアの受難を予表している。
(1)新約聖書では、イエスは「過越の子羊」と呼ばれている。
(2)1コリ5:7
1Co 5:7
新しいこねた粉のままでいられるように、古いパン種をすっかり取り除きなさい。あなたがたは種なしパンなのですから。私たちの過越の子羊キリストは、すでに屠られたのです。
(3)ヨハ19:36
Joh 19:36 これらのことが起こったのは、「彼の骨は、一つも折られることはない」とある聖書が成就するためであり、
(4)過越の祭りは、過去形の救いを象徴している。
(5)過越の子羊の血を自分のものとして受け取るなら、救われる。
①主は私の罪のために死に、墓に葬られ、3日目に復活された。
②福音を信じ、イエスを自分の主として受け入れるなら、滅びから救われる。
③イエスを信じた者は、パン種のない生活を送るように期待されている。
2.七週の祭りは、聖霊降臨を予表している。
(1)この祭りの時に、聖霊が降臨し、教会が誕生した(使2章)。
(2)昇天した主イエスは、信者の上に聖霊を送られた。
(3)その時から、律法の時代は終わり、恵みの時代(教会時代)が始まった。
(4)七週の祭りは、現在形の救いを象徴している。
(5)祝されたクリスチャン生活の鍵は、聖霊である。
①聖霊は、信者の心に内住しておられる。
②キリストの律法は、聖霊によって信者の心に書き記されている。
③クリスチャン生活を送るために必要な日々の力は、聖霊が与えてくださる。
(6)ペンテコステ以降、私たちは新しい時代に入っている。
①律法に支配されるのではなく、御霊に導かれた歩みをしようではないか。
(7)ロマ8:15
Rom 8:15
あなたがたは、人を再び恐怖に陥れる、奴隷の霊を受けたのではなく、子とする御霊を受けたのです。この御霊によって、私たちは「アバ、父」と叫びます。
3.仮庵の祭りは、千年王国を予表している。
(1)仮庵の祭りの預言的側面は、いまだ成就していない。
(2)再臨のメシアが地上に千年王国を設立される時に、それは成就する。
(3)ゼカ14:16
Zec 14:16
エルサレムに攻めて来たすべての民のうち、生き残った者はみな、毎年、万軍の【主】である王を礼拝し、仮庵の祭りを祝うために上って来る。
(4)メシアの再臨と千年王国の設立は、ヘブル的希望である。
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