創世記37章、38章

「ヨセフとユダ」

イントロ：

１．ヨセフとユダの対比を考える。

２．ヨセフについて

　　　　（1）新約聖書には、ヨセフはキリストの型だと教えている個所はない。

　　　　（2）しかし、ヨセフとキリストの間には類似点が多くある。

　　　　　　①辱めを受ける（37章、39章～40章）。

　　　　　　②上に引き上げられる（41章）。

　　３．ユダについて

　　　　（1）メシアの先祖となる。

　　４．アウトライン

　　　　（1）前半がヨセフについて

　　　　（2）後半がユダについて

　　５．きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。

　　　　（1）ヨセフに起こったことはキリストにも起こり、私たちにも起こる。

　　　　（2）ユダの物語はキリストの福音の本質を教えている。

このメッセージは、ヨセフとユダの対比を通して、クリスチャン生活の本質を学ぼうとするものである。

Ⅰ．ヨセフの物語

　　 １．正直者

　　　　（1）ラケルの息子で、11番目。

　　　　（2）ヨセフは17歳

　　　　　　①「彼らの悪いうわさを父に告げた」

　　　　　　②鳩のように素直であるが、蛇のようにさとくはなかった。

　　　　（3）イエスがユダヤ人の指導者たちから攻撃された理由

　　　　　　①イエスが真理を語ったから

　　　　　　②彼らが闇の中にいたから。

　　２．父の偏愛

　　　　（1）「イスラエルは、彼の息子たちのだれよりもヨセフを愛していた」

　　　　（2）「それで彼はヨセフに、そでつきの長服を作ってやっていた」

　　　　（3）「そでつきの長服」の意味

　　　　　　①これは、長子に着せる服である。

　　　　　　②兄たちの怒りの原因は、ヨセフが後継者候補になっていることにある。

　　　　（4）イエスが裁判にかけられた理由

　　　　　　①イエスに対するねたみ（マタ27：18）

　　　　　　「ピラトは、彼らがねたみからイエスを引き渡したことに気づいていたのである」

　　３．最初の夢

　　　　（1）内容

　　　　　　①ヨセフの麦の束がまっすぐに立ち上がった。

　　　　　　②兄たちの麦の束が、その周りに来ておじぎをした。

　　　　　　③意味はすぐに分かった。

　　　　（2）ヨセフには悪意はない。ただ、判断が幼い。

　　　　（3）兄たちは、ますますヨセフを憎むようになった。

　　４．第２の夢

　　　　（1）内容

　　　　　　①太陽と月と11の星がヨセフを伏し拝んでいる。

　　　　　　②太陽とは父、月とは母（ビルハ）、11の星とは11人の兄弟たち

　　　　（2）ヤコブは兄たちの怒りを静めるために、ヨセフを叱責した。

　　　　（3）しかし、これを心に留めていた。

　　　　　　①ルカ２：51でのマリアの状態と同じ。

　　５．なぜ神はこの時点で、ヨセフに２つの夢を見させたのか。

　　　　（1）２つの夢は、幾多の困難に立ち向かおうとしているヨセフへの励ましである。

　　　　（2）イエスが十字架を忍ぶことができた理由（ヘブ12：２）

　　「信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。イエスは、ご

　　自分の前に置かれた喜びのゆえに、はずかしめをものともせずに十字架を忍び、神の御座

　　の右に着座されました」

　　６．奴隷に売られる

　　　　（1）兄たちの安否を確かめるために、ヨセフが送られる。

　　　　（2）ヤコブもヨセフも、兄たちの怒りがどの程度のものであるか認識していない。

　　　　（3）ヘブロンからシェケム、そしてドタンへ

　　　　　　①およそ100キロの距離。足早に歩いて３日。

　　　　　　②兄たちはシェケムからさらに北に22キロほど移動したドタンにいた。

　　　　（4）兄たちの殺意

　　　　　　①「夢見る者」という言葉

　　　　　　②ヨセフの前にひざまずきたくないというのが、最大の動機である。

　　　　（5）神の摂理的守り

　　　　　　①ルベンが穴（水だめ）に投げ込むことを提案した。

　　　　　　②ドタンにいた。

　　　　　　　　＊ドタンは隊商街道の要衝の地である。

　　　　　　　　＊イシュマエル人の隊商が通りかかった。

　　　　　　　　＊ユダがヨセフを銀20枚で売ることを提案した。

　　　　（6）イエスもまた自分の兄弟たちから拒否された（ヨハネ１：11）。

　　　　「この方はご自分のくにに来られたのに、ご自分の民は受け入れなかった」

　　　　　　①イエスはイスカリオテのユダに銀貨30枚で売られた。

　　６．兄たちの悪意は、最後にヨセフが上げられるための準備となっている。

　　　　（1）ヨセフを支えたのは２つの夢であった。

　　　　（2）Ⅱコリ４：16～18

　　　　「ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、内な

　　　　る人は日々新たにされています。今の時の軽い患難は、私たちのうちに働いて、測り

　　　　知れない、重い永遠の栄光をもたらすからです。私たちは、見えるものにではなく、

　　　　見えないものにこそ目を留めます。見えるものは一時的であり、見えないものはいつ

　　　　までも続くからです」

Ⅱ．ユダの物語

　　１．ユダの堕落の始まり

　　　　（1）地理的移動。そのころのことであった。ヨセフが17歳の頃のこと。

　　　　（2）ユダの堕落は、いるべき場所（家族）から離れることから始まった。

　　　　（3）アブラハム、イサク、ヤコブの時代には、カナン人との雑婚を避けた。

　　　　　　①ユダの場合は、あっさりとカナン人と結婚している。

　　　　　　②契約の民の中以外から妻を迎えた場合の問題点は、エサウの例で実証済み。

　　２．ユダに３人の息子が生まれた。

　　　　（1）エル

　　　　（2）オナン

　　　　（3）シェラ

　　３．タマルの登場

　　　　（1）長子エルの嫁。カナン人。なつめやしの木の意。

　　　　（2）エルの死

　　　　（3）兄が死んだ場合、弟が兄嫁と結婚し兄に子を残す。

　　　　　　①そこでオナンがタマルをめとる。

　　　　　　②「兄嫁のところにはいると、地に流していた」

　　　　　　　　＊彼の罪は、弟としての務めを果たしていないこと。

　　　　　　　　＊この罪がなければ、彼はメシアの系図に入っている。

　　４．ユダの対応

　　　　（1）ユダは、末の息子のシェラが成人するまでとの条件で、タマルを実家に送り返す。

　　　　　　①この時点で、シェラとタマルとは婚約関係に入っている（法的な夫婦）。

　　　　　　②タマルはユダの言葉をそのまま信じて、実家で待機している。

　　５．ユダの妻の死

　　　　（1）羊の群れの毛を切るためにティムナへ行った。

　　６．タマルの策略

　　　　（1）義父ユダによって子を残そうとする。

　　　　（2）やもめの服を脱ぎ、遊女の格好をしてユダを待つ。

　　　　（3）ユダは彼女と肉体関係を結ぶ。

　　　　（4）タマルの罪は、姦淫（シェラが夫）と近親相姦である。

　　７．ユダの悔い改め

　　　　（1）タマルから送られたしるしの品を見た時、自分の罪を認めた。

　　　　（2）二度とタマルとは肉体関係を結ばなかった。結びませんでした。

　　　　（3）ユダヤ人の誇り

　　　　　　①神をほめたたえる。

　　　　　　②兄弟たちからほめたたえられる（創49：８）。

　　　　　　③ユダヤ人という名前は、ユダから出ている。

　　　　　　④しかし、ユダヤ人たちは自分の出自を誇れるものではない。

　　　　　　　　＊イエスとの論争。ヨハ８：39～41

　　８．タマルは双子の男子を産む。

　　　　（1）弟が兄を押しのけて先に出てきた。

　　　　（2）エサウとヤコブの出産を思い出させる状況

　　　　　　①先に出てきた方は、ペレツ（割りこむ）と呼ばれた。

　　　　　　②次がゼラフ（輝く：恐らく手に結びつけられた糸から出た名）と呼ばれた。

　　　　（3）メシアの家系につながるのは弟のペレツである。

結論

　　１．ヨセフの夢

　　２． メシアの系図の中にタマルの名が入っていることの意味（マタ１章の系図）